資格試験の勉強を始めてみたものの、「受験資格がなくて、そもそも試験を受けられなかった…」という失敗は、意外と少なくありません。
「FP2級を受けたいけれど、実務経験がない自分でも受験資格はあるの?」「受験資格で実務経験を聞かれて、つい話を盛って申告したらバレる?」――FP2級(2級ファイナンシャル・プランニング技能検定)の受検を考えているあなたは、こんな不安を抱えていませんか。
先に結論からお伝えします。FP2級は、実務経験がゼロでも受検できます。
ただしこれは、「実務経験がなくても誰でも無条件で受けられる」という意味ではありません。FP2級には受検資格として複数のルートが用意されていて、そのうち実務経験を使わないルート(3級合格・AFP認定研修修了など)を通れば受検できる、という意味なのです。ここを取り違えると、「自分は受験資格がないかも」と思い込んで足踏みしたり、逆に「自己申告だから盛っても大丈夫」と危ない橋を渡ってしまったりします。
この記事では、FP2級を受けたいけれど受検資格に不安があるあなたに向けて、まず「受検資格」「実務経験」「AFP認定などの認定要件」を混同せずに整理したうえで、実務経験なしで受検資格を満たす具体的な方法、自己申告のしくみと「嘘をついたらバレるのか?」というリスクまで、日本FP協会・きんざい(金融財政事情研究会)の公式情報に当てながら、ひとつずつ解説します。
なお、受験手数料や試験方式など年度で変わりうる数字は、最後に必ず公式で確認できるよう案内しています。読み終えるころには、「自分はどのルートで受検資格を満たせばいいか」がはっきり見えているはずです。
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そもそも混同しがち|FP2級の「受検資格」と「実務経験」「AFP認定」は別物
FP2級の受検資格でつまずく原因の多くは、いくつかの言葉を一緒くたにしてしまうことにあります。先にここをほどいておくと、あとの話が一気にクリアになります。
整理すると、混同しやすいのは次の3つです。
- 受検資格……FP2級の試験を「受けるための条件」です。後で詳しく見る4つのルートのいずれかを満たせば受検できます。実務経験は、その4ルートの「1つ」にすぎません。
- 実務経験……受検資格を満たすための1つの手段であって、必須ではありません。「実務経験がないと受けられない」は誤解です。
- AFP・CFP認定……これは日本FP協会の認定資格(CFPは国際資格)で、取得後は継続教育による更新があります。国家資格であるFP技能士(更新不要・有効期限なし)とは別物です。
ここで一番のポイントは、「実務経験」と「受検資格」はイコールではないということです。実務経験という条件を満たさなくても、3級に合格するか、AFP認定研修を修了するというルートを通れば、FP2級の受検資格は手に入ります。
つまり、「FP2級は実務経験なしでもOK」という言葉の正しい意味は、「実務経験ゼロでも、3級合格ルートかAFP認定研修修了ルートを使えば受検できる」ということなのです。実務経験がないこと自体は、まったく問題になりません。
ちなみに、FP技能士(1級・2級・3級)は国家資格で、一度取得すれば更新は不要です。一方でAFPやCFPは日本FP協会の認定資格で、知識を最新に保つための継続教育(更新)が求められます。「FPの資格は更新が必要なの?」と不安になる方もいますが、更新が要るのはAFP・CFP、FP技能士は更新不要――この区別も押さえておきましょう。
FP2級の受験資格は4つ|いずれか1つを満たせば受検できる
それでは、FP2級の受検資格を具体的に見ていきましょう。FP3級は誰でも受けられますが、FP2級は次の4つのいずれかに該当していないと受検できません。
- 3級FP技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定 金融渉外技能審査3級(旧審査試験)の合格者
参考:日本FP協会「受検資格・申請方法」
大事なのは、これらは「すべて満たす」必要はなく、どれか1つを満たせばよいということです。だからこそ、実務経験という条件に当てはまらなくても、3級に合格するか、AFP認定研修を修了すれば、堂々と受検資格を満たせます。
ここで「いきなり2級から受けられるの?」「3級を持っていなくても大丈夫?」と気になる方もいるでしょう。答えは、3級を持っていなくても、AFP認定研修を修了すればいきなり2級を受けられます。実務経験がある方なら、3級を飛ばして2級から受けることも可能です。
※3級を飛ばして2級を受検する場合の詳しい流れを知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
FP2級、3級飛ばして同時受験(併願)できない!いきなり2級とAFPのダブル受検は可能!3級を受けずに飛ばすメリットは?
なお、FP3級そのものには受検資格がありません。「FP業務に従事している者、または従事しようとしている者」であればよく、これから学ぼうとしている初学者なら誰でも受検できます。つまり、実務経験がまったくない人でも、3級は最初の一歩として無理なく受けられるわけです。
もう1点、知っておきたいのが実施団体の違いです。FP技能検定は、日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)という2つの団体が実施しています。受検資格の枠組み(4ルート)は2団体で共通ですが、実技試験の科目(出題範囲)が団体によって異なり、合格率にも差が出ます。なお、上の③にあるAFP認定研修は日本FP協会の認定研修ですが、これを修了すればきんざいでの受検資格としても使えます。どちらで受けるかは後から選べますので、まずは「受検資格をどのルートで満たすか」を固めるのが先決です。
FP2級の「実務経験」とは?認められる業務の定義と具体例
ここまでで「実務経験は受検資格の1ルートにすぎない」とお伝えしましたが、では、そもそもFPの「実務経験」とは何を指すのでしょうか。「自分の仕事は実務経験に入るのかな?」と気になる方のために、公式の定義を整理しておきます。
日本FP協会では、FP業務の実務経験を有する者を次のように定義しています。
- 資産の設計・運用・管理およびこれらに係わる相談業務に携わって通算2年以上
- コンサルティング業務やファイナンシャル・プランニング業務に携わって通算2年以上
参考:日本FP協会「実務経験について」
ポイントは、あくまでも「仕事(業務)として担当した経験」が対象で、趣味などの個人的な取り組みは含まれない、という点です。逆に言えば、相談業務やコンサルティングそのものでなくても、FPに関連する業界で働いていれば実務経験と見なされる余地があります。
具体的に、実務経験として認められやすい仕事の例を挙げてみます。
- 証券会社・保険会社・銀行・クレジット会社などの金融機関に勤務している
- 保険会社(代理店)の職員
- 税理士・弁護士・司法書士・行政書士などで資産に関する相談業務に従事している
- 会計事務所・投資顧問会社の職員
- 不動産会社・建設会社などで土地建物取引・建築・相談業務に従事している
- 生活協同組合などの共済等の担当職員
- 一般事業会社や官公庁の福利厚生担当者、金融・財務・経理担当者
参考:日本FP協会「実務経験について」
「正社員でないとダメ?」と心配する方もいますが、雇用形態は問われません。アルバイト・パート・派遣であっても、FPに関連する業務に通算2年以上携わっていれば、実務経験として認められる余地があります。
公務員・経理・不動産・銀行員…自分のケースはどうなる?
「公務員だけど実務経験になる?」「経理だから微妙かも」――このあたりは、判断に迷いやすいケースです。考え方の目安は次のとおりです。
- 銀行員・証券・保険会社勤務……資産運用や金融商品の相談に関わっていれば認められやすい
- 経理・財務担当……一般企業の金融・財務・経理担当は対象に挙げられている
- 不動産会社……土地建物取引や建築・相談業務に従事していれば対象になりうる
- 公務員……官公庁の福利厚生担当などは例に挙げられているが、部署や業務内容で判断が分かれる
ただし、これらはあくまで目安です。同じ職種でも実際の業務内容によって判断が変わるため、自分のケースが該当するか不安な場合は、自己判断せず、受検する団体(日本FP協会・きんざい)の最新情報で確認するのが確実です。
実務経験の年数は合算できる|計算方法の具体例
実務経験の「2年以上」は、1社で連続して働いた期間に限られるわけではありません。複数の勤務先での経験年数は合算でき、過去の経験も対象になります。
たとえば「1社目で1年6ヵ月」「2社目で1年10ヵ月」FPに関連する業務に携わっていたなら、合算して3年4ヵ月の実務経験と判断されます。受検申請の締切日までに通算2年以上あれば受検資格を満たせますので、思っているよりハードルは高くありません。
実務経験は自己申告|「嘘をついたらバレる?」の正しい答え
ここが、この記事のタイトルにもある「嘘を付いたらバレる?!」という不安に正面から答える部分です。結論を急がず、しくみから見ていきましょう。
FP2級の受検申請で実務経験を使う場合、その有無は自己申告です。「○○の業務に携わっていた」といった細かい証明書類の提出までは求められず、基本的には経験年数を申告する形になります。受験者全員を個別に確認するのは現実的に難しいため、「だったら盛って書いてもバレないのでは?」と考えてしまう方がいるのも、無理はありません。
しかし、ここははっきりさせておきます。「自己申告だから嘘でもOK」は、完全に誤りです。
日本FP協会は、実務経験は自己申告としたうえで、虚偽の申告が発覚した場合には、試験の中止や合格の取り消しの対象になると明示しています。つまり、その場では通っても、後から虚偽が判明すれば、せっかくの合格が無効になりかねないということです。「バレなければ得」どころか、バレたときの代償が大きいのが実態です。
さらに、FP2級の資格は取得して終わりではありません。就職・転職やAFP登録など、合格後に資格を使う場面で、経歴の整合性を問われることもあります。実態のない実務経験を申告してしまうと、こうした場面でつじつまが合わなくなるリスクを抱え込むことになります。
だからこそ、お伝えしたいのは――無理に実務経験ルートを狙う必要はないということです。実務経験が2年に届かない、あるいは該当するか微妙、という方は、危ない橋を渡るのではなく、次の章で紹介する3級合格ルートやAFP認定研修修了ルートを使えば、正々堂々と受検資格を満たせます。「説明できる経験で正直に申告する」――これが、結局いちばんの近道です。
実務経験なしでFP2級の受験資格を得る方法|3級合格・AFP認定研修
実務経験が足りない、あるいは使えそうにない――そんな方が受検資格を満たすための現実的なルートは、大きく2つです。順に見ていきましょう。
方法①:3級FP技能検定に合格する
今までにFPと関連する業務に携わっていない方は、まず3級FP技能検定の合格を目指すのが王道です。前述のとおり3級には受検資格がなく、「FP業務に従事している、または従事しようとしている者」であれば誰でも受けられます。これから2年間の実務経験を積むよりも、3級に合格する方がずっと早く、費用も抑えられます。
3級試験の概要は次のとおりです。
3級ファイナンシャル・プランニング技能検定の基本情報 試験の概要 職業能力開発促進法に基づき指定試験機関の指定を受けた国家検定 受検資格 FP業務に従事している者、または従事しようとしている者(実質、誰でも受検可) 試験日程 CBT方式へ移行し、通年で随時受検が可能(※最新の実施方式は公式で確認) 試験科目・範囲 学科試験(ライフプランニングと資金計画・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続事業承継)、実技試験 試験の種類 学科・実技ともにCBT(コンピューター)方式 受検手数料 学科と実技で8,000円が目安(学科4,000円+実技4,000円・※年度で改定されうるため公式で確認) 試験の実施場所 全国の各テストセンター(申請時に希望地を選択) 参考:日本FP協会「試験について」
3級に合格すれば、それがそのままFP2級の受検資格になります。「実務経験ゼロから2級へ」という方にとって、もっとも分かりやすいステップアップの道です。
方法②:AFP認定研修を修了する
「3級も受けず、いきなり2級から受けたい」という方には、AFP認定研修を修了するルートがあります。3級FP技能検定の資格を持っていなくても、この研修を修了すればFP2級の受検資格を得られます。
AFP認定研修とは、ファイナンシャル・プランニングや保険など複数の専門分野を体系的に学べる、日本FP協会認定の研修講座です。概要は次のとおりです。
AFP認定研修の基本情報 学習カリキュラム FP学習ガイドに基づいたFPに必要な教育水準 学習課目 「FP基礎」「リスクと保険」「金融資産運用設計」「タックスプランニング」「不動産運用設計」「相続・事業承継設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「提案書の作成」 研修形態 通信研修が中心で、学習場所や時間を選びにくい方でも進めやすい 受講要件 義務教育を修了、または同等の学力を持っていること 学習期間 目安は1ヵ月以上で、おおむね1年以内に修了 参考:日本FP協会「AFP認定研修」
AFP認定研修の基本課程を修了しておけば、FP2級に合格した後、スムーズにAFPとして登録することもできます。受講には費用がかかりますが(研修・講座によって金額は異なるため、最新は各講座の公式で確認してください)、「受検資格の取得」と「2級対策の学習」を同時に進められるのが大きな利点です。
実際、市販のFP2級講座の中には、このAFP認定研修に対応したものが少なくありません。学習しながら受検資格も手に入る形なので、実務経験のない方には特に向いています。どの講座が自分に合うかは、下記のFP講座ハブで比較してみてください。
【おすすめFP講座】
講座選びに迷ったら、FPの通信講座おすすめ比較もあわせて参考にしてみてください。
受験する前に確認|FP2級の受験料・試験方式・難易度の最新は公式で
受検資格のめどが立ったら、申し込む前に試験そのものの「いま」の情報も押さえておきましょう。ここは年度で変わりやすいので、断定せず、最後は必ず公式で確認するのが安全です。
試験方式……FP2級・3級ともに、従来の指定日程の紙試験からCBT方式(コンピューターを使った試験)へ移行しており、通年で随時受検できる形になっています。「FP2級はいつでも受けられますか?」という疑問への答えは、おおむね「通年で受検できる」ですが、申込時期やテストセンターの空き状況によりますので、最新は公式で確認してください。
受検手数料……FP2級は学科と実技を合わせて11,700円(学科5,700円+実技6,000円)が目安です。3級は学科・実技合わせて8,000円が目安です。ただし手数料は年度で改定されることがあるため、申し込み前に日本FP協会・きんざいの公式ページで時点確認してください。
難易度・合格率……FP2級の難易度や合格率は、実施団体(日本FP協会/きんざい)や受検回によって変動します。一般に3級より難しくなりますが、独学でも十分に合格を狙える範囲とされています。具体的な数字は時期で動くため、あくまで傾向としてとらえ、最新の合格率は公式の発表で確認しましょう。
難易度や勉強の進め方をもう少し詳しく知りたい方は、級ごとの解説記事もあわせてどうぞ。
まとめ|FP2級は実務経験なしでも「正しいルート」で受検できる
FP2級の受験資格と実務経験について、もやもやが晴れたでしょうか。最後に、要点を整理しておきます。
- FP2級の受検資格は4ルート(3級合格・実務経験2年・AFP認定研修修了・金融渉外技能審査3級合格)=実務経験はそのうちの1つにすぎない
- 実務経験がゼロでも、3級合格かAFP認定研修修了のルートを使えば受検できる
- 実務経験は自己申告だが、虚偽が発覚すれば試験中止・合格取消の対象=説明できる経験で正直に申告する
- 受検手数料・試験方式(CBT通年化)・合格率は年度で変わる=公式(日本FP協会・きんざい)で時点確認を
「実務経験がないから受けられない」とあきらめる必要も、「自己申告だから盛ってしまおう」と危ない橋を渡る必要も、まったくありません。正しいルートを選べば、実務経験ゼロからでもFP2級にはちゃんと挑戦できます。
これからFP2級を目指す方は、まず3級の学習から始めるか、AFP認定研修に対応したFP講座で受検資格と学習を同時に進めるのがおすすめです。自分に合った進め方は、FP資格全体のロードマップやFPの通信講座おすすめ比較を参考に、無理のない一歩から始めてみてください。
