就労継続支援B型事業所のAI活用|最初の一手と人に残す判断

就労継続支援B型事業所のAI活用:生産活動の収支と利用者ごとの作業の実績を工賃の計算の台帳でつなぎ、AIは計算と候補を示し、工賃の総額の確定は事業者が行う流れ

最終更新日: 2026年10月12日/内容確認日: 2026年10月12日

本記事では、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」)の指定を受け、通所により就労継続支援B型を提供する1事業所を主なモデルとして想定します。多機能型でなく、従たる事業所を置かず、基準該当でなく、障害者支援施設で行うものでない事業所で、生産活動は企業・団体・官公庁からの軽作業・加工の受託と、自主製品(食品以外)の製造と販売です。送迎と食事の提供、施設の外での作業、在宅でのサービスの利用は行わないものとします。この対象は本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。就労継続支援A型・就労移行支援などほかのサービスの事業所の運営と、設置者の法人の運営は、本記事では扱いません。

障害者総合支援法第43条は、指定障害福祉サービス事業者が、都道府県の条例で定める基準に従い従業者を有すること(第1項)と、都道府県の条例で定める設備及び運営に関する基準に従いサービスを提供すること(第2項)を定めています。本記事で引く「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「指定基準」)は、条例を定めるに当たって従い、標準とし、又は参酌する主務省令の基準です(同条第3項)。本記事は自事業所に当たる条例とその中身を確かめておらず、指定基準の条は主務省令の規定として書きます。法令は2026年10月11日に確認した、その日に施行されている版によります(節9)。

目次

1. 結論:就労継続支援B型事業所なら何から始めるか

就労継続支援B型事業所でAIを使うなら、最初の一手は「生産活動の収支から工賃の原資を出し、確認済みの作業の実績で利用者ごとに配分する工賃の計算の台帳」です。次に「利用者ごとの作業の実績の記録と確認」、その次に「生産活動の会計の区分と月次の収支」が続きます。

この番号は影響範囲の広さの順位です。本記事の業務マップ(業務を23の流れと236の作業に分解したもの)の上で、その記録を入力に使う作業と業務の流れの数を数えた計算値で、Top1は作業7・流れ4、Top2は作業6・流れ4、Top3は作業6・流れ3です。差は小さく、作業が同じ6の記録はTop2・Top3と4番目の「受注から納品までの1件台帳」(作業6・流れ3)の3つで、流れの数で並べ、同じ3のTop3と4番目は、使う作業のうち責任者が確定する判断の数(2と0)で並べました。売上や削減時間、法令上の重要度の比較ではありません(本記事における整理)。

一方で、工賃の総額と工賃の規程、平均額が下回る場合の対応、会計の区分と按分の基準、受託の可否と価格、個別支援計画の作成と見直し、請求の内容は、AIに渡しません(節6)。原則は「AIは候補まで、確定は人」です。

2. 業務全体の流れ

本記事のモデルでは、事業所の仕事は次の流れで進みます。

  1. 利用の申込みと受給者証の確認、契約、個別支援計画の作成。
  2. 毎日の出欠と受入れ、作業の割当、作業の実施と職業指導、作業の実績とサービスの提供の記録。
  3. 受託作業の受注と契約、自主製品の計画と販売、検品と納品、請求と入金。
  4. 毎月の生産活動の会計の区分と収支、工賃の総額の確定、利用者ごとの工賃の計算と支払。
  5. 毎月の利用実績と受給者証の照合、訓練等給付費の請求、利用者負担の受領。
  6. 少なくとも六月に一回以上の計画の見直しと、モニタリング。
  7. 年度ごとの工賃の目標水準の設定と、利用者への通知と報告。

並行して、職員の配置と人事・労務、衛生、非常災害への備え、虐待の防止、苦情と事故、行政への届出と報告、記録の保存、個人情報の管理を行います。

本シリーズでは、毎日の作業と記録、毎月の工賃と請求、計画の見直しという暦の上の反復で動く「周期型」を主、受託作業の引合い・事故・苦情・虐待の疑いなどで処理が始まる「イベント駆動型」を従に整理しています。

3. AI導入優先Top3

影響範囲の広さ(作業・流れ) 記録の単位 実施の順序
導入前提:会計の区分と共通経費の按分の基準/工賃の規程 — — ①(2週目)
Top1:工賃の計算の台帳 最も広い(7・4) 月・利用者1人 ②(3週目)
Top2:作業の実績の記録と確認 2番目(6・4) 利用者1人・1日・作業1種 ②(Top1と並行)
Top3:生産活動の会計の区分と月次の収支 3番目(6・3) 月・作業種別 ②(月次の締めに合わせる)

括弧の数と記録の単位は本記事の設計と計算値です。どのTopも、他のTopの完了を前提にしません。

Top1:生産活動の収支から工賃の原資を出し、利用者ごとの工賃を計算する

何をするか。 月ごとに、帳簿に記録した生産活動の収入と経費の金額から工賃の原資を算出し、事業者が確定した工賃の総額を、工賃の規程の配分の基準と職業指導員が確認した作業の実績で利用者ごとに配分します。利用者ごとの工賃、平均額の照合、明細、工賃の台帳までを、外部に送らない規則による処理で作ります。工賃の額と作業の記録は生成AIに入れません(節9)。

なぜ最も広いか。 指定基準第201条は、指定就労継続支援B型事業者が、利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うこと(第1項)、利用者それぞれに対し支払われる一月当たりの工賃の平均額が三千円を下回ってはならないこと(第2項)、年度ごとに工賃の目標水準を設定し、目標水準と前年度に利用者に対し支払われた工賃の平均額を利用者に通知するとともに都道府県に報告すること(第4項。指定都市・中核市での読替えの有無は本記事では確かめていません)を定めています。工賃の台帳は、平均額の照合、明細、年度末の精算の判断、前年度の平均額の集計、計画のアセスメントとモニタリングの材料、収支の月次の集計の7つの作業の入力になります。

どう始めるか。 前月1か月分について、帳簿に記録した収入と経費の金額から原資を算出し、今ある作業の記録から規程の配分の基準で利用者ごとの工賃を計算する表を作り、今の計算の結果と並べて差を見ます。この表は支払には使いません。

何を測るか。 利用者1人あたりの工賃の計算に要する時間、計算した工賃のうち再計算した割合、根拠(作業の実績と配分の基準)をたどれない工賃の割合(前月1か月分を対象に1週目に実測)。

注意。 配分の基準は、本記事の設計では事業者が工賃の規程で定め、AIに推定させません。原資の算出は担当者と管理者が全件確かめ、総額の確定と支払は事業者が行います。作業の実績の確認が済んでいない利用者の工賃は計算しません。平均額が下回る・原資が不足する場合の対応は事業者が決めます。指定基準第202条で準用する第192条第6項は、工賃の支払に要する額は、原則として、自立支援給付をもって充ててはならない(災害その他やむを得ない理由がある場合を除く)と定めています。平均額の算定の方法は本記事では確かめておらず、所管の行政の資料で確かめるまで照合の結果を「未確認」とします。

Top2:利用者ごとの作業の実績を、日ごとに記録し確認する

何をするか。 作業の種類・作業時間・数量・出来高を、利用者1人・1日・作業1種の単位で記録し、職業指導員がその日のうちに全件確認します。規則による処理は集計と、事業所が定めた目安を超える作業時間・作業量の候補の抽出だけを行います。この記録は生産活動の作業の実績で、サービスの提供の記録(提供日、内容その他必要な事項を提供の都度記録し、支給決定障害者等から確認を受けるもの。指定基準第202条で準用する第19条)とは別の記録です。提供の記録は、本記事の整理では影響範囲が5番目(作業5)で、Topに置いていません。

なぜ2番目か。 指定基準第202条で準用する第84条は、生産活動に従事する者の作業時間、作業量等がその者に過重な負担とならないように配慮すること(第2項)、生産活動の能率の向上が図られるよう、利用者の障害の特性等を踏まえた工夫を行うこと(第3項)を定めています。確認済みの実績は、利用者ごとの工賃の計算、負担の候補の抽出と確認、提供の記録の下書き、アセスメントとモニタリングの材料の6つの作業の入力になります。

どう始めるか。 1つの作業種別で記録の様式をそろえ、職業指導員の当日の確認から始めます。

何を測るか。 作業の実績の記録1件あたりの記録と確認に要する時間、当日の確認が欠けた記録の割合、負担の確認をした利用者のうち計画の見直しの検討に回した利用者の割合(同じ作業種別で、1週目と3週目の5日間ずつ)。

注意。 目安は本記事の設計上の値で、法令の値として扱いません。候補が無いことを「負担が無い」の確定とせず、職業指導員が全員の実績を確かめます。本記事の設計では、安全の措置の点検(同条第4項は防じん設備又は消火設備の設置等、生産活動を安全に行うために必要かつ適切な措置を講じることを定めています)が済んでいない作業は割り当てません。

Top3:生産活動の会計を区分し、月次の収支を出す

何をするか。 前月1か月分の支払の記録を、生産活動・福祉事業活動・共通経費に区分する候補を作り、経理の担当者が全件確かめます。按分と月次の収支の集計は規則による処理です。区分の候補に生成AIを使う場合は、利用者・家族・職員・取引先を識別できない形に加工した費目と金額だけを、入れる前の点検を経て入れます(節9)。

なぜ3番目か。 指定基準第202条で準用する第41条は、事業所ごとに経理を区分し、事業の会計をその他の事業の会計と区分することを定めています。生産活動と福祉事業活動の区分はこの条ではなく、工賃の原資(第201条第1項)を出すために本記事の設計として行います。令和3年度の厚生労働省障害者総合福祉推進事業の成果物「就労支援事業会計の運用ガイドライン」(法令ではありません)は、生産活動と福祉事業活動、作業種別ごとの区分の例と、両方に従事する職員の人件費などを法人が合理的な基準で決めた按分方法で按分する例を示しています。月次の収支は、工賃の原資の算出、平均額が下回る場合の対応、年度末の精算の判断、受託の可否の材料、自主製品の計画と価格の案、収支の月次の集計の6つの作業の入力になります。

どう始めるか。 導入前提で決めた区分と按分の基準で、前月1か月分の区分の候補を作ります。

何を測るか。 支払の記録1件あたりの区分と集計に要する時間、区分した記録のうち修正した割合(前月1か月分を対象に1週目に実測)。

注意。 区分と按分の基準は事業者が決めます。会計処理の通知は本記事では確かめておらず、積立金は扱いません。

4. AIに任せやすい仕事

結果をそのまま次へ渡せる仕事です。照らし合わせる相手は、人が確定した記録と規則です。

  • 形を整える。 確定した工賃からの明細と工賃の台帳、納品書・請求書と販売の記録。
  • 照らし合わせる。 算定の方法を確かめた後の工賃の平均額と三千円、生産活動の売上と入金、審査の結果の通知と入金。
  • 違いを見つける。 福祉事業活動と生産活動の月次の収支と前年との差。
  • 足りないものを探す。 未入金と利用者負担の未納、起算日の記録が無い期限。
  • 下書きを作る。 確定した作業の実績からの利用者ごとの工賃、照合が済んだ利用実績からの請求の明細の案。
  • 探し出す。 事業所の目安を超える作業時間・作業量の記録と、保存期間の満了が近い記録。拾ったものは候補で、候補が無い利用者も含めた確認は節5です。

不一致・欠け・例外だけを人が見ます。

5. AI支援に向く仕事

AIが候補や下書きを作り、担当者が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むことは手間ではなく、品質の設計です。

  • 工賃の原資の算出の案、工賃の規程の案、工賃の目標水準の案
  • 生産活動の経費の区分の候補、会計の区分の案
  • 受託作業の引合いの整理、受託の可否の材料、自主製品の計画と価格の案
  • 日々の作業の割当の案、作業の手順書の案と、作業の実績の確認・負担の確認
  • 受給者証と月の利用実績の照合、サービスの提供の記録の下書き
  • アセスメントとモニタリングの材料、運営規程と指針の案、計画の原案の下書き(生成AIを使う場合は、利用者・家族・職員・取引先を識別できない形に加工した材料から要配慮個人情報に当たりうる情報を除いたものだけを入れる)

6. 人に残す仕事・判断

線の引き方の原則は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。

法令が職に置いている判断。 指定基準第202条で準用する第58条は、管理者がサービス管理責任者に個別支援計画の作成に関する業務を担当させ、サービス管理責任者がアセスメントを行い、原案を作成し、利用者又はその家族に説明して文書により利用者の同意を得て、作成後は少なくとも六月に一回以上計画の見直しを行い、必要に応じて変更を行うことを定めています(計画の作成に係る会議、計画の交付、モニタリングの記録なども同条が定めています)。AIは材料と原案の下書きまでです。

事業者が責任を持つ判断。 以下は本記事の整理です。

  • 工賃の総額と規程、平均額が下回る・原資が不足する場合の対応、年度末の精算。
  • 会計の区分と按分の基準、受託の可否と自主製品の価格。
  • 提供の可否、請求の内容、届出と報告の内容、職員の採用と勤務の体制。
  • AIに入力してよい情報、外部へ渡す情報の区分の判定、漏えい等の報告と通知。

虐待の通報は判断を待たない。 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律第16条は、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、市町村に通報しなければならないこと(第1項)、障害者福祉施設従事者等は通報をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けないこと(第4項)を定めています。通報は管理者の判断を条件にせず、事業所の対応の決定は通報とは別に行います(本記事の設計)。虐待に当たるかをAIで判定しません。

AIの計算や下書きが正しく見えても、ここに挙げたものは人が決めます。

7. Best Practice

本記事の整理では、到達点は、作業の実績(利用者1人・1日・作業1種)、生産活動の収支(月・作業種別)、工賃の台帳(月・利用者1人)が1本の流れでつながり、工賃の根拠を利用者と行政に説明できる構造です。前提が「未確認」の間は次の工程に進みません。

8. Before / After

Before。本記事が改善の出発点として置いた想定で、業界の実態の描写ではありません。 作業の実績・生産活動の会計・工賃の計算が別々の単位で記録され、作業の実績から配分へ、収支から原資へとたどる仕組みが業務マップの上に無い状態です。

After。到達点として置いた姿です。 3つの記録が同じ流れでつながり、規則による処理が原資・工賃・平均額の照合と候補を出し、確認が済んでいない実績の工賃は計算されません。判断は変わらず事業者と職員が行います。

9. 法令・規制・情報管理

以下は本記事の実務上の整理で、条文を確かめた規律だけを挙げており、すべての規律ではありません。法令は2026年10月11日に確認した、その日に施行されている版によります(障害者総合支援法は2026年10月1日施行の版、指定基準は2025年10月1日施行の版、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律は2025年10月1日施行の版、個人情報の保護に関する法律は2026年10月1日施行の版)。未施行の改正は扱っていません。

記録と保存。 指定基準第202条で準用する第75条は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備すること(第1項)と、就労継続支援B型計画、サービスの提供の記録、市町村への通知に係る記録、身体拘束等の記録、苦情の内容等の記録、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録を整備し、サービスを提供した日から五年間保存すること(第2項)を定めています。指定基準第224条は、書面で行うことが規定され又は想定される作成・保存等は書面に代えて電磁的記録により行うことができること(受給者証による確認など同項が除くものを除く)と、交付・説明・同意等は相手方の承諾を得て(相手方が利用者の場合は障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ)書面に代えて電磁的方法によることができることを定めています。

虐待の防止。 指定基準第202条で準用する第40条の2は、虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期的な開催と結果の従業者への周知徹底、従業者への研修の定期的な実施、これらを適切に実施するための担当者を置くことを定めています。

個人情報。 個人情報の保護に関する法律では、個人情報データベース等を事業の用に供している個人情報取扱事業者(国の機関等を除く)が、それを構成する個人データの安全管理措置と、取扱いを委託する場合の委託先の監督を行います(第16条・第23条・第25条)。本記事の設計では、受給者証の記載事項、障害の情報、計画とアセスメント・モニタリングの記録、提供の記録、作業の実績、工賃の額を、個人データや要配慮個人情報に当たりうる情報として扱います(当たるかは本記事では判断していません)。要配慮個人情報は、法令に基づく場合など第20条第2項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはなりません。個人データの第三者への提供は第27条第1項各号の場合を除きあらかじめ本人の同意が要り、利用目的の達成に必要な範囲内において取扱いの全部又は一部を委託することに伴う提供では、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項第1号。委託に当たるかは本記事では判断していません)。外国(規則で定める外国を除く)にある第三者(規則で定める基準に適合する体制を整備している者を除く)への提供は、第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が要ります(第28条第1項)。指定基準第202条で準用する第36条第3項は、他の指定障害福祉サービス事業者等に利用者又はその家族に関する情報を提供する際は、あらかじめ文書により当該利用者又はその家族の同意を得ておくことを定めています。

AIに入れない情報。 本記事の設計では、利用者の障害・病歴・受給者証の内容、工賃の額、作業の記録、アセスメントとモニタリングの記録、虐待の気づきの記録、職員の健康診断の結果は生成AIに入れず、工賃の計算・照合・集計・請求の明細は外部に送らない規則による処理で作ります。生成AIに入れるのは、利用者・家族・職員・取引先を識別できない形に加工した材料(規程・計画・案内の文面、氏名を含まない集計、引合いの作業の内容、費目と金額)だけです。入れる前には、①入れる情報を必要最小限にする②入力データを学習に利用するか③保存期間と削除の方法④契約上の機密保持とデータの取扱条件⑤アクセス権限と利用ログ⑥再委託や国外保存など事業所の規程上確認が必要な事項、の6点を確かめ、事業所が利用を承認したサービスに限ります。これは法令の要件ではなく、事業所として決める運用です。

10. 最初の30日プラン

1週目:測る。 節3の8つの指標を測ります。Top1・Top3の指標は、前月1か月分を今のやり方で計算・区分したときの記録で、Top2の指標は1つの作業種別の5日間の記録で測ります。

2週目:基準と条件を決める。 導入前提(会計の区分と按分の基準、工賃の規程)、作業の実績の様式と負担の目安、生成AIに入れない情報の線と、要配慮個人情報に当たりうる情報の取得の前の確認の手順を決めます。平均額の算定の方法と前年度の利用者の数の平均値の算定の方法を、所管の行政の資料で確かめます。

3週目:人が全件確かめる小規模試行。 Top1は前月分の原資と利用者ごとの工賃を規則による処理で計算して今の計算と並べ、Top2は1つの作業種別で新しい様式と当日の確認を始め、Top3は前月分の区分の候補を全件確かめます。

4週目:比べる。 8つの指標を同じ定義(1人あたり・1件あたりの時間と割合)で測り直します。Top1・Top3は同じ前月1か月分、Top2は3週目の5日間を、1週目と比べます。次の月から支払の確認に使うかと、様式をほかの作業種別に広げるかを管理者が決めます。

11. AI活用成熟度

  • Lv1 人依存。 作業の実績・工賃・会計の区分が担当者の記憶と手作業の表にあり、計算の根拠をたどれない。
  • Lv2 台帳化。 作業の実績の様式・工賃の規程・区分の基準が文書になり、月ごとに計算している。
  • Lv3 一元化。 3つの記録が同じ単位でつながり、利用者ごとの工賃と平均額の照合が規則による処理で出る。
  • Lv4 AI支援。 区分の候補・負担の候補・モニタリングの材料が出て、規程や案内の文案を生成AIが節9の条件で作り、人は確認と判断に時間を使う。
  • Lv5 仕組み化。 作業の実績と工賃の記録が計画の見直しと受託の判断、次年度の目標水準に返り、工賃の根拠を毎月説明できる。

Lv5は、AIが工賃や計画を決める状態ではありません。

12. FAQ

Q. 工賃の配分の方法をAIに決めてもらえますか。 A. 本記事の設計では、配分の基準は事業者が工賃の規程で定め、AIは確認済みの作業の実績から計算するだけです(節3)。

Q. 負担の目安を超える候補が出なければ、確認は要りませんか。 A. 目安は本記事の設計上の値で、法令の値として扱いません。候補が無いことを確定とせず、職業指導員が全員の実績を確かめます(節3)。

Q. 工賃の平均額が三千円を下回りそうなときは、どうしますか。 A. 生産活動の見直しなどの対応は事業者が決め、AIは照合の結果を出すまでです。工賃の支払に要する額は、原則として自立支援給付をもって充ててはならない(災害その他やむを得ない理由がある場合を除く)と指定基準は定めています(節3)。

Q. 利用者の作業の記録を、生成AIで要約してよいですか。 A. 本記事の設計では、作業の記録は生成AIに入れず、事業所のシステムの中の規則による処理で扱います(節9)。

13. 関連業態・シリーズ導線

訪問介護事業所の記事は、本記事とは別の業態の記事で、利用者の居宅を訪問して介護を提供する訪問介護事業所を対象に、音声・メモから提供記録の草案を作ることなどをTopに置いています。本記事のTop2は生産活動の作業の実績の記録で、介護の提供記録ではありません。

デイサービスの記事は、本記事とは別の業態の記事で、介護保険の指定通所介護(利用定員19人以上)を主なモデルに、提供記録の草案や提供記録と算定要件の照合をTopに置いています。本記事のTopは工賃・作業の実績・生産活動の会計です。

業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。

14. この記事を自事業所に当てはめたい方へ

工賃の規程・区分の基準・作業の記録の整い方で、最初の一手は変わります。規程や区分の基準が文書になっていないなら導入前提から、あるなら工賃の計算の表から始めます。

15. 無料AI戦略診断/AI顧問

AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自事業所のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。

自事業所の業務に沿って一緒に設計したい方には、AI顧問サービスがあります。まず話を聞いてみたい方は、お問い合わせから30分の無料リモート面談をご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標登録出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Claude AI活用 最強の教科書』(技術評論社・2026年10月刊)、『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)、『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

目次