社労士と宅建の難易度の差は?ダブルライセンスはおすすめ?

社労士と宅建の難易度の差は?

社労士と宅建は、どちらも国家試験の合格者だけに与えられる国家資格です。

2つの資格には、資格保有者しかできない独占業務があります。だからこそ、社会保険労務士(社労士)も宅建士も、根強い人気がありますよね。

ただ、どちらの資格も難易度が高いため、両方に関心のあるあなたは、こんな疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか。

  • 社労士と宅建、どちらの難易度が高いの?
  • ダブルライセンスにメリットや相乗効果はある?
  • そもそも、この組み合わせのダブルライセンスはおすすめ?
  • どちらか一方を取るとすれば、どちらから始めればよい?

先に結論からお伝えします。難易度は社労士のほうがはっきり高く、合格率は社労士が例年5〜7%前後、宅建が15〜18%前後と、数字の上でも差があります。さらに、社労士には学歴や実務などの受験資格があるのに対し、宅建には受験資格がありません。この「受けられるかどうか」の入口の差は、あなたの学習計画にそのまま響いてきます。

一方で、ダブルライセンスとしての相乗効果は「人事労務×不動産」という、少し距離のある分野どうしの組み合わせです。そのため、おすすめかどうかはあなたの目指す方向によって評価が分かれます。

この記事を最後まで読めば、上のような悩みはひととおり解消できるはずです。難易度の差・受験資格の違い・ダブルライセンスの現実を、最新の公表データに注意しながら、あなたの目線で一つずつ整理していきます。

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社会保険労務士(社労士)と宅建士の仕事内容の違い

社会保険労務士(社労士)と宅建士は、どちらも日本を代表する国家資格です。ただ、活躍するフィールドは大きく異なります。社労士は主に企業の人事・労務部門や社労士事務所で、宅建士は不動産会社で力を発揮します。

まずは、この2つの資格で何ができるのか、仕事内容の違いを押さえておきましょう。

  • 社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する書類を作成したり、労務管理についてコンサルティングを行ったりする「人事労務のプロ」
  • 宅建士は、不動産の売買や賃貸物件のあっせんの際に、土地や建物について重要な事項を説明する「不動産取引のプロ」

向いている方向がまったく違うことが、おわかりいただけると思います。この「仕事の方向性の違い」こそ、あとで触れる難易度やダブルライセンスの相乗効果を考えるときの土台になります。

それぞれの資格には、保有者しかできない独占業務があります。具体的に見てみましょう。

<社会保険労務士(社労士)の独占業務>

  • 労働社会保険諸法令に基づいて、申請書などを作成・提出代行する1号業務
  • 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成する2号業務

なお、社労士には人事労務のコンサルティングを行う3号業務もありますが、こちらは独占業務ではありません(社労士でなくても行えます)。独占業務にあたるのは、上の1号・2号業務です。

<宅建士の独占業務>

  • 不動産の取引で、契約前に重要事項を説明する(35条書面=重要事項説明書の交付・説明)
  • 重要事項説明書に宅建士の記名をする
  • 契約書(37条書面)に記名をする

このように、社労士は「人と会社を守る手続き」、宅建士は「不動産取引の安全」を担う専門職です。資格を持つだけでもキャリアアップや独立開業の道が開けますし、宅建士に関しては毎年20万人以上が受験する人気の資格となっています。

社労士と宅建の試験制度・試験科目・受験資格の違い

社会保険労務士(社労士)と宅建士は、仕事内容が違うぶん、試験の中身も大きく異なります。難易度を比べる前に、まずは試験制度そのものの違いを整理しておきましょう。とくに見落としがちなのが、「受験資格の有無」です。

社労士試験の制度と受験資格

社労士試験は例年8月に年1回実施され、選択式択一式の両方が出題されます。出題科目は、労働基準法・労働安全衛生法・健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法など、労働と社会保険に関する法律が中心です。

社労士試験で特に注意したいのが、受験資格が定められている点です。誰でも受けられるわけではなく、おおむね次のいずれかを満たす必要があります(詳細は試験オフィシャルサイトで最新情報をご確認ください)。

  • 学歴(大学・短大・専門学校の卒業など)
  • 実務経験(労働社会保険諸法令に関する事務など一定の年数)
  • 国家資格(行政書士など、所定の資格の保有)

つまり社労士は、「勉強を始める前に、自分が受験資格を満たしているか」を確認するところからスタートになります。これは学習計画を立てるうえで、最初の大切な分かれ道です。

宅建試験の制度と受験資格

一方、宅建士試験(宅地建物取引士資格試験)は、受験資格がありません。学歴や実務経験を問わず、誰でも受験できます。この「受けやすさ」は、社労士との大きな違いです。

試験は例年10月の第3日曜日に年1回実施され、全50問・四肢択一・マークシート方式です。出題は大きく次の4分野に分かれます。

  • 権利関係(民法・借地借家法・区分所有法など)……14問
  • 宅建業法(重要事項の説明や37条書面など)……20問
  • 法令上の制限(都市計画法・建築基準法・国土利用計画法など)……8問
  • 税・その他(税金に関する法律や不動産の評価など)……8問

合格基準は、毎年あらかじめ決まった点数があるわけではなく、その年の受験者全体の出来によって変わる「相対評価」です。年度によって変動しますが、おおむね31〜38点あたりが目安となります(固定の合格点ではない点に注意してください)。

なお、宅建業に従事している方は、登録講習を修了すると問46〜50の5問が免除され、45問で判定される制度(いわゆる5点免除)があります。免除者は合格に必要な点数も別に設定されます。

回答方式にも違いがあります。社労士は選択式と択一式の組み合わせ、宅建はすべて4つの文章から適切なものを選ぶ択一式です。どちらの資格も、テキストを読み込むだけでなく、過去問や問題集で出題傾向と形式に慣れることが合格への近道です。

社労士と宅建の難易度を比較|合格率・勉強時間・受験資格の3つの差

「社労士と宅建、結局どちらが難しいの?」――これがいちばん気になるところですよね。結論はすでにお伝えしたとおり、難易度は社労士のほうが高いです。ただ、ひとことで「難しい」と言っても角度はいくつかあります。ここでは合格率・勉強時間・受験資格の3つの軸で、できるだけ具体的に比べていきます。

① 合格率で比較する(社労士5〜7%前後・宅建15〜18%前後)

まずは合格率です。社労士の合格率は例年5〜7%前後、宅建は例年15〜18%前後で推移しています。数字を取り違えやすいので、社労士=5〜7%・宅建=15〜18%とセットで覚えておきましょう。

社労士試験の近年の合格率は、次のとおりです。

試験年度 受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 34,845人 2,237人 6.4%
令和3年度 37,306人 2,937人 7.9%
令和4年度 40,633人 2,134人 5.3%
令和5年度 42,741人 2,720人 6.4%
令和6年度 43,174人 2,974人 6.9%

合格率が5%台に落ち込む年度もあり、社労士がいかに狭き門かがわかります。

一方、宅建試験の近年の合格率は次のとおりです。

試験年度 受験者数 合格者数 合格率
令和4年度 226,048人 38,525人 17.0%
令和5年度 233,276人 40,025人 17.2%
令和6年度 241,436人 44,992人 18.6%

宅建の合格率は15〜18%台で安定しており、社労士と比べると合格しやすい資格だといえます。なお、合格率はどちらの試験も年度によって変動します。受験を判断する際は、最新の数値を必ず公式(社労士は全国社会保険労務士会連合会・試験オフィシャルサイト、宅建は不動産適正取引推進機構)でご確認ください。

② 勉強時間で比較する

合格までに必要な勉強時間の目安も、社労士のほうが長くなります。

  • 社会保険労務士(社労士)になるには800時間〜1,000時間が目安
  • 宅建士になるには200時間〜400時間が目安

これだけの差が出るのは、社労士のほうが試験範囲が広く、覚える法律の量が多いからです。ただし、勉強時間はあくまで目安で、もともとの知識や学習スタイルによって個人差が大きい点はご了承ください。なお、宅建も決して楽に受かる試験ではありませんので、通信講座や予備校をうまく使って学習を積み重ねていくのが安心です。

③ 受験資格で比較する

意外と見落とされがちなのが、受験資格の差です。前章でも触れたとおり、社労士は学歴・実務・国家資格などの受験資格が必要ですが、宅建には受験資格がありません。

つまり宅建は「思い立ったらすぐ受けられる」のに対し、社労士は「まず受験資格を満たしているかの確認」から始まります。難易度というと合格率や勉強時間に目が行きがちですが、この入口のハードルの差も、あなたの学習計画を左右する大事な要素です。

これらを総合すると、社労士のほうが宅建より難しいというのが、多くのデータが示す結論です。「宅建ガチ勢(本気で挑む層)の割合は?」と気になる方もいますが、宅建は受験層が幅広く、片手間で受ける人もいれば本気で対策する人もいます。一方、社労士は受験資格というフィルターを通った受験者が長時間の学習を重ねて挑むため、母集団の本気度も高い傾向にあります。この受験層の違いも、合格率の差の背景にあると考えておくとよいでしょう。

社労士と宅建のダブルライセンスのメリットと相乗効果の現実

ここからは、社労士と宅建のダブルライセンスにどんなメリットがあるのか、そして気になる「相乗効果」の実際を、正直にお伝えしていきます。

先に大事な前提をひとつ。社労士(人事労務)と宅建(不動産)は、扱う分野がかなり離れています。そのため、「2つ持てば仕事が何倍にもなる」といった直接の相乗効果は、正直なところ限定的です。ネット上では「最強の組み合わせ」と煽る情報も見かけますが、過度な期待は禁物です。とはいえ、組み合わせ方しだいで活きる場面は確実にあります。順番に見ていきましょう。

扱える独占業務の幅が広がる

最もわかりやすいメリットは、扱える独占業務の幅が広がることです。前章で紹介したとおり、社労士には1号・2号業務、宅建士には重要事項説明(35条書面)や契約書面(37条書面)への記名という独占業務があります。両方を持てば、業務の選択肢がそのぶん増えます。

同じ顧客に異なるサポートができる

分野は離れていても、「同じ顧客に対して別の角度から支援できる」場面はあります。たとえば、次のようなケースです。

  • 不動産の売買を仲介しながら、その顧客(経営者など)の労務・社会保険の相談にも乗る
  • 不動産を相続した方に対し、遺族年金など社会保険から受け取れるお金について助言する
  • 不動産投資を考える経営者に、従業員の労働基準法上の課題や手続きについてアドバイスする

顧客の立場からすると、「不動産のことも労務のことも、同じ人にまとめて相談できる」のは安心感につながります。こうした接点を持てる職種の方にとっては、ダブルライセンスが効いてくる場面があるわけです。

勤務でも独立でも、差別化につながる

社労士の資格取得後は、企業に勤める勤務社労士と、事務所を構える開業社労士という働き方があります。どちらの道でも、宅建士の知識を併せ持つことは差別化になります。社内では「不動産にも明るい労務の専門家」として重宝されやすく、独立後も対応できる相談の幅が広がります。

ただし、「ダブルライセンスにすれば年収が必ず上がる」とは言い切れません。収入は働き方・営業力・地域・専門性によって大きく変わり、個人差がとても大きい部分です。あくまで「選択肢と信頼を広げる手段」として捉えるのが現実的です。

取るべきか迷ったら、3つの軸で考える

この組み合わせを目指すか迷ったら、次の3つの軸で自分に当てはめてみてください。

  • 志向:あなたは人事労務に興味があるか、それとも不動産取引に興味があるか
  • 受験資格:社労士の受験資格をクリアできるか(学歴・実務など)
  • 学習時間:合計1,000時間超になりうる学習時間を確保できるか

この3軸で「両方YESに近い」なら、ダブルライセンスは前向きに検討する価値があります。

なお、「社労士と一緒に取るなら何が相性がいいの?」「最強の組み合わせは?」という疑問もよく聞きます。社労士との相乗効果という意味では、書類作成業務が近い行政書士や、年金・保険の知識が活きるFP(ファイナンシャルプランナー)のほうが、宅建よりも相乗効果が大きいといわれます。宅建は「不動産分野にも関わりたい」という明確な志向がある方にとって意味のある組み合わせ、と整理しておくとよいでしょう。

社労士と宅建、どちらの資格を先に取るべき?ダブルライセンスの学習順序

「両方取りたいけれど、どちらから手をつければいいの?」――ダブルライセンスを目指すなら、誰もがぶつかる悩みです。ここでは学習順序の考え方を整理します。

「正解」はない|志向で決めるのが基本

まず押さえておきたいのは、どちらを先に取るべきかに唯一の正解はないということです。「自分がどの分野のプロになりたいか」で決めるのが基本になります。

一般企業で社会保険関係の手続きに関わりたい、または社労士事務所で働きたいなら社労士。不動産業界で活躍したいなら宅建。あなたの志向に近いほうから始めるのが、モチベーションを保つうえでも自然です。

現実的には「宅建→社労士」が多いが、ステップアップ効果は限定的

とはいえ、受験資格と難易度の観点から、現実には「宅建(受験資格なし・短期で狙える)→社労士」という順で進める方が多い傾向にあります。先に宅建で合格体験と学習習慣をつくり、その勢いで社労士に挑むイメージです。

ただし注意したいのは、2つの試験は出題範囲がほとんど重ならない点です。宅建は不動産・民法中心、社労士は労働・社会保険中心なので、「宅建の知識がそのまま社労士に使える」わけではありません。ステップアップとして役立つのは、知識の流用というより「資格試験に合格する学習の型」を身につけられること、と考えておくと過度な期待をせずにすみます。

なお、社労士を起点に行政書士などへ広げてトリプルライセンスを目指す方もいます。その場合も、いきなり3つを同時に狙うのではなく、1つずつ確実に積み上げていくのが現実的です。「ひろゆきさんが食いっぱぐれない資格として◯◯を挙げた」といった話題も見かけますが、資格は他人の評価ではなく、あなたが活かせる分野かどうかで選ぶのが結局いちばんの近道です。

兼業・並行学習の注意点

2つの資格を活かして兼業する、あるいは2つの試験を同時並行で勉強するのは可能ですが、どちらも中途半端になりやすいリスクがあります。とくに学習段階では、まず一方に集中して合格を確実にしてから次へ進むほうが、結果的に近道になることが多いです。

これから学習を始めるなら、自分に合った講座選びも大切です。宅建については宅建の通信講座おすすめ、社労士については社労士合格までのロードマップもあわせて参考にしてみてください。

まとめ|難易度は社労士>宅建・組み合わせは志向で選ぶ

社会保険労務士(社労士)と宅建士の違い、そしてダブルライセンスの現実について、イメージがつかめましたか。最後に要点を整理します。

  • 難易度は社労士>宅建:合格率は社労士が例年5〜7%前後、宅建が15〜18%前後。勉強時間も社労士のほうが長い
  • 受験資格の有無が違う:社労士は学歴・実務などの受験資格が必要、宅建は受験資格なし。学習計画の前提が変わる
  • 相乗効果は限定的だが、志向しだいで有効:人事労務×不動産は分野が離れるため過度な期待は禁物。不動産分野にも関わりたいなら意味のある組み合わせ
  • 数字は年度で変動:合格率・受験料などは必ず公式(社労士=全国社会保険労務士会連合会、宅建=不動産適正取引推進機構)で最新を確認

社労士は労働・社会保険の専門家、宅建士は不動産取引の専門家です。取り扱う分野には違いがありますが、勤務でも独立でも、ダブルライセンスは選択肢を広げる有力な一手になります。まずは自分の志向に近いほうから、一歩を踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験など、情報処理技術者試験の学習法・過去問解説を中心に発信しています。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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