社労士の受験資格をわかりやすく解説|中卒・高卒・専門卒・実務経験・行政書士ルート

社労士の受験資格

「社労士に興味はあるけれど、そもそも自分は受験できるんだろうか」——そう手が止まっている方は多いはずです。

社会保険労務士(社労士)は、毎年4万人前後が挑む人気の国家資格です。独占業務があり、独立開業も狙えるのが魅力ですね。

ただ、社労士は「誰でも受けられる試験」ではありません。受験するには、次の3つのうちどれか1つを満たしている必要があります。

  • 学歴(大学・短大・専門学校の卒業など)
  • 実務経験(通算3年以上)
  • 試験合格(行政書士など、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格)

ここで大事なのは、「3つ全部そろえないといけない」わけではない、ということ。どれか1つで受験資格になります

この記事では、社労士の受験資格を学歴・経歴別にわかりやすく整理し、「中卒・高卒だと無理なの?」「大学を中退したけど受けられる?」といった不安にも、社会保険労務士試験オフィシャルサイト(受験資格)の情報をもとに正確にお答えします(最終確認日:2026年6月)。なお、受験資格は制度改定や様式変更があり得るため、出願前には必ず公式の最新の受験案内で確認してください。

なお、受験資格の見通しが立ったら次は学習の準備です。社労士の勉強法をまとめた市販の書籍を、クレアールが無料で配布する取り組みを行っています(配布条件は提供元の案内をご確認ください)。受験勉強の進め方を知る一冊として、よければ参考にしてみてください。

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目次

社労士(社会保険労務士)の受験資格は3つ|どれか1つでOK

くり返しになりますが、社労士試験の受験資格は「学歴」「実務経験」「試験合格」の3ルート。このいずれか1つを満たせば、誰でも試験に挑戦できます。

受験資格は『学歴』『実務経験』『試験合格』のいずれか1つ

ざっくり言うと、こういうことです。

  • 学歴ルート:大学・短大・専門職大学・5年制の高等専門学校などを卒業している
  • 実務経験ルート:労働・社会保険に関する事務などに、通算3年以上たずさわっている
  • 試験合格ルート:行政書士をはじめ、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格している

「自分は大卒だから学歴でクリア」「学歴では足りないけど、行政書士を持っている」——このように、自分が満たしやすいルートを1つ選べばOKです。

【早見表】あなたは受けられる?学歴・経歴別の受験可否

まず、自分がどの立場かをこの表で確認してみてください。

あなたの学歴・経歴 受験資格は? 補足
大学・短大・専門職大学・5年制高専を卒業 学歴でクリア そのまま受験できます
大学で62単位以上を修得(中退含む) 学歴でクリアできる場合あり 卒業していなくても単位数で満たせることがあります
専修学校の専門課程を卒業(専門卒) 一定条件でクリア 修業年限2年以上・総授業1,700時間以上が目安
高卒 そのままでは不可 実務経験3年か、他資格の合格でルートを作れます
中卒 そのままでは不可 高卒と同じく、実務経験3年か他資格合格で道があります
学歴は足りないが行政書士などに合格済み 試験合格でクリア 学歴に関係なく受験できます

「不可」の行に当てはまった方も、ここで諦めないでください。実務経験を積む・他の資格に合格する、という現実的なルートが残されています。くわしくは後半の「中卒・高卒でも社労士になれる」で具体的に解説します。

受験資格①学歴|大学・短大・専門学校の卒業で受けられる

最初のルートが「学歴」です。大学や短大を卒業している方は、それだけで受験資格を満たせます。

大学・短大・専門職大学・5年制高専の卒業

学校教育法にもとづく次の学校を卒業した方は、学歴で受験資格があります。

  • 大学、短期大学
  • 専門職大学、専門職短期大学
  • 5年制の高等専門学校(高専)
  • 専門職大学の前期課程を修了した方

大学・短大であれば、学部・学科は問われません。卒業していれば学歴ルートでクリアです。

大学で62単位以上を修得(中退でも可の場合あり)

「大学に通っていたけれど、途中で辞めてしまった」という方もいると思います。実は、卒業していなくても、一定の単位を修得していれば受験資格を満たせる場合があります。

具体的には、次のいずれかです。

  • 大学で62単位以上の卒業要件単位を修得した
  • 一般教養科目を36単位以上、かつ専門教育科目などとあわせて48単位以上を修得した

つまり、大学を中退していても、修得した単位数しだいでは受験できるということ。在学中の単位がどれくらいあるか、一度確認してみる価値があります。大学在学中から社労士を目指す道筋については、大学生から社労士を目指すもあわせてご覧ください。

専門学校(専修学校の専門課程)は修業年限2年・総授業1,700時間以上

専門学校(専修学校の専門課程)を卒業した方も、条件を満たせば受験できます。主な要件は次のとおりです。

  • 修業年限が2年以上
  • 課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間(62単位)以上

このため、美容・医療・福祉系など、しっかりした専門課程を修了している専門卒の方も、学歴で受験資格を得られるケースが多いです。ただし、同じ「専門学校卒」でも課程によって該当・非該当が分かれます。自分の課程が要件を満たすかは、公式の受験案内と学校が発行する証明書(卒業証明書・修了課程や授業時間数がわかる書類)で個別に確認しましょう。

学歴の受験資格は卒業証明書などの書類で証明

学歴ルートで申し込むときは、卒業証明書(または成績証明書・修了証明書・単位修得証明書など)で学歴を証明します。

注意したいのが、書類はすぐに発行できるとは限らないこと。とくに古い学歴や、統廃合・校名変更があった学校の証明書は時間がかかることがあります。また、結婚などで証明書の氏名と現在の氏名が違う場合は、戸籍関係の書類で氏名のつながりを示すよう求められることもあります。出願直前にあわてないよう、早めに取り寄せておくと安心です。

受験資格②実務経験|通算3年以上で受けられる

2つめが「実務経験」のルートです。学歴で満たせない方にとって、現実的な選択肢になります。

ポイントは、対象となる実務に通算3年以上たずさわっていること。「ただ会社に3年いた」だけでは認められず、労働・社会保険に関する事務などであることが条件です。

対象になる実務(社労士・弁護士の補助、法人の労務担当、公務員の行政事務など)

社会保険労務士試験オフィシャルサイトでは、おもに次のような実務が対象とされています(いずれも通算3年以上)。

  • 労働社会保険諸法令にもとづいて設立された法人の役員・従業員
  • 国や地方公共団体の公務員として行政事務に従事した方、独立行政法人の職員
  • 全国健康保険協会・日本年金機構の役員・従業員
  • 社会保険労務士や弁護士の業務を補助した方
  • 労働組合の専従役員、会社などの労務担当役員
  • 労働組合の職員や一般企業の従業員として、労働社会保険に関する事務に従事した方

社労士事務所や法人で3年以上、労務・社会保険の実務にたずさわっていれば、学歴がなくても受験資格を得られる可能性があります。ただし、認められるかは「働いた年数」だけでなく、担当した業務内容・雇用形態・従事の実態で判断されます。学歴が足りない方が、働きながら受験資格を作っていく現実的なルートですが、最終的な該当可否は後述の事前確認で押さえておくと確実です。

アルバイト・パートでも認められる?(労働時間と業務内容で判断)

「正社員ではなくアルバイトやパートだけど、実務経験として認められる?」という疑問もよく聞きます。

これは、労働時間と業務内容で判断されます。フルタイムで社労士事務所などに勤め、労務・社会保険の実務をこなしている場合は認められやすい傾向ですが、最終的に受験資格に該当するかは試験センターの判断になります。

一方で、次のようなケースは認められにくくなります。

  • 1週間の労働時間が正社員と比べて大きく短い
  • 単純な事務作業(特別な判断を要しない事務)にしか携わっていない

実務経験は「働いた期間」だけでなく「何をしていたか」も見られる、と覚えておいてください。非常勤・短時間勤務や補助的な業務が中心だった方は、自己判断で申し込む前に、後述の事前確認を使うのが安全です。

実務経験は『実務経験証明書(様式1)』で証明

実務経験ルートで申し込むときは、実務経験証明書(様式1)を提出します。記載するのは、氏名・生年月日などの基本情報のほか、雇用形態、勤務形態(常勤・非常勤)、所属部署や従事した事務の内容、従事期間などです。

従事した業務はできるだけ具体的に書く必要があります。様式は社会保険労務士試験オフィシャルサイトからダウンロードできます。

受験資格③試験合格|行政書士など他の国家資格で受けられる

3つめが「試験合格」のルート。他の国家資格などに合格していると、それだけで受験資格になるという仕組みです。

行政書士の資格があれば受験資格になる

中卒・高卒の方にとって、とくに現実的なのが行政書士です。行政書士試験には学歴や年齢の制限がなく、誰でも受験できます。そのため、行政書士試験に合格するなどして「行政書士となる資格を有する者」になれば、学歴に関係なく社労士の受験資格を満たせます(社会保険労務士試験オフィシャルサイトの受験資格でも、行政書士となる資格を有する者が対象として挙げられています)。

ただし、行政書士も決して簡単な試験ではありません。社労士と並ぶ難関資格である点は心づもりしておきましょう。とはいえ、社労士と行政書士はダブルライセンスとして相性がよく、独立開業のときに業務の幅が広がるという大きなメリットもあります。

厚生労働大臣が認めた国家試験(公認会計士・不動産鑑定士・労基監督官など)

行政書士のほかにも、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格者は受験資格を得られます。代表的なものを挙げると、次のような試験です。

  • 公認会計士試験
  • 不動産鑑定士試験
  • 労働基準監督官採用試験
  • 国家公務員採用総合職試験・一般職(大学卒業程度)試験 など

対象となる試験は数多くあり、上記は一例です。自分が合格した試験が該当するかは、社会保険労務士試験オフィシャルサイトで公開されている「厚生労働大臣が認めた国家試験」の一覧で確認してください。すでに該当資格をお持ちの方は、その合格をもって社労士を受験できます。

司法試験予備試験などの合格

このほか、司法試験予備試験や旧司法試験の第一次試験、高等試験予備試験などの合格者も、試験合格ルートで受験資格を満たします。

中卒・高卒でも社労士になれる|受験資格を得る2つの現実ルート

ここが、いちばん気になっている方も多いところだと思います。結論から言えば——中卒・高卒でも社労士になれます

結論:学歴要件は満たせないが『実務経験3年』か『他資格合格』で受験できる

正直にお伝えすると、中卒・高卒の方は「学歴」ルートでは受験資格を満たせません。ここだけ見ると、入口で閉ざされたように感じてしまうかもしれません。

ちなみに、高卒認定試験(旧・大検)に合格していても、それだけでは社労士の学歴要件を満たす扱いにはなりません。高卒認定は「高校卒業と同等」とされる試験ですが、社労士の学歴ルートは大学・短大・専門学校などの卒業が前提だからです。ここは誤解しやすいので押さえておきましょう。

でも、道は閉じていません。次のどちらかをクリアすれば、学歴に関係なく受験できます。

  • 実務経験を通算3年以上積む
  • 行政書士など、他の国家試験に合格する

実際に、中卒・高卒から実務経験や他資格を経て社労士になった方は珍しくありません。学歴がスタートラインではなく、「ここからどう道を作るか」が勝負どころです。

なお、社労士試験に合格することと、社会保険労務士として登録して働くことは別のステップです。まずは「受験資格をどう作るか」に集中して大丈夫。登録の話は試験に合格してから考えれば十分です。

ルートA:社労士事務所などで実務経験を3年積む

1つめは、社労士事務所や法人で労務・社会保険の実務に3年たずさわるルートです。

「中卒・高卒の自分を雇ってくれるのか」と不安になるかもしれませんが、未経験から採用している社労士事務所や、一般企業の社会保険・労務担当のポジションもあります。応募のときは、独学で身につけた基礎知識を見せつつ「社労士を目指している」という意欲を伝えるとよいでしょう。

確実に受験資格をつくれる一方で、3年という時間がかかるのがこのルートの特徴です。

ルートB:行政書士など他資格に合格して受験資格を得る

2つめは、行政書士など他の国家試験に合格してしまうルートです。さきほど触れたとおり、行政書士は学歴・年齢制限なしで受験できるので、中卒・高卒の方が学歴に頼らず受験資格を作れる有力なルートの一つです。

ただし行政書士自体が難関なので、「もう1つ難しい試験を突破する」覚悟は必要です。どれくらいで合格できるかは学習時間や得意分野で個人差が大きく、人によっては実務経験ルートのほうが現実的なこともあります。腕試しもかねて、まずは行政書士から——という戦略も十分にありです。

どちらを選ぶ?(確実性なら実務経験/早さなら他資格)

2つのルートは、こう整理できます。

  • 確実に受験資格を得たいなら → 実務経験3年(働きながら積み上げる)
  • なるべく早く受験したい・腕試しもしたいなら → 行政書士など他資格の合格

どちらが正解ということはなく、いまの働き方や使える時間で選ぶのがよいでしょう。迷ったときは「今すぐ始められる行動」で考えると決めやすくなります。労務系の求人を探せる状況なら実務経験ルート、まとまった学習時間を確保できるなら他資格ルート——というように、自分の生活に合うほうを選んでみてください。受験資格を得たあとの学習プランは、社労士のおすすめ通信講座で、自分に合った講座を比べながら考えてみてください。

受験資格があるか不安なら、試験センターに事前確認できる

「自分の経歴で受験資格があるか、どうしても自信が持てない」——とくに実務経験ルートは、学歴のようにスパッと判断できないことがあります。そんなときは、自己判断で諦める前に、試験センターの事前確認を使いましょう。

受験資格コードと必要な証明書類

受験資格には、それぞれ01〜14の受験資格コードが割り当てられています。出願時には、自分のルートに応じた証明書類が必要です。出願直前にあわてないよう、次のチェックリストで早めに準備を進めておくと安心です。

  • 学歴ルート:卒業証明書・修了証明書・単位修得証明書 など(古い学歴・統廃合校は発行に時間がかかることあり)
  • 実務経験ルート:実務経験証明書(様式1。勤務先に作成を依頼。退職済みなら依頼に余裕を)
  • 試験合格ルート:合格証明書 など
  • 共通:改姓している場合は、現在の氏名と証明書の氏名をつなぐ書類(戸籍関係)も用意

判断に迷う実務経験は事前確認が安心

実務経験で受験資格を満たせるか微妙なときは、所定の様式で試験センターに事前確認できます。受験資格の照会なのか、免除資格の照会なのかをはっきりさせたうえで問い合わせる仕組みです(科目免除の制度は社労士試験の科目免除も参考になります)。

最新の手続き方法・受付期間は変わることがあるため、必ず社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認してください(最終確認日:2026年6月)。

受験資格を満たしたら|社労士合格までの次の一歩

受験資格の見通しが立ったら、いよいよ合格に向けた学習のスタートです。ここで意識しておきたいのは、受験資格はあくまで「入口」だということ。社労士はその先に、企業の人事労務での活躍や独立開業といったキャリアが広がる資格です。「受験資格 → 合格 → 登録・実務」という全体の流れの中で、いま自分がどこにいるかを把握しておくと、学習のモチベーションも保ちやすくなります。最後に、次のステップに役立つ記事を紹介します。

全体像は『社労士 試験概要・資格全体ガイド』へ

試験科目・日程・合格基準などの全体像をまとめて知りたい方は、社労士|試験概要・受験資格・資格全体ガイドからどうぞ。受験資格のあとに何を準備すればいいかが一通りつかめます。

勉強法・通信講座・受験回数の目安

学習を始めるときは、次の記事が道しるべになります。

社労士は、計画的に学習を積み重ねれば中卒・高卒からでも十分に狙える資格です。受験資格づくりと並行して、学習の準備も進めていきましょう。

社労士の受験資格に関するよくある質問

社労士試験は誰でも受けられますか?

いいえ。「学歴」「実務経験(通算3年以上)」「試験合格(行政書士など厚生労働大臣が認めた国家試験)」の3つのうち、いずれか1つを満たす必要があります。逆に言えば、どれか1つを満たせば誰でも挑戦できます。

高卒・中卒でも社労士になれますか?

なれます。学歴ルートは満たせませんが、社労士事務所などで実務経験を3年積むか、行政書士などの他資格に合格することで受験資格を得られます。

大学を中退していても受験資格はありますか?

ある場合があります。卒業していなくても、大学で62単位以上(または一般教養36単位以上+専門等とあわせて48単位以上)を修得していれば、学歴ルートを満たせることがあります。在学中の単位数を確認してみましょう。

社労士試験は独学で合格できますか?

独学での合格も可能ですが、学習範囲が広く、計画的な進め方が欠かせません。効率を重視するなら通信講座も選択肢になります。くわしくは社労士のおすすめ通信講座を参考にしてください。

まとめ|受験資格は3ルート・中卒高卒も道はある

社労士(社会保険労務士)の受験資格は、「学歴」「実務経験」「試験合格」の3つ。どれか1つを満たせば受験できます

  • 大学・短大・専門学校の卒業(学歴)
  • 通算3年以上の実務経験
  • 行政書士など、厚生労働大臣が認めた国家試験の合格

中卒・高卒の方は学歴ルートこそ満たせませんが、実務経験を3年積むか、他の資格に合格することで、しっかり受験への道を開けます。

「自分は受けられないかも」と早合点せず、まずは自分が満たせそうなルートを1つ見つけることから始めてみてください。受験資格のあとの学習準備は、社労士|試験概要・資格全体ガイドから進めていきましょう。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験など、情報処理技術者試験の学習法・過去問解説を中心に発信しています。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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