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こんにちは、トシゾーです。
中小企業診断士2次試験の事例IVは、「財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」です。
結論から言うと、事例IVは出題される論点(経営分析・CVP・投資の経済性=NPV・キャッシュフロー)がほぼ決まっているため、計算の型と検算を固め、部分点を確実に取りに行ければ、4事例のなかで最も「得点を計算できる」事例です。
事例IVは、簿記のような計算問題だけの試験ではありません。短いとはいえ与件文(事例企業の状況説明)が1ページほど付き、貸借対照表や損益計算書と合わせて読み解いたうえで、事例企業への的確なコンサルティングを行う必要があります。解答用紙そのものが、事例企業への「改善提案書・経営診断書」になっているのです。
この記事では、事例IVの出題傾向、頻出4論点ごとの攻略法、80分の解答プロセス、直前期でも伸びる勉強法までを、受験生目線で整理します。興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
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中小企業診断士2次試験 事例IVの試験概要(時間・形式・配点)
まず、事例IVの試験概要をざっと確認しておきましょう。
- 試験時間:80分
- 試験形式:記述式(論述式)に加え、計算問題が多数
- 配点:事例IVは100点満点(事例I〜IVの4事例で合計400点満点)
- 出題範囲:財務・会計を中心とする経営戦略に関わる事例
- テーマとなる業種:特定の業種に偏らず、幅広い業種から出題される
- 設問数:大問が4問程度、小問は最大10問程度
配点について補足します。2次試験は事例I〜IVの各事例が100点満点で、合計400点満点。合格基準は、総点の60%以上(240点以上)を取り、かつ1事例でも満点の40%未満がないことが目安とされています(各設問ごとの内訳配点は非公表で、公式の模範解答も発表されません)。つまり事例IVで大きく崩すと、他事例で挽回できても足切りに引っかかるリスクがある——だからこそ、計算で確実に40%超を確保しておくことが4事例全体の安全につながります。
ここで制度の前提を1つ。中小企業診断士の2次試験は、令和8年度(2026年)から口述試験が廃止され、筆記4事例(事例I〜IV)のみになりました。つまり事例IVは、合否を左右する4事例の最後の1つです。「2次試験=筆記+口述」という古い説明を見かけたら、現在は筆記4事例のみである点に注意してください(最新は中小企業診断協会の受験案内でご確認ください)。
なお、2次試験には公式の正解が発表されません。そんななかで事例IVは、計算問題にきちんと対応できれば、得点獲得の見込み(算段)を立てやすいのが大きな特徴です。だからこそ、後述する「型と検算」で再現性を高めることが、そのまま得点の安定につながります。
事例IVの出題傾向|頻出4論点(経営分析・CVP・投資の経済性・CF)
財務・会計の試験とはいえ、簿記のような計算問題「だけ」の出題ではありません。事例IVの解答用紙そのものが、事例企業への「経営診断書」「改善提案書」になるよう設計されています。
そのうえで、出題される論点はほぼ決まっています。頻出は次の4つです。
- 経営分析(第1問の鉄板)
- CVP分析(損益分岐点分析)
- 設備投資の経済性計算(NPV=正味現在価値ほか)
- キャッシュフロー(CF)計算
このほか、企業価値、プロダクトミックス、為替・オプションなどが絡む年度もあります。
解答の基本プロセスは、次のとおりです。
- 与件から、事例企業の問題点や取り巻く環境を把握する
- 第1問(経営分析が鉄板)で、財務諸表を指標で分析し、現状の課題・問題点のエビデンスとする
- 第2問以降で、出題者の意向に沿う形で、改善提案につながる各種分析を行う
論点がほぼ固定されているということは、過去問で型を作りやすいということです。一方で、配点や難易度は年度によって変動します。ここで紹介する傾向はあくまで目安として、最新の過去問でご自身の感触を確かめてください。
頻出論点①経営分析|収益性・効率性・安全性の指標と選び方
第1問の鉄板は「経営分析」です。ここで安定して点を取れるかが、事例IV全体の土台になります。
なぜ経営分析を最優先で固めるのか。理由はシンプルで、毎年ほぼ確実に出題され、型さえ作れば短時間で得点できるからです。難問のNPVに時間を吸われる前に、ここで確実な点を握っておく——この発想が80分の戦い方を決めます。
ポイントは、マニアックな指標を選ばないこと。「収益性分析」「効率性分析」「安全性分析」という3つの観点のオーソドックスな指標から、与件文や設問の条件を満たすものを選びます。
「指標を3つ選べ」のように、複数選出かつ自由度の高い設問では、次のバランスを意識しましょう。
- 「収益性」「効率性」「安全性」の網羅性を考える
- 「よい指標」だけでなく「悪い指標」も加える
確実に押さえておきたい代表的な指標は、次のとおりです。求め方まで身につけておいてください。
- 収益性分析:売上高総利益率/売上高営業利益率
- 効率性分析:総資本回転率/固定資産回転率/棚卸資産回転率
- 安全性分析:自己資本比率/流動比率/当座比率/固定比率/固定長期適合率
経営分析は丁寧にやると時間がかかりがちです。だからこそ、各指標の計算をルーティン化し、「与件の条件に合う指標を選ぶ→数値を当てはめる→ひと言で課題を表現する」という流れを、過去問で繰り返し練習しておきましょう。
頻出論点②CVP(損益分岐点分析)|計算の型と速く解くコツ
CVP分析(損益分岐点分析)は、計算問題の反復練習をこなしておけば、確実に得点源にできる論点です。出題されたら、ここは落とさないようにしたいところ。
押さえるべき計算の型は、次のあたりです。式とセットで手に馴染ませておきましょう。
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率(限界利益率 = 1 − 変動費率)
- 損益分岐点比率(= 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高)・安全余裕率(= 1 − 損益分岐点比率)
- 変動費率・限界利益率(与件の数値から先に確定させる)
速く正確に解くコツは、型をルーティン化しておくことに尽きます。
- 変動費率は、特に指示がなければ分数のまま残す(途中で小数にすると端数処理で誤差が出やすい)
- ボックス図を描いて整理する(売上・変動費・固定費・利益の関係を図にすると転記ミスが減る)
CVPは「公式を覚える」だけでなく、手が勝手に動くまで反復するのが得点への近道です。
頻出論点③設備投資の経済性計算(NPV)|部分点を確実に取る
設備投資の経済性計算は、多くの論点が組み合わさるため、事例IVのなかでも難易度が高い問題です。具体的には、次のような論点が含まれます。
- NPV法(正味現在価値法)
- 回収期間法
- 内部収益率法(IRR)
- デシジョンツリー
- 取替投資
- 減価償却
一つひとつの論点はそこまで難解ではありません。ですが、これらが複数組み合わさった問題を、限られた時間内に計算ミスなく完答するのは、相当な至難の業です。とくに事例IVは、朝から3事例(80分×3)を解いた後で、疲労もたまっています。
そこで効いてくるのが部分点です。設備投資の経済性計算では、「計算過程を解答用紙に書きなさい」とされるケースがよくあります。これは出題者からの「完答が難しいのは分かっている」というメッセージとも読めます。
つまり、完全な正答にたどり着けなくても、計算プロセスに誤りがなければ部分点がもらえるということ。だからこそ、計算過程は必ず、採点者が追えるように書くのが鉄則です。NPVでは、タイムライン(各年のキャッシュフロー)の符号や、現在価値係数の取り違えに注意しましょう。
設備投資の問題は、問2や問3で出題されることが多い論点です。問題文を見て難易度が高そうなら、最後に解く判断も有効。難しい年度では「問2・問3がほぼ手つかずでも合格した」というケースも珍しくありません。最後まで諦めず、1点でも多く積み上げていきましょう。
頻出論点④キャッシュフロー(CF計算書)と為替・オプション
キャッシュフロー(CF)計算も、CVPと同じく反復練習で得点源にできる論点です。
- 営業活動・投資活動・財務活動のCFの区分を整理する
- 税引後のキャッシュフローを、減価償却費の足し戻しなどを踏まえて計算する
- 正味CFの計算はボックス図で整理すると、項目の入れ忘れを防げる
CF計算が出題されたら、確実に得点を上積みできるように仕上げておきましょう。
また、為替・オプションは、海外対応や輸出入の問題に絡めて第4問などで出題されることがあります。この分野は他の問と独立した問題が多く、あまり捻った出題は少なく、素直に解ける問題が多い傾向です。ここも得点源にしておきたいところです。
80分の解答プロセス|解く順番・時間配分・単位ミス対策
事例IVは、論点の強さだけでなく「80分の使い方」で得点が変わります。おすすめの基本プロセスは次のとおりです。
- 第1問(経営分析)と第4問(独立論点が多い)を先に確保する:得点を計算しやすい問題から手をつけ、土台の点を固めます。
- 第2問・第3問は、解きやすい方から:問題文をざっと見て、取れそうな方を先に。
- 難問の設備投資(NPV)は最後に、部分点狙いで:完答にこだわらず、計算過程を書いて1点でも拾います。
時間配分はあくまで目安ですが、「1問に固執して総崩れ」だけは避けたいところ。取れる問題で確実に積み、難問は部分点という発想で組み立てましょう。
そして、事例IVで地味に効くのが単位ミス対策です。
- 設問ごとに、百万円・千円・円のどのスケールで答えるかを最初に確認する
- %(パーセント)と倍率、年と月の取り違えに注意する
- 計算後は、桁数とスケールを必ず検算する
「合っていたのに単位で失点」は、事例IVの“あるある”です。検算を解答プロセスに組み込んでおきましょう。
事例IVの勉強法|直前期でも伸びる・1次「財務・会計」との接続
事例IVには、ほかの事例にはない強みがあります。それは、直前期でも実力を伸ばしやすいこと。
事例I〜IIIは記述(論述)中心のため、短期集中で一気に伸ばすのは簡単ではありません。しかし事例IVの計算問題は、反復した分だけ実力が上がります。2次試験の直前期こそ、事例IVが苦手な人ほど集中投下する価値があります。
具体的な勉強のポイントは、次の3つです。
- 普段から、計算過程をわかりやすく書く訓練をする:本番だけ丁寧に書くのは難しいもの。日頃の演習から、採点者が追える書き方を習慣にしておくと、部分点を取りやすくなります。
- 失点を3つに分けて記録する:演習後に「計算ミス」「設問の解釈ミス」「時間切れ」のどれで落としたかを分類すると、次にどこを強化すべきかが見えてきます。
- 1次「財務・会計」の知識を土台にする:経営分析の指標、CVP、NPV、CF、簿記の基礎は、1次試験の「財務・会計」で固めた内容がそのまま2次事例IVの土台になります。1次で身につけた計算力を、2次では「型・速さ・記述化」へと橋渡しするイメージです。
教材は、論点別問題集で型を作り、過去問の反復で仕上げるのが王道です。中小企業診断士の過去問の使い方も参考にしてください(問題集・テキストは最新版かどうかを確認しましょう)。過去問を解いたら、解説をただ読んで終わりにせず、自分の計算過程と模範解答の差を1問ずつ確認し、つまずいた論点に印をつけておくと、復習の精度が上がります。
なお、独学で計算手順の解説が腹落ちしにくいと感じる場合は、予備校・通信講座の講義動画で論点をひと通り押さえてから問題集に入る、という進め方も有効です。予備校に通うか独学で進めるかは、使える時間と予算で判断しましょう。
最後に、忘れがちな実務テクニックを1つ。2次試験は、1次試験と違い電卓の持ち込みが可能です。ここでぜひやってほしいのが、「利き手と反対の手で電卓を操作する」こと。右利きなら左手で電卓を叩けば、試験中ずっと利き手で文字を書けるので、時間をロスしません。2〜3日もあればマスターできるので、おすすめです。詳しくは中小企業診断士の電卓の選び方・使い方をチェックしてみてください(電卓の持ち込み可否や機能制限は、最新の受験案内で必ず確認してください。誤ると失格につながります)。
よくある質問(Q&A)|事例IVの不安を整理する
Q1. 事例IVは何から始めればいいですか?
まずは1次「財務・会計」の基礎(経営分析の指標・CVP・NPV・CF)を固め直すのが近道です。そのうえで論点別問題集で型を作り、過去問の反復で仕上げます。教材は最新版かどうかを確認しましょう。
Q2. 計算が苦手でも合格できますか?
部分点を取りに行けば、十分に戦えます。完答にこだわらず、計算過程を必ず書くこと。そして、第1問の経営分析や取りやすい論点で確実に積み上げ、難問は最後に回すのがコツです。
Q3. 事例IVだけ対策が間に合いません。どうすれば?
事例IVは直前期の集中投下が効きやすい分野です。時間が限られているなら、第1問の経営分析と、CVP・CFの反復を優先しましょう。論点が固定されているぶん、短期でも伸びしろがあります。
Q4. 2次試験のストレート合格率はどのくらいですか?
年によって変動しますが、1次・2次のストレート合格はおおむね4〜7%程度、2次試験単体の合格率はおおむね18〜19%程度とされています(断定は避けます。最新は各年の公式発表でご確認ください)。難しい試験だからこそ、事例IVのように対策で差がつきやすい論点を固める価値があります。
まとめ|事例IVは「型と検算・部分点」で最も計算できる事例
事例IVは、出題論点が経営分析・CVP・投資の経済性(NPV)・CFとほぼ固定されています。だからこそ、計算の型と検算を固め、部分点の取り方を身につければ、4事例のなかで最も「得点を計算できる」事例になります。しかも、直前期でも伸ばしやすい——これは大きな武器です。
最終的に得点を決めるのは、あなたの演習設計です。頻出4論点の型を作り、過去問で反復し、計算過程を書いて部分点を取りに行く。この積み重ねが、本番での1点につながります。
次の一歩につながる記事もまとめておきます。
- 2次試験の全体像から考えたい方:中小企業診断士2次試験の対策
- 土台を固め直したい方:1次試験「財務・会計」の攻略
- 演習量を増やしたい方:中小企業診断士の過去問の使い方
- 学習全体を設計したい方:中小企業診断士のキャリア全体ロードマップ
- 講座選びで迷う方:中小企業診断士の通信講座おすすめ比較
※本記事の制度・年度・料金・統計等の情報は、各公式サイト・公的機関の一次情報で確認しています(確認日:2026年6月30日)。最新は 中小企業診断協会(試験・制度) 等でご確認ください。
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