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行政書士に合格後、登録しないとどうなる?
行政書士の試験に合格すれば、「すぐに仕事をスタートできるのだろう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、試験に合格してすぐに行政書士として活動出来るわけではありません。まずは各都道府県にある行政書士会に入会が必須で、そこで資格登録を行います。
行政書士の合格後、登録しないとどうなると思いますか?
先に結論を言えば、合格後に登録しなくても問題ありません。ただし、行政書士の業務は行えません。
行政書士に登録するメリットには、以下のようなものがあります。
- 行政書士としての仕事ができるようになる
- 行政書士会の会報が送られてくる
- 法改正に伴うマニュアルなどの情報を手に入れられる
- 会員向けの研修会や勉強会の案内が送られてくる
- 人脈を広げる良いきっかけになる
行政書士を名乗って業務を行うのであれば、地域の行政書士会への登録が必須です。
行政書士会に登録していない人は、「行政書士試験に合格して資格を有する者」と判断されますので、厳密に言えば行政書士ではありません。
行政書士法第6条では、以下のように定められています。
行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。
法律に反して業務を行うと違法行為に該当しますので、行政書士としてお客様と関わって仕事を行いたいのであれば、行政書士会に登録しましょう。
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行政書士に登録する流れをまとめてみた
以下では、行政書士に登録する大まかな流れをまとめてみました。
- 事務所開設予定地の都道府県行政書士会で、「行政書士登録申請書」などの用紙をもらう
- 「名前」「本籍」「住所」「事務所の名称」「行政書士以外の類似資格」などの必要事項を入力する
- 都道府県行政書士会に「行政書士登録申請書」を提出する
- 入会金や登録手数料を納めて申請が受理されると審査が開始される(拒否されるケースもあり)
- 1ヵ月~2ヵ月後に審査が終了する
- 行政書士会への登録や入会の通知が郵送される
新規登録申請に必要な書類は、「行政書士登録申請書」だけではありません。
他にも、「履歴書」「誓約書」「戸籍抄本」「本籍地の記載された住民票の写し」「身分証明書」「顔写真」などの書類を用意します。
場合によっては公務員職歴証明書や雇用契約書、事務所の所在等を確認するための書類が必要になりますので、行政書士会に確認しておきましょう。
行政書士登録の申請にあたっての注意事項は?
注意事項については、「日本行政書士会連合会」のページに詳しくまとめられていますので、以下にそちらを引用します。
令和元年12月14日以降の申請より、「登記されていないことの証明書」の提出が不要となりました。
また、「身分証明書」については従来、「禁治産者又は準禁治産者に該当しないこと及び破産者で復権を得ないものではないことの証明」を求めていましたが、同じく令和元年12月14日以降の申請より、「破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない者であることの証明」のみを受けたものを提出いただきます。
行政書士会への入会金や登録料は高い?
行政書士の試験に合格し、「ついに国家資格を取得できた!」と喜ぶ方は多いでしょう。
独学でも予備校通学でも、行政書士の試験勉強は半年~1年程度かかるのが普通ですし、合格を手にした時は本当に嬉しいですよね。
しかし、行政書士会に登録して行政書士としての業務を行うにあたり、入会金や登録料を支払わないといけません。
行政書士として正式に業務を開始するには、どのくらいの費用が必要となるのか見ていきましょう。
登録手数料:25,000円
行政書士会への入会金:200,000円
年会費:72,000円(月々6,000円)
登録免許税の収入印紙:30,000円
政治連盟会費:3,000円
参考:東京都行政書士会
行政書士の登録費用はかなり高いことがおわかり頂けるのではないでしょうか。
入会金だけでも20万円が発生しますし、年会費に関しては登録時に3ヵ月分の前払いで18,000円が必要です。
行政書士会への入会金は、「東京都に住んでいるから高い」というわけではありません。
大阪府や神奈川県は東京都よりも高い250,000円ですし、中には100,000円で済む都道府県もあります。
どちらにしろ、入会金と登録料で高額な費用が発生してしまうのは同じです。
行政書士の試験に合格するには、テキスト代や予備校の月謝など勉強代がかかります。
更に合格してからも金銭的な負担が大きいため、行政書士になる上での懸念ポイントです。
行政書士に登録した場合、行政書士法を順守する必要がある
行政書士として登録した方は、行政書士法に従って次の義務が発生します。
- 行政書士法10条の「行政書士の責務」
- 行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」
- 行政書士法12条の「秘密を守る義務」
- 行政書士法13条の「会則の遵守義務」
行政書士の登録は、イコール開業とみなされます。
たとえば、11条「依頼に応じる義務」とありますが、行政書士登録者は業務の依頼を受けた場合、正当な理由がない限り、かならず受任しなければならないのです。
行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」とは?
行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」とは、
「国民から行政書士業務の依頼があった場合、正当な理由がない限り依頼を拒否してはならない」
というものです。
この正当な事由には「(登録済みにも関わらず)まだ開業していないので、依頼をお受けできません」というものは含まれません。
正当な事由として認められるケースとしては、「依頼内容が公序良俗違反」「病気やケガなどやむを得ない事情で業務遂行不可」などが挙げられます。
登録するということは、行政書士を名乗ることであり、名乗る以上はよほどのことがない限り、顧客から依頼されたら受けることが必要であり、それ相応の覚悟が求められます。
以上のような見地から、
「すぐに開業したり副業したりするのでなければ、急いで登録する必要はない」
とも言えるのです。
行政書士会に登録しないデメリットは?
行政書士として仕事を行うにあたり、とんでもなく高い費用がかかることで、「登録しなくても大丈夫なら、登録したくないなぁ」と悩んでいる方も多いでしょう。
「すぐに行政書士会への登録が必要」とは決められていませんので、行政書士として働くまでに期間があるならしばらく様子見するのは選択肢の一つです。
入会金や登録手数料などの費用を全て合わせると総額で30万円くらいになるため、「登録しない方が良いのでは?」と考えるのは仕方ありません。
しかし、行政書士会に登録しないことで次のデメリットがありますので、事前に心得ておきましょう。
- 行政書士会に登録しないままお客様と関わって業務をこなすことはできない
- 行政書士の仕事ができないため、事務所を開いて独立開業することもできない
- 行政書士会に所属する多くの行政書士と情報交換ができない
上記でも説明したように、行政書士会に登録しなければ「行政書士」と名乗ることができません。
せっかく難関試験を突破したにも関わらず、行政書士の仕事ができないのは、あまりに大きなデメリットといえるでしょう。
行政書士会に登録しない理由は?
実際に、行政書士試験に合格して、行政書士会に登録する人と登録しない人、どちらのパターンの人もいらっしゃいます。
行政書士会への登録は任意ですので、必ずしも強制されているわけではありません。
人によって変わりますが、行政書士会に登録しない人の主な理由は以下のとおりです。
- 登録手数料や入会金などの費用を支払いたくない
- 試験に合格してすぐに行政書士としての仕事を始める予定がない
資格は使いたい時に使える立場になっておくのが重要ですので、焦って行政書士会に登録しなくても大丈夫です。
まだ仕事を始めていない人にとって初期費用は大きな負担になるため、「お金を貯める」⇒「しばらくして行政書士会に登録する」というプランでも問題ありません。
将来開業したい人にとっては、人脈を拡げられないことが一番のデメリット
とはいえ、
将来、行政書士として活動したい人にとって、早い段階から人脈を拡げたり、情報収集をすることは重要なことでしょう。行政書士会に登録することで、その機会は大きくなります。
したがって、今すぐ行政書士として活動しない方も、将来活動する予定があるのであれば、早い段階から入会することは、将来のための投資や戦略ともいえるのです。
金銭的な負担とのバランスを考えて、意思決定して欲しいと思います。
行政書士バッジとは何?
補足的なことですが、小さなデメリットとして、「行政書士登録をしなければ、行政書士バッチがもらえない」ということも挙げられます。
行政書士バッジとは、弁護士や司法書士と同じように行政書士が付けられるバッジです。
行政書士バッジのモデルは秋桜(コスモス)で、次のような意味合いで作られました。
- 秩序があること≒調和
- 変わらない心や真心
業務範囲の広い行政書士は国民に密着したサービスと高い倫理観が求められるため、秋桜(コスモス)が採用されています。
業務中に着用している人は少ないのですが、行政書士会への登録と合わせて必要なアイテムです。
行政書士バッジは都道府県行政書士会で2,500円程度の金額で購入できます。
行政書士会への入会金や登録手数料を加味すれば、費用はそこまで高いわけではありません。
まとめ
行政書士として仕事を始めるにあたり、行政書士会への登録が必要だとおわかり頂けたのではないでしょうか。
試験に合格すればOKではなく、入会金や登録手数料、年会費や政治連盟会費を納めて初めて行政書士を名乗れます。
トータルで30万円程度の費用がかかりますので、試験合格後のことも考えて初期費用をしっかりと貯めておいてください。