FPと宅建のダブルライセンスは転職や就職に有利?!2級と宅建の難易度や勉強時間を比較!

FPと宅建のダブルライセンス

「FPと宅建のダブルライセンスって、本当に転職や就職で有利になるの?」「両方取るなら、どっちを先に勉強すればいいの?」――不動産や金融のキャリアを考えるあなたは、こんな疑問を持っていませんか。

結論から言えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)と宅建(宅地建物取引士)は、不動産と税金・お金という重なる分野を持つ相性の良い組み合わせで、ダブルライセンスは「不動産取引×ライフプラン提案」という幅のある強みになり得ます。ただし、有利になるかどうかは目指す職種・業界によって変わるため、ここは正直に整理しておく必要があります。

この記事では、W取得を検討しているあなたに向けて、まず2資格の仕事内容と相性を押さえたうえで、「どっちを先に取るべきか」「難易度・勉強時間はどう違うか」「転職・年収にどう効くか」を、FP2級と宅建それぞれの数字を取り違えないように分けて解説します。年度で変わる合格率や勉強時間は最新の公式情報で確認しながら、目安としてお伝えしますね。

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FP(ファイナンシャルプランナー)と宅建の仕事内容の違い|なぜ相性が良いのか

国家資格のなかでも、ファイナンシャルプランナーと宅建士はとくに人気の高い資格です。まずは、この2つの仕事内容がどう違うのかから見ていきましょう。ここが分かると、なぜ「相性が良い」と言われるのかが腑に落ちます。

  • ファイナンシャルプランナーは、個人の顧客に対してライフプランを設計したり、家計・保険・資産運用・相続といった「お金」の相談に乗り、資金計画のアドバイスをする専門家
  • 宅建士は、主に不動産会社で、不動産の売買や賃貸物件の仲介の際に、お客様へ重要事項の説明などを行う「不動産取引」の専門家

ざっくり言えば、FPは「お金の専門家」、宅建士は「不動産取引の専門家」です。

宅建士には、ほかの人には任せられない独占業務があります。不動産取引のときに、買う人・借りる人に向けて契約前に行う重要事項の説明(宅地建物取引業法35条にもとづく書面、いわゆる35条書面)や、契約後に交付する契約書面(37条書面)への記名は、宅建士でなければできません。家やお金が動く取引でお客様を守るための、責任ある役割というわけですね。

一見すると畑違いに見える2つの資格ですが、重なっているのは「不動産」と「税金」の分野です。FP試験には「不動産」と「タックスプランニング(税金)」という科目があり、これは宅建で学ぶ内容と地続きになっています。

実際、ファイナンシャルプランナーは銀行や信用金庫だけでなく、不動産会社に就職・転職するケースも少なくありません。住宅を買うお客様にとっては、「物件の話」と「お金の話」はセットだからです。

つまり、ファイナンシャルプランナーと宅建は、お客様の同じ場面(住宅購入・資産形成)を両側から支えられる、相性の良い資格というわけですね。だからこそ、ダブルライセンスを目指す人が多いのです。

FPと宅建はどっちが先?どっちが難しい?取得の順番を目的別に整理

「両方取りたいけれど、結局どっちを先に勉強すればいいの?」――これは、W取得を考える人がいちばん最初にぶつかる悩みですよね。まずは大前提から整理します。

FP×宅建のダブルライセンスが向いているのは、不動産・金融・保険・相続に関わる仕事を目指す人です。逆に言えば、「資格を2つ持てば必ず有利」になるわけではありません。大切なのは、その資格でできることを、自分の仕事の場面とつなげられるか。ここを外さなければ、ダブルライセンスは大きな武器になります。

どっちを先に取るべき?順番は「目的」で決まる

結論から言うと、順番に絶対の正解はなく、目的によって変わります。そのうえで、迷ったときの目安をお伝えします。

学習のしやすさだけで言えば、お金の全体像をやさしく学べるFP3級から入り、不動産・税金の土台を作ってから宅建に進むと、知識が地続きでつながって入りやすい、という人が多いです。FP3級は受験資格がなく誰でも受けられるので、最初の一歩にしやすいんですね。そのうえでFP2級へ進めば、宅建で得た不動産の知識も活きてきます。

ここで取得順を考えるうえで大切なのが、受験資格の違いです。宅建は年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。一方、FP2級には受験資格があり、原則として「FP3級に合格している」「2年以上のFP業務の実務経験がある」「日本FP協会認定のAFP認定研修を修了している」などのいずれかを満たす必要があります。そのため、FPを軸に進めたい人は、まずFP3級から入るのが現実的なルートになります(受験資格の詳細は実施団体で最新をご確認ください)。

ただし、就職・転職を急いでいるかどうかで答えは変わります。

  • 不動産業界(仲介・売買・管理など)を目指すなら:宅建を先に。不動産会社では宅建士の設置が法律で義務づけられており、求人で直接評価されやすいからです
  • 金融・保険・相談業務を目指すなら:FPを先に。お金の相談の土台になり、日々の業務に直結します

自分がどちらの方向に進みたいかを先に決めると、順番は自然と見えてきます。

宅建とFP2級、どっちが難しい?

「どちらが難しいか」も気になるところですよね。ここは数字だけで断定せず、試験の性質の違いから整理しましょう。

宅建は、後ほど詳しく見るように合格点が年度ごとに変わる「相対評価」の試験です。受験者全体のなかで上位に入る必要があるため、「何点取れば必ず受かる」と言い切れない難しさがあります。一方のFP2級は、学科・実技ともに合格基準点が決まっている試験です。

さらに、宅建は4択のマークシート、FP2級の実技は記述・実技形式と、試験の形そのものが違います。そのため「合格率が低いほうが難しい」と単純に比べるのは適切ではありません。一般には宅建のほうが合格率は低めですが、これは受験のハードルが低く(誰でも受けられるため)、記念受験的な層も多く含まれることが一因です。どちらも、テキストの読み込みと過去問演習をしっかり積めば十分に狙える資格だと考えてください。

FP2級は無駄な資格って本当?

ネットで「FP2級は無駄」という声を見て、不安になった方もいるかもしれません。

確かに、FP2級そのものには宅建のような独占業務はありません。資格を持っているだけで特定の仕事を独占できるわけではないのです。ただ、それは「無駄」とは違います。FP2級は、家計・保険・税金・相続・年金といったお金の全体像を体系的に身につけられる土台として、とても実用的です。

ポイントは、「使う場面を自分で作れるか」。宅建と組み合わせて「物件+お金」をワンセットで提案できるようにすれば、FP2級は十分に活きてきます。資格を取って終わりにせず、仕事の場面に結びつける――この姿勢こそが、ダブルライセンスを価値あるものにするコツです。

なお、宅建とFPは同じ年に受験することも可能です。ただし両方を同時に狙うと学習負荷はかなり高くなるので、無理のない計画を立てることをおすすめします。

FPと宅建のダブルライセンスのメリット|不動産×ライフプランで広がる仕事

国家資格を持っていると、就職活動や転職活動で大いに役立ちます。ほかの人と差別化を図れるので、自分をアピールする武器になりますよね。では、FPと宅建を「両方」持つと、具体的にどんなメリットが生まれるのでしょうか。ここでは大きく3つに分けて見ていきます。

メリット1:試験内容が重なるので学習が地続きになる

ファイナンシャルプランナーと宅建は、試験で問われる内容に重なる部分があります。つまり、どちらか片方の知識が、もう一方の勉強にそのまま活きるので、ダブルライセンスを目指しやすいのです。

FPの試験科目は、次の6つです。

  • ライフプランニングと資金計画:健康保険や年金、社会保険の基本を学ぶ
  • リスク管理:生命保険や火災保険、生命保険料控除などの税の優遇を学ぶ
  • 金融資産運用:株式や外貨預金などの資産運用について学ぶ
  • タックスプランニング:所得税の損益通算や退職所得控除など税金について学ぶ
  • 不動産:不動産にかかる税金や、建蔽率・容積率に関する内容を学ぶ
  • 相続・事業承継:相続税の計算や贈与税など相続について学ぶ

このうち「不動産」と「タックスプランニング」は、宅建の学習と重なる部分です。FPの資格保有者なら、宅建で学ぶ宅建業法・民法・税法などを、有利に進めやすいというわけですね。

メリット2:不動産投資を考える顧客に手厚いサポートができる

FPと宅建のダブルライセンスは、不動産投資を考えるお客様に、一歩踏み込んだサポートができるのが大きな強みです。近年は、土地や建物を活用して収益を生む不動産投資に注目が集まっています。

  • 空き地やマンションの購入で賃貸収入を得る
  • コインパーキングの設置で駐車場収入を得る
  • 太陽光発電を設置して売電収入を得る

賃貸物件の仲介など、不動産取引にかかわる場面は宅建士・宅建業者の活躍どころです(駐車場など一部は契約形態によって宅建業法上の扱いが変わるため、実務では個別の確認が必要です)。しかし、宅建の資格だけでは、お客様にお金まわりの全体像まで踏まえた説明はしにくいものです。ここでFPの知識があれば、土地活用や資産形成の一般的な考え方まで含めて情報提供できるので、宅建とのダブルライセンス者は重宝されます(個別具体の投資判断や税務の相談は、それぞれの専門家・登録業者の領域です)。

メリット3:コンサルタントとして幅広く活躍できる

企業に勤めるにしても独立するにしても、FPと宅建のダブルライセンスは、コンサルティングの場面で力を発揮します。2つの資格を持つことで、不動産取引やお金まわり・人生設計について、全体像を踏まえた一般的なアドバイスや情報提供ができるようになるからです(個別具体の税務・法律・登記・金融商品の相談は、それぞれ税理士・弁護士・司法書士・登録業者など専門家の領域です)。

  • 宅建の知識で不動産の購入を提案しながら、FPの知識で理想的な買い方や資金繰りの組み立てまで解説する
  • 不動産投資の方法を案内しつつ、FPの知識で長期的な資金運用のプランまで一緒に考える

ライフコンサルタントとして活躍したい方は、ぜひこのダブルライセンスを検討してみてください。ただし、こうした相乗効果は「不動産仲介の現場でライフプランの相談にも応じられる」といった具体的な場面で初めて生きるもので、資格を持っているだけで自動的に評価が上がるわけではありません。「どの場面で使うか」をイメージしておくことが大切です。

なお、宅建と組み合わせやすい資格はFPだけではありません。簿記やマンション管理士(マン管)など、不動産まわりの隣接資格とも相性が良いので、自分の目指す方向に合わせて検討するとよいでしょう。

FP2級と宅建を難易度・合格率で比較|数字は取り違えないように整理

「メリットは分かったけれど、試験に受かるのが難しそう…」と不安な方も多いですよね。FPと宅建は、税理士や公認会計士のような最難関国家資格と比べればハードルは高くありませんが、決して簡単な試験ではありません。

ここで大事なのは、FP2級と宅建の数字を、ごちゃまぜにしないことです。よくある誤解として「FP2級の合格率は◯%」と一括りに語られがちですが、実際はそう単純ではありません。順番に見ていきましょう。

まず宅建の制度を正しく押さえる

宅建(宅地建物取引士)試験の基本は、次のとおりです。

  • 出題数:50問・四肢択一のマークシート方式
  • 試験は年1回(例年10月の第3日曜日)
  • 出題構成は、権利関係(民法など)14問/宅建業法20問/法令上の制限8問/税・その他8問
  • 合格基準は「相対評価」で、合格点は年度ごとに変動(おおむね31〜38点の範囲で推移)

ここがFPと大きく違うポイントです。宅建は「何点で合格」と固定されておらず、その年の受験者のなかで上位に入れるかで決まります。

参考までに、最新の令和6年度(2024年度)宅建試験は、合格率18.6%・合格基準点37点(50問中)でした(不動産適正取引推進機構の発表による)。合格率は例年おおむね15〜18%前後で推移していますが、年度によって変わるため、受験する際は不動産適正取引推進機構の公式サイトで最新の数字を確認してください。

また、宅建業に従事している人が対象の登録講習(5点免除)を修了すると、問46〜50の5問が免除され、45問で合否が判定されます(この場合、合格基準点は別に設定されます。令和6年度は登録講習修了者で32点でした)。

FP2級の合格率は「実施団体」で異なる

一方、FP2級でとくに注意したいのが、実施団体によって実技試験の内容や合格率が大きく違うという点です。FP2級(2級ファイナンシャル・プランニング技能検定)は、日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)の2団体が実施しています。

  • 学科試験は、一般に両団体で共通の扱いとされています(一定割合の得点で合格)。ただしCBT移行にともない運用が見直されることがあるため、最新は各団体の公式案内で確認してください
  • 実技試験は、日本FP協会が「資産設計提案業務」、きんざいが「個人資産相談業務」など複数科目から選ぶ形で、内容が異なる
  • そのため、合格率も団体ごとに差が出る(一般に、個人受験が多い日本FP協会のほうが、団体受験を含むきんざいより高めに出る傾向)

つまり「FP2級の合格率」は、どの団体のどの試験を指すかで数字が変わるのです。一括りにしないように気をつけましょう。受験を考えるなら、各団体の公式サイトで最新の合格率を確認するのが確実です。

なお、FP2級・3級は、近年CBT方式(パソコンで通年受験できる方式)への移行が進んでいます。級・実施団体ごとに移行時期や運用が異なる場合があるため、「年◯回の決まった試験日」という古い前提のままにせず、受験前に各団体の公式案内で最新の実施方式を確認してください。

合格率の水準を表で確認(目安)

ここで、合格率の水準感をつかむための目安を表にまとめておきます。いずれも複数年度・複数回をならした「おおよその水準」であり、年度・実施団体・試験回によって上下します。受験する際は、最新の数字や合格基準を必ず公式(不動産適正取引推進機構・各FP実施団体)で確認してください。

まずはFP2級(学科・実技)の合格率の水準の目安です。実施団体で差が出る点に注目してください。

FP2級の合格率(おおよその水準) 学科試験の合格率 実技試験の合格率
日本FP協会(おおよその目安) おおむね40〜55%前後 おおむね55〜70%前後
きんざい(おおよその目安) おおむね20〜30%前後 おおむね50〜60%前後

このように、同じ「FP2級」でも実施団体によって合格率の水準がかなり違うことが分かります(数値は時期により変動するため、最新は各団体の公式発表でご確認ください)。

次に宅建試験の受験者数・合格率の目安です。

宅建試験 受験者数の目安 合格者数の目安 合格率
例年の水準(おおよそ) 約20万人前後 約3〜4万人前後 おおむね15〜18%前後
令和6年度(2024年度) 241,436人 44,992人 18.6%

宅建の合格率は例年おおむね15〜18%前後で推移しており、直近の令和6年度(2024年度)は18.6%でした(出典:不動産適正取引推進機構。合格率・合格基準点は年度ごとに変わるため、受験する年度の数字は必ず公式でご確認ください)。

合格率だけで「難易度」を決めつけない

数字だけを並べると「宅建のほうが難しそう」に見えます。ですが、宅建は4択マークシート、FP2級の実技は記述・実技形式と、試験の形が違います。さらに宅建は受験のハードルが低い(誰でも受けられる)ぶん、十分に準備しないまま受ける層も含まれます。

ですから、合格率の高い・低いだけで「どちらが難しい」と一概に決めつけることはできません。どちらを目指すにしても、テキストの読み込みと過去問の反復という王道の対策が必須、という点は共通です。

ちなみに「FP1級と宅建のどちらが難しいか」という疑問もよく見かけますが、FP1級は受験資格・出題範囲・実技を含めて別格の難しさで、FP2級や宅建とは比較の土俵が違います。まずはFP2級と宅建の組み合わせから考えるのが現実的でしょう。

なお、FP2級の難易度については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

FP2級の難易度について詳しく知りたい方はこちら。

FP2級と宅建を勉強時間で比較|合格までの学習量の目安

「合格までにどれくらい勉強すればいいの?」という、もうひとつの気になるポイントを見ていきましょう。FP2級と宅建を合格までの勉強時間で比べると、おおよそ次のような目安になります。

  • FP2級の合格までの勉強時間の目安:おおむね150〜300時間程度
  • 宅建の合格までの勉強時間の目安:おおむね250〜300時間程度

これはあくまで目安で、もともとの知識量や学習効率、1日に確保できる時間によって大きく変わります。とはいえ、税理士や公認会計士など他の国家資格(数千時間規模)と比べれば、FP2級と宅建は比較的短い時間で合格を狙える資格だと分かりますね。ただし「短い=簡単」ではないので、油断は禁物です。

ここでもう一度思い出してほしいのが、2つの資格で学習内容が重なるという点です。たとえば不動産や税金の分野は、FPと宅建の両方に登場します。先に取った資格でこの重複範囲を固めておけば、2つ目の学習時間を実質的に短縮できます。重なる範囲はまとめて復習する――これがダブルライセンスを効率よく狙うコツです。

学習の進め方としては、テキストでインプットしたら、過去問演習でアウトプットを繰り返すのが王道です。独学に不安がある場合は、通信講座を活用するのも有力な選択肢になります。どの講座が自分に合うか迷ったら、宅建のおすすめ講座をまとめた記事も参考にしてみてください。

FPと宅建のダブルライセンスは転職・年収に有利?求人と収入のリアル

いちばん気になるのが、「結局、転職や年収にどう効くの?」というところですよね。ここは夢を盛らず、正直にお伝えします。

転職に有利かどうかは「業界・職種次第」

FPと宅建のダブルライセンスは、不動産・金融・保険といった業界では評価されやすいのは事実です。それぞれの資格を活かせる転職先を挙げると、次のようになります。

  • FPを活かせる転職先:保険会社の営業職、証券会社、銀行・信用金庫、不動産会社の住宅ローン関連部門など
  • 宅建を活かせる転職先:不動産業界(仲介・売買・賃貸・管理)、金融業界、建築業界など

ただし、「資格を2つ持っていれば必ず転職に成功する」わけではありません。有利になるかどうかは、目指す業界・職種・これまでの実務経験との掛け合わせで決まります。同じ資格でも、活かせる職場とそうでない職場があるからです。とはいえ、単体の資格保有者より、ダブルライセンスのほうが「できること」をアピールしやすいのは間違いありません。

求人での見え方を補足すると、宅建は不動産会社に設置が義務づけられた資格なので、不動産業界では求人そのものが多く、直接的に評価されます。一方のFPは「付加価値」として効くことが多く、「お客様にお金の相談まで対応できる人材」として差別化につながります。

年収・資格手当は「掛け算」で決まる

年収についても、正直に整理しておきます。資格手当が支給されたり、昇進・評価で有利になったりする企業はありますが、年収は「資格 × 営業成果 × 実務経験 × 勤務先」の掛け算で決まります。資格を取っただけで年収が跳ね上がる、という単純な話ではないので、ここは目安としてとらえてください。独立を視野に入れる場合は、不動産仲介とFP相談を組み合わせた提案がしやすくなる、というメリットがあります。

合格後に「使える資格」へ変えるには

資格は、取って終わりではもったいないです。合格後に「使える資格」へ育てるための流れを、簡単に示しておきます。

  • まず、志望する業界の求人票を読み、求められている実務スキルを洗い出す
  • 次に、住宅購入・相続・賃貸管理などの想定相談ケースを自分で作ってみる
  • そして、履歴書・職務経歴書・面接で「資格を使ってできる提案」を具体的に伝える

なお、副業や独立を考える場合は、資格があってもできない業務(他資格の独占業務など)の線引きを必ず確認しておきましょう。

自分の方向性に合う組み合わせを考える

宅建を軸にしたダブルライセンスは、FP以外にもいくつかの方向があります。自分のキャリアの方向性に合わせて検討してみてください。

ここで一点だけ注意です。社労士や建築士など隣接資格は、それぞれ合格率も受験資格もまったく別物です。たとえば宅建の合格率(例年15〜18%前後)と、他資格の合格率を混同しないようにしてください。資格ごとに正しい数字で比べることが、後悔しない選択につながります。

FP・宅建に相続アドバイザーを加えるトリプルライセンスもおすすめ

FPと宅建の2つで満足せず、さらにフィールドを広げたい方には、相続アドバイザーを加えるトリプルライセンスもおすすめです。

相続アドバイザーは、3級と2級がある銀行業務検定のひとつで、次のような内容を学びます。

  • 相続に関する民法の規定
  • 相続税の計算方法
  • 銀行口座の解約手続き
  • 不動産登記の基本的な流れ

相続アドバイザーの資格だけでは、相続に関する実務をすべてこなせるわけではありません。しかし、ここにFPや宅建士の知識が加われば、不動産の有効活用や資産形成の考え方まで踏まえた相続の一般的な相談に応じやすくなります。お客様にとっての安心感や満足度も高まりやすいでしょう(個別の相続税申告は税理士、登記は司法書士、法律相談は弁護士の領域です)。

組み合わせの方向は、ほかにもあります。たとえば経理や投資分析の知識まで広げたいなら、宅建+FP+簿記というトリプルライセンスも選択肢になります。簿記で財務の数字が読めるようになれば、不動産投資の収支シミュレーションや、企業の資金計画への提案にも厚みが出ます。

自分が「どんなお客様の、どんな悩みに応えたいか」をイメージしながら、相続アドバイザーや簿記といった3つ目の資格を検討してみてはいかがでしょうか。

ここで、押さえておきたい注意点があります。FP・宅建・相続アドバイザーといった資格は、お金や不動産まわりの一般的な情報提供や、ライフプランの提案には力を発揮しますが、個別具体の税務相談(税理士の業務)、法律相談・交渉(弁護士の業務)、登記の代理(司法書士の業務)、個別の金融商品のあっせん(登録が必要な業務)まで踏み込むことはできません。これらは、それぞれの専門資格・登録が必要な領域です。ダブル・トリプルライセンスの強みは、「お客様の状況を幅広く把握して、必要なときに適切な専門家へつなげられること」にもあります。できることと、専門家に任せるべきことの線引きを意識すると、より信頼される存在になれますよ。

まとめ|FPと宅建のダブルライセンスは「目的に合えば」強い武器になる

ここまで、FPと宅建のダブルライセンスについて、相性・どっちが先か・難易度・勉強時間・転職への効き方を見てきました。最後に要点を整理しましょう。

  • FPと宅建は「不動産×お金」で重なる、相性の良いダブルライセンス。お客様の住宅購入や資産形成を、両側から支えられる
  • どっちを先に取るかは目的次第。不動産業界を目指すなら宅建を、金融・保険・相談業務を目指すならFPを優先するのが目安
  • 難易度や合格率は、FP2級と宅建で数字を分けて見ること。宅建は相対評価で合格点が年度変動し、FP2級の合格率は実施団体(日本FP協会・きんざい)で異なる
  • 転職・年収に有利かどうかは業界・職種・実務経験次第。資格を「使う場面」を自分で作れるかが鍵

FPと宅建のダブルライセンスは、目的に合えば確かな武器になります。逆に、「とりあえず2つ取れば安心」という発想だと、宝の持ち腐れになりかねません。大切なのは、あなたがどんな仕事で、どんなお客様を支えたいか。そこから逆算して、必要な資格を順番に積み上げていきましょう。

宅建の全体像(試験範囲・学習スケジュール・講座の選び方)をまとめて知りたい方は、宅建の全体ロードマップもあわせてご覧ください。あなたの一歩を、ここから踏み出してみてくださいね。

これから宅建やFPの学習を始める方へ。難関資格の通信講座のクレアールが、受験ノウハウ本(市販の書籍)を無料【タダ】でプレゼント中です。独学の地図づくりに役立つので、よければ手元に置いてみてくださいね。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験など、情報処理技術者試験の学習法・過去問解説を中心に発信しています。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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