こんにちは、トシゾーです。
今回は、マーケティングの4Pのうち、「チャネル戦略・物流戦略」について、お伝えします。
まず、「チャネル」とは何でしょうか?
チャネルとは、生産者から消費者に至る取引や商品の流れ、あるいは、そのルートのことをいいます。
一方の「物流」とは、物的流通の略で、生産地点から消費地点まで製品を移動させるために行う、様々な活動のことです。
このように、現在の企業のマーケティング活動において、チャネル戦略や物流戦略は欠かすことができない重要な戦略です。
それらの詳細を、一緒に見ていきましょう。
目次
チャネル戦略
チャネルの機能
チャネルの機能には、どのようなものがあるでしょうか?
基本的な機能として、メーカーと消費者の間の隔たり(ギャップ)を埋める、という社会的な役割があります。
そのギャップを埋めるための機能が、以下3点となります。
- メーカーと消費者の間で、所有権を移転する(商流機能)
- メーカーと消費者の間で、商品を輸配送する(物流機能)
- メーカーと消費者の間で、情報を伝達させる(情報流通機能)
チャネルの長さ
前述のとおり、チャネルとは、生産者から消費者に至る取引や商品の流れ、あるいは、そのルートのことです。
一口にチャネルと言っても、様々な分類がありますが、ここでは、「チャネルの長さ」と「チャネルの幅」による分類について説明します。
まず、チャネルの「長さ」とは、
「生産者と消費者を結ぶチャネルのなかに、どのぐらいの中間業者(卸売業者や小売業者)が入るのか」、
その段階の多さのことをいいます。
つまり、生産者と消費者を直接結ぶケース(ダイレクトマーケティング)では、チャネルが短い、ということになります。
逆に、チャネルの中に流通業者が多く介在することを、チャネルが長い、といいます。
現在では、卸売業を省いて「生産者と小売り業者が直接契約をする」など、チャネルが短くなる傾向にあります。
チャネルの幅
「チャネルの幅」とは、その企業(商品)のチャネルが、
「どのぐらい市場を網羅しているのか」、
その程度を表すものです。チャネルの幅には、大きく分けて、次の3種類があります。
開放的流通チャネル
もっともチャネルの幅を広くとる戦略であり、メーカーが出来るだけ商品を広く流通させたい場合に使われます。
取扱業者や販売店を限定せず、一定の条件で合意できれば、すぐに取り扱いを許可します。
日用品などで使われれる方式です。
開放的流通チャネルにおいては、消費者が製品と接触する階数は増えますが、メーカーによるチャネル管理の難易度は上がります。
選択的流通チャネル
チャネルの幅が中程度の戦略です。
メーカーが製品管理の主導権を握るため、一定の程度、流通するチャネルを制限するタイプです。限られた販売店で商品を扱うことになり、メーカーの支援を受けられやすいメリットがあります。
家電製品や化粧品、アパレル商品などでとられる戦略です。
閉鎖的(排他的)流通チャネル
もっともチャネルの幅が狭い戦略となります。
メーカーが販売店を1地域に1店など極端に限定することで、その販売店に専売権を与えます。
販売店に対して、もっともメーカーがコントロールしやすい形式であり、商品ブランドの維持・向上などに有効です。
自動車販売(ディーラー制度)などでみられる形態です。
伝統型マーケティングチャネルと垂直的マーケティングシステム(VMS)
伝統型マーケティングチャネル
伝統型マーケティングチャネルとは、メーカー・卸売業者・小売業者の結びつきが比較的緩やかなチャネル形態です。
それぞれの自律的に活動しているため、たまに事業者同士で衝突(揉め事)が発生することもありました。
従来、わが国の流通で主流だったチャネル形態です。
垂直的マーケティングシステム(VMS)
ある種、牧歌的な特徴のある伝統型マーケティングチャネルでは、競争が激化した現在の流通市場には向きません。
これまでのメーカー同士の競争ではなく、どのメーカーも流通の川上から川下(メーカーから小売業者まで)までトータルに整備し、チャネル全体の総合力で販売競争を行う形式に変化しています。
垂直的マーケティングシステムとは、チャネル運営の効率化・高度化を実現するため、川上から川下までを計画的に統制する流通システムです。垂直的マーケティングシステムには、次の3つがあります。
※VMSとは、「Vertical Marketing System」の略
企業型
メーカーから小売りまでを、一つの企業(資本)で統合するものです。もっともコントロールしやすい形式といえるでしょう。
契約型
契約により、異なる複数の法人がチャネルを構成します。代表的なものにフランチャイズチェーンとボランタリーチェーンがあります。
管理型
リーダーとなる企業を中心に、他の法人と緩やかに統合する方式です。統制力は最も弱くなりますが、柔軟な戦略変更ができる点がメリットです。
チャネルキャプテン
垂直的マーケティングシステム(VMS)において、チャネルを統制するリーダー企業(組織)のことを、チャネルキャプテン、あるいはチャネルリーダーと呼ぶことがあります。
従来の我が国の市場では、メーカーがチャネル・キャプテンとなるケースが一般的でした。しかし近年では、スーパーやコンビニ本部などの大規模小売業が、その巨大な購入力を武器として、チャネルキャプテンとなるケースが増加しています。
フランチャイズチェーンとボランタリーチェーン
前述のとおり、契約型VMSの代表例として、フランチャイズチェーンとボランタリーチェーンがあります。
フランチャイズチェーン
フランチャイズチェーンとは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の間で契約を結び、本部が加盟店に対して一定地域における独占的な販売活動や商標利用権、経営パッケージなどを提供するものです。
本部の支援に対し、加盟店は売上の一部をロイヤルティとして支払うことが一般的です。
ボランタリーチェーン
ボランタリーチェーンには、卸売業者が主宰となるものと、小売業者が主宰となるものがあります。
卸売が主宰となるボランタリーチェーンは、ボランタリー・ホールセラーとも呼ばれます。特定の卸売業者がリーダーとなり、取引のある小売業者を組織化します。そのうえでリテールサポート(小売業者へのサポート)を行います。
小売が主宰となるボランタリーチェーンは、コーペラティブチェーンとも呼ばれます。小売業者同士が連係することで共同仕入れなどの共同活動を実施します。
流通系列化と一店一帳合制
流通系列化
流通系列化とは、メーカーが流通業者を組織化して管理を強化することで、自社の優位性を高める手法のことです。
一店一帳合制
一店一帳合制とは、特定の卸売業者を通じて小売業者に自社製品を供給する方式です。
小売業者から見ると、仕入れ先を特定の卸売業者に制限されることになります。
一店一帳合制も、流通系列化の方法の1つといえるでしょう。
物流戦略
物流とは
物流とは物的流通の略であり、生産地点から消費地点まで製品を移動させるために行う、様々な活動のことです。
受注・包装・保管・在庫管理・荷役・輸配送などが、物流の要素として挙げられます。
物流におけるトレードオフ
物流においては、「顧客サービスの向上とコスト低減」がトレードオフの関係にあります。
両者を高いレベルで両立させることは困難なため、市場や顧客状況を確認しながら、常に最適なバランスを考えていくことが必要です。
ロジスティクスとは
ロジスティクスとは、もとは軍事用語で「戦争時の物資調達」のことです。
現在の経営用語としては、企業内の様々な物流(調達物流や販売物流など)を個別に管理するのではなく、全体最適、つまり総合的にマネジメントする戦略的な物流の考え方・取り組みを意味します。
なお、静脈物流とは、リサイクル資源・不良品などを顧客から引き取るための物流のことであり、回収物流ともいいます。
サプライチェーンマネジメント(SCM)
原材料の供給業者から最終消費者に至るまでには、多くの企業(組織)が流通チャネルの中に存在します。
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、そのような複数の企業の壁を超え、チャネルのフロー(サプライチェーン)を全体最適の観点からマネジメントしていくことです。
サプライチェーンに参加するそれぞれの企業が、在庫、販売など流通に関わる情報を共有することで、サプライチェーン全体として効率化・コスト削減などを図ることができ、しいては顧客満足の向上につながることになります。
※SCMやロジスティクスについて詳しくは、下記動画もチェックしてみてください。
サードパーティーロジスティクス
伝統的な物流業務では、メーカーや流通業者などの荷主は、自社で輸送機能を保有して物流業務を行ったり、または、輸送業者に輸送部分のみ委託することが一般的でした。
これに対し、サードパーティーロジスティクス(3PL)とは、荷主とも輸送業者とも異なるサードパーティー(第3者の企業)が、上流の物流戦略から下流の業務遂に至るまで、物流機能全般を統合的に請負形式で行うものです。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |