「社労士の勉強に六法って必要なの?」「社労士六法ってどれを買えばいいの?」――社会保険労務士(社労士)試験に挑戦しようとすると、こんな疑問にぶつかりますよね。
法律系の資格と聞くと、分厚い六法全書を片手に勉強する姿を思い浮かべる方も多いはずです。だからこそ「社労士でも六法をそろえないといけないのかな」「買うなら早めに用意したほうがいいのかな」と気になってしまいますよね。
そこで先に結論をお伝えします。社労士試験の合格に、六法(条文集)は“必須”ではありません。 テキストと過去問題集をしっかり回せば合格点は十分に取れますし、どうしても条文に当たりたいときだけ、『社労士受験六法』のような受験用にまとめられた書籍を“補助教材”として使えば十分です。
一方で、合格して社労士として実務に就くと、『社会保険労務六法』のような実務用の法令集は、法改正の確認や根拠条文のチェックで頼れる存在になります。つまり六法は「受験で必ず買うもの」ではなく、目的に応じて使い分ける教材なのです。
この記事では、まず「六法とは何か/社労士六法とは何か」を一般的な六法全書と対比して整理し、次に“受験に必要かどうか”をテキスト中心の学習という観点から正直にお伝えします。そのうえで、受験向けの六法・実務向けの六法のおすすめと、アプリ・電子版の現状までを、あなたの判断材料として整理していきます。なお、書籍の版・価格・発行年は時期によって変わるため、購入前には必ず最新版を公式サイトや書店で確認することをおすすめします。
社労士という資格の全体像から先に確認したい方は、社労士|資格の全体像と学習ロードマップもあわせてどうぞ。
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結論|社労士試験に六法は必須ではない。必要なのは“使い分け”
まず全体像をおさえましょう。「社労士の勉強に六法は要るのか?」という問いには、ひとことで「要る/要らない」とは答えられません。なぜなら、試験を受ける段階と、合格後に実務をする段階とで、六法の必要度がまるで違うからです。
- 受験はテキスト+過去問が中心……合格に必要な論点はテキストと過去問題集にほぼ収まっています。六法を無理に読み込まなくても、合格点は十分に狙えます。
- 条文に当たりたい人の補助教材……どうしても条文の原文を確認したいなら、受験用に編集された『社労士受験六法』を“補助”として使うのが現実的です。
- 合格後の実務では頼れる存在……登録して社労士業務に就くと、法改正の確認や根拠条文のチェックで『社会保険労務六法』のような実務用法令集が役立ちます。
大事なのは、「六法を持っているかどうか」で合否や実力が決まるわけではない、という点です。受験生にとっての六法は、“あれば安心”ではなく“目的があるなら使う”教材だと考えると、迷いがなくなります。
この記事を読み終えるころには、六法とは何か、社労士六法とは何か、受験に必要なのか、買うならどれがよいのか、アプリや電子版はあるのか――そのすべてを、あなた自身で判断できるようになっているはずです。
そもそも六法・六法全書とは何かをおさらい
そもそも「六法」とは何か、というところから整理しておきましょう。六法とは、日本における主要な6つの法律のことを指しています。司法試験などの法律系の勉強では、六法(六法全書)は欠かせない存在ですね。
特に重要とされている6つの法律を、簡単にまとめると次のとおりです。
| 六法 | 主な内容 |
|---|---|
| 憲法 | 基本的人権の尊重と政治の仕組みを主な内容とする法律 |
| 民法 | 私人間の関係を規定する私法において基本となる法律 |
| 刑法 | 犯罪・刑罰を規定した、罪を犯した人を罰する法律 |
| 商法 | 商人の営業や商行為について定めた法律 |
| 民事訴訟法 | 民事訴訟に関する手続きについて定めた法律 |
| 刑事訴訟法 | 刑事事件の手続きについて定めた法律 |
「六法」と聞いて最初にイメージするのは、これら6つの法律を中心にさまざまな法律を収めた「六法全書」でしょう。六法全書には、上記をはじめ800を超える数の法令が収録されているものもあります。
なお、ひとくちに六法といっても、持ち運びやすい「ポケット六法」や「デイリー六法」など、収録範囲や大きさの違う書籍が複数あります。社労士の学習で意識すべきなのは、こうした一般的な六法と、次に説明する「社労士六法」は中身がまったく違う、という点です。
社労士六法の内容|一般的な六法全書との違い
ここからが本題です。社労士六法とは、社労士が仕事をするうえで取り扱う、労働法および社会保険に関連する法規などに特化した法令集のことです。
先ほどの六法全書とは違い、社労士業務で使う50以上の法律が掲載されています。具体的には、次のような分類で構成されています。
- 労働法……労働分野の法律で、労働基準法や労働安全衛生法、雇用保険法などが代表的です。
- 社会保険関係法……社会保険分野の法律で、健康保険法や国民年金法、厚生年金保険法などが代表的です。
- 周辺法令……日本国憲法や民法、労働審判法に関する法律などを収録しています。
注意したいのは、社労士六法には「六法」という名前がついていますが、一般的な六法全書に収められている主要な6つの法律(憲法・民法・刑法など)がすべて掲載されているわけではないという点です。
一般的な六法(六法全書)と社労士六法の違いを整理すると、次のようになります。
| 種類 | 中身の特徴 |
|---|---|
| 一般的な六法 | 日本の法律の根幹となる「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」を中心に収録 |
| 社労士六法 | 上記6法ではなく、社労士の実務に直結する労働・社会保険関係の法律を収録した法令集 |
同じ「六法」という名前でも、中に記載されている法律の種類には大きな違いがあるわけですね。
社労士六法は受験に必要?|テキストと問題集が学習の中心
社労士の実務に直結する法律が収録されていると聞くと、「社労士六法は試験の受験に必要だよね?」とイメージする方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、社労士試験の受験に社労士六法は不要です。なぜ必要ないのか、理由を挙げてみました。
- 無理に六法を使わなくても、テキストと問題集だけで試験への備えはできる
- 過去に出題された判例や条文の論点の大半は、テキストに掲載されている
- そもそも条文集は学習に取り入れにくく、あまり受験向きではない
社労士試験で六法が活躍する場面はあまり多くありません。限られた学習時間は、まずテキストと問題集の反復に充てるのが得点への近道です。
具体的に、出題形式ごとに見てみましょう。社労士試験の選択式問題では、各法律の目的条文から出題される傾向があります。ただし、目的条文はテキストや参考書にもしっかり掲載されているため、六法をじっくり読み込まなくても得点はねらえます。
択一式問題も同じです。択一式は「正しいもの」「誤っているもの」を5つの選択肢から選ぶ方式で、法律の条文が基本になります。「条文が論点なら六法が役立つのでは?」と思いがちですが、択一式の論点の多くも基本テキストと過去問題集でカバーできます。つまり、テキスト(参考書)と過去問題集を中心に理解を固めるのが合格への近道で、六法は必須ではない、というわけです(もちろん必要な学習量は人によって異なるため、自分の理解度に合わせて教材を選ぶことが前提です)。
「六法を読むより、まず効率のよい勉強法を知りたい」という方は、社労士の勉強法|独学・通信の最短合格ルートもあわせてどうぞ。そもそものテキスト選びで迷っている方は、社労士テキスト・参考書のおすすめも参考になります。
どうしても使いたいなら『社労士受験六法』|受験向けの六法
「それでも条文に直接当たって理解を深めたい」という方もいるでしょう。その場合は、社労士六法そのものではなく、『社労士受験六法』を利用するのがおすすめです。
社労士受験六法は、社労士六法の内容を受験用に見やすくまとめた書籍で、毎年“対応年度版”が刊行されています。合格に必要な法令・過去問・条文解説などが整理されているため、条文独特の表記に慣れるのに役立ちます。
ここで一点だけ注意があります。受験六法は必ず受験する年度に対応した最新版を選んでください。法改正は毎年のように行われるため、古い年度版を使うと改正前の情報のまま学習してしまうおそれがあります。
向き不向きを整理すると、次のようになります。
- 向いている人……ひととおりテキストを学習し、条文に直接当たって理解を深めたい中上級者
- 向かない人……これから学習を始める初学者(六法より、まずテキストと過去問で基礎を固めるのが先)
独学で条文や法改正への対応に不安がある場合は、解説と最新の法改正フォローがそろった通信講座を使う手もあります。気になる方は社労士の通信講座おすすめ比較で学習環境を選んでみてください。
合格後の実務では六法が必須|『社会保険労務六法』の役割
社労士試験の受験に六法は不要ですが、合格した後の実務では話が変わります。
社労士の仕事は、書類の作成からコンサルティングまで多岐にわたります。業務に必要な法令を調べたり、法改正を確認したりするうえで、実務用の法令集が大いに役立ちます。試験に合格した現役の社労士にとって、社労士六法(社会保険労務六法)は頼りになる存在というわけです。
ただし、合格直後の「事務指定講習」そのものに社労士六法は必要ありません。社労士として登録するには、原則2年以上の実務経験が必要ですが、事務指定講習を修了すれば同等とみなされます。講習は次の2つの課程で構成されています。
| 事務指定講習 | 内容 |
|---|---|
| 通信指導課程 | 教材を使って自己学習し、研究課題の報告による通信教育方式で添削指導が行われる |
| 面接指導課程 | 講習科目について、講義形式の面接指導が4日間(1科目3時間)にわたって行われる |
事務指定講習は指定教材で完結するため、六法をあらかじめ用意しておく必要はありません。なお、講習の課程・日程・科目などの制度内容は変更されることがあるため、受講前には全国社会保険労務士会連合会の最新案内で必ず確認してください。事務指定講習の内容や費用について詳しくは、社労士の事務指定講習は受けるべき?内容や費用まとめもあわせてご確認ください。
一方で、登録後に実際の社労士業務に就くと、状況は一変します。社労士が行う業務には一つひとつ法令の根拠があり、根拠法令に立ち返って法律の建て付けを理解したり、関係する通達を調べたりして手続きを進める必要があります。日々の業務で各法律や施行規則と向き合うため、社労士が扱う法令の全体を見渡すうえで、社会保険労務六法のような法令集が役立つのです。
なお、合格後の働き方や収入の実態が気になる方は、社労士の年収・給料はどのくらい?もチェックしてみてください。
社労士の六法おすすめは?|受験向け・実務向けの選び方
ここまでをふまえて、目的別におすすめの六法を整理します。社労士の六法は、大きく「受験向け」と「実務向け」に分けて考えると選びやすくなります。
- 受験向け|『社労士受験六法』……条文に当たって理解を深めたい中上級者向け。必ず受験する年度に対応した版を選びます。
- 実務向け|『社会保険労務六法』……合格後・登録後に法令を参照するための法令集。全国社会保険労務士会連合会が編集に関わる、社労士向けの代表的な法令集です。
実務向けの法令集を選ぶうえで、いくつか確認しておきたいポイントがあります。
- 最新版かどうか……法令集は版が古いと法改正に追いつけません。発売年・対応年度を必ず確認しましょう。
- 追録・追加情報の有無……法改正に応じた追録や補足情報があるかどうかも、実務では重要です。
- 著者・編集者と出版社……誰が編集に関わっているか(連合会編集かどうか)も信頼性の目安になります。社労士向けの法令集は編集主体を確認しておきましょう。
- 価格・注文方法……書籍によって定価や入手方法(書店・官報販売所・オンライン書店など)が異なります。購入前に確認しておくと安心です。
なお、『社会保険労務六法』の版や価格、発行時期は年によって変わります。本記事の執筆時点では、おおむね年次で改訂版が刊行されていますが、最新版がどれかは出版社や全国社会保険労務士会連合会の案内、書店の在庫で必ず確認してください(古い年度版を最新版と思い込んで購入しないようご注意ください)。
また、連合会が編集に関わる図書には、六法以外にも「社会保険労務ハンドブック」「社会保険の実務相談」「労働基準法・労働保険の実務相談」「月刊社労士」などがあります。実務で何を参照したいかによって、六法と合わせて選ぶとよいでしょう。
六法以外のテキストや問題集も含めて教材選びを総合的に考えたい方は、社労士テキスト・参考書のおすすめもあわせてご覧ください。
社労士六法のアプリ・電子版はある?
「紙の六法は重いから、アプリや電子版で済ませたい」という方も多いですよね。結論から言うと、社労士六法“専用”のスマホアプリは、現状ではほとんど見当たりません。
ただし、日本の法令を手軽に参照できる汎用の六法アプリはありますし、各社の社労士学習アプリで条文や問題に触れることもできます。例として、次のような学習アプリが知られています(提供状況や名称は変わることがあるため、利用前にストアで最新情報を確認してください)。
- 問題演習を中心にした、各予備校・出版社の社労士試験対策アプリ
- 初学者向けの一問一答アプリ
- 理解度に合わせて出題される問題演習アプリ
スキマ時間を有効活用して学習したい方は、こうしたアプリを取り入れてみるのもよいでしょう。
なお、書籍の電子版(Kindleなど)の有無は、書籍ごとに異なります。電子版で読みたい場合は、購入前に各書籍の販売ページで対応の有無を確認してください。条文に頻繁に当たる実務では、検索性の高い電子版が便利な場面もあります。
まとめ|六法は“合格の必須品”ではなく“使い分ける教材”
社労士の六法について、ひととおり整理できましたね。最後にポイントをまとめます。
- 受験はテキスト+過去問が中心……合格に六法は必須ではなく、無理に買う必要はありません。
- 条文に当たりたい人は受験六法……『社労士受験六法』を補助教材として使うなら、必ず受験年度に対応した版を選びます。
- 合格後の実務は社会保険労務六法……登録後は法改正・根拠条文の確認で実務用の法令集が役立ちます。
- 最新版かどうかを必ず確認……版が古いと改正に追いつけません。購入前に公式・書店で最新版をチェックしましょう。
社労士六法は一般的な六法(六法全書)とは違い、社労士の実務に直結する重要な法律が収録された法令集です。受験段階では「必ず買うもの」ではありませんが、合格後の実務では頼れる存在になります。「いま自分は受験のためか、実務のためか」を意識して使い分ける――これが、六法選びで迷わないいちばんのコツです。
これから合格を目指す方は、まず社労士|資格の全体像と学習ロードマップで全体像をつかみ、効率よく学ぶなら社労士の勉強法|独学・通信の最短合格ルートや社労士の通信講座おすすめ比較もあわせて確認してみてください。六法に振り回されず、合格に直結する学習から始めていきましょう。
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