最終更新日: 2026年10月5日/内容確認日: 2026年10月5日
本記事では、社会福祉法人が老人福祉法第15条第4項の認可を受けて設置し、介護保険法第86条の指定を受けた入所定員三十人以上の特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)で、ユニット型でないものを主なモデルとして想定し、施設の業務だけを扱います。これは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。地域密着型介護老人福祉施設(入所定員二十九人以下)、ユニット型の固有の基準、併設の事業、措置費の手続は扱いません。
「指定基準」は指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(国の省令)です。介護保険法第88条は、員数と設備・運営の基準を都道府県の条例で定め、条例が省令に従う事項と参酌する事項を分けています。本記事は省令で書き、条例は確かめていません。法令は2026年10月4日に確認した、その日に施行されている版によります(個人情報の保護に関する法律の版は節9)。
1. 結論:特別養護老人ホームなら何から始めるか
特別養護老人ホームでAIを使うなら、最初の一手は「事故・ヒヤリハット・苦情・虐待の兆候・身体的拘束等の記録を一つの事象の台帳で受け、記録の下書きと委員会の資料をそこから作ること」です。次に「同意を得た施設サービス計画と確定したケアの指定を版付きの正本にし、配膳表を正本から作ること」、その次に「入所申込を1件1行の待機者名簿にすること」が続きます。
番号は効果の大きさの順位で、実施の順序とは分けています。効果の大きさは、そのTopの記録を材料に使う別の業務が属するまとまりの数(本記事の業務の分解で数えた計算値で9・7・7。7どうしは使う業務の数18と8で比べました)で、法令上の重要度や事故の損失の大きさの比較ではありません。実施では入所者の一覧を導入前提として先に作り、Top2はさらに同意済みの計画と確定した指定の所在の一覧がそろってから始めます(節3)。
一方で、入所の判定、計画の原案の作成と同意の取得、身体的拘束等を行うかの判断、食事形態と移乗の方法の確定、看護職員の診療の補助、サービスの提供により事故が発生した場合の措置と市町村・家族等への連絡、従事する施設で従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した従事者等の通報は、AIに渡せない領域として残ります(節6)。原則は「AIは下書きと候補と照合まで、確定は人」です。
2. 業務全体の流れ
本記事のモデルでは、次の流れが続きます。
- 入所の入口。申込を受けて要介護状態区分を確かめ、施設が判定し、重要事項を記した文書を交付して説明し、入所申込者の同意を得ます。
- 施設サービス計画。計画担当介護支援専門員が面接、原案の作成、担当者の意見の聴取を経て、説明し文書で入所者の同意を得て交付します。
- 日々のケア。計画に基づく入浴・排せつ・食事・健康管理・機能訓練です。
- 法定の体制と事象。身体的拘束等・事故・虐待・苦情・感染症への対応と委員会・研修です。
- モニタリングと計画の変更、入院・退所。
- 請求と入金。介護給付費と利用者負担等の請求と消込で、収益の入口です。
本シリーズでは、日々のケア・モニタリング・委員会・月次の請求が繰り返す「周期型」を主、申込・事故・苦情などの出来事から始まる「イベント駆動型」を従と整理しています。
3. AI導入優先Top3
| 効果の大きさ(計算値) | 記録の単位 | 実施の順序 | |
|---|---|---|---|
| 導入前提:入所者の一覧 | — | 入所者1人 | ① |
| Top1:事象の台帳 | 最も大きい(9) | 1件の事象 | ② |
| Top2:ケアの指定の正本 | 2番目(7・18) | 入所者1人の指定の版 | ②(Top2の導入前提の後。Top1と並行してよい) |
| Top3:待機者名簿 | 3番目(7・8) | 1件の入所申込 | ②(Top1と並行してよい) |
導入前提。 入所者1人1行で、被保険者番号・要介護状態区分・認定の有効期間・居室・計画担当介護支援専門員・在所の状態を持つ一覧です。本記事の設計では、事象・正本・空床をこれに結び付けます。
Top1:事故・ヒヤリハット・苦情・虐待の兆候・身体的拘束等を、一つの事象の台帳で受ける
何をするか。 これらを入所者と日時で引ける一つの台帳に入れ、1件ごとに状態(受付・下書き・確定・委員会で審議済み)を持たせます。AIは、報告や苦情の構造化(入所者・日時・場所・状況・処置)、記録と事故報告の下書き、委員会の資料の下書き、委員会と研修の予定の管理を担います。虐待の兆候は候補として出すだけで、事実として扱いません。
なぜ最初か。 指定基準では、身体的拘束等・苦情・事故の記録は計画担当介護支援専門員の業務で(第22条の2第5号〜第7号)、施設にも記録の義務があります(第11条第5項・第33条第2項・第35条第3項)。身体的拘束等・事故・虐待にはそれぞれ委員会があります(第11条第6項・第35条第1項・第35条の2。節9)。本記事の業務の分解では、1件の事象の記録が、記録の確定・委員会・研修・市町村等への連絡・指標の集計など9つのまとまりの業務の材料になります。
どう始めるか。 直近1か月分の事故・ヒヤリハット・苦情を1件1行の表に移し、新しい報告からAIの構造化を通します。身体的拘束等の記録は次の委員会の資料から入れます。記録は計画担当介護支援専門員が全件確かめて確定し、確定前の下書きを記録として扱いません。
何を測るか。 事象1件の受付から記録の確定までの日数(中央値)、委員会の資料の準備時間、委員会の予定を過ぎた件数。
注意。 従事する施設で従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した従事者等の通報と、サービスの提供により事故が発生した場合の連絡は、台帳への入力と関係なく速やかに行うもので(節9)、本記事の設計では台帳をその関門にしません。
Top2:同意を得た計画と確定した指定を、版付きのケアの指定の正本にする
何をするか。 入所者ごとのケアの指定(食事形態・禁止食・アレルギー、移乗・移動の方法、服薬の指示の所在、身体的拘束等の有無と態様・時間、留意事項)を、文書による同意を得て交付した施設サービス計画と、施設が確定した食事形態・移乗の方法・身体的拘束等の判断の写しだけで一つの正本にし、版を付けて配ります。AIは内容を変えずに登録・配布し、正本から配膳表を作り、指示書・処方を構造化します。正本が無い・計画と一致しない入所者は、正本から作る配膳表に入れずに例外の一覧に必ず残し、現行の配膳表(確定済みの食事の内容)を維持したまま、人が確認して解消します。
なぜ2番目か。 計画担当介護支援専門員は、原案の内容を入所者又はその家族に説明して文書により入所者の同意を得、作成した計画を入所者に交付します(指定基準第12条第7項・第8項)。施設は計画に基づき処遇を妥当適切に行います(第11条第1項)。本記事の業務の分解では、正本の版が、介護・食事・健康管理と服薬・移乗・モニタリングなど7つのまとまりにある18の業務の材料になります。
どう始めるか。 Top2の導入前提として、同意済みの計画と確定した指定の所在を一覧にし、1つのフロアで、正本から作った配膳表を現行の配膳表と並べて差分を見ます。差分は看護職員・管理栄養士・計画担当介護支援専門員が確かめ、正本を直してから配ります。
何を測るか。 計画と配膳表・介助の手順の、食事形態・移乗の方法の食い違いの件数、例外の一覧に回した件数、医師の指示の受領から看護職員の登録までの時間。
注意。 本記事の設計では、食事形態・服薬・移乗は正本と本人の確認を入力に置き、正本が無い・本人と一致しない・状態が変わったときは、その場の配膳・介助をそのまま進めずに看護職員・計画担当介護支援専門員に確認します。食事やケアの提供をやめるのではなく、確認してから行います。AIに推測で埋めさせません。
Top3:入所申込を、区分と材料を持つ1件1行の待機者名簿にする
何をするか。 申込ごとに、申込日・要介護状態区分・認定の有効期間・介護の必要の程度と家族等の状況の材料・状態を1行に並べます。AIは、申込書の構造化、区分の候補、材料と名簿の差分、結果の連絡文の下書き、入院・退所による空床の反映を担います。
なぜ3番目か。 介護老人福祉施設に入所する要介護者は、要介護三〜五の者と、要介護一・二の者であって、心身の状況、置かれている環境その他の事情に照らして居宅で日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があると認められるものに限られます(介護保険法第8条第22項・第27項、介護保険法施行規則第17条の9・第17条の10)。施設は、入所申込者の数が入所定員から入所者の数を差し引いた数を超えている場合には、介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければなりません(指定基準第7条第2項)。本記事の業務の分解では、名簿と空床の記録が、判定・入所の手続・配膳表・請求など7つのまとまりにある8つの業務の材料になります。
どう始めるか。 現在の待機者を名簿に移し、新しい申込からAIの構造化と区分の候補を通して担当者が全件確かめます。区分が確かめられていない申込は判定に進めません。優先入所の指針の評価項目は本記事では確かめていないため、AIに点数を付けさせません。
何を測るか。 空床の発生から判定の資料がそろうまでの日数、申込の受付日から名簿への登録日までの遅れ。
注意。 本記事の整理では、入所の判定は指定基準第7条第2項の主語である施設(事業者)の判断で、計画担当介護支援専門員や生活相談員の法定の業務に含めません。申込書の病歴などは要配慮個人情報に当たりうるため、同意の範囲と照合してから登録します(節9)。
4. AIに任せやすい仕事
人が確定した記録と機械的に照らし、不一致・欠け・例外だけを人が見る仕事です。
- 形を整える。 入院・退所の記録を在所者の一覧・名簿へ反映する。
- 照らし合わせる。 人が確定した入退所・入院外泊の記録と、請求明細の日付。
- 違いを見つける。 入金明細と請求書の差額。
- 足りないものを探す。 人が決めた予定を過ぎた委員会・研修。
- 下書きを作る。 確定した記録からの集計表。
- 探し出す。 人が記録した認定の有効期間から、更新の申請が満了日の三十日前までに行われるよう援助する時期が近い入所者。
法令・安全・ケアの内容に関わるものは節5に置いています。
5. AI支援に向く仕事
AIが候補や下書きを作り、人が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むことは手間ではなく、品質の設計です。
- 事故・苦情・身体的拘束等の記録と事故報告の下書き(計画担当介護支援専門員が確定)
- 委員会の資料の下書き(担当者が確認)
- 虐待の兆候の候補(虐待防止の担当者が確認。事実の認定ではない)
- 申込の構造化、要介護一・二の申込者のやむを得ない事由の検討の材料(担当者が確認)
- 指示書・処方の構造化(看護職員が確認して登録)
- アセスメント・モニタリングの記録と原案の下書き(計画担当介護支援専門員が確認)
- 介護の実施記録の草案(提供した職員が確定)
6. 人に残す仕事・判断
線の引き方は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。AIの下書きが9割正しくても、ここに挙げるものは人が全件を決めます。
法令が行える者を限っている行為。 医師でなければ医業をなしてはならず(医師法第17条)、本記事では医師の診察・診断・処方・指示を施設の業務に置いていません。看護師でない者は療養上の世話又は診療の補助を業としてはならず、准看護師でない者も准看護師の業をしてはなりません(保健師助産師看護師法第31条第1項・第32条。医師法・歯科医師法の規定に基づく場合を除き、保健師・助産師は行えます)。介護福祉士が医師の指示の下に行われる厚生労働省令で定める喀痰吸引等を診療の補助として業とすることができる特例(社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2)は、本記事では扱っていません。
配置された者の法定の職務。 計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画のアセスメント・原案の作成・同意と交付・モニタリングなど(指定基準第12条)と、身体的拘束等・苦情・事故の記録などを行います(第22条の2)。管理者は管理を一元的に行い(第22条)、医師又は看護職員は常に入所者の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な措置を採ります(第18条)。本記事の整理では、身体的拘束等を行うかの判断、入所の判定、事故の連絡は計画担当介護支援専門員の業務に含めません。
指定・認可を受けた施設の役割。 本記事の整理では、身体的拘束等を行うかの判断と行う場合の記録(指定基準第11条第4項・第5項)、サービスの提供により事故が発生した場合の措置と連絡(第35条第2項)は施設の役割です。措置による入所の委託を受けたときは、設置者は正当な理由がない限り拒めません(老人福祉法第20条第2項)。
従事者等の義務。 虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合の通報は、発見した従事者等が行います(節9)。
事業者として決めること。 入所の判定、食事形態と移乗の方法の確定(本記事の整理では医師の指示・計画・評価が正本)、委員会と指針・研修、配置と任命、請求の確定、外部サービスへの入力の範囲。
7. Best Practice
到達点は、本記事の整理では「確定する人を条文の主語で分け、事象・指定・申込がそれぞれの単位で記録され、状態と版が残る」構造です。
第一に、事象は一つの台帳で、受付から確定・委員会・周知までの状態が1件ごとに見えます。
第二に、現場に届く指定は同意を得た計画と確定した指定の版だけで、無い・一致しないときは人の確認に回ります。
第三に、申込から判定・入退所・空床までが一続きの名簿にあり、判定は事業者が行います。
8. Before / After
Before。本記事が置いた想定で、業界の実態の描写ではありません。 事象の記録が別々の様式で、委員会のたびに集め直します。計画と指定と配膳表が別々の帳票で、版の対応をその都度確かめます。空床のたびに材料を集め直します。
After。到達点として置いた姿です。 事象は1件ごとに状態が見え、配膳表は正本から作られ、空床が出たら名簿から判定の資料がそろいます。確定は人です。
9. 法令・規制・情報管理
以下は本記事の実務上の整理で、条文を確かめた規律だけを挙げており、すべての規律ではありません。法令の版は冒頭のとおりで、施行前の改正は最後の段落のものだけを扱います。
身体的拘束等。 指定基準は、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならず、行う場合はその態様及び時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録するとしています(第11条第4項・第5項)。委員会を三月に一回以上開いて結果を従業者に周知徹底し、指針を整備し、研修を定期的に行います(第6項)。判断の要件は本記事では扱っていません。
事故。 サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに必要な措置を講じ、状況と処置を記録し、賠償すべき事故は速やかに損害賠償を行います(第35条第2項〜第4項)。発生の防止には、指針、報告と分析を通じた改善策の周知徹底の体制、委員会と研修の定期的な実施、担当者が求められます(同条第1項)。厚生労働省の通知(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか。法令ではありません)は、死亡に至った事故と、医師(施設の勤務医・配置医を含む)の診断を受け投薬・処置等何らかの治療が必要となった事故を原則として全て報告するとし(その他は各自治体の取扱い)、第1報を事故発生後速やかに、遅くとも5日以内を目安に提出するとしています。所在地の市町村の取扱いと通知のその後の改正は確かめていないため、5日を法令の期限として扱いません。
虐待の防止と通報。 指定基準は、虐待の防止の委員会の定期的な開催と結果の周知徹底、指針、研修、担当者を求めます(第35条の2)。高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律では、養介護施設従事者等は、業務に従事している施設(設置者が設置する他の施設等を含む)で従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに市町村に通報しなければなりません(同法第21条第1項)。同項は施設の承認を通報の条件としていません。守秘義務の規定は通報(虚偽・過失によるものを除く)を妨げるものと解釈してはならず、通報を理由に解雇その他不利益な取扱いを受けません(同条第6項・第7項)。
記録の保存と電磁的記録。 施設サービス計画、提供した具体的なサービスの内容等、身体的拘束等、市町村への通知、苦情、事故の6種の記録は、その完結の日から2年間保存します(指定基準第37条第2項。国の基準の期間で、条例で確かめてください)。書面で行う作成・保存は電磁的記録で行うことができ(被保険者証による確認などを除く)、交付・同意などは相手方の承諾を得て電磁的方法によることができます(第50条)。
個人情報と、生成AI・クラウドへ出す条件。 個人情報の保護に関する法律は、2026年10月4日に確認した版(2026年10月1日施行)で書きます。e-Govの応答に現行の版の表示がないため、現行法とは断定しません。この版では、個人情報データベース等を事業の用に供している個人情報取扱事業者は、それを構成する個人データの安全管理措置と、取扱いを委託する場合の委託先の監督を行います(第16条・第23条・第25条)。病歴や心身の機能の障害があることなどが含まれる個人情報は要配慮個人情報で(第2条第3項、同法施行令第2条)、第20条第2項各号(法令に基づく場合など)を除き、取得にはあらかじめ本人の同意が要ります。個人データの第三者への提供は、第27条第1項各号の場合などを除きあらかじめ本人の同意が要り、同条第2項の手続は要配慮個人情報などには使えません。利用目的の達成に必要な範囲内で取扱いを委託することに伴う提供、事業の承継に伴う提供、所定の事項をあらかじめ本人に通知するなどした共同利用では、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項。外部のAIサービスへの入力が委託に当たるかは本記事では判断していません)。外国にある第三者への提供は、規則で定める外国や基準に適合する体制を整備している者を除き、同条第1項各号の場合を除いてあらかじめ本人の同意が要ります(第28条第1項)。
本記事の設計では、外部のAIサービスへの入力が委託・第三者提供・外国にある第三者への提供のどれに当たるかを人が確かめて記録するまで、入所者の記録を入れません(法令の要件ではなく業務上の止めです)。入れる前には、①入れる情報を必要最小限にする②入力データを学習に利用するか③保存期間と削除の方法④契約上の機密保持とデータの取扱条件⑤アクセス権限と利用ログ⑥再委託や国外保存など組織の規程上確認が必要な事項、の6点を確かめ、組織が利用を承認したサービスに限ります。
施行前の改正。 社会福祉法等の一部を改正する法律(令和八年法律第五十一号、2026年6月25日公布)の本則は令和9年4月1日から施行され、介護保険法第8条の項番号が繰り上がります(本記事の第22項は第21項、第27項は第26項)。同法附則第1条第2号の規定は公布の日から起算して1年6月、第3号・第4号の規定は2年・3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行され、施行日は確定していません。改正後の内容は扱っていません。
10. 最初の30日プラン
対象期間は直近1か月分の記録、試行期間は3週目から4週目の終わりまでの2週間です。
1週目:測る。 入所者の一覧を作り、節3の各Topの「何を測るか」の7項目を測ります。食い違いは全入所者を突き合わせ、指示の受領から登録までの時間はこの1週間の記録で測ります。測る人は確定や判定を行いません。
2週目:正本とルールを決める。 台帳の欄と確定・連絡の担い手を決め、虐待の通報は台帳を経ないことを周知します。Top2の導入前提の一覧、正本の欄と確認に回す条件、名簿の欄を決めます。外部のAIサービスに記録を入れるなら、類型を記録してからにします。
3週目:人が全件確認する小規模試行。 Top1は新しい報告と次の委員会の資料で、Top2は1つのフロアで(現行の配膳表は置き換えない)、Top3は新しい申込で試します。確定・判断・連絡・通報は人が行います。
4週目:比べる。 同じ7項目を同じ方法で測り直して1週目と比べます。配膳表の差分が残る入所者は指定の確定からやり直し、差分がなくなるまで置き換えません。次に広げる範囲は管理者が決めます。
11. AI活用成熟度
- Lv1 人依存。 記録・計画・申込が紙と個人の表計算にある。
- Lv2 台帳化。 一覧・台帳・名簿・指定が1件1行の表で、下書きと確定の欄がある。
- Lv3 一元化。 入所者の一覧を鍵に、台帳・正本・名簿が結び付く。
- Lv4 AI支援。 構造化・下書き・候補・配膳表の作成をAIが担い、人が確定する。
- Lv5 仕組み化。 状態と版が記録として残り、確定した人を確かめられる。
Lv5は、入所の判定や計画の作成、身体的拘束等の判断、連絡・通報をAIが自動で行う状態ではありません。
12. FAQ
Q. 事故の報告は5日以内に出さなければならないのですか。 A. 指定基準は、サービスの提供により事故が発生した場合に速やかに市町村、家族等に連絡を行うことを求めています。5日は通知が第1報の目安として示す日数で、法令の期限ではありません(節9)。
Q. 職員が虐待に気づいたら、施設長の判断を待つべきですか。 A. 従事する施設で従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した従事者等には、速やかに市町村に通報する義務があり、条文は施設の承認を条件にしていません(節9)。
Q. 要介護1・2の人は入所できないのですか。 A. 要介護一・二の者でも、節3の条件(居宅で日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があると認められるもの)に当たれば入所の対象です。判断の手続や指針は本記事では扱っておらず、AIには材料の整理だけをさせます。
Q. 入所者の記録を生成AIに入れてもよいですか。 A. どの類型に当たるかは本記事では判断していません。人が確かめて記録し、節9の6点を確かめ、組織が承認したサービスに限ります。
13. 関連業態・シリーズ導線
訪問介護事業所の記事は、居宅を訪問して介護を提供する側の記事で、音声・メモから提供記録の草案を作ることをTop1に置いています。本記事は訪問を扱いません。
デイサービスの記事は、通所で介護・機能訓練を提供する側の記事で、提供記録の草案を作り提供者が確定することをTop1に置いています。本記事は通所を扱いません。
業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。
14. この記事を自社に当てはめたい方へ
同じ特別養護老人ホームでも、記録の置き場所や計画と配膳表のつながり方で最初の一手は変わり、整理状況が出発点です。
15. 無料AI戦略診断/AI顧問
AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自社のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。
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