皮膚科・美容皮膚科のAI活用|最初の一手と人に残す判断

皮膚科・美容皮膚科のAI活用:1来院の行為ごとに保険の診療か自由診療かの区分を台帳に並べ、AIは区分の候補を示し、区分の確定は保険医が行う流れ

最終更新日: 2026年10月12日/内容確認日: 2026年10月12日

本記事では、無床の一般診療所のうち、皮膚科の保険診療と、美容皮膚科の自由診療(レーザー・光の照射や薬剤の注入など、美容を目的とする医学的処置)を同じ診療所で行う診療所を主なモデルとして想定します。医師1〜数名と看護師・准看護師・医療事務を置き、保険医療機関の指定を受けている、個人開設から医療法人までの診療所です。この対象は本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。医師でない者が行う施術は本記事では扱いません。

目次

1. 結論:皮膚科・美容皮膚科なら何から始めるか

皮膚科・美容皮膚科でAIを使うなら、最初の一手は「1来院の行為ごとに、保険の診療か自由診療かの区分を保険医が確定し、区分台帳に残すこと」です。次に「自由診療の施術を1施術1行の台帳にし、同意・指示・施術前の確認・機器と薬剤・経過を結ぶこと」、その次に「医療機器と医薬品を1台・1品目の台帳にし、保守点検の期日と未承認等の使用の情報を責任者に回すこと」が続きます。

番号は影響範囲の広さの順位です。業務マップの上で、Topの記録を入力に使う業務が属する工程の数を比べ、同じときだけ業務の数で比べました(本記事における整理。Top1から順に11の工程・17の業務、10の工程・20の業務、8の工程・14の業務)。Top2は業務の数ではTop1より多く、工程の数で1つ少ないため2番目です。時間・件数・金額の効果を測ったものではありません。

一方で、診察・診断・施術の指示・処方・有害事象の評価、区分と請求の確定、未承認等の品を使うか、広告を掲載するか、特定継続的役務提供に当たるかの確定は、AIに渡しません(節6)。

2. 業務全体の流れ

本記事のモデルでは、来院は次の順に進みます。

  1. 予約・受付と受給資格の確認、受診の申出の記録。
  2. 問診と、美容の主訴と希望する治療の内容の聞き取り。
  3. 医師の診察・診断と治療方針。
  4. 行為ごとの区分の確定(Top1)。
  5. 自由診療の施術の説明・同意・指示・実施・記録(Top2)、保険の処置と処方、診療録。
  6. 会計(収益の入口)と、月ごとの療養の給付に関する費用の請求。
  7. 施術後の経過観察と申出への対応。

これに医療機器と医薬品の安全管理(Top3)、広告、労務、個人データの管理が加わります。本シリーズでは、来院・施術・申出という状態の変化で始まる「イベント駆動型」を主、月ごとの請求や保守点検の計画による点検で反復する「周期型」を従に整理しています。

3. AI導入優先Top3

影響範囲の広さ(記録を使う工程・業務の数) 記録の単位 実施の順序
導入前提:患者の識別子(予約・受付・電子カルテ・会計で同じ番号)、料金表の現行の版、生成AIに入れる前の点検の手順 — — ①(2週目)
Top1:区分台帳と区分の基準表 最も広い(11の工程・17の業務) 1来院の1行為 ②(2週目に基準表、3週目に試行)
Top2:施術の台帳 2番目(10の工程・20の業務) 1施術 ③(2週目に欄を決め、4週目に始めるかを決める)
Top3:機器と医薬品の安全管理の台帳 3番目(8の工程・14の業務) 機器1台・医薬品1品目(ロットと使用期限は入出庫の記録) ②(Top1と並行)

括弧の数は本記事の業務マップで数えた計算値で、記録の単位も本記事の設計です。施術の指示はTop1の区分台帳の自由診療の行を入力にするため、Top2はTop1の後に始めます。Top3はTop1・Top2の完了を前提にしません。

Top1:1来院の行為ごとに区分を保険医が確定し、区分台帳に残す

何をするか。 1来院の行為(保険の診察・検査・処置・処方、自由診療の施術・処方・検査、物販)を1行ずつ並べます。AIは行為の一覧を下書きし、院内の区分の基準表と照らした区分の候補(療養の給付・保険外併用療養(評価療養・患者申出療養・選定療養)・自由診療・物販)を出します。

なぜ1番目か。 保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療担規則」)第8条により、保険医療機関は、同規則第22条の規定による診療録に療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければなりません。区別の方法は条文に書かれておらず、本記事の設計では区分台帳の区分で分けます。保険医療機関は、療担規則第5条の規定により患者から費用の支払を受けるときは、正当な理由がない限り、個別の費用ごとに区分して記載した領収証を無償で交付しなければならず、厚生労働大臣の定める保険医療機関は、領収証を交付するときは、正当な理由がない限り、計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書も無償で交付しなければなりません(第5条の2)。区分台帳の記録は、施術の指示、会計、レセプト、広告の原稿などの入力になり、11の工程・17の業務に及びます。

どう始めるか。 直近2週間の来院のうち、保険の診察と自由診療の施術・物販の両方があった来院を選び、1来院の1行為を1行にした表を作り、区分を決めた人と日時が書けない行を数えます。

何を測るか。 ①区分を確定した保険医と日時の記録がある行の割合、②「未確認」の行の件数とその解消までの日数(1週目は、区分が決まらないまま会計に進んだ来院の件数を出発点として測ります)、③区分の誤りによる返戻・査定の件数(直近3か月の記録から)。いずれも1週目に実測します。

注意。 行為の一覧と区分の候補は医療事務が全件確かめ、候補の無い行も含めて保険医が全件確定します。候補が無いことを確定にしません。本記事の設計では、確定できない行は「未確認」として区分台帳に残し、「未確認」の行がある来院は会計の明細・レセプト・保険の診療録の区別などに進めず、確定の記録から再開します。

Top2:自由診療の施術を1施術1行の台帳にし、同意・指示・確認・経過を結ぶ

何をするか。 施術の指示、同意書、施術前の確認、機器と設定、薬剤とロット、施術者、経過の申出と医師の評価を、1施術の1行に結びます。特定継続的役務提供の1契約とは別の単位です。AIは説明資料と施術記録を下書きし、経過の申出を施術と結んで構造化します。

なぜ2番目か。 美容を目的として人の皮膚を清潔にし、若しくは美化するなどの医学的処置、手術及びその他の治療を行う場合、診療録の記載事項の「病名及び主要症状」には、患者の主訴及び希望する治療の内容を含みます(医師法施行規則第23条)。病院・診療所の開設者又は医師その他の医薬関係者は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生などに関する事項を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に報告しなければなりません(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」)第68条の10第2項)。施術の台帳の記録は、説明と同意、施術前の確認、経過観察、機器と医薬品の安全管理などの入力になり、10の工程・20の業務に及びます。

どう始めるか。 直近2週間の自由診療の施術から10件を選び、1施術1行の表を作って空欄を数えます。4週目に、次の施術から台帳を使うかを院長・管理者が決めます(試行は30日の後)。

何を測るか。 ④施術前に同意書・指示・点検の期限を確かめた記録がある施術の割合、⑤施術記録から機器・薬剤・ロットをたどれる施術の割合、⑥経過の申出から医師の評価までの日数(1週目に実測)。

注意。 説明資料の下書きは医師が全件確かめて説明し、施術記録の下書きは施術者が全件確定します。AIに効果や体験談を補わせません。申出の構造化は看護職員が全件確かめ、医師が全件を評価します。本記事の設計では、同意書・医師の指示・機器の点検の期限のどれかを確かめられない施術は始めません。

Top3:医療機器と医薬品を1台・1品目の台帳にし、期日と候補を責任者に回す

何をするか。 機器は1台1行(承認・認証・届出の情報、保守点検の計画、直近の点検の日)、医薬品・注入剤は1品目1行(承認の有無、効能・用法、保管)の台帳にし、ロットと使用期限は入出庫の記録で持ちます。AIは購入の書類と添付文書から台帳の案を作り、施術の指示・処方と照らした未承認等の使用の候補を出します。

なぜ3番目か。 病院等の管理者は、医薬品安全管理責任者を配置し、従業者に対する医薬品の安全使用のための研修、手順書の作成と手順書に基づく業務の実施、未承認等の医薬品の使用(承認を受けていない医薬品の使用、承認に係る用法等と異なる用法等での使用、禁忌に該当する使用)の情報その他の情報の収集その他の改善のための方策を行わせなければなりません(医療法施行規則第1条の11第2項第2号)。また、医療機器安全管理責任者を配置し、従業者に対する医療機器の安全使用のための研修、保守点検に関する計画の策定と保守点検の適切な実施、未承認等の医療機器の使用の情報その他の情報の収集その他の改善のための方策を行わせなければなりません(同項第3号)。未承認等の使用を禁じる規定ではありません。台帳の記録は、施術の指示と施術前の確認、院内での調剤、物販、副作用等の報告の判断などの入力になり、8の工程・14の業務に及びます。

どう始めるか。 施術に使う機器と医薬品・注入剤を全部書き出し、点検の日が分からない機器と承認の有無が分からない品目を数えます。3週目に台帳を作って試します。

何を測るか。 ⑦保守点検の計画と実施の記録がある機器の割合、⑧期日を過ぎて使われた機器の件数、⑨施術記録と入出庫の記録でロットが一致しない件数(1週目に実測)。

注意。 台帳の案は責任者が全件確かめ、未承認等の使用は、候補の有無にかかわらず機器・品目と施術の組合せの全件を責任者が確かめます。個々の使用が未承認等の使用に当たるかは本記事では判断しておらず、使うかは院長・管理者が判断します。本記事の設計では、期日を過ぎた機器と、使うかの判断の記録が無い品は施術に使いません。

4. AIに任せやすい仕事

照合・記録・抽出の結果をそのまま次の工程の入力にできる仕事で、照らし合わせる相手は人が確定した記録です。本記事の設計では、院内の規則による処理で行い、外部に送りません。次の工程での確認と確定は、括弧のとおり人が行います。

  • 形を整える。 保険医が確定した区分の区分台帳への記録。
  • 照らし合わせる。 外部に委託した検体検査の結果と依頼(照合した結果は全件を医師に渡し、医師が評価します)。
  • 違いを見つける。 日次の締めの差額(返金するかは院長が決めます)。
  • 足りないものを探す。 区分が「未確認」の行(保険医が確定します)、保守点検の期日を過ぎた機器(施術前の確認は人が行います)。
  • 下書きを作る。 区分台帳からの会計の明細とレセプトの組成(「未確認」の行があれば作らずに止めます)。会計と領収証は担当者が全件確かめ、レセプトは医療事務と医師が全件点検し、通常の請求を含めて請求の確定は人が行います。
  • 探し出す。 e-Govの法令の改正から引用条が変わるもの(対応は院長・管理者が決めます)。拾ったものは候補で、人が公式の情報と施行の時点を確かめます。

この節の処理は、不一致・欠け・例外だけを人が見ます。見逃しが異常として現れない確認(候補や下書き)は節5です。

5. AI支援に向く仕事

AIが候補・下書きを作り、担当者が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むことは手間ではなく、品質の設計です。

  • 問診票と、美容の主訴と希望する治療の内容の記録の下書き
  • 行為の一覧と区分の候補、施術ごとの説明資料、施術記録、経過の申出の構造化
  • 機器と医薬品の台帳の案と、未承認等の使用の候補
  • 診療録の下書き(診療をした医師が確定)
  • 特定継続的役務提供に当たるかの材料(期間・金額・方法の並び)
  • 広告の原稿の下書きと点検の候補、院内掲示の下書き

6. 人に残す仕事・判断

線の引き方の原則は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。

法令が資格者・職に置いている判断。 医師でなければ、医業をなしてはなりません(医師法第17条)。本記事は、診察・診断・治療方針・施術の指示・処方・有害事象の評価を医師に残します。看護師・准看護師は、主治の医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与するなど医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはなりません(保健師助産師看護師法第37条。臨時応急の手当などを除きます)。個々の施術が医業に当たるか、看護師等が行えるかは本記事では判断していません。

保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師は保険医でなければならず(健康保険法第64条)、本記事は区分の確定を保険医に置き、通常の請求を含めて請求の確定を人に残します。

院長・管理者が責任を持つ判断。 以下は本記事の整理です。

  • 未承認等の品を使うか、広告を掲載するか、写真を症例紹介・広告に使うか。
  • 特定継続的役務提供に当たるかの確定と、契約を結ぶか。区分の基準表の承認。
  • AIに入れてよいサービスの判定。

7. Best Practice

本記事の整理では、到達点は、3つの台帳が同じ患者の識別子で結ばれ、「未確認」の区分、期日を過ぎた機器、施術前の確認の記録が無い施術が、次の工程に進まない構造です。

8. Before / After

Before。本記事が改善の出発点として置いた想定で、業界の実態の描写ではありません。 行為ごとの区分、施術ごとの記録、機器と品目ごとの台帳を、同じ記録の単位で結ぶ台帳がまだ置かれていない状態です。

After。到達点として置いた姿です。 区分台帳が会計・レセプト・保険の診療録の区別の入力になり、確定できない行為は「未確認」として止まります。

9. 法令・規制・情報管理

以下は本記事の実務上の整理で、条文を確かめた規律だけを挙げており、すべての規律ではありません。法令は2026年10月11日に確認した、その日に施行されている版によります(医療法・医療法施行規則・医師法施行規則・健康保険法・個人情報の保護に関する法律は2026年10月1日施行の版)。未施行の改正は、次の一部保険外療養のほかは扱っていません。

一部保険外療養(未施行)。 健康保険法等の一部を改正する法律(令和八年法律第三十一号・2026年6月5日公布)の改正規定により、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(同法附則第1条第4号。e-Govの表示は2027年3月1日)から、保険外併用療養費の対象に、厚生労働大臣が定める「一部保険外療養」が加わります。本記事の設計では、施行の日と厚生労働大臣の定めを確かめてから区分の基準表に反映します。

広告。 何人も、医業又は診療所に関して広告をする場合には、虚偽の広告をしてはならず、他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告・誇大な広告・公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないことその他厚生労働省令で定める基準に適合しなければなりません(医療法第6条の5第1項・第2項)。同省令は、患者その他の者の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告と、治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告を禁じています(医療法施行規則第1条の9)。医療法第6条の5第3項の各号に掲げる事項以外の広告は、①患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること②問い合わせ先の明示③自由診療の通常必要とされる治療等の内容・費用等の情報の提供④自由診療の主なリスク・副作用等の情報の提供、の全てを満たす場合を除き、してはなりません(同項・同規則第1条の9の2。③④は自由診療の情報を提供する場合に限ります)。

特定継続的役務提供。 人の皮膚を清潔にし若しくは美化するなどのための医学的処置、手術及びその他の治療(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法(特定商取引に関する法律施行規則第91条)によるものに限る)を、政令で定める期間(一月)を超える期間にわたり提供することを約し、相手方が政令で定める金額(五万円)を超える金銭を支払うことを約する契約は、特定継続的役務提供契約です(特定商取引に関する法律第41条・同法施行令別表第四の二の項)。当たる契約には、書面の交付(第42条)、契約の解除(第48条)、将来に向かっての解除と請求できる額の上限(第49条。上限は割賦販売により提供するものには適用しません・第50条第2項)などの規定があります(営業のために締結するものなど第50条第1項の場合を除きます)。個々の契約が当たるかと、期間・金額の数え方は本記事では判断していません。本記事の設計では、契約の前に院長が「当たる」「当たらないと確認済み」「未確認」のどれかに決め、「未確認」の間と、当たる契約で概要の書面を交付した記録が無い間は、契約を結びません。

個人情報。 個人情報の保護に関する法律では、個人情報データベース等を事業の用に供している個人情報取扱事業者(国の機関等を除く)が、それを構成する個人データの安全管理措置と、取扱いを委託する場合の委託先の監督を行います(第16条・第23条・第25条)。病歴や、疾病などを理由として医師等により診療が行われたことなど、法と政令で定める記述等が含まれる個人情報は要配慮個人情報です(第2条第3項・同法施行令第2条)。本記事の設計では、臨床写真・施術の前後の写真・美容の主訴と希望の記録を要配慮個人情報に当たりうる情報として扱い(当たるかは本記事では判断していません)、撮影の同意を、診療の記録としての撮影と、症例紹介・広告への利用とに分けて取ります。

個人データの第三者への提供は、法令に基づく場合など第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意が要ります。利用目的の達成に必要な範囲内において取扱いの全部又は一部を委託することに伴う提供では、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項第1号。委託に当たるかは本記事では判断していません)。外国(規則で定める外国を除く)にある第三者(規則で定める基準に適合する体制を整備している者を除く)への個人データの提供は、第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が要ります(第28条第1項)。

AIに入れる情報の線。 本記事の設計では、臨床写真と施術の前後の写真は生成AIに入れません。そのほかの患者の個人データを含む情報は、委託・第三者提供・外国にある第三者の区分を判定して入れてよいとしたサービスに限り、入れる前の点検を経てから生成AIに渡し、外国にある第三者に当たるかが「未確認」の間は入れません。入れる前には、①入れる情報を必要最小限にする②入力データを学習に利用するか③保存期間と削除の方法④契約上の機密保持とデータの取扱条件⑤アクセス権限と利用ログ⑥再委託や国外保存、の6点を確かめた記録を残します。法令の要件ではなく、診療所として決める運用です。

10. 最初の30日プラン

1週目:測る。 節3の①〜⑨を数えます。対象期間(直近2週間の記録、③は直近3か月の返戻・査定の記録)と、試行期間(3週目の7日間)を分けます。記録が無い項目は0でなく「記録なし」とします。

2週目:正本と条件を決める。 導入前提をそろえ、外部サービスの区分の判定と6点の確認を行います。Top1は区分の基準表の初版を作って管理者が承認し、「未確認」の行を会計・請求に進めない手順を決めます。Top3は台帳の欄を決め、責任者が保守点検の計画の初版を作ります。Top2は台帳の欄と説明資料の正本の欄を決めます。

3週目:人が全件確かめる小規模試行。 Top1は7日間の来院で、一覧と候補を医療事務が全件確かめ、保険医が全件確定します。Top3は台帳を作り、期日を過ぎた機器を抽出し、未承認等の使用の候補を責任者が全件確かめます。Top2はまだ始めません。

4週目:比べて決める。 ①②⑦⑧⑨を3週目の7日間で測り直し、1週目と比べます。③は、試行した来院の請求の結果が出る翌月以降に比べます。件数の②③⑧⑨は、期間の長さをそろえるため来院・請求・施術1件あたりの率で比べます。Top2を始めるか、区分の基準表を改訂するかを院長・管理者が決めて記録します。

11. AI活用成熟度

  • Lv1 人依存。 区分、施術前の確認、機器の点検を、担当者がその都度確かめる。
  • Lv2 台帳化。 3つの台帳はあるが、別々で会計や施術の指示とつながっていない。
  • Lv3 一元化。 同じ患者の識別子で3つの台帳が結ばれ、「未確認」の区分や期日を過ぎた機器が誰にでも分かる。
  • Lv4 AI支援。 AIが候補と下書きを出し、人が全件確かめる。
  • Lv5 仕組み化。 未確認の件数や有害事象の集計が、区分の基準表と説明資料の正本の見直しに戻る。

Lv5は、AIが診断・施術の内容・区分の確定・使うかの判断を自動で行う状態ではありません。

12. FAQ

Q. 保険の診療か自由診療かの区分を、AIに決めさせてよいですか。 A. AIは行為の一覧と候補までで、確定は保険医です。同じ日に保険の診療と自由診療を行う場合の扱いは本記事では判断していません。

Q. 美容のコース契約は、すべて特定継続的役務提供に当たりますか。 A. 当たるかは方法・期間・金額などの要件(節9)で決まり、個々の契約が当たるかは本記事では判断していません。「未確認」の間は契約を結ばない設計です。

Q. 施術の前後の写真を、生成AIや広告に使ってよいですか。 A. 本記事の設計では生成AIに入れません。広告に使うかは、撮影の同意の範囲の中で、節9の基準に照らして院長・管理者が判断します。

Q. 副作用が疑われる申出は、すべて厚生労働大臣に報告するのですか。 A. 医薬品医療機器等法第68条の10第2項の報告は、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときのものです(節3)。必要と認めるかは医師が判断し、本記事の設計では申出の全件を医師に回します。

13. 関連業態・シリーズ導線

内科クリニックの記事は、本記事とは別の業態の記事で、外部に出した検査を1件ごとの状態で持つことをTop1に置いています。

エステ・美容サロンの記事は、本記事とは別の業態の記事で、医師による美容医療を対象にせず、コース契約を1契約1行の台帳で持つことをTop1に置いています。本記事は、診療所が診療として行う美容の施術を1来院の1行為と1施術の単位で記録し、医師でない者が行う施術は扱いません。

業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。

14. この記事を自院に当てはめたい方へ

自院で患者の識別子と料金表の現行の版がそろっていなければ導入前提から、そろっていれば区分台帳から始めます。

15. 無料AI戦略診断/AI顧問

AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自院のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。

自院の業務に沿って一緒に設計したい方には、AI顧問サービスがあります。まず話を聞いてみたい方は、お問い合わせから30分の無料リモート面談をご利用ください。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標登録出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Claude AI活用 最強の教科書』(技術評論社・2026年10月刊)、『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)、『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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