RNNとは?再帰型ニューラルネットワークをわかりやすく解説

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)とは・前の情報を引き継ぎながら、順番のあるデータを処理する仕組み
目次

この記事でわかること

「AIの解説を読んでいたら、RNNという言葉が出てきた。CNNと一文字違いだが、何が違うのか」。そんな疑問を持って検索してきた方に向けて、この記事を書いています。

この記事では、RNN(再帰型ニューラルネットワーク)とは何かを、数式や専門用語を使わずに整理します。技術者向けの実装の話ではなく、「どんな仕組みで、どんな仕事に使われてきた技術なのか」を、経営や実務の目線で理解することを目指します。

この記事で扱う主な内容は、次のとおりです。

  • RNNとは何か(順番のあるデータが得意な、ニューラルネットワークの一種)
  • RNNの仕組み(前の情報を引き継ぎながら処理する再帰構造を、数式なしのイメージで)
  • RNNの限界と、改良版として知られるLSTM
  • CNNやTransformerとの違い(似た文脈で出てくる用語との関係を表で整理)

土台になっているニューラルネットワークの考え方を先に押さえたい場合は、ニューラルネットワークとはもあわせて読むと、RNNの位置づけがつかみやすくなります。

RNNとは

RNNとは、Recurrent Neural Network(再帰型ニューラルネットワーク)の略で、文章・音声・売上の推移のような「順番に意味があるデータ」を扱うことが得意な、ニューラルネットワークの一種です。日本語では再帰型ニューラルネットワークという訳語が使われるほか、カタカナのままリカレントニューラルネットワークと呼ばれることもあります。どちらも同じものを指します。

人間の脳の神経回路をまねた計算の仕組み(ニューラルネットワーク)に、「前に処理した情報を覚えておいて、次の処理に引き継ぐ」という工夫を組み込んだものがRNNだ、と押さえておけば、まず十分です。

文章は、単語の順番が変わると意味が変わります。売上データも、先月からの流れの中で今月の数字に意味が生まれます。こうした「順番」や「流れ」を手がかりとして使えるようにした仕組みがRNNです。

結論=RNNは「前の情報を引き継ぎながら、順番のあるデータを処理する仕組み」

結論から言うと、RNNとは、データを先頭から順番に読みながら、「ここまでに読んだ内容の要約」を内部に持ち続け、それを次の処理に引き継いでいく仕組みです。

一つ前までの情報を引き継ぐ構造を持っているため、文章のように長さが決まっていないデータや、時間の流れに沿って並んだデータを、流れを踏まえて処理できます。この「処理の結果や内部の状態を、もう一度自分の入力側に戻す」構造が、「再帰型」という名前の由来です。

一方で、順番に一つずつ処理していく性質上、長いデータでは最初のほうの情報が薄れやすいという弱点も知られており、それを補う改良版としてLSTMなどが登場しました。さらに、現在の生成AIの主流は、Transformerとはで解説している別の仕組みに移っています。それでもRNNは、「順番のあるデータをAIでどう扱うか」という考え方の基礎として、いまも学ぶ価値のある技術です。

RNNとは わかりやすく(引き継ぎノートのたとえ)

もう少しイメージしやすく説明します。RNNの働きは、引き継ぎノートで仕事をつなぐ店舗のスタッフにたとえると分かりやすいです。

朝番のスタッフは、接客をしながら「常連のお客様が来店、商品の取り置きを依頼された」と、ノートに要点を書き残します。昼番のスタッフは、そのノートを読んでから仕事を始めるので、お客様が受け取りに来たときに、初めて聞く話のように対応せずに済みます。そして、自分の時間帯の出来事を書き足して、次の夜番へ渡します。

RNNがやっていることは、おおむねこの流れです。データを一つ読むたびに「ここまでの要点のメモ」を更新し、そのメモを持ったまま次のデータを読む。文章なら一語ずつ、売上なら一日分ずつ読み進めながら、過去の流れを踏まえて次の判断をします。

ただし、このノートに書ける量には限りがあります。引き継ぎを何日も重ねるうちに、古い情報ほど上書きされて薄れていく。実は、このたとえ話の弱点がそのまま、後で説明するRNNの弱点に対応しています。

RNNの仕組み(前の状態を引き継ぐ再帰構造)

仕組みを、もう一歩だけ踏み込んで説明します。といっても、数式は使いません。

典型的な順伝播型ニューラルネットワーク(入力から出力へ一方向に情報が流れるタイプ)は、入力を受け取って出力を返すと、そこで処理がいったん完結します。前回の入力が何だったかは覚えていません。「その都度の一問一答」に近い動き方です。

これに対して典型的なRNNは、入力を処理するたびに「隠れ状態」と呼ばれる内部のメモを更新し、それを次の入力の処理に持ち越します。先ほどのたとえで言えば、この隠れ状態が引き継ぎノートにあたります。処理の流れは次のとおりです。

  • データを先頭から一つずつ読み込む(文章なら単語ごと、時系列なら時点ごと)
  • 読み込んだ内容と、前回までのメモ(隠れ状態)を合わせて処理する
  • メモを更新し、次のデータの処理に引き継ぐ

この繰り返しによって、「少し前に何があったか」を踏まえた出力ができます。また、同じ処理のかたまりをデータの順番に沿って何度も使い回すため、長さの決まっていないデータも扱いやすいという特徴があります。

RNNの限界と、改良版のLSTM

RNNの考え方は自然ですが、弱点も知られています。代表的なものを二つ挙げます。

一つ目は、長いデータで昔の情報が薄れやすいことです。メモ(隠れ状態)を何度も更新するうちに、最初のほうの内容の影響が小さくなり、離れた場所どうしの関係をうまく学べないことがあります。このたとえは結果のイメージであり、学習のうえでは、長い系列をさかのぼって伝わる学習の信号が小さくなっていく問題(専門的には勾配消失などと呼ばれます)が関係しています。まずは「引き継ぎを重ねるほど、古い話は伝わりにくくなる」というイメージで十分です。

二つ目は、順番に一つずつ処理する構造のため、長いデータの学習に時間がかかりやすいことです。前の処理が終わらないと次に進めないので、まとめて並行処理する形には向きにくい構造です。

一つ目の弱点を和らげる改良版として登場したのが、LSTMと呼ばれる仕組みです(GRUという類似の仕組みもあります)。情報を「覚えておく・忘れる」の調整を工夫することで、長いデータの依存関係を扱いやすくしました。LSTMの中身については、別の記事であらためて解説する予定です。

さらにその後、Transformerとはで解説する仕組みが登場し、文章を扱うAIの主流はそちらに移っていきました。Transformerは、自己注意と呼ばれる仕組みにより、参照できる範囲の各位置の関係を直接捉えやすく、学習時の並列処理とも相性がよい構造です。ただし、GPT系の文章生成では、次のトークン(単語などの単位)を一つずつ生成します。ChatGPTに代表される現在の生成AIの土台も、Transformer系の仕組みです。なお、どの仕組みを選ぶかは用途やデータの性質によって変わるものであり、時系列データの分野などでRNN系の仕組みが選択肢になる場面もあります。

RNNの活用例

RNNが得意としてきたのは、「順番に意味があるデータ」の処理です。代表的な活用分野を挙げます。

  • 文章の解析・生成:単語の並びを読み取って、文の分類や続きの予測などに使われてきました。
  • 機械翻訳:文を順に読み取り、別の言語に置き換える処理で広く使われてきた分野です。
  • 音声認識:音の並びを文字に変換する処理は、順番が意味を持つデータの代表例です。
  • 時系列データの予測:売上・受注・電力使用量・センサーの値など、時間に沿って並ぶ数値の流れから、先の動きを予測する用途です。

なお、文章や翻訳の分野では、現在はTransformer系の仕組みが主流とされています。一方で、時系列予測の分野では、RNN系の仕組みは今も選択肢の一つです。中小企業の実務との接点として身近なのは、売上や受注の推移といった時系列データの活用でしょう。

RNNとCNN・Transformerの違い

RNNを調べていると、CNNという一文字違いの言葉や、生成AIの文脈でよく出てくるTransformerとの関係が気になってきます。いずれも、ニューラルネットワークという共通の土台の上に発展した仕組みで、得意分野が異なります。表で整理します。

名前 得意なデータ 主な用途のイメージ
ニューラルネットワーク 数値データ全般 すべての土台になる基本の仕組み
CNN(畳み込みニューラルネットワーク) 画像などの空間的なデータ 画像認識(検品・顔認証など)
RNN(再帰型ニューラルネットワーク) 時系列・順番のあるデータ 音声・文章・時系列予測など
Transformer 文章などの系列データ全般 生成AI(ChatGPTなど)の土台

※表は主な得意分野の目安です。実際には用途が重なることや、複数の仕組みを組み合わせて使うこともあります。

CNNとの違いは、対象とするデータの性質です。CNNは画像のように「空間的な広がり」を持つデータから特徴を捉えることが得意で、RNNは「時間や順番の流れ」を持つデータが得意、という関係です。詳しくはCNNとは(畳み込みニューラルネットワーク)で解説しています。

Transformerとの違いは、データの処理のしかたです。RNNが前の隠れ状態を受け渡しながら系列を順に処理するのに対し、Transformerは自己注意という仕組みにより、参照できる範囲の各位置の関係を直接捉えやすい構造です。この構造は学習時の並列処理と相性がよく、大規模な生成AIの土台として広く使われるようになった背景の一つとされています。ただし、GPT系の文章生成では、次のトークンを一つずつ生成します。

経営者として、どこまで知っておけばよいか

正直に言えば、経営者がRNNの計算の中身を理解する必要はありません。再帰構造の詳細を覚えても、日々の経営判断が変わるわけではないからです。

押さえておくと役立つのは、次の二点です。一つは、「RNNは順番のあるデータを扱うAIの基礎で、RNN系の仕組みは売上予測や需要予測といった時系列予測の選択肢の一つになっている」ということ。もう一つは、「文章系のAIは現在Transformer系が主流とされており、RNNという言葉自体は資格学習や解説記事で出会うことが多い」ということです。生成AIパスポートなどの資格学習でも、RNNはCNNやLSTMと並ぶ基本用語として登場します。

実際に、売上予測など時系列データでのAI活用を検討する場面では、次の5点を確認しておくと、判断を誤りにくくなります。

  • どの業務課題を解決するのか(在庫の削減か、人員配置か、資金繰りの見通しか)と、何をもって成功とするかの基準
  • 過去のデータがどれだけ整理されて残っているか(期間・粒度・抜けの有無)
  • 予測の当たり外れをどう評価するか(外れたときの影響が大きい場面はどこか)
  • AIの予測を人がどう確認し、最終判断を誰が持つか
  • 導入後にデータを更新し続ける運用体制と、費用対効果

道具の名前がRNNかどうかは、実は経営者にとって重要ではありません。「過去の流れから先を読む仕組みに、自社のどのデータを載せるか」。この問いに答えられることのほうが、はるかに大切です。

売上予測の相談で、私が最初に確認していること

顧問先の経営者から、「過去の売上データをAIに学習させて、来月の売上を予測できませんか」と相談されることがあります。

そのとき私は、予測モデルやAIツールの比較には入りません。最初に、こう質問します。

「その予測結果を使って、何を決めたいのでしょうか」

来月の資金繰りの確認なのか、仕入量なのか、人員配置なのか。目的によって、必要な精度も予測期間も、外れたときの影響もまったく変わるからです。

次に確認するのは、予測する数字の中身です。「売上を予測したい」と言われても、実際に効くのは、問い合わせ件数・受注率・平均単価のように分解した数字であることが多いのです。

売上が減る予測が出たとき、問い合わせが減るのか、受注率が下がるのか、単価が下がるのかで、打つ手は変わります。分解できていれば、予測が行動につながります。

データの確認では、「何年分あるか」より「同じ条件で記録されているか」を見ます。

途中で売上の計上基準が入金時から納品時に変わっていたり、商品分類を変えていたりすると、同じ月次売上でも意味が違ってしまうからです。長い期間のばらばらなデータより、短くても同じ基準で続いた記録のほうが役に立ちます。

もうひとつの落とし穴が、特殊要因です。一度だけの大口受注をそのまま学習させると、AIはそれを通常の成長と受け取って、翌年の予測を過大に見積もることがあります。

異常な数字は消すのではなく、「なぜ起きたのか」「今後も繰り返すのか」を現場に確認してから扱いを決めます。数字の動きの理由を知っているのは、AIではなく現場の人だからです。

そして経営者には、予測は未来を確定する数字ではないことを先にお伝えします。

「現在までの条件が大きく変わらない場合に、どの程度になりそうかを示す参考値です」

だから、一つの予測値で仕入れや借入を決めるのではなく、標準・好調・不調の複数シナリオで考え、外れても耐えられる余裕を持たせるよう勧めています。

最初の試行も、複雑なAIからは始めません。前年同月・直近3か月の平均・現場担当者の見立てといった単純な方法と並べて記録し、AIが明確に上回るかを確かめます。

大きな差がなければ、複雑な仕組みは要りません。逆にAIと現場の見立てが大きくずれたら、その理由を確認します。AIが知らない大口案件を現場だけが知っていることもあれば、現場が楽観的すぎることもある。この比較自体が、経営の気づきになります。

私が経営者にお伝えしているのは、売上を「当てること」だけを目的にしない、ということです。

早めに変化に気づき、次の行動を決めるために予測を使う。この目的が定まれば、必要なデータも、予測のやり方も、人がどこを確認すべきかも、自然に決まっていきます。

RNNについてよくある質問

RNNとは何の略ですか?

Recurrent Neural Network(再帰型ニューラルネットワーク)の略です。前に処理した情報を内部に引き継ぎながら、文章や時系列のような順番のあるデータを処理することが得意な、ニューラルネットワークの一種です。リカレントニューラルネットワークと呼ばれることもあります。

CNNとRNNの違いは何ですか?

得意とするデータの性質が違います。CNN(畳み込みニューラルネットワーク)は画像のような空間的なデータから特徴を捉えることが得意で、RNNは文章や時系列のような順番のあるデータの処理が得意です。共通の土台であるニューラルネットワークから、それぞれ別の方向に発展した仕組みです。

TransformerとRNNの違いは何ですか?

データの処理のしかたが違います。RNNが前の隠れ状態を受け渡しながら系列を順に処理するのに対し、Transformerは自己注意により、参照できる範囲の各位置の関係を直接捉えやすく、学習時の並列処理とも相性がよい構造です。ただし、GPT系の文章生成では、次のトークンを一つずつ生成します。現在の生成AIの多くは、Transformer系の仕組みを土台にしています。

RNNは今も使われていますか?

文章や翻訳の分野では、現在はTransformer系の仕組みが主流とされています。一方で、時系列データの予測などでRNN系の仕組みが選択肢になる場面もあります。また、「順番のあるデータをどう扱うか」という基礎概念として、AIを学ぶうえで今も重要な用語です。

関連記事と「AI戦略」に関するご案内

RNNとは、前の情報を引き継ぎながら、順番のあるデータを処理する再帰型のニューラルネットワークです。仕組みの細部よりも、「順番や流れに意味があるデータを扱うAIの基礎」という位置づけと、「RNN系の仕組みが売上予測などの時系列予測の選択肢の一つになっている」ことを押さえておけば十分です。

土台となる考え方はニューラルネットワークとはで、画像が得意な兄弟分はCNNとは(畳み込みニューラルネットワーク)で、現在の生成AIの主流の仕組みはTransformerとはで、それぞれ整理しています。

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確認日:2026年7月25日(RNN・再帰型ニューラルネットワークに関する各社の公開情報を参照)

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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