最終更新日: 2026年9月27日/内容確認日: 2026年9月27日
本記事では、入院の施設を持たない眼科の診療所で、眼科の医師1〜数名と、視能訓練士・看護師・医療事務(受付)の職員を置く、個人から数施設の医療法人を主なモデルとして想定します。保険診療(保険医療機関)を基盤に、外来の検査・診察・処置・処方と定期の受診を扱い、日帰り手術・視能訓練・コンタクトレンズと眼鏡の処方・自由診療は、行う診療所に限る業務として書きます。エックス線装置は備えない前提です。これは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。病院の眼科と有床診療所、屈折矯正手術や美容目的の施術を主とする自由診療の専門施設、眼鏡・コンタクトレンズの販売店は対象にしていません。AIに診断・治療方針・手術の適応・眼内レンズの選択・処方を決めさせる用途と、眼底写真などの画像から所見や病名の候補を出す用途も対象外です。
1. 結論:眼科クリニックなら何から始めるか
眼科クリニックでAIを使うなら、最初の一手は「来院1件ごとに、検査の指示・実施者と資格・指示の種類・機器から取り込んだ結果・左右(右眼・左眼)を1つの記録に並べること」です。次に「日帰り手術1件を、術前の値から使用した医療機器の識別情報まで1つの記録に載せること(手術を行う診療所に限ります)」、その次に「感染症の疑いを、受付の振り分けから区分けと消毒・届出の候補まで1本の記録で追うこと」が続きます。
Topの番号は本記事の整理による効果の大きさの順位で、その記録を入力として使う後工程の数で比べました。業務の件数や時間の順位ではありません。着手の順序はこれと別で、Top1の前に「検査の区分と実施者の対応表」を導入前提として置きます(節3の表)。
一方で、検査の指示、診察・診断・治療方針、処置と手術、眼内レンズの種類と度数の選択、処方、診療録の確定、説明と同意、届出の判断は、AIに渡せない領域として残ります(担い手と条件は節6・節9)。原則は「AIは候補まで、確定は人」です。
2. 業務全体の流れ
本記事のモデルでは、1件の来院は次の流れで進みます。
- 予約・受付と、受給資格の確認。
- 問診。
- 検査。視力・眼圧・視野・画像などの検査を、医師の指示の下で行います(担い手は節6)。
- 医師の診察・診断と治療方針の決定。
- 外来の処置と、日帰り手術(行う場合)。
- 処方と処方箋の交付。
- 診療録の記載と確定、説明と療養の指導。
- 会計と、月ごとの診療報酬の請求。
裏側では、定期の受診、診断書、届出と報告、医療安全と院内感染対策、医療機器と医薬品、開設と管理者の手続が動きます。
本記事のモデルでは、医師の診察の前に検査が入り、検査・処置・手術・処方に左右が付きます。本シリーズでは、眼科クリニックを、来院という出来事を起点に処理が進む型として整理し、医師が決めた間隔で受診と検査を繰り返す周期の性格も併せ持つものとしています。
令和5年医療施設(静態)調査では、令和5年10月1日現在、一般診療所104,894施設のうち診療科目に眼科を含むものは8,222施設(7.8%)です。診療科目は重複して数えられており、眼科を主とする診療所の数ではありません。
3. AI導入優先Top3
| 効果の大きさ(本記事の整理) | 実施の順序 | |
|---|---|---|
| 導入前提:検査の区分と実施者の対応表、院内の検査の組合せと基準 | — | ① |
| Top1:来院1件の検査の記録 | 最も大きい | ② |
| Top2:日帰り手術1件の記録(手術を行う診療所に限る) | 2番目 | ③(Top1の後) |
| Top3:感染症の疑いの記録 | 3番目 | ④(Top1・Top2を前提にしないため、②・③と並行してよい) |
記録を入力に使う後工程の数は、本記事の業務の整理でTop1が16、Top2が11、Top3が5です。各Topの試行の単位は本記事の提案です。
導入前提。 医師が来院の区分ごとに、検査の組合せと、前回との差を見る基準を決めます。そのうえで、検査ごとに「行える資格」「視能訓練士が行う場合に医師の具体的な指示が要るか」「視能訓練士の眼科検査から除かれるか」の欄を持つ対応表を作ります(根拠は節6)。個々の検査・測定への当てはめを院内で確かめられないものは「要確認」とし、確かめるまで資格者に割り当てます。
Top1:来院1件の検査の記録
何をするか。 来院1件ごとに、「指示(医師)/区分(具体的な指示が要る検査か)/実施者と資格/機器から取り込んだ結果/左右/前回との差」を1行に並べます。
なぜ効果が最も大きいか。 眼科の検査の一部は、担い手と指示を法令が定めており、視能訓練士が行う場合に医師の具体的な指示を要する検査もあります(節6。個々の検査への当てはめは本記事では決めていません)。本記事では、診察、診療録の草案、説明資料、手術の度数計算の入力と照合、紹介状などをこの記録から作る設計とします。
どう始めるか。 再診で検査の組合せが決まっている来院の区分を1つ選び、1週間の来院で始めます。区分と資格の欄は導入前提の対応表から引くだけにし、AIに推定させません。機器からの結果の取り込みと、患者・日付・左右・検査の種類の照合は、業務システムとルール処理で行います。AIに任せるのは、組合せと実施者の候補の表示、前回との差の一覧の要約、院内の基準から外れた値の候補の説明までです。照合できない欄は「照合不能・要確認」と表示します。
何を測るか。 来院1件の検査の結果を医師が判読できる形に揃えるまでの時間、患者・左右・日付の不一致の件数、区分の欄が空の件数。
注意。 検査を指示するのは医師で、判読は医師の診察で行います。組合せと実施者の候補は、看護師・視能訓練士が全件確かめてから記録します。
Top2:日帰り手術1件の記録(手術を行う診療所に限る)
何をするか。 手術1件ごとに、「術前の検査値/度数計算の入力値と度数の候補/医師が選んだ眼内レンズ/左右/説明と同意の記録/術前・術後の予定/最終照合と現物の読み合わせ/使用した医療機器・薬剤の識別情報」を1行に並べます。眼内レンズは、候補の計算(機器による計算)→ 医師の選択 → 手術前の最終照合、の順に置き、手術の直前に現物の表示と読み合わせます。
なぜ2番目か。 本記事の整理では、手術1件の記録は、レンズの選択、説明と同意、手術の実施、在庫、回収の情報との照合などの入力になります。本記事では手術と眼内レンズの選択を医師に残し(節6)、選定療養等で支払を受けようとする場合は事前の説明と同意が求められます(節9)。度数計算の入力と照合はTop1で取り込んだ検査結果を使うため、本記事ではTop1の後に置きました。
どう始めるか。 直近1週間分の手術の予定で、上の欄を1件1行に並べます。食い違いの候補はルール処理で出し、AIには候補の要約と、院内の型からの説明資料の草案だけを作らせます。候補の欄と選択の欄を分け、AIに選択の欄を埋めさせません。
何を測るか。 手術1件の記録に書き写す箇所の数、実施前に見つかった食い違いの件数、説明資料の版の数。
注意。 候補が出ないことを「一致」と読みません。適応・術式・レンズの選択と手術は医師が行い、実施前の照合と現物の読み合わせは医師と看護師が全件確かめます。
Top3:感染症の疑いの記録
何をするか。 感染症の疑いがあった来院を、「受付時の申告/振り分けの候補と確認者/待合と動線の区分け・消毒の実施と実施者/医師の診断/届出の候補と根拠の条」の欄で並べます。「届出が要る」ではなく「候補と根拠の条」と書きます。
なぜ3番目か。 感染症の届出は、医師の届出と、指定届出機関の管理者の届出とで、義務者も対象も期日も違います(節9)。本記事の整理では、この記録は届出の候補と、院内感染対策の研修や改善の方策の集計の入力になります。
どう始めるか。 直近1か月で感染症の疑いがあった来院を、上の欄で並べます。AIには振り分けの候補と、診断の記録からの届出の候補を出させ、件数の集計は業務システムで行います。医師の届出の対象を、推定で候補の規則に入れません。
何を測るか。 振り分けから区分けまでの時間、区分けと消毒の記録の欠けの件数、週ごとの集計にかかる時間(指定届出機関の指定を受けている場合)。
注意。 受付の担当が振り分けを全件確かめ、医師・看護師に伝えます。感染症かどうかの診断は医師が行い、届出の判断と提出は、規定に応じて医師又は指定届出機関の管理者が行います。
4. AIに任せやすい仕事
人が確定した記録やルールに対して機械的に処理でき、差と例外だけを人が見る仕事です。本記事のモデルでは業務システムとルール処理が担います。
- 形を整える。 Web・電話の予約の取り込みと予約台帳への一元化、処置と視能訓練(行う場合)の記録の定型化。
- 照らし合わせる。 検査機器から取り込んだ結果と、予約・検査の指示の記録(患者・日付・左右・検査の種類)、医師が確定した処方の記録と診療録・会計。
- 違いを見つける。 日次の締めと入金の差、説明・同意・指導の記録と会計の差。
- 足りないものを探す。 受給資格を確認できなかった件、確定した診療録の記載の欠け。
- 下書きを作る。 医師が決めた間隔からの、定期の受診・検査の案内。
- 探し出す。 回収・安全性の情報に該当する在庫と使用の記録、診断の記録からの週ごとの件数(指定届出機関の場合)。
5. AI支援に向く仕事
AIが候補や草案を作り、人が全件確認してから使う仕事です。節4との違いは、人の確認を品質の設計として組み込む点です。
- 問診の構造化。 問診票の整理と聞き漏れの候補。患者に確かめてから使います。
- 検査の組合せと実施者の候補。 指示として記録するのは医師の指示で、区分は対応表から引きます(Top1)。
- 書類の草案。 診療録、説明資料、紹介状、診断書の草案。診療録の病名と治療方法の欄は医師の入力・口述だけを構造化し、AIに補わせません。説明資料に、院内の型と医師の方針に無い効果や費用を書き足させません。
- 処方の案。 前回の処方・使用中の薬・左右の点眼の照合からの候補。処方を決め処方箋を交付するのは医師です(節6)。
- 届出の候補と広告の文案。 届出・報告の候補(Top3)と、広告・ウェブサイトの文案。広告の適合は院長が判断します。
6. 人に残す仕事・判断
線の引き方は、「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。AIの出力が90%正しくても、眼内レンズの選択や左右の照合のように、人が全件確かめる仕事があります。
医師が行う判断と書面。 医師でなければ、医業をなしてはなりません(医師法第17条)。本記事では、診察、診断と治療方針、処置、手術の適応と術式、眼内レンズの種類と度数の選択、手術を医師に残します。医師は、自ら診察しないで治療をし、又は診断書・処方せんを交付してはなりません(第20条。出生証明書・死産証書・検案書についての定めと、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書のただし書があります)。
検査の担い手と指示。 看護師でない者は、療養上の世話又は診療の補助を業としてはなりません(保健師助産師看護師法第31条。医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合を除きます。保健師と助産師は行うことができます)。視能訓練士は、医師の指示の下に、眼科に係る検査(涙道通水通色素検査(色素を点眼するものを除く。)を除く)を業とすることができ(視能訓練士法第17条第1項・同法施行規則第14条の2)、保健師助産師看護師法第31条第1項・第32条の規定にかかわらず、診療の補助として、両眼視機能の回復のための矯正訓練とこれに必要な検査、眼科検査を行うことを業とすることができます(第17条第2項。名称の使用の停止を命ぜられている者を除く)。視能訓練士は、医師の具体的な指示を受けなければ、省令で定める矯正訓練(抑制除去訓練法・異常対応矯正法・眩惑刺激法・残像法)と検査(散瞳薬の使用・眼底写真撮影・網膜電図検査・眼球電図検査・眼振電図検査・視覚誘発脳波検査)を行ってはなりません(第18条・同法施行規則第15条)。
法令が義務者を定めるもの。 診療録の記載と保存、感染症の届出は節9のとおりです。医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければなりません(医師法第23条)。病院又は診療所の管理者は、勤務する医師その他の従業者を監督し、管理及び運営につき必要な注意をしなければなりません(医療法第15条第1項)。
診療所が責任を持つ判断。 手術と治療の説明と同意の進め方、自費の料金と未収、広告の掲載、苦情と事故への対応、外部サービスや生成AIに入れる情報、設備投資。説明については、医療の担い手は、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければなりません(医療法第1条の4第2項。努力義務です)。
7. Best Practice
到達点は、来院1件・手術1件・感染症の疑い1件が、それぞれ1つの記録の上でつながっている構造です(本記事の整理)。第一に、検査の指示から結果と左右までが1つの記録になり、前回との差の一覧が判読の前に揃っています。第二に、手術を行う場合、眼内レンズが候補・選択・最終照合・現物の読み合わせの順に1件の記録の上を流れます。第三に、感染症の疑いが受付から届出の候補まで1本でたどれ、研修と指針の見直しに戻ります。
8. Before / After
Before。本記事が置いた想定です。 検査の結果、誰がどの指示で行ったか、手術の値とレンズの選択、感染症の疑いへの対応が、来院1件・手術1件の単位で1つの記録にまとまっていない状態です。
After。到達点として置いた姿です。 来院1件ごとに検査の記録が1行に並び、医師は診察の前にその一覧を見ます。手術1件の食い違いの候補は実施前に出ます。人が決めることは減りません。
9. 法令・規制・情報管理
以下は本記事の実務上の整理です。個別の判断は所管の窓口や専門家に確認してください。条文は2026年9月26日に確認した版により、未施行の改正は扱っていません。
診療録。 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければなりません(医師法第24条第1項)。病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関する診療録は、その病院又は診療所の管理者が、その他の診療に関するものはその医師が、5年間保存します(第2項)。
選定療養等と識別情報の記録。 保険医療機関は、評価療養、患者申出療養又は選定療養に関して規定による支払を受けようとする場合は、その療養を行うに当たり、厚生労働大臣の定める基準に従うほか、あらかじめ患者にその内容と費用を説明し、同意を得なければなりません(保険医療機関及び保険医療養担当規則第5条の4第1項)。個々の療養がこれに当たるかは、所管の窓口に確かめてください。本記事では、使用した医療機器の識別情報を手術の記録に残し、回収の情報と照らし合わせられる形にしておきます。
感染症の届出。 医師は、一類から四類の感染症の患者等や、厚生労働省令で定める五類感染症の患者等を診断したときは、区分に応じて直ちに又は7日以内に、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所設置市等ではその長)に届け出なければなりません(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項。厚生労働省令で定める場合を除く)。これとは別に、都道府県知事は、開設者の同意を得て、五類感染症のうち厚生労働省令で定めるもの等の発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所を、指定届出機関として指定します(第14条第1項)。急性出血性結膜炎と流行性角結膜炎は五類感染症で(同法施行規則第1条)、その届出を担当させる指定届出機関は、診療科名中に眼科を含む病院又は診療所から指定されます(同規則第6条第1項)。指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師がこれらの患者を診断したときなどに、診断し又は検案した日の属する週の翌週(診断した日が日曜日の場合は当該週)の月曜日に、所在地を管轄する都道府県知事に届け出ます(第14条第2項・同規則第7条第1項)。
サイバーセキュリティ。 病院又は診療所の管理者は、医療の提供に著しい支障を及ぼすおそれがないように、サイバーセキュリティを確保するために必要な措置を講じなければなりません(医療法施行規則第14条第2項)。
個人情報と、生成AI・クラウドへ出す条件。 個人情報データベース等を事業の用に供している者(国の機関等を除く)は、個人情報取扱事業者に当たります(個人情報の保護に関する法律第16条)。本人の病歴が含まれる個人情報は要配慮個人情報で(第2条第3項)、政令で定める記述等には、医師等により行われた健康診断その他の検査の結果や、心身の変化を理由として医師等により診療が行われたことなども含まれます(同法施行令第2条)。本記事では、診療の記録に含まれる患者の情報を、要配慮個人情報を含むものとして扱います。個人情報取扱事業者は、法令に基づく場合や、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難であるときなど同項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはなりません(第20条第2項)。患者の情報を個人情報データベース等を構成する個人データとして扱う場合は、安全管理措置(第23条)と、取扱いを委託する場合の委託先の監督(第25条)が求められ、個人データの漏えい等のうち規則で定める事態が生じたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が求められます(第26条。委託を受けた者が委託元に通知したとき、本人への通知が困難で代わるべき措置をとるときの例外があります)。外部へ渡すときは、利用目的の達成に必要な範囲内の取扱いの委託に伴う提供(提供先は第三者に当たらず、委託先の監督の対象)、第三者提供(法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意。要配慮個人情報はオプトアウトによる提供ができません)、その他のどれに当たるかを人が確かめます(第27条)。生成AIやクラウドへ出すときは、①情報を必要最小限にする、②入力データが学習に利用されるか、③保存期間と削除の方法、④契約上の機密保持、⑤アクセス権限と利用ログ、⑥再委託や国外保存の扱い、を確かめ、組織が承認したサービスに限ります。
医師が、正当な理由がないのに、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、刑法第134条第1項の罰則があります(医師であった者を含みます)。
10. 最初の30日プラン
1週目:測る。 医療事務1名と、視能訓練士又は看護師1名が7日間、4項目を記録します。職種が決まっていない・資格を確認できない検査の件数、直近1週間の来院で結果を判読できる形に揃えるまでの時間と不一致の件数、直近1週間分の手術で書き写した箇所と食い違いの件数(手術を行う場合)、直近1か月に感染症の疑いがあった来院での区分けと消毒の記録の欠けの件数です。仕組みはまだ入れません。
2週目:正本とルールを決める。 医師が検査の組合せと基準を決め、それを受けて対応表を作ります。3つの記録の欄を決め、手術の記録では度数の候補の欄と医師の選択の欄を分けます。
3週目:人が全件確認する小規模試行。 検査の記録を1つの来院の区分で試し、感染症の疑いの記録を並行して試します。出力は候補のまま、看護師・視能訓練士と医師が全件確かめます。検査の指示・診察・診断・手術の適応・処方・届出の判断には手を付けません。
4週目:比べる。 1週目の項目のうち、対応表・検査の記録・感染症の疑いの記録にかかるものを測り直し、次に広げるか、様式を直すかを決めます。次の候補は、手術の記録(手術を行う診療所に限る)と、診療録・説明資料の草案です。
11. AI活用成熟度
- Lv1 人依存。 検査・手術・感染症の疑いの記録が、担当者の記憶と紙で回っている。
- Lv2 台帳化。 記録はあるが別々で、同じ値を何度も書く。
- Lv3 一元化。 対応表と院内の型があり、3つの記録が1か所に集まり、最新の版が分かる。
- Lv4 AI支援。 候補・要約・草案をAIが出し、人が確かめて初めて確定する。
- Lv5 仕組み化。 事故・ヒヤリハット・感染症の疑いと研修の記録が、指針・手順書・対応表の見直しに戻る。
Lv5は、AIが医師や資格者の判断を自動化した状態ではありません。節6の判断は人が行います。
12. FAQ
Q. 視能訓練士と看護師で、行える検査は違いますか。 A. 看護師の業務は保健師助産師看護師法が、視能訓練士の業務は視能訓練士法が定めています。視能訓練士は医師の指示の下に眼科検査(除かれる検査があります)を業とすることができ、一部の検査は医師の具体的な指示を受けなければ行えません(節6)。個々の検査・測定への当てはめは、所管の窓口に確かめて対応表に書いてください。
Q. 度数計算の結果が出れば、眼内レンズはそれで決まりますか。 A. 本記事では、度数計算の出力は候補です。レンズの種類と度数は医師が選び、その後・手術の前に最終照合を、手術の直前に現物の表示との読み合わせを置いています(節3)。
Q. 流行性角結膜炎と診断したら、届け出るのですか。 A. 急性出血性結膜炎と流行性角結膜炎の届出を担当する指定届出機関の指定を受けている場合は、当該指定届出機関の医師が診断したときなどに、管理者が週ごとの届出を行います。医師の届出は、厚生労働省令で定める感染症等を診断したときの定めで、個々の感染症がその対象に当たるかは、省令と所管の保健所で確かめてください(節9)。
Q. 子どもの登校について書面を求められたら、どう扱いますか。 A. 感染症にかかっている、その疑いがある、又はかかるおそれのある児童生徒等の出席を、政令で定めるところにより停止させることができるのは校長です(学校保健安全法第19条)。流行性角結膜炎と急性出血性結膜炎は第三種の感染症に含まれ、第三種の感染症にかかった者の出席停止の期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでです(同法施行規則第18条第1項・第19条)。本記事では、登校の可否の書面は、医師が自ら診察して作る診断書の一つとして扱います。
13. 関連業態・シリーズ導線
歯科医院の記事は、同じ外来の診療所で、診療録の草案化から始める組み立てを見比べるときに読めます。
調剤薬局の記事は、本記事の処方箋の交付の先で、薬局の側の疑義照会と記録の扱いを知るときに読めます。
業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。
14. この記事を自社に当てはめたい方へ
日帰り手術や視能訓練を行うか、指定届出機関の指定を受けているかで、最初に並べる記録と義務者は変わります。
15. 無料AI戦略診断/AI顧問
AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自社のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。
自社の業務に沿って一緒に設計したい方には、AI顧問サービスがあります。まず話を聞いてみたい方は、お問い合わせから30分の無料リモート面談をご利用ください。
