社労士の厚生年金保険法~難易度の高い厚生年金の出題傾向や勉強方法まとめ

社労士の厚生年金保険法

「厚生年金保険法(厚年)って、国民年金とどう違うの?」「年金科目はどうしても得点が伸びない……」――社労士試験の勉強を進めると、多くの受験生がこの厚生年金保険法でつまずきます。

結論から先にお伝えすると、厚年は“難しい科目”というより、国民年金法(国年)とセットで「二階建て」として理解すれば一気に見通しが良くなる科目です。厚生年金は、会社員などが加入する報酬比例の年金(老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金)で、全国民共通の国民年金(基礎年金=1階)の上乗せ(2階)にあたります。

この記事では、まず厚年が難しいと感じる理由を整理し、次に国年との二階建ての全体像・被保険者・標準報酬・頻出論点を、読者であるあなたが「どこから手をつければいいか」が分かる順番で解説します。そして社労士試験ならではの“足切り(基準点)”を踏まえた勉強法まで、傾向と目安としてお伝えします。年金科目で手が止まっているあなたの学習を、いったん整理し直すきっかけにしてください。

なお、保険料率・標準報酬の上限・支給要件といった年度依存の数値や制度は改正されることがあります。本記事の数値はあくまで学習の目安として読み、受験年度に対応した最新のテキストや日本年金機構・厚生労働省などの公式情報で必ず確認してください。

目次

結論|厚生年金保険法は“国年との二階建て”で理解すれば見通せる

最初に、この記事の結論をまとめておきます。年金科目で迷子になっている人ほど、ここを押さえるだけで霧が晴れるはずです。

  • 厚生年金は会社員等の「報酬比例」の年金=国民年金(基礎年金)の上乗せ(2階)。 老齢・障害・遺族のいずれも「基礎年金(1階)+厚生年金(2階)」の二層で考えます。
  • 厚年が難しく感じるのは「国年と切り離して覚えようとする」から。 国年と厚年は支給要件や用語が重なる部分が多く、セットで対比して学ぶのが結局いちばんの近道です。
  • 社労士試験には科目ごとの基準点(足切り)がある。 1科目でも基準点を下回ると、ほかが高得点でも不合格になります。だからこそ、厚年を「捨て科目」にはできません。
  • この記事では、厚年が難しい理由 → 二階建ての全体像 → 被保険者・標準報酬 → 3つの給付 → 足切りを踏まえた勉強法、という順で整理していきます。

「年金は苦手だから後回し」と感じているなら、その感覚こそが落とし穴かもしれません。まずは全体像から、いっしょに見ていきましょう。

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厚生年金保険法とは?|会社員等の“報酬比例”の年金(2階部分)

厚生年金保険は、会社員や公務員などが加入する公的年金(被用者年金)です。お勤め先(適用事業所)を通じて加入し、給与から保険料が天引きされている、あの制度のことですね。

厚生年金保険法が定める保険給付は、大きく次の3本柱で覚えると整理しやすくなります。

  • 老齢厚生年金:一定の要件を満たした人が、原則として年をとったときに受け取る年金。
  • 障害厚生年金:病気やケガで一定の障害(障害等級1級・2級など)の状態になったときの年金。
  • 遺族厚生年金:被保険者などが亡くなったとき、その人に生計を維持されていた遺族が受け取る年金。

この3つに共通するキーワードが「報酬比例」です。報酬比例とは、ざっくり言えば「働いていたときの報酬(給与・賞与)が高く、加入期間が長いほど、年金額も多くなる」という仕組みのこと。全国民が原則として同じ計算式で受け取る国民年金(基礎年金)が“定額ベース”なのに対し、厚生年金は“その人の報酬に比例する”のが大きな特徴です。

なお、試験対策としては条文の細かい番号を丸暗記するより、まず「だれのための、どんな給付の制度か」という骨格を先につかむことをおすすめします。厚生年金保険法の制度の枠組みは、ざっくり次の3点で押さえておくと、細部を学ぶときの「地図」になります。

  • 目的:労働者(被用者)とその遺族の生活の安定と福祉の向上を、報酬比例の年金などで図ること。
  • 保険者(実施主体):政府が保険者となり、一般の会社員等についての実際の事務は日本年金機構が担っています(公務員等は共済組合等を通じて加入する点も、被用者年金一元化の流れとあわせて押さえておきましょう)。
  • 位置づけ:会社員・公務員などを対象とする「被用者年金」であり、全国民共通の国民年金(基礎年金)の上に乗る2階部分。

この3点の骨格が頭に入っていれば、あとから登場する被保険者や標準報酬、各給付の細かい要件も「どの仕組みの話か」を見失わずに位置づけられます。なお細部の数値(保険料率や上限額など)は改正されることがあるため、受験年度の最新情報で確認するようにしてください。

国民年金との“二階建て”の全体像|1階=基礎年金、2階=厚生年金

ここが厚年攻略の最大のポイントです。日本の公的年金は、よく「二階建て」と表現されます。

  • 1階=国民年金(基礎年金):原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる、いわば“土台”の年金。
  • 2階=厚生年金:会社員・公務員など(被用者)が、1階の上に積み上がる形で受け取る“上乗せ”の年金。

つまり会社員の方は、国民年金の被保険者でありながら、同時に厚生年金にも加入している、という二重構造になっています。老齢・障害・遺族のいずれの場面でも、おおまかには「基礎年金(1階)+厚生年金(2階)」をセットで受け取るイメージを持つと、給付の全体像がぐっとつかみやすくなります。ただし後述するように、1階と2階で対象範囲や等級が完全に一致するわけではない点には注意が必要です。

給付の種類 1階:国民年金(基礎年金) 2階:厚生年金
老齢 老齢基礎年金 老齢厚生年金
障害 障害基礎年金 障害厚生年金
遺族 遺族基礎年金 遺族厚生年金

※上記はあくまで二階建ての“対応関係”をつかむためのイメージです。実際には、たとえば障害では基礎年金が1級・2級なのに対し、厚生年金には3級や障害手当金(一時金)まであるなど、1階と2階で対象範囲や等級が完全には一致しません。遺族年金も、基礎年金と厚生年金で受給できる遺族の範囲が異なります。具体的な支給要件・対象者・併給の取り扱いは制度ごとに細かく定められているため、必ず最新の公式情報で確認してください。

ここで意識したいのが、国民年金の被保険者区分です。「1階=20歳以上60歳未満」というイメージは入口としては便利ですが、社労士試験では区分ごとの年齢・対象要件まで問われます。混乱しないよう、1階の“イメージ”と“被保険者区分”は分けて押さえておきましょう。

  • 第1号被保険者:自営業者・学生・無職など。原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が対象。
  • 第2号被保険者:会社員・公務員など、厚生年金(被用者年金)の加入者。第1号のような「20歳以上60歳未満」の年齢枠で区切られない点が要注意で、厚生年金に加入している間が原則として対象になります。
  • 第3号被保険者:第2号に扶養される配偶者など。原則20歳以上60歳未満が対象。

厚生年金に加入している会社員は、この第2号被保険者にあたる――というように、国年の区分と厚年の関係を結びつけて覚えると、両科目の知識が一本の線でつながっていきます。年齢要件や対象範囲の細部は改正・例外があるため、受験年度の最新テキストで必ず確認してください。

国民年金法は、厚生年金保険法と切っても切れない“相方”の科目です。年金科目で得点を安定させたいなら、国民年金法の勉強法もあわせて確認し、1階と2階を行き来しながら学ぶことを強くおすすめします。

厚年の頻出論点①|被保険者・標準報酬月額・標準賞与額

厚生年金保険法を「点が取れる科目」にするための骨組みが、被保険者・標準報酬月額・標準賞与額の3点セットです。ここは出題されやすいうえに、保険料や年金額の計算の土台になる重要論点です。

被保険者(だれが加入するのか)

厚生年金保険の被保険者は、原則として適用事業所に使用される70歳未満の人が対象です(年齢や働き方によって例外があります)。「だれが、どの条件で被保険者になるのか/ならないのか」「資格取得・喪失の決定がいつ行われるのか」は択一式で問われやすいポイントなので、テキストで要件を一つずつ確認しておきましょう。

標準報酬月額(毎月の給与をどう扱うか)

保険料や年金額を計算するとき、毎月の給与そのものではなく、一定の幅で区切った「等級」に当てはめた額=標準報酬月額を使います。給与を等級表に当てはめて事務処理をしやすくする仕組み、とイメージしてください。

標準賞与額(賞与をどう扱うか)

賞与(ボーナス)についても、保険料や給付に反映させるために標準賞与額という考え方を使います。賞与にも一定の上限が設けられている点がポイントです。

参考までに、厚生年金保険の保険料は「標準報酬月額(または標準賞与額)× 保険料率」で計算され、保険料率は2017年(平成29年)9月以降18.3%で固定されており、会社と本人が折半で負担する――というのが現在の基本的な枠組みです(出典:日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)。

ただし、等級区分・標準報酬の上限・保険料率といった数値は改正の対象になりうる論点です。実際、標準報酬月額の上限についても段階的な引き上げが予定されています(厚生労働省「標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」。施行時期・引き上げ額は受験年度の最新情報で確認してください)。つまり「いま覚えた上限額が、受験年度には変わっている」ことが起こり得るわけです。試験対策では、こうした年度依存の数値は「受験年度の最新教材・公式情報で確認する論点」と割り切り、古い数字のまま覚え込まないように注意してください。具体的な上限額や等級の数値は、必ず受験年度に対応した教材や日本年金機構などの公式情報で裏を取りましょう。

なお、ここで出てくる「被保険者」「標準報酬」という考え方は、健康保険法とほぼ共通しています。だからこそ、年金科目だけで孤立して覚えるより、社会保険系の科目をまとめて学ぶほうが効率的です(これは後ほど勉強法のところで詳しくお伝えします)。

厚年の頻出論点②|老齢・障害・遺族厚生年金の支給要件と支給停止

被保険者・標準報酬の“土台”を押さえたら、次は3つの給付(老齢・障害・遺族)を、それぞれ1階の基礎年金とセットで整理していきましょう。

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の“上乗せ”として受け取る年金です。受給するための要件や、働きながら年金を受け取る場合の調整(いわゆる在職老齢年金による支給停止など)が論点になりやすい部分です。「いつから・いくら・どんな条件で受け取れるのか」を、基礎年金の要件と並べて確認しておくと混乱しにくくなります。

障害厚生年金

障害厚生年金は、一定の障害の状態になったときに受け取る年金です。ここで押さえたいのが、障害基礎年金が1級・2級なのに対し、障害厚生年金には3級や、さらに軽い障害に対する障害手当金(一時金)まであるという点です。つまり厚生年金のほうが、より幅広い障害の状態をカバーしています。この「3級・障害手当金は厚年だけ」という違いは択一で問われやすい頻出ポイントなので、障害基礎年金との関係(どの場合に両方を受け取れるのか)とあわせて整理しておきましょう。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、被保険者などが亡くなったとき、その人に生計を維持されていた遺族が受け取る年金です。だれが遺族にあたるのか(配偶者・子などの範囲)、受給権者の順位、支給の要件、請求の方法といった点が頻出論点になります。これらは将来あなた自身や周囲のライフプランにも関わる知識なので、実務をイメージしながら学ぶと記憶に残りやすくなります。

これらの給付には、支給停止・併給調整といった「ほかの年金との重なりをどう調整するか」という論点がつきものです。たとえば「老齢の年金と遺族の年金を同時に受けられるのか」といったテーマは、国年・厚年をまたいで問われます。

こうした横断的な論点は、厚年単体で追いかけるより、科目をまたいで“横串”で整理するほうが定着しやすくなります。年金・社会保険系の論点を一枚絵で把握したいときは、社労士試験の横断整理のコツもあわせて活用してみてください。

なお、支給要件や年金額の細かいルールは改正されることがあります。具体的な金額や要件を答案で断定する前に、必ず受験年度の最新テキストや日本年金機構などの公式情報で裏を取る習慣をつけておきましょう。

厚生年金保険法が「難しい」と感じる3つの理由と対処

「厚年はとにかく難しい」とよく言われますが、難しさには理由があります。理由が分かれば、対処の方向も見えてきます。あくまで傾向・目安としてですが、つまずきやすいポイントを3つに整理してみます。

理由1:国年と論点が重なり、どちらの規定か混乱する

老齢・障害・遺族という給付の枠組みは、国民年金にも厚生年金にもあります。そのため「これは基礎年金の話だっけ、厚生年金の話だっけ?」と混乱しがちです。 → 対処:国年と厚年を“別物”として暗記せず、1階・2階の対比表で覚える。本記事の二階建ての表のように、同じ事由(老齢・障害・遺族)で横に並べて比較すると、どちらの規定かを区別しやすくなります。

理由2:数字や年度依存の改正が多い

保険料率・標準報酬の上限・各種の額など、厚年には数字が多く登場し、しかも改正が入ることがあります。古い数字を覚え込むと、かえって失点の原因になります。 → 対処:年度依存の数値は「最新を確認する論点」と割り切る。暗記対象を絞り、改正点は受験年度の最新教材や公式情報でアップデートします。

理由3:条文・規定が細かく、択一で深く問われる

厚生年金保険法は規定が細かく、択一式で細部まで問われることがあります。条文をやみくもに読み込むと、時間がいくらあっても足りません。 → 対処:過去問で「問われ方のパターン」に慣れる。どの論点がどんな角度で出題されるかを過去問で体感し、頻出テーマから優先的に固めていきます。

ここで強調しておきたいのは、「難しい」と感じても厚年を捨て科目にはできないということです。その理由は、社労士試験の“足切り”の仕組みにあります。次の章で具体的に見ていきましょう。

社労士試験の出題形式と“足切り”|厚年も苦手にできない理由

なぜ厚年を捨てられないのか。その答えは、社労士試験の合格基準の仕組みにあります。ここは厚年に限らず全科目に共通する大前提なので、しっかり押さえておきましょう。

社労士試験は、大きく選択式択一式の2つで構成されます。原則的な枠組みは次のとおりです。

試験形式 科目数 配点 各科目の基準点(足切り)
選択式 8科目 各科目5点満点 原則として各科目3点以上
択一式 7科目 各科目10点満点 原則として各科目4点以上

※上記は原則的な基準です。年度によっては、難易度に応じて一部科目の基準点が引き下げられる(救済される)ことがあります。各回の正式な合格基準は社会保険労務士試験オフィシャルサイトや厚生労働省の発表で確認してください。

ここで最も大切なのは、合格には「総得点の合格基準点」と「各科目の基準点」の両方を満たす必要があるということです。つまり、1科目でも基準点を下回ると、ほかの科目がどれだけ高得点でも不合格になります。これが、社労士試験で「苦手科目を作れない」と言われる理由です。

厚生年金保険法も、当然この“足切り”の対象です。具体的には、選択式では1科目(5点満点)として、択一式でも独立した1科目(原則10問・10点満点)として出題されるのが基本的な枠組みです。年金科目(国年・厚年)はボリュームが大きく、択一でも細部まで問われやすいため、配点以上に「学習時間あたりの重み」が大きい科目だと考えておくとよいでしょう。

「年金は苦手だから捨てて、ほかでカバーしよう」という戦略は、社労士試験では通用しません。満点を狙う必要はありませんが、少なくとも各科目の基準点は確実に超える――この発想が、厚年を含むすべての科目の勉強の土台になります。

ここで大切なのは、厚年を「気合いで全部覚える科目」と捉えないことです。足切りという仕組みがある以上、必要なのは“満点”ではなく“基準点を確実に超える得点の取り方を仕組みにする”こと。出題形式と配点を先に理解しておくと、「どこまで深追いし、どこで割り切るか」という勉強の設計がしやすくなります。

ちなみに、社労士試験は合格率の低い難関資格としても知られています。直近の第57回(2025年・令和7年度)試験の合格率は約5.5%程度でした(厚生労働省・社会保険労務士試験オフィシャルサイトの発表に基づく/2026年6月時点で確認)。合格率は年度によって変動するため、あくまで目安として捉えてください。いずれにせよ、苦手科目で足を引っ張られない学習設計が、合格への近道になります。

厚生年金保険法のおすすめ勉強法|国年とセット・過去問・横断整理

ここまでを踏まえて、厚生年金保険法の具体的な勉強の進め方を、ステップで整理します。ポイントは、厚年を「根性で丸暗記する科目」ではなく、国年とセットで構造を理解し、過去問起点で“出るところ”に学習を集中させる仕組みを作る科目として捉え直すことです。「どこから手をつければいいか分からない」という人は、この順番を一つの目安にしてみてください(学習の進め方には個人差があります)。

STEP1:国年を先に(または同時に)固める

繰り返しになりますが、厚年は国年の“2階部分”です。1階の土台があやふやなまま2階だけ覚えようとすると、必ず混乱します。まずは国民年金法をある程度固め、その上に厚生年金を「上乗せ」として接続していくのが効率的です。

STEP2:被保険者・標準報酬・3つの給付を骨組みにする

いきなり細部に入らず、「だれが加入し(被保険者)、何をもとに保険料・年金額を計算し(標準報酬・標準賞与額)、どんな給付があるか(老齢・障害・遺族)」という骨組みをテキストで通読します。骨組みができてから細部を肉付けすると、知識が定着しやすくなります。

STEP3:過去問で“問われ方”を体感し、改正点を補正する

厚年は択一で細かく問われます。過去問を解きながら、どの論点がどんな角度で出るのかを体感しましょう。やみくもにテキストを読み込むのではなく、「過去問で問われた論点」から逆算してテキストに戻るという回し方にすると、限られた時間で“出るところ”に学習を集中させる仕組みができます。そのうえで、保険料率や上限額などの年度依存の数値は、最新の情報でアップデートしておきます。

STEP4:経過措置・改正点は「深追いしすぎない」ルールを決めておく

厚生年金保険法には、制度改正の名残である経過措置が数多くあります。生年月日による特別支給の老齢厚生年金の扱いなどが代表例で、ここに深入りすると時間をいくらでも吸い取られてしまいます。

ここでも効くのが「仕組みで割り切る」発想です。経過措置はすべてを完璧に覚えようとせず、過去問で実際に問われた頻出箇所・受験年度の改正点・テキストが太字や囲みで強調している箇所を優先する、と自分の中でルールを決めておきましょう。出題のされ方を起点に「どこまで追うか」を線引きしておくことが、年金科目で時間を溶かさないコツです。

STEP5:健保・社一など社会保険系科目と横断整理する

被保険者・標準報酬の考え方は健康保険法と共通し、社会保険全体の動向は社会保険に関する一般常識(社一)にもつながります。社会保険系をまとめて学ぶと、厚年単体で覚えるより記憶が定着しやすくなります。

独学で年金科目の「二階建て」がどうしても頭に入ってこない――そんなときは、講座の年金科目の講義で全体像を映像で理解するのも有効な選択肢です。年金は図解と語り口で理解度が大きく変わる分野なので、自分に合った教材を選ぶことが、結果的に時間の節約につながります。

勉強法そのものを体系的に見直したい方は社労士試験の勉強法まとめを、学習全体のロードマップを確認したい方は社労士試験の全体ガイドを、講座選びで迷っている方は社労士講座のおすすめ比較を、あわせてご覧ください。

厚年と関連する科目|国年・健保・社会保険一般常識との関係

厚生年金保険法は、ほかの社会保険系科目と密接につながっています。「厚年だけ」を孤立して勉強するより、関連科目とセットで学ぶほうが、結果的に効率が上がります。とくに関係が深いのが次の3科目です。

  • 国民年金法(国年):厚年と“二階建て”の関係。最優先でセット学習したい相方の科目です。1階と2階を行き来しながら学ぶことで、給付の全体像が立体的に見えてきます。→国民年金法の勉強法
  • 健康保険法(健保):被保険者・標準報酬月額・標準賞与額といった考え方が厚年と共通します。仕組みが似ている分、横断で学ぶと両方の理解が深まります。→健康保険法の勉強法
  • 社会保険に関する一般常識(社一):社会保険全体の枠組みや最新の動向を扱う科目です。年金・医療を含む社会保険の“地図”を押さえる役割を担います。→社会保険に関する一般常識の勉強法

これらの科目は、用語も制度の趣旨も重なる部分が多くあります。バラバラに暗記するのではなく、「社会保険というひとつの大きな仕組みの中で、それぞれがどう役割分担しているか」という視点で学ぶと、記憶が定着しやすく、横断問題にも強くなります。

まとめ|厚生年金保険法は“国年との二階建て”で攻略する

最後に、この記事のポイントを振り返ります。

  • 厚生年金は会社員等の報酬比例の年金(2階部分)で、国民年金(基礎年金=1階)の上乗せ。まずはこの二階建ての全体像を固めることが、厚年攻略の出発点です。
  • 学習の骨組みは、被保険者 → 標準報酬月額・標準賞与額 → 3つの給付(老齢・障害・遺族)。骨組みをテキストで通読してから、過去問で肉付けしていきましょう。
  • 社労士試験には科目ごとの基準点(足切り)があり、1科目でも下回ると不合格。だからこそ厚年も苦手のまま放置できません。
  • 保険料率・標準報酬の上限・支給要件といった年度依存の数値や制度は改正されることがあるため、断定する前に必ず最新の公式情報(日本年金機構・厚生労働省・社会保険労務士試験オフィシャルサイト等)で確認しましょう。

年金科目は、一度「二階建て」の地図が頭に入ると、苦手意識がぐっと軽くなる分野です。国年とセットで学び、過去問で問われ方に慣れ、社会保険系の科目と横串で整理する――この王道を一歩ずつ進めば、厚生年金保険法はきっと“得点源”に変わっていきます。あなたの合格を、心から応援しています。

なお、勉強法や学習計画の全体像は社労士試験の勉強法まとめ社労士試験の全体ガイドでも整理しています。あわせて活用してください。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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