AI推進担当者は誰にする?|中小企業の人選基準と兼任体制の作り方

AI推進担当者は誰にする・人選基準と兼任体制(担当者を孤立させず経営者が権限と時間を渡す)
目次

この記事でわかること

「AIを使いたいけれど、誰を担当にすればいいのか」。そんな迷いが出てきたら、ツール選びより先に社内の推進体制を考えるタイミングです。

この記事では、AI推進担当者を誰にするか、どんな役割を任せるか、経営者がどう支えるかを整理します。あなたの会社で専任者を置けない場合でも、兼任で始める現実的な形まで落とし込みます。

主に扱うのは、次の5点です。

  • AI推進担当者の役割と、社内での位置づけ
  • 「パソコンに詳しい人へ丸投げ」が止まりやすい理由
  • 技術力より大事な3つの人選基準
  • 経営スポンサー、推進リーダー、現場メンバーの兼任体制
  • 担当者を孤立させないための時間・権限・評価の設計

AI活用のテーマ選びがまだ曖昧な場合は、先に中小企業がAI活用で最初にやるべきことを読んでおくと、人選の前提が揃いやすくなります。

AI推進担当者とは|AIと現場をつなぐ「橋渡し役」

AIを社内に入れるとき、最初に起きるのは「便利そうだが、何に使うのかが曖昧」という状態です。あなたが経営者として見ている課題と、現場が毎日感じている手間の間には、意外と距離があります。

AI推進担当者は、その距離をつなぐ役割です。生成AIやAIツールの使い方を調べるだけでなく、現場の業務、社内ルール、経営の優先順位をつなぎ直します。

一言でいえば、AI推進担当者は「AIと現場の橋渡し役」です。社内の困りごとを拾い、試すテーマを決め、小さな成功例を共有し、安全な使い方を守る存在だと考えると腹落ちしやすいです。

ここで大事なのは、「AIに一番詳しい人」ではなく「業務が動く形に翻訳できる人」を置くことです。技術の専門家というより、現場と言葉が通じ、社長とも会話できる社内の調整役に近い役割です。

なぜ「詳しい人に丸投げ」が失敗するのか

AI導入でよくあるのが、「パソコンに詳しい若手に任せよう」という判断です。入り口としては自然ですが、担当者に時間も権限も渡さないまま任せると、社内展開は止まりやすくなります。

本人の能力が足りないという話ではありません。あなたの会社の中で、誰が優先順位を決めるのか、どこまで変えてよいのか、失敗しても試せるのかが曖昧なままだと、担当者は動きにくくなります。

「通常業務もあるのに、どこまで自分が決めていいのだろう」。担当者の内側では、こんな迷いが起きます。結果として、個人で少し試して終わる、勉強会だけ開いて終わる、ツールの契約だけ残る、という形になりがちです。

中小企業診断士として企業の相談に対応していると、デジタル化やAI導入で繰り返し見かけるつまずきがあります。

それは、「パソコンに詳しそうだから」という理由で若手社員を担当者に任命し、その後の推進をほぼ一人に任せてしまうケースです。

担当者は、通常業務を抱えたまま、AIツールの調査、社内での活用方法の検討、試行、マニュアル作成、他の社員への説明まで求められます。

しかし、AI導入のための時間が正式に確保されているわけではなく、予算を決める権限や、他部署へ協力を求める権限もありません。

例えば、営業部門でAIを試したくても、顧客情報を扱ってよいか判断できない。新しいツールを契約したくても、費用の承認を得る方法が分からない。

他の社員に試してもらいたくても、「通常業務を優先してほしい」と断られてしまう。このような状態では、担当者が意欲的でもプロジェクトは進みません。

やがて担当者は、一人でツールを試し、資料を作り、周囲に利用を呼びかけるようになります。

しかし、経営者や管理職が判断に参加していないため、質問や反対意見が出ても、その場で方針を決められません。

その結果、最初は期待されていたAI活用が、いつの間にか「若手社員の個人的な研究」のような扱いになり、通常業務が忙しくなると止まってしまいます。

このとき、担当者の能力や積極性だけを問題にしてはいけません。多くの場合、不足しているのは次のような推進体制です。

  • 経営者や管理職による明確な目的の提示
  • AI活用に使ってよい業務時間
  • 必要な情報やシステムへアクセスする権限
  • ツール契約や試行に使える予算
  • 問題が起きたときに判断する責任者
  • 他部署へ協力を依頼できる正式な位置づけ

担当者を決めるだけでは、AI導入の体制を作ったことにはなりません。

推進担当者には、調査や試行を任せることができます。しかし、対象業務の選定、予算、情報管理、部門間の調整、導入の継続・中止といった判断は、経営者や管理職が担う必要があります。

AI導入が停滞したとき、「担当者が使いこなせなかった」と結論づけるのは簡単です。

しかし実際には、時間も権限も与えず、判断も支援もしないまま一人に任せたことが原因になっている場合があります。

若手社員を孤立させず、経営者が目的と権限を示し、現場が試行に参加できる体制を作る。AI活用を個人の努力ではなく、会社の取り組みに変えることが、最初に必要です。

特に中小企業では、AI推進担当者が本業と兼任になるケースが多いです。だからこそ、担当者を決めるだけではなく、社長が何を任せ、何を任せないかを決めておく必要があります。

社内で使ってよい情報、入力してはいけない情報、承認が必要な業務などは、担当者だけで判断させないほうが安全です。AI利用ルールの考え方は、AIを社内で安全に使うためのルールで整理しています。

AI推進担当者の3つの仕事

AI推進担当者の仕事は、大きく3つに分けると整理しやすくなります。あなたの会社で人選するときも、「この3つを一人で抱えさせるのか、周囲で分担するのか」を見てください。

仕事 具体的にやること 成果の目安
①使い方と成功例を社内に広める 生成AIの基本操作を伝える。議事録、メール文案、資料下書きなど、身近な活用例を共有する。 「自分の業務でも試せそう」と感じる人が増える。小さな成功例が社内で共有される。
②現場の困りごとを拾って改善する 各部門の手間、二重入力、文書作成、問い合わせ対応などを聞き取り、AIで試すテーマに変える。 現場の課題が見える化され、改善テーマが1つずつ進む。作業時間や確認回数の変化を見られる。
③ルールと安全を守る番人役 入力してよい情報、使ってよいツール、最終確認者、社外提出前の承認などを運用する。 個人情報や機密情報の扱いが曖昧にならず、安心して試せる範囲が明確になる。

この3つは、どれか1つだけでは足りません。使い方だけ広めると業務改善につながりにくく、ルールだけ整えると現場が動きにくくなります。

なお、生成AIの出力には誤りが混ざることがあり、個別の経営判断や法務判断の代わりにはなりません。そのため、AI推進担当者は「AIに任せる人」ではなく「人が確認する流れを設計する人」と考えるのが現実的です。

担当者が着任した直後は、いきなり全部を動かそうとせず、最初の1か月を助走期間と考えると失速しにくくなります。

目安は、次の4ステップです。

  1. 1週目|各部門をまわり、業務の困りごとを聞く
  2. 2週目|試す業務を1つだけ選ぶ
  3. 3〜4週目|小さく試して、結果を記録する
  4. 月末|経営会議で、わかったことを共有する

最初の月から大きな成果を出す必要はありません。困りごとを1つ選び、試して、共有する流れを一度回すことが、次の一歩につながります。

誰を選ぶか|技術力より大事な3つの適性

「AIに詳しい人がいないから、うちはまだ無理かもしれない」。そう感じる経営者は少なくありません。ただ、AI推進担当者に最初から高度な技術力を求める必要はありません。

大事なのは、業務を知っていること、人を巻き込めること、新しいものを面白がれることです。あなたが候補者を見るときは、この3つの適性で考えると判断しやすくなります。

1. 業務をよく知っている

AIは、業務の流れが見えていないと効果的に使いにくい道具です。顧客対応、見積作成、請求、在庫確認、採用、教育など、どこに手間があるかを知っている人ほど、改善テーマを見つけやすくなります。

顧客、競合、自社の強みを日常業務の中で理解している人も向いています。たとえば営業事務、総務、店長、現場リーダーなどは、複数部門の困りごとを知っていることがあります。

2. 人を巻き込める

AI推進は、個人のスキルアップだけでは社内に広がりません。現場の人が「それなら少し試してみよう」と思えるように、相手の不安を聞きながら進められる人が向いています。

特に中小企業では、役職よりも信頼関係が動きを左右します。社内で相談されやすい人、説明が押しつけにならない人、失敗を責めずに振り返れる人は、推進リーダーとして機能しやすいです。

3. 新しいものを面白がれる

AIツールは変化が速く、最初から完璧な使い方を決めにくい領域です。だからこそ、少し試して、うまくいった点とうまくいかなかった点を整理できる姿勢が大事です。

ただし、「新しいものが好き」だけでは足りません。面白がりながらも、会社の目的、顧客への影響、社内ルールを意識できる人が望ましいです。

若手のITに詳しい人が、いつも適任とは限らない

若手でITに詳しい人は、ツールの操作を覚えるのが早いことがあります。けれど、業務理解や社内の信頼がまだ十分でない場合、改善テーマを選べなかったり、他部門を動かせなかったりします。

この場合は、若手を外すのではなく、業務に詳しい上司や経営者と組ませるのが現実的です。技術に強い人と、業務を知る人を分けて考えると、人選の幅が広がります。

中小企業の現実解|専任ではなく「兼任3役」で始める

中小企業でAI専任部署をいきなり作るのは、負担が大きくなりがちです。あなたの会社では、まず「経営スポンサー」「推進リーダー」「現場メンバー」の3役を兼任で置く形が現実的です。

役割 担うこと 目安の人
経営スポンサー(社長) 目的を決める。優先順位、時間、権限、評価を整える。社内に「試してよい」という空気をつくる。 社長、役員、事業責任者
推進リーダー 試す業務を選ぶ。使い方を共有する。成功例と課題を集める。ルール運用を現場に落とす。 総務、営業事務、管理部門、現場リーダー、店長
現場メンバー 困りごとを出す。実際に試す。使いにくい点を戻す。 各部門から1名、または兼任できる実務担当者

従業員10人前後なら、社長が経営スポンサーと推進リーダーを兼ね、現場メンバーを1〜2名決める形で十分に始められます。小さな会社では「社長+AI」という体制も、無理のない選択肢です。

従業員30人前後なら、社長はスポンサーに徹し、管理部門や営業企画に近い人を推進リーダーに置くと回しやすくなります。製造、営業、事務などから各1名ずつ現場メンバーを決めると、全社展開の前に部門ごとの違いが見えます。

自社メディアのAI運用では、経営者である私自身が推進役を務めています。

小さな会社では、AI推進の専任部署や複数人のプロジェクトチームを作ることが難しい場合があります。

そこで、自社では、経営者が目的と判断基準を決め、AIに実作業の一部を担当させる「社長+AI」という体制を採っています。

ただし、社長がAIへその都度思いつきで指示し、すべてを任せているわけではありません。AIに許可する業務と、人間の承認が必要な業務を権限設計として明文化しています

AIに任せているのは、主に次のような業務です。

  • 既存記事や管理データの読み取り
  • 記事構成や原稿の下書き
  • リライト候補や関連記事の整理
  • 誤字脱字、表記揺れ、確認事項のチェック
  • 内部リンクや修正箇所の候補提示
  • SNS投稿文や動画用原稿への展開
  • 作業結果や変更予定箇所の一覧化

一方、次の操作には人間の承認を必要としています。

  • 記事の公開や更新
  • 既存記事の削除、非公開、noindex
  • URLやカテゴリ構造の変更
  • WordPressの設定変更
  • プラグインやテーマへの操作
  • 顧客情報や非公開情報の利用
  • 自社の見解として発信する内容の最終決定

さらに、AIが作成した成果物は、完成品として直接公開するのではなく、「提案」「下書き」「承認待ち」「反映済み」といった状態に分けて管理します。

AIが変更案を作った場合は、どこを、なぜ変更するのかを一覧で示させます。私が内容と影響範囲を確認し、承認したものだけを反映します。

影響が大きい変更については、事前検証やバックアップ、元に戻す方法の確認も必要としています。

このルールを文書に残しているのは、AIの性能を信用していないからではありません。

AIが高性能になり、実行できる範囲が広がるほど、「できること」と「許可されていること」を分ける必要があるからです。

小さな会社では、経営者自身が推進役になることに利点があります。

目的、優先順位、予算、ブランド、顧客への影響を理解している人が、その場で採用・修正・中止を判断できるためです。部門間の承認待ちが少なく、小さく試してすぐに運用を改善できます。

一方、経営者がすべての下書き、整理、確認作業まで抱えると、AI導入を継続できません。

そこで、繰り返し作業や情報整理はAIへ移し、経営者は目的設定、例外判断、承認に集中します。

「社長+AI」は、AIが社長の代わりに経営判断をする体制ではありません。経営者が判断と責任を持ち、AIを実行力として活用する体制です。

専任担当者を置けない小さな会社でも、権限の境界と承認手順を明確にすれば、経営者自身がAIと組んで改善を進められます。自社では、この役割分担をAI自走化運用の基本として明文化し、運用しています。

最初から全社展開を狙わなくても構いません。1つの部門、1つの業務、1つの繰り返し作業から始めたほうが、担当者も現場も学びを得やすくなります。

担当者を潰さないために経営者がやること|時間・権限・評価

AI推進が止まる主因は、担当者の能力不足ではありません。時間を空けない、権限を与えない、評価しないという体制のまま任せると、どれだけ前向きな人でも疲弊します。

ここは経営者が整えられる領域です。あなたが社長として少し設計するだけで、担当者は「どこまで動いてよいか」を判断しやすくなります。

業務時間の一部をAI推進に正式に充てる

まず、AI推進を「空いた時間でやっておいて」にしないことです。たとえば週1回30分の打ち合わせ、月に数時間の検証時間など、通常業務の中に正式な時間として組み込みます。

時間を明示すると、周囲も協力しやすくなります。逆に時間が見えないままだと、担当者は通常業務との板挟みになり、社内で頼みにくくなります。

担当者が決めてよい範囲を決める

次に、権限の範囲を決めます。どの業務を試してよいのか、どのツールを使ってよいのか、どこから社長承認が必要なのかを明確にします。

たとえば「社外に出す文章は人が最終確認する」「顧客情報は入力しない」「月1回、試した結果を経営会議で共有する」といった簡単な線引きで構いません。担当者に責任だけを渡さず、判断の枠を渡すことが大切です。

小さな成功を社内で認める

AI推進の初期成果は、大きな売上増加よりも、作業の下書き時間が減った、問い合わせ対応のたたき台が早くできた、会議メモの整理が楽になった、といった小さな変化です。これを社内で言葉にして認めます。

「そんな小さなこと」と流してしまうと、担当者も現場も続ける理由を失います。小さな成功を朝礼や会議で共有するだけでも、社内の受け止め方は変わります。

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担当者の育て方と外部の力の借り方

AI推進担当者は、最初から完成した人材である必要はありません。社内の業務を知っている人に、AIの基礎、使い方、ルール、改善の進め方を少しずつ足していく考え方が合います。

育て方は、次の順番が現実的です。

  1. 経営者がAI活用の目的を1つに絞る
  2. 推進リーダーが身近な業務で生成AIを試す
  3. 現場メンバーと一緒に使いにくい点を直す
  4. 社内ルールに沿って安全な使い方を確認する
  5. 小さな成功例を共有し、次の業務へ広げる

外部研修やコンサルティングは、丸投げ先ではなく担当者の伴走役として使うと効果が出やすくなります。外部の人が代わりにすべて決めるのではなく、社内の目的、業務、判断基準を一緒に整理してもらう位置づけです。

相談先の種類を比較したい場合は、AI経営の相談先ガイドで全体像を確認できます。研修を選ぶ段階では、AI業務効率化研修の選び方を読むと、担当者に何を学ばせるかを決めやすくなります。

外部の力を借りるときほど、社内側の窓口が必要です。あなたの会社の事情を理解し、外部の助言を現場の言葉に翻訳する人がいることで、学びが定着しやすくなります。

導入判断チェック|自社の推進体制の準備度

AI推進担当者を決める前に、体制の準備度を確認してみてください。以下は「まだ整っていないサイン」です。

  • AI活用の目的が「何となく効率化したい」のままになっている
  • 担当者に割ける業務時間を決めていない
  • どの業務から試すかが決まっていない
  • 担当者が決めてよい範囲が曖昧
  • 現場から困りごとを集める場がない
  • 入力してはいけない情報のルールがない
  • 小さな成功を共有する会議や場がない
  • 評価や感謝の伝え方を決めていない
  • 「ITに詳しい人だから」という理由だけで候補者を決めている

3つ以上当てはまれば、人選より先に体制の土台を整える段階です。担当者を決めること自体はできますが、時間、権限、評価のどれかを一緒に決めないと、社内で孤立しやすくなります。

反対に、目的、時間、権限、ルールの最低限が見えているなら、小さな実証を始める準備は進んでいます。最初のテーマは、売上に直結する大きな変革より、文書作成、議事録、社内問い合わせ、見積補助など、現場が変化を感じやすい業務が向いています。

トシゾーの見立て:AI推進担当者の本当の価値は、最新ツールに詳しいことではなく、現場の言葉を経営の意思決定に戻すことです。よくある誤解は、担当者を置けば自然に全社展開が進むという考えで、今やるべきことは大きなDX組織づくりではなく、1つの業務で「試す、直す、認める」を回すことです。

AI推進担当者についてよくある質問

AI推進担当者は何人必要ですか?

最初は1人でも始められます。ただし、その1人に全部を背負わせず、社長が経営スポンサーになり、現場に協力者を1〜2名置く形が現実的です。

従業員が増えてきたら、部門ごとに現場メンバーを置きます。専任者を増やすより先に、役割分担を明確にするほうが大切です。

エンジニアがいない会社でも担当者を置けますか?

置けます。生成AIの初期活用は、プログラミングよりも業務理解、文章化、確認フローづくりが中心になるためです。

システム連携や高度な開発が必要になった段階で、ベンダーや外部専門家と連携すれば十分です。最初からエンジニア採用を前提にしなくても、社内の改善は始められます。

若手に任せてもよいですか?

若手に任せること自体は問題ありません。ツールへの抵抗が少なく、学びが早い人は推進の力になります。

ただし、業務理解や社内の信頼が足りない場合は、上司や経営者が支える体制にしてください。若手を「AI担当」として一人にせず、業務に詳しい人と組ませるのが安全です。

社長自身がAI推進担当者になってもよいですか?

小規模企業では、社長自身が推進役を担う形も現実的です。意思決定が早く、AIに任せる範囲と人が確認する範囲を決めやすいからです。

ただし、社長がすべての操作を抱える必要はありません。目的と判断基準を社長が持ち、日々の試行は現場メンバーと分担する形が続けやすいです。

どの部門から始めるのがよいですか?

最初は、文章作成や情報整理が多い部門から始めると進めやすいです。営業、総務、経理、採用、カスタマー対応などは、生成AIの効果を試しやすい業務が見つかります。

ただし、部門名だけで決めるより、繰り返し作業が多い、確認に時間がかかる、担当者が前向きに試せる、という条件で選ぶほうが実務に合います。

AI推進担当者の評価はどうすればよいですか?

初期は、売上や利益だけで評価しないほうがよいです。試した業務数、共有した成功例、現場から集めた課題、ルール整備への貢献なども評価対象にします。

特に兼任の場合、通常業務に加えて社内変革を支える負担があります。会議での承認、役割名の明示、評価面談での言語化など、小さくても正式に認めることが大切です。

いつ専任化を考えるべきですか?

複数部門で活用が進み、問い合わせや改善テーマが継続的に増えてきたら、専任化や一部専任を考える段階です。最初から専任ありきではなく、社内の利用量と改善テーマの数を見て判断します。

兼任で回らなくなったサインは、ルール確認が追いつかない、現場からの相談が滞る、成功例の共有が止まる、といった状態です。その時点で、役割や時間配分を見直します。

まとめ|人選の正解は「詳しい人」ではなく「つなげる人」

AI推進担当者は、AIに一番詳しい人ではなく、AIと現場と経営をつなげる人です。業務を知り、人を巻き込み、新しいものを面白がれる人を中心に考えると、候補者が見えやすくなります。

  • AI推進担当者の仕事は「広める」「改善する」「守る」の3つ
  • 中小企業では、専任より「社長×推進リーダー×現場メンバー」の兼任体制が現実的
  • 担当者を支えるために、経営者が時間・権限・評価を設計する

あなたが最初に決めるべきことは、完璧な人材を探すことではありません。誰に何を任せ、どこまでを社長が支えるかを決めることです。

関連記事と「AI戦略」に関するご案内

AI推進担当者を決めたあとは、社内の活用テーマ、ルール、研修、外部支援を順番に整えていくと進めやすくなります。全体像を確認したい場合は、中小企業社長のためのAI戦略活用完全ガイドから、自社の段階に合う記事を選んでください。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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