試験が迫ると、どんなに勉強をしてきた方でも、不安になってしまうことが多いと思います。
しかし、この一週間こそ、自分を信じて戦略的に過ごすことが大切です。というのも、実際、ラスト一週間の過ごし方次第で力を大きく伸ばす方が多いからです。
そこでこの記事では、私や知人の受験時の経験から、合格を掴むために最適と考えられる直前期の対策についてお伝えします。
直前期の過ごし方については様々な方法があると思いますが、少しでもあなたが社労士試験に合格するために役立つと嬉しいです。
目次
- 1 何よりも「体調管理」が第一
- 2 まずは、直前期の勉強計画を立てる
- 3 試験時間に合わせて勉強する
- 4 基本的な考え方 ~新しいことには手を出さない!
- 5 直前対策は過去問を中心に ~社労士試験は過去問の焼き直しが多い
- 6 とにかく基本事項を押さえる ~出題の7割以上が基本事項から
- 7 足切りを避けるため、苦手な項目は重点的に
- 8 法改正部分は重要! ~ただし、法改正初年度分は基礎的なことしか出題されない
- 9 選択式では目的条文が頻出! 声を出して五感で覚える
- 10 過去問で間違えたところはテキストに集約する
- 11 「直前にチェックした問題が出題された!」は偶然か?
- 12 横断整理
- 13 一般常識の統計・白書対策
- 14 前日までに、持ち物や交通手段&移動スケジュールの確認をすませておく
何よりも「体調管理」が第一
社労士試験までラスト1週間は、何といっても体調管理が重要です。
近年は感染症拡大下での試験実施であり、体調が悪い方は会場に行っても受験すらさせてもらえない可能性があります。
すべての試験会場で入場時に検温を行います。試験会場において 37.5 度以上の発熱が確認されるなど新型コロナウイルス感染症の感染の疑いがある場合は、感染拡大防止のために必要な措置として受験をお断りいたします。また、試験会場に来られた場合でも、咳を繰り返すなどの体調不良がみられる等一定の場合には、試験監督者等の判断で受験をお断りすることがあります。
まずは、睡眠不足には気をつけてください。1分でも多く勉強したい気持ちは分かりますが、無理して体調を崩しては元も子もありません。
試験は日中ですから、これまで夜型だった方は昼型に戻しましょう。体調のピークを当日の試験時間帯に持っていけるよう、意識した過ごし方が必要です。
理想をいえば、1週間前からは、試験当日と同じ時間に起きて、試験時間帯に合わせて勉強するのが望ましいです。
働いている方も多いので、そのような生活は難しいかも知れませんが、前日や前々日など、休みが取れるようなら、1~2日間だけ実行するのでも有効です。
繰り返しになりますが、
直前期は体調を整え、試験当日にピークを持っていく時期
ということを徹底して欲しいと思います。
まずは、直前期の勉強計画を立てる
いよいよ直前期の勉強について・・・ですが、いきなり勉強を始める前に、1つ質問です。
あなたはラスト1週間の勉強計画を立てているでしょうか?
ただでさえ、直前期・ラスト1週間は不安なもの。どんなに勉強していても「大丈夫だろうか?」と不安になってしまいます。
実は、直前期に不安になり、視野が狭くなって「たいして重要でもない、自分が不得意なところ」ばかり勉強してみたり、
勉強に身が入らず、机に座ってテキストや過去問題集を開いているにも関わらず、全然ぺーじが進まない、という方は多いのです。
以上のようなことを避けるために、この記事を最後まで読んだ後、書かれていることを参考にして、ラスト1週間の勉強計画を立ててみてください。
- 睡眠・食事・仕事(学業)以外の時間はすべて勉強時間に設定
- それぞれの勉強時間に何をするかを決定
この計画を立てたら、あとは何も考えず、計画通りに進めていくだけです。
直前期の不安・悩みに打ち勝つためにも、まずは勉強計画を作ってしまいましょう。
試験時間に合わせて勉強する
体調管理のところでも触れましたが、実際の試験時間に合わせて勉強することは大切です。
なぜなら、普段からその時間帯に勉強することにより、その時間帯に脳の活性化が最大になるからです。
試験当日の試験時間帯にピークを持っていく技術の1つなのです。
基本的な考え方 ~新しいことには手を出さない!
前述のとおり、直前期には不安になりますので、つい
「新しいテキストを買ってさらに知識を増やそう」
と考えてしまう方がいます。
しかしこれは、もっともやってはいけないこと(禁じ手)。
ちょっと考えれば分かると思いますが、1週間前に新しいテキストを購入して、どれだけ読み進めることができるでしょうか?
また、書店に行けば「重要ポイントまとめ」なども売っていますが、そのような本を中心に勉強しても効果があるのかは疑問。
詳しくは後述しますが、直前期には、これまで使ってきた過去問題集を中心に、過去問対策を徹底することです。
一方、「新しいことには手をださない」には例外もあります。
- 横断事項の整理
- 一般常識の白書・統計対策
これらについては、まとめテキストをチェックしたり、予備校のWeb講座を視聴したりするのはアリでしょう。
ただし、あくまで直前対策の中心は過去問対策ですから、横断整理などは、できるだけ時間をかけずにポイントを押さえるようにします。
直前対策は過去問を中心に ~社労士試験は過去問の焼き直しが多い
直前対策は過去問を中心に行います。これまで使っていた過去問題集などを使い、できれば過去5~10年分の問題は解きたいところです。
模擬試験などを受験していれば、その問題も含めて解いていくのが良いでしょう。
なぜ過去問対策が重要なのかといえば、
社労士試験には、過去問からの焼き直しが多い
というのが理由です。
過去問は時間内に解き切る
過去問を解く際に重要なのは、「本試験の時間内に解く」ということ。
たとえば1年分の択一式(70問)であれば、210分(3時間30分)の間に解くようにする、ということです。
- 210分で70問 = 1問あたり3分 ⇒ 1肢あたり30秒で検討!
これには2つの理由があります。
- 1週間のうちに過去問5~10年分を解くためには、スピードが必要
- 本番で問題を解くスピードに慣れる
ということです。
正直なところ、働いている人が1週間で10年分というのは難しいかも知れません。その場合は、択一式を中心に5年分でもよいでしょう。
要は、できるだけ多くの過去問に本試験と同じスピードで触れること。
こうすることで、重要な論点を網羅的に押さえる(思い出す)ことができるのです。
とにかく基本事項を押さえる ~出題の7割以上が基本事項から
直前期はとにかく、基本事項を押さえることを徹底してください。
社労士試験の出題の7~8割が基本事項であり、理論的には、基本事項を完全に押さえれば間違いなく合格できます。
毎年出題が3割にも満たない奇問・難問に時間を取られるのは勿体ないです。
人によっては「理解できない問題があるのは悔しい」と難問の理解にこだわる人がいますが、
あなたの本来の目的は「社労士試験に受かること」のはず。
次回の試験にまず出題されることもない「過去の奇問・難問」に時間を費やすことは、無駄以外の何物でもありません。
過去問を解いていく回数を増やしていけば、「どれが難問なのか」すぐに検討がつくようになります。
そうした問題には時間をかけず、基本的な問題に集中し、しっかり対応できるようにしましょう。
足切りを避けるため、苦手な項目は重点的に
ご存知のとおり、社労士試験には各科目に足切りが設定されています。
全体として試験の出来がどんなに良かったとしても、1科目でも足切りに引っ掛かってしまうと不合格です。
つまり、苦手な部分があるのであれば、直前期に徹底した対策が必要です。
過去問をしていて苦手な項目が出てきた場合、間違えた場合はもちろん、正解した場合でも解説をきちんと確認し、完全に理解できているかどうか確認します。
不安な個所はテキストに戻り、該当部分の復習を行いましょう。
苦手科目ではなく、苦手項目に集中
よく、「徴収法が苦手だから、徴収法の復習を徹底する」などという方がいます。
一般的には悪い考え方ではないのですが、直前期だと、ちょっと勿体ない考え方です。
というのも、1つの科目の中でも、あなたにとって「得意な項目」「不得意な項目」などがあるはず。
つまり、項目単位で「苦手なもの」を潰していくことが重要です。
たとえば、「労働基準法のなかで、解雇や労働時間の関連の知識があいまい」と感じれば、その部分だけテキストを読みなおす、など。
このように苦手部分をピンポイントで意識して潰していかないと、テキストを全て見直さないと不安になります。その結果、過去問演習の時間が足りなくなる・・・といった泥沼にハマってしまいますので、注意してください。
苦手項目以外は、過去問の解説でインプットすること。
そして、自分を客観視し、苦手項目を明確にして対策を集中することを心掛けてください。
法改正部分は重要! ~ただし、法改正初年度分は基礎的なことしか出題されない
社労士試験において法改正部分は重要です。
古いテキストや過去問題集を使っている人はいないと思いますが、古い教材だと法改正部分が反映されていないことがありますので、注意してください。
なお、法改正初年度の部分については、基礎的な事項しか出題されない傾向にあります。
言い換えれば、得点しやすい問題が多いということです。法改正部分は、深く学習することより、基礎的事項をすべて網羅する(浅く広く)を心掛けてください。
選択式では目的条文が頻出! 声を出して五感で覚える
目的条文とは、各法令の目的が書かれている条文のことで、各法令の第1条の多くが該当します。
選択式は、いわゆる「穴埋め問題」ですが、この目的条文の穴を埋めるような問題の出題頻度が高いです。
そのため、主要法令の目的条文については、一度読んでおくことをおすすめします。
さらに、ただ目で追いかけるだけでなく、発声するのもおすすめ。
社労士試験は暗記の試験。暗記においては、視覚だけでなく、五感をフルに活用すれば、記憶が定着しやすくなります。
- 目で視て、声に出し、耳で聞く
このようにして、記憶を確実なものにしていきましょう。
過去問で間違えたところはテキストに集約する
過去問を解いて間違えた箇所・知識が曖昧な個所は解説を読んで理解するだけでなく、時間が許す限り、テキストの該当部分にあたるようにします。
そして、テキストはただ読むだけでなく、自分が間違いやすいところなどをテキストに書き込んで行くようにします。
というのも、「文字を書く」というのも五感の1つ(触覚)を使っているわけですから、記憶の定着が進みます。
また、試験当日にテキスト一冊だけ持ち込むだけで、自動的に情報が集約されている状態となっているのです。
あなたの弱点・注意が必要な事項は、テキスト一冊に集約するのがセオリーと心得ましょう。
「直前にチェックした問題が出題された!」は偶然か?
受験経験者のTwitterやブログを読むと
「試験直前に見直した部分が、そのまま出題された。神様のご加護かと思った」
などと書かれた投稿を散見します。
果たして、これは偶然でしょうか?
もちろん、このようなことは偶然ではなく、必然です。
前述のとおり、過去問の焼き直しが多い社労士試験。
過去問を5年~10年分も復習すれば、その中から同じような問題が出題されるのは当然です。
つまり、直前対策を真面目に行った人が「直前にチェックした内容がそのまま出た」と感じる可能性は、統計的に限りなく高いのです。
真面目に対応すれば、思いがけないラッキー(と思えるようなこと)が起こるのが社労士試験といえるでしょう。
横断整理
「直前期に新しいことには手を出さない」
がセオリーですが、「横断整理」と次項で説明する「一般常識の統計・白書」の対策だけは例外です。
まず、横断整理です。
社労士試験では、各科目間における類似点や共通点が多いという特徴があります。
もちろん、相違点もありますので、そういった項目を整理して確認するだけで、頭のなかも整理され、記憶が定着する効果があります。
ただし、直前期は過去問対策が中心なことに変わりはありませんので、横断整理などについては、ポイントを絞った教材やWeb講座などを利用することがおすすめです。
スキマ時間などを活用できるものもよいですね。
※横断整理について詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。
一般常識の統計・白書対策
最新の白書の内容は、発表時期の関係で最新の市販テキストにも掲載されていません。
資格スクールの講座を受講されている方は、スクールにおいて当然フォローがありますが、独学の方はそうもいきません。
そのため、直前期に対策テキストを利用するのもアリでしょう。
また、その他の一般常識も最新情報は直前期に発行されたテキストのほうが充実しているため、対策テキストを利用する価値はあります。
時事に関する問題や、年度ごとに内容が変わるものは、当然ながら過去問では対応できないため、直前期の対策テキストなどを使って、時間をかけずに、ひととおり押さえておくようにしましょう。
前日までに、持ち物や交通手段&移動スケジュールの確認をすませておく
いよいよ試験前日。
まず重要なのは、前日は早起きをするということ。ただでさえ、試験前日の夜は緊張して寝つけないものなのに、朝寝坊をしていては、さらに寝つけなくなります。
また、試験当日の持ち物や交通手段&移動スケジュールは、前日の早い段階までに確認しておきましょう。
不安要素・不確定要素はできる限り潰し、試験に集中できる環境を作ることが重要です。