「宅建の法定講習って、結局どこで受ければいいの?」「費用はいくらかかるの?」――宅地建物取引士証(宅建士証)の更新が近づいてきて、こんな疑問を抱えていませんか。
5年に一度しか向き合わない手続きなので、いざ更新の時期になると「何から手をつければいいのかわからない」と戸惑ってしまう方は少なくありません。
先に結論からお伝えします。法定講習は、宅建士証(有効期間は5年)の交付や更新を受けるときに受講する講習で、原則として「あなたが登録している都道府県」の知事が指定する講習(各都道府県の宅建協会などが実施)を受けることになります。とくに5年ごとの更新では必須です。一方、試験に合格してから初めて宅建士証の交付を受ける場合は、合格から1年を超えて申請するときに受講が必要で、合格から1年以内の交付なら原則として受講は不要です(詳しくは後ほど整理します)。費用の代表的な目安は、受講料12,000円+宅建士証の交付申請手数料4,500円の合計16,500円ほどです。ただし、この金額や申込方法・日程は都道府県によって異なるため、最後は必ず登録先の都道府県の公式ページ、または知事が指定する講習実施機関(宅建協会など)の公式案内で確認してください。
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このページでは、宅建士証の更新が必要な有資格者のあなたに向けて、(1)法定講習とは何か(登録講習・登録実務講習との違い)、(2)どこで受けられるか(受講先・Web受講・引っ越し時)、(3)費用の内訳、(4)内容・日程・当日の流れ、を一次情報に注意しながらひとつずつ整理していきます。
宅建の法定講習とは?登録講習・登録実務講習との違い
宅地建物取引士は、土地や建物の売買・貸借といった、人生でも大きな財産が動く取引に深く関わる資格です。それだけに、宅建には学習や登録のさまざまな段階で受講する講習がいくつもあり、名前が似ているため混同されがちです。
まず、宅建にまつわる代表的な3つの講習を整理しておきましょう。ここを取り違えると、必要のない手続きに時間とお金を使ってしまうことになりかねません。
- 登録講習(5問免除の講習):宅建業に従事している方が、宅建試験で問46〜50の5問免除を受けるための講習。修了すると本試験を45問で判定してもらえます。
- 登録実務講習:宅建試験に合格したものの、実務経験が2年に満たない方が宅建士の登録をするために受講する講習(2年分の実務経験の代わり)。修了試験があります。
- 法定講習:宅地建物取引士証(宅建士証)の交付・更新を受けるために受講する講習。5年ごとの更新時に必須で、修了試験はありません。
このうち、本記事のテーマである法定講習は「3番目」です。宅建業法第22条の2(宅地建物取引士証の交付等)に基づくもので、宅建士証の交付申請をする前の6か月以内に行われる、登録先の都道府県知事が指定する講習を受講しなければならない、と定められています。宅建士証の有効期間は5年なので、最初の交付のときだけでなく、5年ごとの更新でも法定講習の受講が必要になります。
宅建の登録講習については、こちらのページで詳しく解説しています。法定講習と名前が似ていますが、目的も対象者もまったく別の講習なので、ご注意くださいね。
そもそも宅建は「受験資格なし」――合格から法定講習までの段階を整理
法定講習の話に入る前に、宅建の資格をめぐる段階を一度整理しておくと、自分がいまどこにいるのかがはっきりします。
宅建(宅地建物取引士)の試験には、学歴や実務経験などの受験資格はありません。誰でも受験できる国家資格です。一方で、合格したあとに宅建士として働くまでには、いくつかの段階があります。
- (1) 試験に合格する:合格に有効期限はなく、一生有効です。
- (2) 資格登録をする:2年以上の実務経験があるか、なければ登録実務講習を修了して登録します。
- (3) 宅建士証の交付を受ける:このときに法定講習を受講します(合格から1年以内の交付なら受講不要)。
- (4) 5年ごとに更新する:更新のたびに法定講習を受講します。
このように、「受験資格」「登録の要件(実務2年または登録実務講習)」「宅建士証の交付・更新(法定講習)」は、それぞれ別の段階です。法定講習が登場するのは(3)と(4)の場面、つまり宅建士証を手にする・更新するときだと覚えておけば十分です。
宅建の法定講習はどこで受講できる?受講先・Web受講・申し込み方法
ここからは、もっとも気になる「どこで受ければいいのか」を見ていきましょう。
宅建の法定講習は、全国の好きな場所で自由に受けられるわけではありません。原則として、あなたが宅建士の登録をしている都道府県の知事が指定する講習を受講することになります。実際の運営は、各都道府県の宅地建物取引業協会(宅建協会)などが担っており、月に数回ほど開催されているのが一般的です。
今日は宅建士の法定講習に来ました。
5年ぶり3回目です。 pic.twitter.com/sFtLYx18hd
— 🌾稲本隆(司法書士) (@officeinamoto) December 15, 2022
具体的な会場・日程は、各都道府県の宅建協会のWebサイトで確認できます。日時はあらかじめ決められていることが多いので、都合のよい日を選んで予約・申し込みをして受講する流れです。お住まいの地域名(東京・神奈川・埼玉・大阪など)と「宅建 法定講習」で検索すれば、登録先の協会の案内ページにたどり着きやすいでしょう。なお、どの都道府県の協会で受けられるかは登録地によって決まるため、「会場が近いから」という理由だけで別の都道府県の講習を選べるわけではない点に注意してください。
Web(eラーニング)で受けられる都道府県もある
「平日に会場へ行くのは難しい」という方に向けて、近年はWeb受講の選択肢も広がっています。
令和4年(2022年)10月以降、従来の会場での座学に加えて、Web方式(eラーニング)での法定講習を実施する都道府県が出てきました。Web受講では、配信される動画を視聴し、内容を確認するための効果測定(確認テスト)を受けて、受講を完了させる、といった流れが一般的です。「宅建 法定講習 eラーニング」「神奈川 WEB」などで検索する方が多いのも、この選択肢を探しているからですね。
ただし、Web受講に対応しているかどうか、申し込み手順やログイン方法は都道府県によって異なります。座学のみという地域もありますので、Web受講を希望する場合は、必ず登録先の都道府県の公式ページ、または知事が指定する講習実施機関(宅建協会など)の公式案内で対応状況を確認してください。
引っ越し・登録の移転をしたときはどうなる?
転勤や引っ越しで登録した都道府県を離れている方は、「結局どこで受けるの?」と悩みやすいところです。
まず押さえておきたいのは、住所が変わっただけでは、宅建の「登録の移転」にはならないという点です。引っ越して住民票を移しても、宅建士の登録先の都道府県は自動的には変わりません。住所が変わったときに必要なのは、登録先の都道府県への変更登録(住所等の変更届)であり、これは登録の移転とは別の手続きです。
登録の移転(宅建の登録を別の都道府県へ移すこと)は、原則として、転居先(移転先)の都道府県内にある宅建業者の事務所で働いている、または働く予定がある場合に検討する手続きです。単なる引っ越しだけで誰でもできるわけではありません。たとえば東京都で登録している方が大阪府の宅建業者で勤務する場合などに、登録の移転をすれば、移転先の大阪府で法定講習を受けられるようになります。一方、移転先で宅建業に従事していないなど登録の移転をしない(できない)場合は、原則として登録のある(転居前の)都道府県まで赴いて受講し、住所等の変更登録もあわせて確認することになります。
先日建築の話題になったので、眠ってる自分の宅建取引主任者証を確認してみた。そしたら住所変更忘れ案内来ず失効してた😣住所変更登録申請をして来年、山口県で法定講習受けて再交付してこよう。山口県から東京都へ登録変更したいけど、難しいので悩。
証は返納義務があるので、謹んでお返しします🐥 pic.twitter.com/XxtwrnvhBI
— Shoco Sato (@satoshoco) December 17, 2022
遠隔地に住んでいるなど、やむを得ない事情があると認められた場合に、登録していない都道府県で受講できる扱いを設けている地域もありますが、これは都道府県の裁量に委ねられる部分です。「どこでも必ず受けられる」と言い切れるものではないので、希望する地域で受講できなかった場合は、次のような選択肢を検討することになります。
- 登録のある都道府県へ赴いて、指定の会場で法定講習を受ける
- 有効期限が切れる前に、転居先の宅建業者へ就職して登録の移転を行う
- 当面は更新を見送る(宅建士証の交付・更新は、業務に従事しないなら急がなくてもよい)
なお、宅建士証を更新しなくても、宅建の資格登録そのものが失効することはありません。詳しくは費用の章でも触れますが、宅建業に従事して宅建士証が必要になったタイミングで、改めて法定講習を受ければ大丈夫です。
申し込み方法は「オンライン・窓口・郵送」が基本
法定講習の申し込み方法は、大きく次の3つに分かれます。
- オンラインでの申し込み
- 窓口での申し込み
- 郵送での申し込み
ただし、すべての都道府県でこの3つがそろっているわけではありません。また、氏名・住所・本籍などに変更がある場合は、法定講習の申し込みと合わせて変更登録申請も必要になります。申込方法の詳細は、各都道府県の宅建協会のWebサイトで必ず確認してくださいね。なお、引っ越しや改姓などで現在登録している都道府県(宅建協会)の窓口がわからない場合は、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
宅建の法定講習の費用はいくら?受講料・交付手数料の内訳と会社負担
費用は、更新を控えた方がもっとも気になるポイントですよね。結論から言うと、法定講習そのものの受講料と、宅建士証の交付申請手数料の2つが基本になります。
代表的な目安(東京都の例)は、次のとおりです。
- 法定講習の受講料:12,000円ほど
- 宅地建物取引士証の交付申請手数料:4,500円
- 合計:16,500円ほど
これらの費用は、法定講習を申し込む際に支払うのが一般的で、受講当日に改めて支払う必要はありません。ただし、この金額はあくまで目安であり、都道府県によって異なります。最新の正確な金額は、必ず登録先の都道府県の公式ページ、または知事が指定する講習実施機関(宅建協会など)の公式案内で確認してください。
申し込みに必要な書類
法定講習を申し込んで受講するにあたっては、おおむね次のような書類が必要になります。
- 宅地建物取引士証交付申請書
- 法定講習受講申込書・受講票
- 証明写真(カラーで同一の写真を数枚。縦3cm×横2.4cm、正面・無帽・無背景、6か月以内に撮影したものなど)
- 印鑑(押印済みなら不要。シヤチハタ不可とされることが多い)
- 現在の宅地建物取引士証(交付を受けている方)
- 返信用封筒
こうした必要書類や写真の規格も都道府県によって細かく異なりますので、詳細は各協会のWebサイトで確認するようにしましょう。
写真代・交通費や「会社負担」も確認しておこう
表面的な16,500円だけでなく、見落としやすい費用にも目を向けておくと安心です。
たとえば、証明写真の撮影代、郵送費、会場までの交通費などは別途かかります。会場が遠方にある場合は、交通費が思いのほか負担になることもあります。
また、勤務先の不動産会社などで働いている方は、法定講習の費用が会社負担になるのか、自己負担なのかを、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。会社負担の場合は、領収書や受講案内の提出を求められることがあります。なお、ここで扱っている費用は「宅建士証の交付・更新(法定講習)」にかかるものであり、合格直後の登録手数料や、実務経験が足りない方が受ける登録実務講習の費用とは別物です。混同しないように整理しておきましょう。宅建士証そのものの位置づけや手続きについては、宅建士証(取引士証)の記事もあわせてご覧ください。
宅建の法定講習の内容・スケジュール(日程)と当日の流れ
「法定講習って、試験みたいに難しいの?」と身構えている方もいるかもしれません。ここでは、内容と当日の流れ、申し込みのタイミングを見ていきましょう。
まず安心していただきたいのが、法定講習には修了試験がありません。登録講習や登録実務講習には修了試験がありますが、法定講習は、遅刻せずに講義を最後まで受講すれば修了できます。会場受講では、その日のうちに新しい宅建士証を受け取れる例が多い一方、Web受講や地域によっては後日郵送・窓口交付になる場合もありますので、交付方法は受講案内で確認しておきましょう。いずれにしても、難易度を心配する必要はないでしょう。
講習の内容は、直近5年間の法令改正・税制改正や新しい判例のうち、実務に関係の深い部分が中心です。5年ぶりに実務の最新ルールをアップデートする、という位置づけですね。
当日のスケジュール(東京都の会場の例)
内容やスケジュールは都道府県・会場によって変わりますが、東京都のある会場では、おおむね次のような1日の流れで進みます。
受付:9時30分〜9時50分(遅刻した場合は後日に再受講)
1時限目(10時〜11時30分):改正法令の主要な改正点と実務上の留意事項
お昼休憩(11時30分〜12時30分)
2時限目(12時30分〜14時30分):紛争事例と関係法令および実務上の留意事項
3時限目(14時40分〜15時40分):宅地建物取引士の使命と役割
4時限目(15時55分〜17時05分):改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項
宅建士証の交付:17時05分〜17時20分
講義が終わると、受講者に新しい宅地建物取引士証が手渡されます(Web受講や都道府県によっては、後日郵送になる場合もあります)。
申し込みは「有効期限の6か月前」から
更新の法定講習は、現在持っている宅建士証の有効期限の6か月前から予約・申し込みができるのが一般的です。
毎月開催されているとはいえ、人気の日程はすぐに埋まってしまうこともあります。有効期限が迫ってから慌てないよう、案内が届いたら早めに動いておくと安心です。
あなたの状況別・いま何をすればいい?
最後に、読者の状況ごとに「次にやること」を簡単に整理しておきます。
- 宅建士証の更新時期が近い方:有効期限の6か月前から、登録先の宅建協会で法定講習を予約しましょう。
- 合格後1年を超えて初めて交付を受ける方:交付申請の前6か月以内に法定講習の受講が必要です。
- 合格から1年以内に交付を受ける方:この場合は法定講習を受講せずに交付を受けられます。
- 有効期限が切れてしまった方:資格登録自体は有効です。改めて法定講習を受講し、宅建士証の交付申請を行えば、新しい宅建士証の交付を受けられます。
- 当面は宅建士として働く予定がない方:宅建士証の交付・更新を急ぐ必要はありません。必要になったときに法定講習を受ければ大丈夫です。
更新をしないまま宅建士証を失効させてしまうと、有効な宅建士証がないあいだは、重要事項の説明(35条書面)など宅建士としての独占業務ができなくなります。実務に従事する予定がある方は、有効期限に十分注意してくださいね。
まとめ|法定講習は5年ごとの宅建士証更新に必須・費用と受講先は公式で確認
宅建の法定講習について、受講先・費用・内容のイメージはつかめたでしょうか。最後に要点を振り返っておきましょう。
- 法定講習は、宅建士証(有効期間5年)の交付・更新に必須の講習です(宅建業法22条の2)。
- 受講先は、原則として登録している都道府県の宅建協会などが実施する指定講習です。
- 費用の目安は受講料+交付申請手数料で合計16,500円ほどですが、金額・日程・申込方法・Web受講の可否は都道府県で異なるため、必ず公式案内で確認しましょう。
- 「登録講習(5問免除)」や「登録実務講習」とは別物です。混同しないようにしましょう。
宅建士証は5年ごとの更新が必要ですが、手続きそのものは難しいものではありません。案内が届いたら早めに動き、登録先の宅建協会の公式情報を確認しながら進めれば安心です。
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