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結論|「過去問完全マスター」を選んでよい人・よくない人(3分で整理)
「中小企業診断士 過去問 マスター」で検索している方の多くは、書籍『過去問完全マスター(過去問完全マスター製作委員会)』を買うべきか、どう使うべきかを知りたいはずです。
- 買ってよい人:論点別に“ヨコ”で演習したい/頻出論点を優先して10年分を回したい/スキマ時間で進めたい(ビジネスパーソン向き)
- 別の選択もアリな人:年度別で「本番形式に慣れたい」比重が高い/解説の手厚さを最重視したい
本記事では、最新版の購入判断→最短の使い方→ダウンロード情報まで、ムダなく整理します。
中小企業診断士試験の過去問について
中小企業診断士試験をクリアするには、過去問の有効活用は必須です。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」。
何かと戦う時、戦わなくても何かに取り組む時に必ず引かれるこのフレーズは、中小企業診断士試験にも当てはまります。
他の資格試験や大学入試、特に難関試験と言われる試験では、試験対策のなかでの過去問の重要性はより大きなものとなってきます。
中小企業診断士試験においても過去問は、学習を進めていく上で中心に据えておくべき位置づけと言ってよいでしょう。
過去問を知っておくこと、過去問で覚えることの重要性をお話したいと思います。
過去問を知らなければ効率的な学習はできない
中小企業診断士1次試験の各科目の問題数と試験時間は、以下のとおりです。
- 経済学・経済政策 25問 1時間
- 財務・会計 25問 1時間
- 企業経営理論 40問前後 1時間30分
- 運営管理 40〜45問前後 1時間30分
- 経営法務 20〜25問 1時間
- 経営情報システム 25問 1時間
- 中小企業経営・中小企業政策 40問強 1時間30分
各科目ともに、1問にかけられる時間は3分以下です。
その中で、
「時間をかけていいのか」 or 「捨てるべき問題なのか」
を判断しながら試験時間を使っていく必要があります。
目安として、中小企業診断士試験の各科目の問題のうち難問が2割程度、頻出論点が8割程度と言われることがあります。
時間をかけて解くべきは頻出論点(=取り切れる問題)であり、他の人も解けない難問に引っかかって時間を溶かすのは避けたいところです。
「過去問を知る」ということはこういうこと
〜財務・会計(ファイナンス分野)の例〜
頻出論点の中身を、財務・会計(ファイナンス分野)の過去問を例に見てみます。
・経営指標分析、キャッシュフロー計算、CAPM理論とβ値などは頻出論点になりやすく、WACCやMM理論も繰り返し問われやすいテーマです。これらは最重要論点として、理解しなければならない理論や公式を覚え、どんな問われ方をするのかを知っておく必要があります。
・正味現在価値、差異分析、CVP分析などは2次試験にも活用する論点なので、着実に解答できるようにしておかなければならないところです。
・為替・オプション取引は、金融関係のバックグラウンドがない人にとっては仕組みの理解と計算がやっかいだと思います。2次試験にも絡む可能性があるためマスターするに越したことはありませんが、頻出論点とのバランスで優先順位を調整すると効率が上がります。
・他の人も解けない難問の例として、計算過程が複雑で3分では厳しいタイプの問題が挙げられます。この種の問題は後回しにして、どうしても間に合わなければヤマ感でマークだけしておく、という判断も戦略の一つです。
・また、頻出論点の周辺で新しい指標が登場することもあります。公式は追加・更新が入るため、過去問で「どこまで覚えるべきか」を確認しながら整理するのがコツです。
財務・会計を一例に取りましたが、他の科目も同様に、論点によって出題頻度に差があり、過去問を遡ることで傾向の変化も把握できます。
こういった情報は、中小企業診断士資格予備校の講座でも提供されると思いますし、中小企業診断士の業界誌、「企業診断」で各年度の本試験の講評が毎年同じ時期に掲載されるので、傾向を掴んでおくことは重要です。
無論、最新年度版のテキストや問題集は、出題傾向を把握した上で構成されているはずなので、すべて学習することは大切です。
しかし、すべての論点を平面的に学習するのは若干効率が悪いのも確かです。
大手予備校TAC、大原では受講生の中小企業診断士・1次試験の自己採点の結果を収集して、年度ごとの1次試験の各問題の正答率を算出しています(他の大手でも実施していると思われます)。
これらの予備校は中小企業診断士試験1次の各科目ごとに過去数年分を収録し、解説を加えた過去問集を発売していて、各問題それぞれに正答率が高い順にA〜Eのランク付けが示されるタイプもあります。
この問題ランクを基準として、学習の力の入れ具合を調整することができます。
試験範囲を立体的にとらえることで、自分の理解度と合わせて、覚えなければならない論点をより明確にすることにつながります。
中小企業診断士・1次試験の過去問集としておすすめなのが同友館の「過去問完全マスター」です。
各科目ごとの過去問10年分を論点別に分類し並べ替えた、いわゆる「ヨコ解き」ができる問題集です。
こちらも問題ごとにランクがつけられていますが、正答率ではなく、頻出度・重要度(執筆者の判断)による区分が特徴です。
「ヨコ解き」というのは、例えば財務・会計であればキャッシュフローの問題だけをまとめて解く、といった学習法です。
年度ごとの過去問集では同じ論点の問題にたどり着くにはページをひっくり返さないとならないのですが、「過去問完全マスター」では同一論点の問題がまとまって連続して掲載してあるので、この論点がどういう問われ方をするのかが比較しやすくなっています。
しかも中小企業診断士試験の「過去問10年分」というのもおすすめポイント。
次項では、「過去問完全マスター」について詳しく説明します。
※年度別を「ヨコ解き」、論点別を「タテ解き」と称しているところもあり混乱しがちですが、ここでは「論点別にまとめて問題を解くこと」を「ヨコ解き」とします。
中小企業診断士試験の過去問題集は、過去問完全マスター(同友館)を利用する
前述のとおり、「ヨコ解き」に対応した過去問題集として、同友館出版の過去問完全マスターがおすすめです。
過去問完全マスターは、中小企業診断士の受験生や合格者からの評判のよい過去問題集です。
過去問完全マスターは、過去10年分の過去問題を論点別・重要度順に編集した問題集で、年版ごとに収録範囲がスライドします(最新版ほど直近の傾向・法改正に追随しやすいのがメリット)。
「数多くの過去問の中でも、過去問完全マスターは最も勉強しやすい中小企業診断士試験1次問題集」と言っても過言ではありません。
以下では、過去問完全マスターの魅力や強みを詳しく説明していきます。
論点別に過去問が解ける
繰り返しになりますが、中小企業診断士を目指す人が効率良く勉強できるように、論点別(いわゆる”ヨコ解き”)で過去問を解くことができる点が、過去問完全マスターの最大のポイントです。
勉強進捗によって学んだ論点の過去問を解き、インプットとアウトプットの両方を確立する勉強法に取り組めるのが過去問完全マスターのメリットです。
出題傾向や重要な論点を把握するには、中小企業診断士の過去問題を複数年度に渡って確認しないといけません。
今までは受験生自身が過去問題を出題項目ごとに並べ替えて独自のツールを作成する必要がありましたが、過去問完全マスターは次のように編集しています。
- 直近の過去10年分の1次試験過去問題から、頻出度・重要度を選別する(※年版により収録範囲は異なります)
- 中小企業診断協会の1次試験出題要項を参考にして並び替える
- 受験生は短期間で繰り返し問題を解き、苦手な論点と分野を徹底的に克服できる
出題頻度が高い(重要度が高い)順番で掲載されているため、過去問完全マスターは頻出論点を重点的に学ぶスタイルにピッタリです。
中小企業診断士の試験は100点満点を目指すのではなく、合格点の60点を超えるのが目的ですので、効率良く勉強したい人に過去問完全マスターは向いています。
10年分の中小企業診断士の過去問をカバーしている
上記でも軽く説明しましたが、過去問完全マスターは10年分の中小企業診断士の過去問をカバーしています。
TACの過去問が5年分なのに対して、過去問完全マスターは10年分と2倍です。
これだけの量をカバーしていれば、過去問完全マスターを使って試験対策をして、頻出問題の問われ方のパターンに対応しやすくなります。
ただし、中小企業診断士の第1次試験の問題は、5年~7年ぐらい前の論点がリバイバルして出題されやすいのも特徴です。
短期間で中小企業診断士の資格合格を目指す方は、最近の過去問(直近)を中心に繰り返し解く勉強法が良いでしょう。
1問ずつ解けてスキマ学習しやすい
過去問完全マスターは論点別に整理されているため、1問ずつ区切って進めやすいのも強みです。
電車の中や仕事の休憩時間など、スキマ時間を使って中小企業診断士の試験対策ができます。
仕事をしながら中小企業診断士の資格取得を目指すサラリーマンで、「なかなか勉強の時間を確保できない」と悩んでいる方は少なくありません。
限られた時間を有効に活用して試験に合格するには、細切れで回せる過去問完全マスターがコア教材として役立ちます。
過去問完全マスターの使い方で押さえておきたいポイント
論点別で何度も過去問を繰り返していると、重要なポイントや傾向を読み取って中小企業診断士の試験の効果的な対策ができます。
しかも、過去問完全マスターはスキマ時間の有効活用が可能です。
しかし、使い方が間違っていると過去問の良さを最大限に活かすことができません。どうやって過去問完全マスターを使って試験対策に取り組めば良いのか見ていきましょう。
- 巻末に添付されている「出題範囲と過去問題の出題実績対比」に目を通して頻出論点を把握する
- 頻出かつ重要な部分から取り組む(苦手だと感じる部分は一覧表をマーカーでマークする)
- 各章の冒頭部分の「出題項目のポイント」を読み、頻出論点の内容と傾向を把握する
- 各章の論点別に問題を解き、冒頭部分の解説や説明を読んで理解を深める
- 解説を読んでわからない部分は参考書で調べて繰り返し復習をする
- 各章の冒頭部分に挿入されている「取組状況チェックリスト」を活用し、苦手論点をメモする
過去問完全マスターに掲載されている問題は、次の3種類にランク付けされています。
- 3回以上出題されている、または重要度が高いと判断した問題はA
- 2回以上出題されている、または重要度がAよりも低いと判断した問題はB
- 1回しか出題されていない、または重要度が低い問題はC
「Aの問題」⇒「Bの問題」⇒「Cの問題」という順番で解くと、効率良く中小企業診断士の試験の得点水準を高められます。
過去問を解き始める時期は、暗記系の科目であれば授業やテキストを1周した段階で早めに取り組みましょう。
一単元を学習してすぐに過去問をチェックすると、効率良く記憶に残すことができます。
これから中小企業診断士の資格合格を目指す方は、正しい使い方で過去問完全マスターを解いて実力アップを図ってみてください。
最新版(2026年版/2025年版)の収録年度|まずここだけ確認
過去問完全マスターは、年版ごとに収録範囲がスライドします。目安は「直近10年」です。
- 2026年版:過去10年分(平成28〜令和7)を収録
- 2025年版:過去10年分(平成27〜令和6)を収録
※年版の違いは「最新の法改正」「直近の出題傾向」を拾えるかに直結します。2019年・2020年・2023年など旧版を安く買う場合は、その分“最新論点”は自分で補う前提で選択しましょう(費用対効果がよいケースもあります)。
発売日・購入の目安(2026年版)|品薄を避けたい人向け
年版は科目ごとに発売日がズレます。早めに予約・購入したい人は、発売日を先に押さえておくとよいです(発売日は販売店により「入荷日」「発売日」「発行日」表記が揺れることがあるため、最終確認は販売ページで)。
| 科目(書籍) | 発売日の目安 | メモ |
|---|---|---|
| 1 経済学・経済政策(2026年版) | 2/18 | 発売日が遅めになりやすい |
| 2 財務・会計(2026年版) | 2/24 | 早めに着手したい科目 |
| 3 企業経営理論(2026年版) | 1/26 | 暗記+読解の軸 |
| 4 運営管理(2026年版) | 2/25 | 頻出論点の反復が効く |
| 5 経営法務(2026年版) | 3/31 | 法改正チェック必須 |
| 6 経営情報システム(2026年版) | 1/29 | 用語+計算の整理に強い |
| 7 中小企業経営・政策(2026年版) | 1/26 | 統計・白書系の論点整理 |
※「11〜12ヶ月の学習期間で1次を走り切る」タイプの方は、発売待ちで手が止まらないように、先に旧版で回し始めるのも手です(のちに最新版で差分だけ補完)。
ダウンロード(ランクC/追加問題)と正誤表|知らないと損するポイント
過去問完全マスターは、問題の重要度をA・B・Cで区分しているのが特徴です。さらに、Cの問題・解説についてはアンケート等で入手し、同友館のホームページからダウンロードできる旨が案内されています。
- まずやること:巻末の「出題範囲×出題実績」やチェックリストで、頻出論点(A/B)を把握
- 次にやること:A→B→Cの順で、解けない論点だけ周回(3周が基本、4周目は弱点のみ)
- 忘れがち:正誤表・法改正・お知らせ(出版社ページ)を確認してから仕上げる
よくある質問|「どの年版を買う?」「全部買う?」に答える
Q. 7科目ぜんぶ購入が必須?
A. 原則は7科目そろえた方が設計がシンプルです。ただし、科目免除がある/得意科目が明確など、状況次第では“優先順位をつけた選択”も合理的です。
Q. 旧版(2019年/2020年/2023年など)でも合格できますか?
A. 合格は可能です。ただし最新版ほど「直近の出題傾向・法改正」を拾えないため、補完(白書・法改正・統計数値の更新等)が必要です。価格が安い=よい、ではなく「補完コスト」も含めて判断しましょう。
Q. 2次対策にも使えますか?
A. 直接は1次(択一)向けですが、財務・会計などは2次の基礎体力になります。“汎用性(再現性)”は高い一方、2次は別の演習が必要です。
中小企業診断士「過去問で覚える」ヨコ解きのメリット
ここでは、中小企業診断士1次試験の過去問を「ヨコ解き」するメリットがわかる具体例をあげたいと思います。
企業経営理論の2015年の第1問、2016年、2017年の第2問にPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の問題が出題されています。
5択の文章から正しいものを選ぶ問題です。
中小企業診断士1次試験企業経営理論は「国語の問題」と言われたりするほど選択肢の文章が難解で、言葉の引っかけが仕組んであったりするので、文章を正確に読み取る力が必要とされます。
PPMのテキストの解説を見ると、SBU(問題児、花形、金のなる木、負け犬)ごとに、相対市場占有率、資金流入、市場成長率、PLC(プロダクトライフサイクル)、資金流出のそれぞれの特徴を箇条書きにしてあります。
スッキリしていてわかりやすいのですが、試験問題として順番入り乱れて文章化されると、とたんにめんどくさいことになってきます。
【2017年第2問 選択肢ア】
『衰退期に入った業界の「金になる木」事業と「負け犬」事業は可及的速やかに撤退し、〜』
→衰退期=撤退とイメージしてしまうが、「金のなる木」はキャッシュフローを獲得している事業なので撤退は間違い。
→「負け犬」も撤退のイメージが結びつくが、資金流入が少ないと同時に資金流出も少ないため一概に撤退(可及的速やかに)とは言えない。
『〜、成長率の鈍化した業界の「花形事業」の再活性化〜』
→長いタイムスパンで見れば「花形事業」の成長率が鈍化することもありそう。しかし、そもそも成長率が高い事業が「花形」なので再活性化の必要などない。
選択肢をひとつだけ取り上げてみても、テキストで理解している段階と、試験問題として文章化された時の違いが分かるのではないでしょうか。
中小企業診断士試験(2015〜2017年)の3年分、5択の選択肢の15の文章の記述から多面的に理解することで、PPMの全体像が知識として身についてきます。
過去問の学習は中小企業診断士試験の王道
中小企業診断士試験に挑戦するにあたり、
「同じ問題は出ないから過去問をやっても無意味」
「選択肢を覚えてしまうので、過去問を繰り返しやっても効果はない」
ということを言う人もいますが、中小企業診断士試験についてこれは当てはまりません。
前述のとおり、目安としては中小企業診断士試験(一次試験)の多くが「頻出論点の繰り返し(問われ方の変化)」で構成されます。
一次試験は、どの科目も6割正解すれば合格ですから、過去に出題されたことのない難問のことは気にしすぎず、基本的な論点をきっちり抑えるだけで合格可能性は十分に高まります。
自分の理解度をはっきりさせて、効率的に学習を進めていく上で、中小企業診断士試験の過去問は必須の学習アイテムと言えるでしょう。
過去問には、出来るだけ早く取り組む
あなたは、どのタイミングで過去問に取り組むべき、と思っていますか?
もしかして、「テキストの内容を出来るだけ覚えてから、最後に過去問で仕上げよう」なんて考えていませんか?
その考えは大間違いです。正解は、
「各論点についてテキストをざっと読んだら、すぐに過去問を解いてみる」
ということです。
たとえば、企業経営理論の「競争戦略」の単元のテキストを読んだら、すぐに「競争戦略」に関する過去問を解きます。
もちろん、ヨコ解きの問題集を使うことで、過去5~10年分の「競争戦略」に関する過去問をまとめて押さえることができます。
このようにすれば、「競争戦略の単元は、どのような問題が出題されるか」を理解できます。
過去問を解いて、答え合わせをする際にもポイントがあります。
「〇か×をつけるだけでなく、答えが〇でも、解答に迷ったものには△をつけておく」
つまり、自信をもって解答できたものだけに〇をつけ、しばらく日を空けてから、今度は△と×の印をつけた過去問だけを解いていく・・・すべての過去問に〇がつくまで、これを繰り返します。
こうすることで、問題を解く時間を短縮しながら、理解が不十分な点を確実につぶせます。
一次試験の勉強においては、すべての科目において、以上のように過去問中心の学習を行ってください。
必ず、合格できる力が養成されるはずです。
■
以上、本記事では、過去問の傾向と活用方法について説明してきました。
なお、中小企業診断士のテキストについては、以下もご参考ください。
| 著者情報 | |
| 氏名 | 西俊明 |
| 保有資格 | 中小企業診断士 |
| 所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |
