今回は社労士の年収や給与に関する記事です。
社労士はとても実務に対するニーズも大きい職業であり経営者からの需要も高いため、これから社労士になろうとする方にとって、年収や給与は当然気になりますよね。
この記事では、そんな社労士の年収・給与事情の実態を、本音ベースで具体的かつ分かりやすくまとめてみましたので、よかったら参考にしてください。
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社労士の年収は働き方によって大きく変わる
「せっかく長い期間をかけて難しい試験の合格を目指すのだから、年収は高い方が良い」と考えるのは普通ですよね。
社会保険労務士(社労士)の年収が安いのか高いのかは、働き方によって大きく変わります。
社労士の働き方は「勤務型」と「独立型」の大きく2つ
「勤務型」とは、一般企業や社労士事務所などに勤務するもの。一方の「独立型」とは、その名のとおり独立開業するタイプであり、社労士の働き方は大きくこの2つに分かれます。
勤務型は、いわゆる「雇われ」ですから収入は安定していいます。
一方の独立開業型は、自分で営業して顧客や仕事を獲得するため収入は不安定ですが、頑張り次第では平均を大きく超える年収を目指すことも可能です。
さらに勤務型は、以下のような3つのキャリアパスに大きく分けることができます。
- 企業の人事や総務部門の社労士として働く⇒社内の人事や総務部門に所属して、その会社の規模や方針で違う仕事をする
- 社会保険労務士事務所で働く⇒小規模から大規模まで社会保険労務士事務所に雇用されて働き続ける
- 経営コンサルティング会社や会計事務所で働く⇒コンサル系企業で資格取得の知識を活かして経営改善の相談に乗る
自分が所属する組織によって、給料やボーナスには大きな違いがあります。
上記に加えて、勤務社労士として経験を積んだ中から、独立する方が出てくるわけです。
このように、社会保険労務士(社労士)は個人の働き方によって年収が安くもなるし高くもなるわけです。
社労士の具体的な業務内容は?
社労士の資格を取得後、どのような業務を仕事にるのか、気になるところでしょう。
原則として、社会保険や労働保険の関係、およ企業の人事・労務に関する仕事を行います。このように、社労士の仕事の幅は広いことが特長の1つと言えるでしょう。
企業経営のおいて、人材(ヒト)は非常に重要な資源であり、その人材に関する専門家である社労士は、会社の発展には欠かせない存在です。
以下では、社労士の専門業務について、詳細に見ていきましょう。
書類の作成や提出代行などの1号業務
社会保険労務士(社労士)の代表的な仕事内容は1号業務で、書類を作成したり提出を代行したりします。
具体的にどのような書類の作成や提出代行を行うのかまとめてみました。
- 社会保険の資格取得や助成金の申請などの労働社会保険諸法令に基づく提出すべき申請書類を作成する
- 作成した書類を行政官庁(労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所)に提出する手続きを代行する
- 申請書類や行政官庁等の調査や処分に関して、事業主の依頼を受けて代理人として主張や陳述を行う
これらの1号業務は、社会保険労務士(社労士)の資格保有者にしか認められていない独占業務です。
例えば、「司法書士の独占業務は法務局に対して申請を行う書類の作成」「税理士の独占業務は税務書類の作成や手続き代理」など法律で細かく定められています。
司法書士や税理士などの士業と同じで、労働社会保険諸法令に基づく書類の作成や提出代行は社会保険労務士(社労士)にしかできない独占業務というわけですね。
帳簿書類の作成などの2号業務
社会保険労務士(社労士)の2号業務も、資格保有者にしか認められていない独占業務です。
2号業務は帳簿書類の作成で、会社で備えつけておくべき労働社会保険諸法令に基づく書類の作成をサポートします。
具体的に社会保険労務士(社労士)の2号業務の仕事内容をいくつか見ていきましょう。
- 就業規則の作成:始業や就業時間、賃金や休日など労働者が会社内で守るべき法律のような書類(労働基準監督署に提出の義務がある)
- 労働者名簿の作成:働いている労働者の氏名や年齢、生年月日や住所が定められている書類(労働者が常時30名以上いる会社での作成が義務付けられている)
- 賃金台帳の作成:正社員や契約社員、パートやアルバイトなど全ての労働者に賃金を支払う度に作成する書類(労働基準監督者の調査で必ずチェックされる)
これらの書類を作成するに当たり、専門的な知識や経験が欠かせません。
誰にでもできる仕事内容ではありませんので、正しい知識を持ち合わせた社会保険労務士(社労士)が担っています。
※独占業務である1号業務と2号業務については、下記の記事も参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-dokusen-gyoumu/
指導やコンサルティングなどの3号業務
社会保険労務士(社労士)の3つめの仕事内容は3号業務で、労働法や社会保険に関する指導やコンサルティングです。
社会保険労務士(社労士)になると書類の作成や提出代行に加えて、人事や労務関係の相談や指導も同時に行います。
例えば、近年では派遣や非正規雇用など労働問題や賃金制度に関する相談が増えました。
不況による影響で企業は人件費をなるべく抑えたいと考えますが、非正規雇用者と事業主の間で様々な問題が起こります。
その問題を解決するための専門的な知識を持ち合わせているのが社会保険労務士(社労士)です。
企業が抱える問題を洗い出して相談業務に応じ、その実情に即した適切なアドバイスを行っていきます。
パワハラやセクハラなど、職場に関するトラブルが発生した時に争いを解決に導くサポートも社会保険労務士(社労士)の仕事ですよ。
しかし、企業への指導やコンサルティングは社会保険労務士(社労士)の独占業務ではありません。
資格の勉強で得た知識だけではなく、あなた個人の能力やスキルが問われる重要な仕事です。
※社労士のコンサルティング業務(3号業務)については、下記の記事も参考にしてください。
社労士の平均年収をまとめてみた
前項で見たとおり、国家資格の社会保険労務士(社労士)は、企業の各種保険に関する書類の作成や労務関係のコンサルティング業務を行います。
独立開業だけではなく企業の人事部や総務部でも活躍できる実用的な資格ですので、社会保険労務士(社労士)の試験に合格した後に稼げるのかどうかは気になるところです。
以下では、年齢別で社会保険労務士(社労士)の平均年収やボーナスの金額のデータをまとめてみました。
20歳~24歳:290.0万円~320.0万円
25歳~29歳:456.5万円~506.5万円
30歳~34歳:480.8万円~580.8万円
35歳~39歳:497.1万円~601.1万円
40歳~44歳:554.4万円~675.4万円
45歳~49歳:634.4万円~756.4万円
50歳~54歳:700.4万円~810.4万円
55歳~59歳:693.7万円~803.7万円
60歳~65歳:447.0万円~803.7万円
20歳~24歳:80.0万円
25歳~29歳:126.6万円
30歳~34歳:145.2万円
35歳~39歳:150.3万円
40歳~44歳:168.8万円
45歳~49歳:189.1万円
50歳~54歳:202.6万円
55歳~59歳:200.9万円
60歳~65歳:136.8万円
厚労省の調べによると、全年齢を合わせた社会保険労務士(社労士)の平均年収は526万円と統計が出ています。
給料の高い職場では、年収600万円や年収700万円ほどもらえるところは少なくありません。
しかし、給料の低いところだと社会保険労務士(社労士)の資格を持っていても、年収500万円を下回る職場もありますね。
※なお、本項以降のデータは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査や国税庁などのデータを元に独自集計したものですので、あくまでご参考程度と考えて頂ければと思います。
賃金構造基本統計調査:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou_a.html
企業の規模別の社会保険労務士(社労士)の平均年収
次に年齢ではなく、所属している企業の規模別で社会保険労務士(社労士)の平均年収を見ていきましょう。
10人~99人:512.3万円
100人~999人:398.7万円
1,000人以上:573.3万円
総合計平均:499.7万円
参考:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
会社の規模でも、社会保険労務士(社労士)の給料や年収の額が大きく変わることがわかります。
「働いてから10年未満の20代は400万円を超えたい」「責任のある仕事を任される30代は450万円を超えたい」「マネジメントや人材教育を行う40代以降は600万円を超えたい」といった目安がありますが、働いている企業で年収の上限は決まってしまうのです。
「今の給料が安い」と不満を抱えている社会保険労務士(社労士)は、転職や独立を選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
男性と女性で社会保険労務士(社労士)の年収は違う?
社会保険労務士(社労士)の年収は、男性と女性でそこまで大きな違いはありません。
フルタイムで働く正社員の場合、性別に関わらず同じくらいの給料をもらうことができます。
そもそも、「女性でも社会保険労務士(社労士)になれるの?」と疑問を抱えている方はいませんか?
税理士や弁理士など他の士業と比較してみると、社会保険労務士(社労士)は女性の割合が高いのが特徴ですね。
男性の社会保険労務士(社労士)が6割くらいなのに対して、女性は4割くらいになります。
なぜ他の士業とは違って女性の社会保険労務士(社労士)が多いのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 数字を取り扱う細かい事務作業が多く、正確さと緻密さが要求される仕事が女性に向いている
- 独立して開業する以外にも様々な働き方が用意されている
- 仕事と子育ての両立がしやすい(出産や育児で一度仕事を離れても資格を持っていると再就職しやすい)
今後も女性の社会保険労務士(社労士)は増えるのではないかと予想できます。
社会保険労務士(社労士)は仕事が大変な割には年収が低い!
一般的な視点に立って見てみると、社会保険労務士(社労士)の給料や年収はそこまで低くありません。
しかし、「社会保険労務士(社労士)は仕事や業務が大変な割には年収が低い」と感じている方が多い傾向があります。
なぜ社会保険労務士(社労士)の仕事が大変・辛いと感じる方が多いのか、いくつかの理由を挙げてみました。
- 社会保険労務士(社労士)の業務に関わる法律は法改正が多く、常に知識をアップデートしないと役に立たなくなる
- 社会保険手続きや労務管理、就業規則含む労務コンサルの業務は複雑で正確性が要求される仕事で高い事務処理能力が必要
- 責任感の重い仕事なのにも関わらず、地道な作業ばかりで華やかな仕事とは言えない
- 独立開業するとお客様の都合で勤務時間や休日が決まるため、長期休暇を取るのが難しい
「これだけ働いているのに○○○万円しかもらえないの?」と不満を抱いている方は少なくありません。
社会保険労務士(社労士)の給料や年収をアップする方法
このページでは、社会保険労務士(社労士)の給料や年収をどうアップさせれば良いのか解説していきます。
役職が高くなれば年収700万円以上は夢ではありませんが、例えば年金機構の正規職員として働く社会保険労務士(社労士)はそこまで給料は良くありません。
「社会保険労務士(社労士)の資格を取得して今よりも高収入を得たい!」と考えている方は要チェックです!
年収の良い職場に転職する
社会保険労務士(社労士)の年収をアップさせる手っ取り早い方法は転職です。
今よりも給料の高い職場に転職できれば、自然と年収はアップしますよ。
応募資格の必須条件の中に、社会保険労務士(社労士)と記載されている求人はほとんどありません。
社会保険労務士(社労士)の資格を持っているだけで内定時の条件や待遇が良くなるとは限らないものの、転職先の選択肢の幅は確実に広がります。
大企業の中でも、社会保険労務士(社労士)の資格が役立つ課は次の4つです。
- 人事課
- 経理課(賃金計算)
- グループ企業の厚生労働組合
- グループ企業の福利厚生課
人事課や経理課は、会社の中枢と言っても良いくらい重要です。
前職が中小企業に勤めている方でも、社会保険労務士(社労士)の資格を活かして大企業に転職して年収を上げることは十分にできます。
一般企業ではなく、社労士事務所や法人税理士の税理士事務所への転職も考慮してみてください。
※社労士の転職や就職については、下記の記事も参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-tensyoku/
副業で講師の仕事をする
年収アップの方法として、現在では副業を始める方が増えました。
時代の流れに乗り、副業を許す企業や会社も増えています。
一般企業に勤めている方は、副業で社会保険労務士(社労士)の講師の仕事をして年収アップを図ってみてはいかがでしょうか。
以下では、社会保険労務士(社労士)のセミナー講師で稼げる金額の目安を挙げてみました。
- 1回のセミナーの相場は1時間当たり1万円~2万円程度
- 有名な社会保険労務士(社労士)になると1回当たり10万円以上
有名になるには知識や経験を積む必要がありますが、様々な企業や団体から依頼が来る社会保険労務士(社労士)になれば、本業と副業を合わせて年収1,000万円を目指すのは不可能ではありません。
※社労士の副業については、下記記事も参考にしてみてください。
独立開業する
社会保険労務士(社労士)の資格を活かして独立開業すると、会社員時代よりも稼げる確率が上がります。
継続して安定した収入を得たいのであれば企業や事務所に勤める勤務型の社会保険労務士(社労士)、大幅な年収アップを目指すのであれば開業型の社会保険労務士(社労士)がおすすめですね。
独立開業してフリーの社会保険労務士(社労士)になると、自分で顧客を集めて次の独占業務を提供する形になります。
- 社会保険労務の手続き
- 給与計算
- 書類作成代行
主に専門スタッフのいない中小企業から各種保険に関する手続きやコンサルティングを受注し、社会保険労務士(社労士)にしかできない独占業務を提供して報酬を得るわけです。
独立開業して成功すれば、年収1,000万円超えも決して夢ではありません。
しかし、ノウハウがないまま社会保険労務士(社労士)として開業すると失敗のリスクが高まるため、経験を積むのが大事だと心得ておくべきです。
※社労士の独立開業については、下記の記事も参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-dokuritsu-kaigyou/
社労士の報酬の相場はどのくらい?
独立社労士にとって、年収アップのためには、適切な報酬額の設定が欠かせません。
社労士の報酬額は自由化されていますが、多くの社会保険労務士事務所では自由化される前の金額を元に決めています。
あまりにも相場からかけ離れていると、顧客の満足度を高めることができないので注意しないといけません。
社会保険労務士(社労士)として独立開業しようと考えている方は、報酬基準に関する知識を持っておくべきですね。
ここでは社会保険労務士(社労士)の報酬の相場をまとめていますので、どのくらいの費用に設定すれば良いのか参考にしてみてください。
顧問報酬
社会保険労務士(社労士)で安定した収入を得ている人は、企業と顧問契約を結んでいます。
社会保険労務士(社労士)の顧問契約は、次の8法令に基づいて行政機関に提出する書類の作成や提出代行、労働社会保険諸法令に関する事項の相談や指導を1ヵ月単位で継続的に受託することです。
- 労働基準法(就業規則や事業付属寄宿舎規則を除く)
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法(高年齢雇用継続給付や育児休業給付、三事業の給付申請を除く)
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(労働保険概算や確定保険料申告を除く)
- 労働安全衛生法(許認可申請・設計・作図・強度計算・現場確認などを除く)
- 健康保険法
- 厚生年金保険法(健保や厚生標準報酬月額算定基礎届を除く)
- 国民年金法
毎月顧客から収入が入ってきますので、顧問契約を結んでいる企業の数が多い社会保険労務士(社労士)は稼げます。
顧問契約を結んだ企業から支払われる報酬が顧問報酬です。
今では既に廃止されましたが、社会保険労務士(社労士)の顧問報酬は次のように人員の数で定められていました。
- 4人以下:20,000円
- 5人~9人:30,000円
- 10人~19人:40,000円
- 20人~29人:50,000円
- 30人~49人:60,000円
- 50人~69人:80,000円
- 70人~99人:100,000円
- 100人~149人:130,000円
- 150人~199人:160,000円
- 200人~249人:190,000円
- 250人~299人:220,000円
- 300人~349人:250,000円
- 350人~399人:300,000円
- 400人~499人:350,000円
- 500人以上:別途協議
この人員は、事業主(常勤役員を含む)と従業員を合わせた数です。
つまり、正社員だけではなくパートやアルバイトも含まれています。
手続報酬
社会保険労務士(社労士)の手続報酬は、書類の作成や提出の事務を個別に委託した時に受ける報酬です。
社会保険労務士(社労士)の手続報酬の相場は、下記のように作成する書類で違いがあります。
諸届、報告:15,000円
許認可申請:30,000円
就業規則:200,000円
賃金・退職金・旅費等諸規程:各100,000円
安全・衛生管理等諸規程:各100,000円
寄宿舎規則:100,000円
1人~4人:80,000円
5人~9人:100,000円
10人~19人:120,000円
20人以上:1人増すごとに1,000円を追加
健保・労災給付請求:30,000円
年金(厚年・国年・基金)の給付請求:30,000円
第三者行為による保険給付請求::30,000円
雇用保険三事業による給付請求:資格決定申請は80,000円、支給申請は40,000円
労災保険の特別加入(海外派遣)に係る給付請求:30,000円
その他の申請等:20,000円
30人未満:100,000円
30人以上:協議
一般的な諸報告・提出書類:ボイラー設置報告は60,000円、小型ボイラー設置報告は40,000円
現場確認を要する等複雑な諸報告:事故報告は60,000円、労働者死傷病報告は20,000円
一般的な諸届(共同企業体代表者届・変更届等):20,000円
複雑な諸届:クレーン設置届は210,000円、有機溶剤や特定化学物質の各設置届は100,000円
職業安定法:一般は30,000円、学卒は50,000円
労働者派遣法:一般労働者派遣事業許可申請は200,000円、特定労働者派遣事業届は150,000円、労働者派遣事業廃止届は80,000円
最低賃金法:適用除外申請は30,000円
船員保険法・国民健康保険法:健康保険法や厚生年金保険法の手続報酬に準ずる
労働福祉事業団法・雇用促進事業団法などの各種融資:基本料金100,000円に融資額の0.5%を加算
地域雇用開発等促進法に基づく各種助成金:基本料金100,000円に助成額の2%を加算
労働社会保険諸法令に基づく不服申立:審査請求や異議申立は100,000円、再審査請求は150,000円
社会保険労務士(社労士)が作成できる書類は幅広く、それぞれで報酬の相場が決められていますね。
上記でも説明したように今は規定部分が削除されて手続報酬も自由化されましたが、元の金額を参考にして決めているのが一般的です。
人事・労務管理報酬
社会保険労務士(社労士)の人事・労務管理報酬は、下記の項目を実施するための運用や指導を行う際に受ける報酬を指します。
雇用管理(要員計画や採用基準):50,000円
雇用管理(職務調査や職務評価):50,000円
教育訓練:50,000円
賃金管理:50,000円
労働時間:50,000円
安全・衛生管理:50,000円
人間関係管理:50,000円
企業福祉:50,000円
労務計画:50,000円
労務監査:50,000円
労使関係管理:50,000円
雇用管理(要員計画や採用基準):500,000円
雇用管理(職務調査や職務評価):1,000,000円
教育訓練:500,000円
賃金管理:1,000,000円
労働時間:1,000,000円
安全・衛生管理:1,000,000円
人間関係管理:1,000,000円
企業福祉:500,000円
労務計画:500,000円
労務監査:500,000円
労使関係管理:1,500,000円
人事・労務管理全般に係る相談や指導のみを顧問として行う場合は、別途で依頼者と協議して報酬を決める形になります。
相談・立会等報酬
次に社会保険労務士(社労士)の相談・立会等報酬の相場を見ていきましょう。
相談報酬(労働社会保険諸法令につき依頼を受ける度に相談や指導を行う報酬):1時間につき10,000円
立会報酬(関係官庁が行う調査に立ち会う場合に受ける報酬):1時間につき15,000円
調査報酬(依頼を受けた業務に付随して調査や資料収集など特別な業務を行う報酬):1時間につき10,000円
こちらの報酬額も以前に制定された基準ですが、その基準に則って決めている社会保険労務士事務所が多いようです。
その他の報酬
以下では、社会保険労務士(社労士)の業務で上記以外に分類される報酬の相場を紹介していきます。
給与計算事務:1ヵ月当たり20,000円で、5人以上は1人増すごとに500円を加算する
印紙代や手数料:手続関係書類提出に必要な印紙代や手数料は報酬とは別途で受けられる
緊急依頼:特に緊急を要する案件は報酬額の20%を加算できる
新規受託時の着手料:顧問報酬は月額報酬の2ヵ月分以内、手続報酬は当該報酬額の範囲内の着手金を受けられる
建設業・造船業・林業:50%まで報酬額を加算できる
解約の報酬:依頼者の都合で着手後に解約する際は所定の報酬額の全額を受けられる
災害など特別の事情がある場合の報酬:依頼者に特別な事情がある時は報酬を減免できる
依頼者が他の都道府県の地域にお住まいの場合は、当該地の都道府県社会保険労務士会が定める規定が適用されます。
社会保険労務士(社労士)のスポット業務は稼げる?報酬はどのくらい?
社会保険労務士(社労士)は、スポット業務で依頼者やクライアントのサポートができます。
スポット業務とは単発業務のことで、「○○○は△△円」と決められているのが特徴です。
社会保険労務士(社労士)のスポット業務は、「就業規則や各種規定の作成」「社会保険新規加入手続き」「入退社時などの保険手続き」「助成金申請」などたくさんの種類があります。
スポット業務が稼げるのかどうか知りたい方のために、ここではとある事務所の報酬の目安をまとめてみました。
新規適用届(被保険者5人未満):60,000円
健康保険組合への編入手続:80,000円~
国民年金第3号被保険者届:5,000円
年金手帳再交付申請書:5,000円
被保険者生年月日訂正届:5,000円
出産手当金請求書(初回):15,000円
育児休業等取得者申出書:5,000円
第三者行為による傷病届:30,000円
フレックスタイム制に関する協定書:30,000円~
専門業務型裁量労働制に関する協定届:30,000円~
労災保険関係成立届:20,000円
各種届書等再作成・再交付申請書:5,000円
高年齢雇用継続給付支給申請書:20,000円
社会保険労務士(社労士)の報酬の設定は自由化されていますので、スポット業務に関してもある程度は自由に決められます。
行政書士と兼業する
仕事や業務の幅を広げる目的で、社会保険労務士(社労士)と行政書士を兼業するのは選択肢の一つです。
行政書士は官公庁への書類を作成したり提出の代理をしたりする資格で、社会保険労務士(社労士)と同じように独占業務があります。
つまり、社会保険労務士(社労士)と行政書士の資格を持っていれば、できる業務の幅が広がってより多くの顧客やクライアントを集められるわけです。
独立開業している方は顧客の増加が年収のアップにそのまま繋がりますので、他の資格を取得する勉強も始めてみてください。
※社労士のダブルライセンスについては、下記の記事も参考にしてみてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-w-license/
行政書士の報酬額は自分で決められる
年収を増やしていくために、適切な報酬額を検討することも大事でしょう。
行政書士の場合も、業務の報酬額が法律などで一律に決定されていることはなく、各自の報酬額は自ら決めることができます。
とは言え、一応の相場はあります。以下は、日本行政書士会連合会の実施した平成27年度報酬額統計調査の結果です。
建設業許可申請:平均118,204円
経営状況分析申請:平均32,485円
建設業変更届出:平均42,170円
農地法第3条許可申請:平均50,236円
農地法第4条許可申請:平均80,114円
農地法第5条許可申請:平均103,623円
開発行為許可申請:平均434,437円
河川関係許可申請:平均151,784円
宅地建物取引業者免許申請:平均107,195円
宅地建物取引士資格登録申請:平均22,709円
建築士事務所登録申請:平均62,398円
測量業者登録申請:平均87,579円
道路位置指定申請:平均297,380円
マンション管理業者登録申請:平均73,185円
屋外広告物設置許可申請:平均56,050円
特殊車両通行許可申請:平均49,995円
特定旅客自動車運送事業認可申請:平均102,143円
自動車整備事業指定申請:平均14,500円
旅行業登録申請:平均150,435円
風俗営業許可申請:平均158,484円
古物商許可申請:平均49,713円参考:https://www.gyosei.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/12ad4f65cba6f63c3518bf14b58fdd64.pdf
最初は低めの報酬に抑え、自分自身の専門(得意)分野を作り、「あの行政書士さんは○×の分野で権威だ」と思わせるブランディングを確立すれば、報酬額が高めでも依頼は途絶えませんよ。
まとめ
社会保険労務士(社労士)の平均年収は、大体500万円~600万円くらいです。
年齢によって違いはありますが、働き先によっては高い給料をもらえます。
しかし、社会保険労務士(社労士)の仕事の大変さを加味すると、「十分な年収をもらえていない」と感じている人が多いのは事実です。
今の給料で満足できない方は、「転職する」「副業する」「独立開業する」といった方法で年収アップを図ってみてください。