データ分析・BI支援会社のAI活用|最初の一手と人に残す判断

データ分析・BI支援会社のAI活用:案件ごとに預かったデータの受領元と渡し先、AIサービスに入れてよいデータを一枚の表に整理する流れ

最終更新日: 2026年9月17日/内容確認日: 2026年9月17日

本記事では、顧客(企業・団体・行政機関など)が既に保有しているデータを預かり、整備・分析して、指標とダッシュボードの形で意思決定に使えるようにする受託事業者のうち、1件ごとの分析・ダッシュボード構築の案件を主とし、月次レポーティングと運用保守を従に持つ独立系の中小の会社を主なモデルとして想定します。これは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。調査対象者という第三者から自らデータを集める市場調査・リサーチ会社、システムを作ること自体が成果になる受託開発、BIツールを自社サービスとして提供する事業、経営戦略の立案と実行支援を主とするコンサルティングは対象にしていません。データ入力や受託計算だけの請負も、中心から外しています。

目次

1. 結論:データ分析・BI支援会社なら何から始めるか

データ分析・BI支援会社でAIを使うなら、最初の一手は「預かったデータをどこから受け取りどこへ渡したかを一覧にし、外部のAIサービスに入れてよいデータを方針として決めること」です。次に「指標の定義書と、合意事項・未合意事項を案件の番号で追える台帳を作ること」、その次に「表示値や報告書の数値の突合と、除外・補完のルールの記録」が続きます。

本シリーズの見立てでは、効果が大きいのは二番目の指標定義と合意の台帳です。それでも順序をこうするのは、預かったデータや顧客の資料を外部のサービスに入れてよいかが決まらないと、二番目と三番目でAIに渡す作業を始められないからです。効果の順位と実施の順序は分けて考えます。

一方で、分析課題の合意、指標の定義と計算式の合意、除外・補完のルールの決定、個人データの加工の設計、結論の最終承認と限界の説明、委託先と国外への提供の可否は、AIに渡せない領域として残ります。本記事を貫く原則は「AIは候補まで、確定は人」で、以下の各節はその当てはめです。

2. 業務全体の流れ

本記事のモデルでは、1件の案件は次の流れで進みます。

  1. 引き合いの受付。分析の受託か、システムの開発か、経営の助言かを切り分けます。
  2. 課題のヒアリングと分析課題の定義。意思決定の課題と決める人を聞き、何を明らかにするかを合意し、合意していない事項を残します。
  3. 対象データの事前確認。サンプルで欠損・重複・粒度・期間の連続性を見て、分析課題に答えられるかを判断します。
  4. 提案・見積と受託可否の判断、契約とデータの取扱い条件の合意、受注登録。
  5. データの受領と記録、整備(クレンジング・名寄せ・除外・補完)、指標定義とデータ定義の合意。
  6. データ基盤の構築、分析、ダッシュボードの設計・実装、権限と公開範囲の設計。
  7. 報告・結果説明、納品と検収、仕様変更と追加分析、請求と案件別の採算。

この業種の仕事を動かしているのは、1件ごとの案件です。着手の時点では何をどの指標で測るかが決まっておらず、顧客との対話で分析課題と指標の定義が定まります。そのため、作ったダッシュボードよりも、何を合意し何を合意していないかを管理する型に価値が出ます。本シリーズでは、こうした業態を知的な案件プロジェクト型として整理し、月次レポーティングと運用保守という周期の性格も併せ持つものとしています。

2021年の情報通信業基本調査(統計法に基づく一般統計調査)では、情報処理サービス企業として集計された688社のうち、常時従業者49人以下は234社でした。割合を計算すると約34.0%です。調査対象企業の集計で、この区分には受託計算やデータエントリー、システムの運用を主とする会社も含まれ、データ分析・BI支援の事業者数ではありません。なお同調査は、2021年調査を最後に情報サービス業が属性範囲から外れています。

3. AI導入優先Top3

試行の単位は、Top1が直近に納品した10案件、Top2が次に着手する3案件、Top3がその3案件のうちの1案件です。

Top1:預かったデータの流れと、外部サービスへの投入方針の一覧

何をするか。 案件ごとに、どこから何を受け取りどこへ渡したかを1枚の表にします(受領元・項目・件数・利用目的・契約の定め・保管場所と所在国・消去の予定)。外部のAIサービスは「入れてよいデータ/入れないデータ/学習利用の設定」の3行の方針から始めます。

なぜ最初か。 効果の大きさではTop2が上と見込みますが、顧客のデータや資料をAIに渡してよいかが決まらないと、Top2とTop3を始められません。

どう始めるか。 直近に納品した10案件の契約書とフォルダを棚卸しし、表に書き出します。

何を測るか。 受け渡しの区分が契約に書かれた案件の割合、受領の記録がある案件の割合、方針に沿わない投入の件数。

注意。 顧客からの受領や成果物の返却が、委託・第三者提供・共同利用・個人関連情報の提供のどれに当たるかは、利用目的の決め方や取扱いの実態、契約の定めで変わりえます(節9)。案件ごとに確認します。

Top2:指標定義書と、合意事項・未合意事項の台帳

何をするか。 既存のレポートと部門ごとの計算式から、同じ名前で異なる計算式・対象期間・粒度をAIに検出させます。指標定義書(指標名・計算式・対象期間・粒度・除外条件・出典テーブル)にまとめ、ヒアリングの記録から合意事項と未合意事項の候補を出させて、担当者が直してから顧客に確認します。定義は版で固定します。

なぜ二番目か。 「売上」「稼働」「解約」の計算式が部門ごとに違うまま着手すると、出した数字が社内資料と合わず作り直しになります。定義と合意が案件の番号で追えれば手戻りが減ると見込みますが、Top1の方針が無いと顧客の資料をAIに渡せません。

どう始めるか。 次に着手する3案件で、個人データを含まない資料から候補を出させ、定義書のドラフトを顧客に確認します。

何を測るか。 計算式まで書かれた定義書の割合、納品後の「数字が社内資料と合わない」という指摘の件数、定義の差し戻しの回数。

注意。 AIは会話に無い合意を作ったり、もっともらしい計算式を書いたりします。どの定義を正とするかの合意と、変更の受け入れは案件の責任者が行います。

Top3:数値の突合と、除外・補完のルールの記録

何をするか。 ダッシュボードの表示値と元データ、報告書の数値と集計結果を機械で突き合わせ、不一致の候補を一覧にします。変換処理は件数・合計値・境界値・期間の欠落でテストします。どの行を除きどう欠損を埋めるかは、責任者が案件の最初に決めて1行で記録します。

なぜ三番目か。 突合とテストは機械で回しやすく、Top2の台帳に記録として足していけます。AIが書いた結合条件や期間の絞り込みの誤りは、数字が出てしまうため表に出にくく、突合を通さないと顧客の意思決定に誤りが乗ります。

どう始めるか。 3案件のうち1案件で、見積前のサンプルの確認と自動突合を試します。

何を測るか。 納品前・納品後の数値の不一致の件数、除外・補完のルールの記録率、見積工数と実績工数の差。

注意。 AIの検出結果だけで行を除くと、その数字の根拠を説明できなくなります。AIが集計に無い数値を報告書に書いていないかも、突合で確かめます。

4. AIに任せやすい仕事

結果をそのまま使え、例外や不一致だけを人が見ればよい仕事です。

  • 形を整える:引き合いの登録、受領データの記録、定型の集計表、検収記録。
  • 照らし合わせる:表示値と元データ、報告書の数値と集計、請求と検収、権限の一覧と人事異動。
  • 違いを見つける:同じ名前で異なる計算式、定義の版の差分、取込件数や分布の急変。
  • 足りないものを探す:欠損・重複・粒度の不ぞろい、期間の欠落、提案書の記載漏れ。
  • 下書きを作る:取込・変換のコード、テストケース、変化点のコメント案。
  • 探し出す:過去の類似案件の指標定義書、前処理の手順、見積の内訳。

5. AI支援に向く仕事

AIが案を出し、人が全件確認してから使う仕事です。節4との違いは、結果をそのまま使わない点です。

  • ヒアリング記録からの合意事項・未合意事項の候補(合意の確定は案件の責任者)
  • 指標定義書のドラフト、提案書・見積の下書き(どの定義を正とするかは顧客と合意する)
  • 名寄せの候補と、除外・補完のルールごとの除外件数と分布の変化の試算(決定は責任者)
  • 分析の解釈案と、対象期間・欠損・母数・交絡・相関と因果という限界の候補(確定と説明は責任者)
  • 運用中の変化点のコメント案、不一致の原因が元データか変換か定義かの切り分けの候補
  • 委託先や外部サービスの条件を、節9の法令と照らした論点の候補(点検結果を「問題なし」の根拠にしない)

「確認を挟む」ことは手間ではなく、顧客の意思決定に乗る数字と預かったデータの扱いについて、確定する主体を人に置くための品質の設計です。

6. 人に残す仕事・判断

線の引き方の原則は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。データ分析・BI支援会社では、次の判断が人に残ります。

  • 分析課題の合意、データが足りるかの判断、受託するかの判断。
  • データの受け渡しが委託・第三者提供・共同利用・個人関連情報の提供のどれに当たるかの確認と、契約への反映。
  • 指標の定義と計算式の合意と、変更・追加費用・納期の受け入れ。
  • 除外・補完のルールの決定と記録、個人データの加工の設計(仮名加工・匿名加工・集計のどれにするか)。
  • 基盤の置き場所と、誰にどこまで見せるかの決定。
  • 結論と示唆の最終承認、限界と前提の説明、過去に出した数値を訂正するかの決定。
  • 委託先の監督と外国にある第三者への提供の可否、漏えい等が起きたときの報告と本人への通知の要否と内容。
  • 外部サービスへ顧客のデータを入れてよいかの方針、個人への発注の形の確認、料金の方針。

本記事では、これらを案件と会社の責任者が結果に責任を負う判断として整理しています。

7. Best Practice

本シリーズでは、データ分析・BI支援会社のあるべき仕事を、次の構造として整理しています。

  • 問い・指標・変更が合意の台帳で閉じている。分析課題の合意事項と未合意事項、指標定義書、定義の版と差分、変更の差分と影響が案件の番号で追える。
  • 預かったデータの流れと、使ってよい範囲に線が引かれている。受け取る前に個人データや要配慮個人情報が含まれるかを確かめ、受け渡しの区分を確認して契約に反映し、受領から返却・消去までが記録に残る。
  • 数字の作り方と限界が記録で説明できる。見積の前にサンプルを見て、除外・補完のルールを先に決めて記録し、変換処理をテストし、表示値と報告書を突き合わせてから出す。報告では集計結果と、そこから言えることを分けて書く。

一度合意した定義と記録を、次の工程で探し直さない。この構造がAI化の土台です。

8. Before / After

Before。 例として、相談を受けたらすぐ見積を出し、データは契約後に開ける会社を考えます。指標の定義は口頭で、部門ごとに違うことは作業の途中で分かります。除外する行は集計担当が目で見て決め、基準は残りません。表示値は目視で確かめ、報告書には手で写します。受け取ったデータの扱いは契約書に区分が書かれていません。少人数で案件を並行してきた会社には自然な状態です。

After。 案件の番号で、合意事項と未合意事項、指標定義書、定義の版と差分、除外・補完のルール、分析の限界、納品と検収が1か所で追えます。AIが定義のゆれ、コードの下書き、数値の不一致、取込と分布の異常を出し、人は分析課題の合意・指標の定義・除外のルール・結論と限界を決めます。預かったデータは受領元から消去の予定までが表になっています。

9. 法令・規制・情報管理

本調査で確認した範囲(法令名での8語の検索と、情報処理の促進に関する法律の本則の全条文の検索)では、データの分析やダッシュボード構築の支援そのものに許可・登録・届出を求める法令も、この業務を特定の資格者に限る規定も見つかりませんでした。検索した範囲での結果であり、規制が無いと断定するものではありません。以下は本記事における実務上の整理であり、個別の判断は専門家に確認してください。

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)。 要配慮個人情報は、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他政令で定める記述等が含まれる個人情報です(第2条第3項)。個人情報データベース等を事業の用に供している者が個人情報取扱事業者で、国の機関や地方公共団体などは除かれます(第16条第2項)。顧客も支援する側も、それぞれ個人情報取扱事業者に当たりえます。個人情報取扱事業者には、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置(第23条)と、取扱いの全部または一部を委託する場合の委託先の監督(第25条)が求められます。

個人データを第三者に提供するには、法令に基づく場合など第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意が要ります。一方、利用目的の達成に必要な範囲内での取扱いの委託に伴う提供、事業の承継に伴う提供、所定の事項をあらかじめ本人に通知するなどした共同利用の場合は、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項)。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、委託の場合の提供先は委託された業務の範囲内でのみ委託元と一体のものとして扱われ、委託された業務以外にその個人データを取り扱うことはできないとしており、事例として「データの打ち込み等、情報処理を委託するために個人データを提供する場合」を挙げています。

受け渡しの区分は、契約上の呼び方だけでは決まりません。 顧客が自社の保有する個人データを分析のために渡す場面は、利用目的の達成に必要な範囲内の委託として整理されうると考えられます。その場合、預かった側は委託された業務の範囲内でのみ取り扱うことができ、自社のサービスの改善や他社の案件への転用に使えば、委託された業務の範囲を超えます。ただし、ある受け渡しが委託・第三者提供・共同利用・個人関連情報の提供のどれに当たるかは、利用目的を誰がどう決めているか、実際の取扱いがどうなっているか、契約にどう定めたかに照らして確認し、その結果を契約に反映するものです。

外国にある第三者へ個人データを提供するときは、第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意が要ります。我が国と同等の水準にあると規則で定める外国にある者や、規則で定める基準に適合する体制を整備している者への提供は、この条の対象から除かれます(第28条第1項)。保存先を国外のリージョンに置く場面はこの条文の論点になりえますが、2つの除外に当たるか、そもそも提供に当たるかで扱いが分かれます。

個人関連情報取扱事業者は、第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定されるときは、第27条第1項各号の場合を除き、その第三者が本人の同意を得ていることの確認等をしないで提供してはなりません(第31条第1項)。

仮名加工情報は規則で定める基準に従って加工し、法令に基づく場合を除き第三者に提供してはならないとされています(第41条)。匿名加工情報は規則で定める基準に従って加工したうえで、含まれる個人に関する情報の項目を公表し、第三者に提供するときは項目と提供の方法を公表して提供先に匿名加工情報である旨を明示することが求められます(第43条)。ガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)は、統計情報を作成するために個人情報を加工する場合等については、仮名加工情報を「作成するとき」には該当しないとしています。通則編は、統計情報は特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては「個人に関する情報」に該当しないとしています。集計値の形で返す成果物はこの整理に乗りますが、個人単位のスコアや識別子つきのセグメントは乗りません。

個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして規則で定める漏えい等の事態が生じたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が求められます(第26条。他の個人情報取扱事業者や行政機関等から委託を受けた場合に、規則で定めるところにより委託元へ通知したときは報告を要しないとされています)。

著作権法。 第30条の4は、著作物に表現された思想または感情を自ら享受し、または他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において利用することができるとし、第2号に情報解析の用に供する場合を挙げています。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでないとされています。預かったデータに第三者の著作物が含まれる場面では、解析のための複製がこの規定に当たりうる一方で、ただし書に当たらないかを案件ごとに確かめます。

製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)。 分析や実装の一部を他の事業者に再委託する場面は、情報成果物作成委託または役務提供委託に当たりえます(第2条第3項・第4項)。委託事業者と中小受託事業者は、資本金の額または常時使用する従業員の数の2系統の組合せで決まり、政令で定める情報成果物・役務に係るものかどうかで適用される号が変わります(同条第8項・第9項)。該当する場合は、給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法その他の事項を書面または電磁的方法で明示することが求められます(第4条第1項)。受注の経路によっては、支援する側が中小受託事業者に当たることも、再委託する委託事業者に当たることもあるため、発注の前に確認します。

不正競争防止法。 限定提供データは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上または営業上の情報で、営業秘密を除くものです(第2条第7項)。取引によって取得した者がその権原の範囲内で開示する行為や、相当量蓄積されている情報が無償で公衆に利用可能となっている情報と同一のものを取得・使用・開示する行為には、規定を適用しないとする定めもあります(第19条第1項第9号)。預かったデータや整備して蓄積したデータがこの定義に当たるかは管理の仕方と提供の形で変わるため、契約で秘密保持と利用の範囲を定めることと、管理の実態を伴わせることの両方が要ります。

生成AIやクラウドへ顧客のデータを出す条件。 入れる情報を必要最小限にし、事業者が入力データを学習に利用するか、保存期間と削除の方法、契約上の機密保持と取扱条件、アクセス権限と利用ログ、再委託や国外保存など組織の規程上の確認事項を確かめ、組織が承認したアカウント・サービスに限って使います。要配慮個人情報は、これらを満たさない限り投入しません。

10. 最初の30日プラン

1週目:測る。 直近に納品した10案件を棚卸しし、節3の各Topの「何を測るか」に加えて、分析課題の合意が文書にある件数、見積の前にサンプルを見た件数、外部のAIサービスへの投入の有無を表にします。

2週目:ルールを決める。 受領データの一覧、契約書のひな形のデータの取扱いの条項、外部AIサービスの3行の方針、指標定義書のひな形、除外・補完のルールを1行で記録する様式を作ります。

3週目:人が全件確認する小規模の試行。 次に着手する3案件で、個人データを含まない資料から定義のゆれと合意事項の候補をAIに出させ、担当者が直して顧客に確認します。そのうち1案件で、変換処理のテストと自動突合を試します。

4週目:比べる。 1週目と同じ項目を測り直し、AIが会話に無い合意や集計に無い数値を出していないかを確かめて、Top2を全案件へ広げるかを責任者が決めます。30日で変わるのは「測れること」と「ルールが文章になったこと」です。

11. AI活用成熟度

  • Lv1 人依存。 分析課題の合意、指標の定義、除外の判断が担当者の頭とメールにあり、AIは個人が思い思いに使っている。
  • Lv2 台帳化。 指標定義書のひな形、除外・補完のルールの記録、受領データの一覧、外部サービスの利用方針がある。
  • Lv3 一元化。 案件の番号で合意の台帳と実績原価が結ばれ、委託先・保管先の所在国・閲覧権限が一覧で管理されている。
  • Lv4 AI支援。 定義のゆれ、コードの下書き、表示値と報告書の突合、取込と分布の異常をAIが出し、人は不一致だけを見る仕事と全件確認する仕事に分けて回している。
  • Lv5 仕組み化。 指標定義・前処理・限界の書き方が会社の型として更新され続け、責任者の判断の記録が残る。

データ分析・BI支援会社にとってのLv5は、AIが責任者の判断を自動化した状態ではありません。「担当者が、何を測るかと、データから何が言えるかに時間を使える状態」への転換です。

12. FAQ

Q. 顧客から受け取ったデータを、自社のノウハウとして他の案件にも使えますか。 A. 受け取りが委託に当たる場合は、委託された業務の範囲内でのみ取り扱うことができるとされています(節9)。どの区分に当たるかは利用目的や取扱いの実態、契約の定めで変わるため、一律には判断していません。

Q. 集計して個人が分からない形にすれば、個人情報保護法の対象から外れますか。 A. ガイドラインは、統計情報は特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては「個人に関する情報」に該当しないとしています(節9)。加工する前の個人データの取扱いには法の規定がかかり、個人単位のスコアもこの整理には乗りません。

Q. 海外のクラウドにデータを置くと、本人の同意が必要になりますか。 A. 外国にある第三者への提供には第28条第1項の規定がありますが、同等の水準にあると規則で定める外国にある者と、規則で定める基準に適合する体制を整備している者への提供は対象から除かれます(節9)。提供に当たるかも取扱いの実態で変わるため、一律には判断していません。

Q. 分析の一部を知り合いのフリーランスに頼む場合、何を確かめればよいですか。 A. 再委託が情報成果物作成委託や役務提供委託に当たる場合、資本金の額または従業員数の区分と、政令で定める情報成果物・役務に当たるかによって、給付の内容や代金の額などの明示が求められます(節9)。発注が雇用・業務委託・労働者派遣のどれに当たるかは契約と実態で決まるため、判断していません。

13. 関連業態・シリーズ導線

市場調査・リサーチ会社の記事は、同じく顧客との対話で課題を定めて進める仕事ですが、調査対象者という第三者から自らデータを集める側の業務として読めます。データを誰が集めるかという線の引き方が分かります。

SIer・受託開発会社の記事は、どこまでが分析の受託で、どこからがシステムの開発かを考えるときに比べられます。

業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。

14. この記事を自社に当てはめたい方へ

同じデータ分析・BI支援会社でも、個人データを預かるかどうかや、運用保守の比重によって最初の一手は変わります。データの受け渡しが整理されていなければ一覧から、整理されているなら指標定義と合意の台帳から、というように、いまの整理状況が出発点です。

15. 無料AI戦略診断/AI顧問

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)
『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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