行政書士の副業で成功する方法とは?!サラリーマンでも儲かる?

行政書士の副業

「行政書士の資格を取れば、サラリーマンの副業でも儲かるのでは?」――そう考えて、勉強を始める会社員の方が年々増えています。

たしかに行政書士は、「副業」「雇用(勤務・転職)」「独立開業」という3つの働き方があり、その中でも「副業」は、もっともスモールスタートしやすい入り口だと言えるでしょう。

ただ、結論から正直にお伝えすると、行政書士の副業は“やり方次第で”成立するものの、「資格さえあれば自動的に稼げる」わけではありません

副業として動くには、まず行政書士会への登録(事務所の用意・登録費用)が前提になりますし、できる仕事の範囲も行政書士法で決まっています。さらに、勤務先の就業規則や、公務員であれば兼業制限という現実的な壁もあります。

この記事では、副業や兼業を検討しているあなたが、「そもそも副業できるのか」「何が必要で、いくらくらい稼げるのか」「どんな注意点があるのか」を、判断材料として一つずつ整理していきます。

読み終えたとき、あなた自身が“副業として行政書士に踏み出すべきか”を、冷静に決められる状態を目指しましょう。

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行政書士として副業は可能なの?まず押さえる3つの前提

近年は、副業で収入を得るために行政書士の資格勉強を始めるサラリーマンが増えました。一昔前と違って副業を容認する会社が多くなり、行政書士の資格を活かすのも選択肢の一つになっています。

結論から言うと、行政書士として副業をすること自体は可能で、会社員をしながら活動する「副業行政書士」も少なからず存在します。

ただし、副業として現実的に動き出すには、先に押さえておきたい3つの前提があります。ここをあいまいにしたまま「とりあえず資格を取れば何とかなる」と考えると、後で「思っていたのと違った」となりがちです。

そもそも「副業行政書士」とは

ここで言う副業行政書士とは、ざっくり次のような人を指します。

  • 他士業との兼業ではなく、一般的な企業に勤めている
  • サラリーマン(会社員)等として働きながら、行政書士登録をしている

行政書士試験は決して簡単ではありませんが、最近増えているスマホ動画対応の通信講座などをうまく利用すれば、働きながらでも合格を目指せます。まずは「会社員を続けながら行政書士として活動する」というイメージを持っておきましょう。

前提1:副業でも「登録(行政書士会)」が必須

最初の前提が、「試験に合格しただけでは、行政書士を名乗って仕事はできない」ということです。

行政書士として業務を行うには、都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会の名簿に登録する手続きが必要です。これは専業でも副業でもまったく同じで、登録には事務所の用意や、決して安くない費用もかかります(詳しくは後述します)。

「副業だから登録は軽くていいだろう」とはならない点を、まず押さえておいてください。

前提2:できる仕事の範囲は「行政書士法1条の3」で決まっている

2つめの前提は、副業であっても、行政書士ができる仕事の範囲は法律で決まっているということです。

行政書士の業務は、行政書士法1条の3に定められており、大きく分けると次のようになります。

  • 官公署(役所)に提出する書類の作成や、許認可申請の代理
  • 契約書など、権利義務・事実証明に関する書類の作成
  • これらの書類作成に関する相談対応

副業だからといって、何でも自由に請け負えるわけではありません。「自分がやりたい副業」が行政書士の業務範囲に入るのかどうかは、最初に確認しておきたいポイントです(業務の中身は後の章でくわしく扱います)。

前提3:勤務先の就業規則・公務員の兼業制限という壁

3つめが、あなた自身の“立場”による制約です。

会社員であれば、勤務先の就業規則で副業が認められているかを必ず確認する必要があります。また公務員の場合は、法律で兼業が厳しく制限されているため、行政書士の副業はハードルが高くなります(この2つは注意点の章でくわしく解説します)。

さらに、見落とされがちなのが行政書士会の登録要領・事務所要件です。登録の審査では独立した事務所としての実態(事務所要件)が確認され、会社員として勤務しながら登録する場合の扱いは、所属予定の都道府県行政書士会の運用によって異なるとされています。

そのため、「平日は会社員、空き時間だけ純粋な片手間で行政書士」という働き方が想定どおりにできるかどうかは、会ごとの運用に左右されるのが実情です。会社員登録の可否・事務所要件・必要な届出は、必ず所属予定の都道府県行政書士会で確認してください(独断で進めると、登録できない・後でやり直しになることもあります)。

副業するには登録が必要!登録の流れと費用

「試験に合格すれば、すぐに行政書士として副業できる」「今すぐお金を稼げる」と考えている方もいるかもしれません。しかし前提1で触れたとおり、行政書士として仕事を進めるには、行政書士登録が欠かせません。

これは専業でも副業でもまったく同じで、日本行政書士会連合会の名簿に登録の手続きを行うことを指します。

登録の流れ

どうやって行政書士登録をすればよいのか、おおまかな流れをまとめると次のとおりです。

  1. 事務所の所在地を管轄する都道府県行政書士会(単位会)に申請する(書類の提出)
  2. 都道府県行政書士会から、日本行政書士会連合会に書類が送られる
  3. 日本行政書士会連合会で登録の審査が行われる
  4. 受理されると、行政書士としての登録が完了する

くり返しになりますが、試験に合格しただけでは、行政書士を名乗った仕事はできないと心得ておきましょう。

登録には決して安くない費用がかかる

注意したいのが、行政書士登録には、決して安くはない費用がかかるという点です。登録手数料に加えて、都道府県会への入会金や、毎月の会費なども発生します。

金額は所属する行政書士会によって異なり、改定されることもあるため、ここでは具体額の断定は避けますが、「登録して活動を始めるだけで、まとまった初期費用と固定の月会費がかかる」という点は、副業として始めるうえで必ず押さえておきたいところです。

費用の詳細や最新の目安については、行政書士登録の流れと費用をまとめた記事でくわしく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

「とりあえず登録」は認められない

「そのうち副業をする予定だから、とりあえず登録しておこう」――実は、このような考え方は認められていません。

というのも、行政書士名簿に登録した場合、「行政書士としての業務を行う」ことが前提になるからです。副業であれ独立開業であれ、登録した以上は行政書士として活動することが求められます。

その背景には、行政書士法が定める各種の義務があります。たとえば行政書士法11条には「依頼に応ずる義務」が定められており、登録した行政書士は、正当な事由がなければ依頼を拒むことができないとされています(「正当な事由」にあたるかは個別事情・所属会の見解によります)。

逆に言えば、登録した場合は行政書士として働くことが前提になっているため、登録の審査もそれなりに丁寧に行われます。「形だけ登録して放置」という使い方は想定されていない仕組みだと理解しておきましょう。

登録後に発生する行政書士法上の義務(現行の条文番号)

副業であっても、登録すれば行政書士法上の義務が発生します。ここで、現在施行されている行政書士法(令和7年の改正で条文が整理されています)に沿って、主な義務を整理しておきます。

  • 1条の2(職責)……常に品位を保持し、公正かつ誠実に業務を行う
  • 10条(信用失墜行為の禁止)……行政書士の信用や品位を害する行為をしてはならない
  • 11条(依頼に応ずる義務)……正当な事由がなければ依頼を拒めない
  • 12条(秘密を守る義務)……業務上知り得た秘密を漏らしてはならない
  • 13条(会則を守る義務)……所属する行政書士会の会則を守る

副業とはいえ、行政書士登録をすれば、それだけで立派な国家資格の専門家です。これらの義務を負う覚悟を持って業務にあたる必要があります。

※本記事の行政書士法の条文番号は、令和7年法律第65号による改正後(令和8年1月1日施行)の現行法に基づき、2026年6月時点でe-Gov法令検索の行政書士法を確認して記載しています。条文は改正されることがありますので、引用の際は公開日時点の最新条文をご確認ください。

行政書士として副業するメリット

ハードルの話が続きましたが、もちろん、専業ではなく副業として行政書士を始めるメリットもしっかりあります。主なものを挙げていきましょう。

  • 本業の会社から毎月一定の収入があるため、行政書士として稼げない時期でも生活の基盤を維持できる
  • 副業である程度稼げれば、年収が上がってゆとりある生活につながる
  • いきなり初期費用をかけて独立開業するリスクを回避できる(仕事の一連の流れを副業で確認できる)
  • 行政書士に定年はないため、営業・実務力次第では、本業を定年退職した後も収入源を作れる可能性があり、老後の選択肢を広げやすい

本業の安定した収入に加えて副業で稼げれば、今よりも生活に余裕が生まれます。行政書士は国家資格ですから、資格を持っていること自体にも一定の価値があります。

個人的には、この「副業 ⇒ 独立・開業」という流れはとてもおすすめだと考えています。副業の間に仕事を覚え、仕事の取り方を学び、独立後にうまくいくための戦略をじっくり練る――この順番が、結果的に遠回りにならない現実的なルートです。

「副業 → 独立開業」のステップで仕事を覚える

行政書士を正社員として採用している事務所はそれほど多くなく、独立開業を見据えて資格を取得するケースがほとんどです。

とはいえ、いきなり会社を辞めて開業するのはリスクが大きいもの。まずは副業として行政書士の仕事に触れ、実務の流れや顧客対応、仕事の取り方を体感してから独立を判断するほうが、失敗が少なくなります。

具体的な仕事の取り方・覚え方については、行政書士の仕事の取り方・覚え方を解説した記事でくわしくまとめていますので、こちらも参考にしてください。

行政書士の資格を活かした副業が向いている人

次のような方には、行政書士の資格を活かした副業が向いていると言えます。

  • 副業から仕事をスタートして、実績を積み重ねたい
  • 本業の給料や年収に不満があり、収入の柱を増やしたい
  • いずれ独立開業したいが、いきなりの初期費用や無収入リスクは避けたい

「開業前に経験を積みたい」という方にとって、副業は理にかなった準備期間になります。

行政書士の副業でおすすめの仕事・案件の探し方

「副業で行政書士をやるとして、具体的にどんな仕事をして、どうやって案件を取るの?」――ここが一番気になるところだと思います。

まず大前提として、行政書士の仕事は本業でも副業でも基本的には同じです。扱う書類の種類は非常に多く、業務範囲は法律系の国家資格の中でも特に広いと言われます。

副業向きの業務(行政書士法1条の3の範囲内)

行政書士の業務は、大別すると次のようになります(いずれも行政書士法1条の3に定められた業務の範囲です)。

  • 官公署(役所)に提出する書類の作成や、許認可申請の代理
  • 契約書など、権利義務・事実証明に関する書類の作成
  • 書類作成に関する相談対応(コンサルティング的な業務)

本業でも副業でも、自分で営業活動を行い、行政書士としての仕事を確保しないといけない点は変わりません。「登録すれば仕事が向こうから来る」わけではない、と理解しておきましょう。

在宅・週末でできる仕事と、平日の役所対応が必要な仕事

副業を検討する方が気になる「在宅でできるか」「土日だけで回せるか」ですが、これは扱う業務によって大きく変わります

書類作成や相談対応の一部は、自宅でパソコンに向かって進めやすい仕事です。一方で、官公署(役所)への申請や問い合わせは平日の日中にしか対応できないことが多く、平日に動けないと厳しい業務もあります。

そのため、「完全在宅・土日だけ」を狙うなら、役所対応の比重が小さい業務を中心に選ぶといった工夫が必要になります。どの業務がどれだけ平日対応を求めるかは、案件ごとに事前に見極めておきましょう。

代表的な業務を「平日対応の多さ・在宅のしやすさ・初心者の取り組みやすさ」の観点でざっくり整理すると、副業向きかどうかのイメージがつかみやすくなります(あくまで傾向の目安で、単価や実際の進め方は案件ごとに要確認です)。

  • 契約書・内容証明など書類作成……在宅で進めやすく、平日対応は比較的少なめ。副業の入り口にしやすい(ただし紛争性が高い案件・相手方との交渉・法的紛争の代理は弁護士の領域になり得るため、受任前に線引きを確認する)
  • 補助金の申請支援……在宅作業中心だが、制度理解と期限管理がシビア。需要はあるが難易度はやや高め(※厚生労働省管轄の「雇用関係助成金」は社会保険労務士の独占業務にあたり、行政書士は業として申請代行できません。経済産業省などが管轄する「補助金」と「助成金」は分けて考え、扱える制度かどうかを必ず確認してください)
  • 車庫証明・自動車関連……定型化しやすい一方、警察署・役所での平日手続きが発生しやすい
  • 各種許認可(飲食・建設・古物商など)……官公署対応が多く、平日に動ける体制が要る
  • 外国人関連(在留資格など)……専門性と面談対応が求められ、信頼構築に時間がかかる

「自分は平日どれだけ動けるか」を起点に、在宅で完結しやすい業務から小さく始めるのが、副業としては無理のないスタートになります。

受験講師など、資格を活かした副業

書類業務以外では、行政書士試験講座の講師という選択肢もあります。行政書士は受験者数が多い資格で、資格スクールでは常勤・非常勤・パートなどさまざまな形で講師を募集していることがあります。

講師の報酬は条件によって幅があり、求人や時期によっても変わるため、ここで具体額を断定するのは避けます。興味がある方は、各スクールの求人で最新の条件を確認してみてください。

副業の案件はどう探す? 現実的なルート

副業行政書士の案件を取る方法としては、次のようなルートが現実的です。

  • 知人の紹介や、本業で築いた人脈から依頼を得る
  • ホームページ・ブログ・SNSで専門分野を発信し、問い合わせにつなげる
  • 行政書士事務所の補助者やアルバイトとして関わり、実務経験を積む
  • 業務委託・募集案件を探す(業務範囲や報酬・責任の所在をよく確認する)

特に未経験から始める場合は、いきなり一人で全部やろうとせず、補助者などで実務に触れてから少しずつ受任を広げるのが、無理のない進め方です。

「サラリーマンでも儲かる」は本当?収入の現実と落とし穴

ここが、この記事でいちばん正直にお伝えしたいところです。

「行政書士の資格を持っていれば、副業でたくさん稼げる」と考えるサラリーマンは少なくありません。しかし、結論を急がず、現実を冷静に見ておくことをおすすめします。

「資格があれば儲かる」ではなく「集客と営業で決まる」

まず押さえたいのは、行政書士の副業で稼げるかどうかは、資格の有無だけでは決まらないということです。

実際の収入は、集客力・営業力・どの業務を扱うか・どれだけ稼働時間を確保できるかといった要素で大きく変わります。資格はあくまで「業務を行える前提」であって、「自動的に依頼が来る保証」ではありません。

ですから、「サラリーマンでも儲かりますか?」という問いに対しては、「やり方と努力次第で可能性はあるが、誰でも自動的に儲かるわけではない」というのが正直な答えになります。

副業の収入は人によって大きく違う

副業行政書士の収入は、実績ゼロのスタートから月数万円程度というケースもあれば、案件が安定して伸びていくケースもあり、本当に人によってバラバラです。

収入は「案件の単価 × 件数」で決まりますから、単価の取れる業務を扱い、件数を確保できるかどうかが鍵になります。ここでも具体的な金額を断定するのは避けますが、「最初から大きく稼げる前提で考えない」ことが大切です。

「売上」ではなく「利益」で考える

見落としがちなのが、登録費用・毎月の会費・広告費などのコストです。

これらは仕事があってもなくても発生する固定的な支出ですから、「売上から経費を引いた“利益”がいくら残るか」で考えないと、「忙しいのに手元にお金が残らない」という事態にもなりかねません。副業として割に合うかどうかは、利益ベースで見積もっておきましょう。

稼げない人にありがちなパターン

逆に、副業でうまくいかない人には次のような共通点があります。

  • 登録しただけで満足し、営業(集客)をほとんどしない
  • 平日に動けず、役所対応が必要な案件をさばけない
  • 問い合わせへのレスポンスが遅く、機会を逃す
  • 「小遣い稼ぎ」感覚で中途半端に取り組み、本業との両立が崩れる

特に最後の「中途半端な片手間」は要注意です。本業との両立が崩れてしまっては本末転倒。副業で行政書士をやるなら、「軽い小遣い稼ぎ」ではなく「専門家として責任を持つ仕事」という意識を持って取り組むことが、結果的に成功への近道になります。

行政書士として副業する上での注意点(就業規則・公務員・行政書士法・税金)

副業を始める前に、事前に押さえておくべき注意点があります。ここを軽視すると、最悪の場合は本業を失う、法律違反になる、といったリスクにもつながりますので、しっかり確認しておきましょう。

勤務先の就業規則を必ず確認する

まず最初に、今働いている会社の就業規則を確認しないといけません。

就業規則で副業が禁止されているのに行政書士として活動すれば、当然ながら処分の対象になり得ます。副業がOKかNGかは、就業規則の「服務規律」の部分に書かれていることがほとんどです。たとえば、次のような記載があると副業はできません。

  • 「副業はこれを禁止する」
  • 「社員は職務に専念し、副業等の社外における営利活動を禁止する」

近年は副業を認める会社も増えていますが、「禁止」「許可制」「届出制」など扱いはさまざまです。就業規則を守らずに副業すると、最悪の場合は解雇につながることもありますので、必ず事前に確認し、許可制なら所定の手続きを踏んでください。

公務員は要注意(兼業制限がある)

特に注意が必要なのが公務員です。

国家公務員・地方公務員には、国家公務員法・地方公務員法による兼業(営利目的の業務)の制限があり、原則として任命権者の許可などが必要とされています。行政書士の開業・副業は自営に該当しうるため、会社員以上にハードルが高いと考えておくべきです。

公務員の方が行政書士の副業を検討する場合は、必ず所属先の規定を確認し、必要な手続き・許可を踏むようにしてください。ここは個別事情で結論が変わるため、独断で進めないことが大切です。

行政書士法上の義務を守る(現行の条文番号)

登録した行政書士には、行政書士法上の義務が発生します。現在施行されている行政書士法(令和7年の改正で条文が整理されています)に沿って整理すると、主に次のような義務があります。

  • 行政書士法1条の2「職責」(品位の保持・公正かつ誠実な業務遂行)
  • 行政書士法10条「信用失墜行為の禁止」
  • 行政書士法11条「依頼に応ずる義務」
  • 行政書士法12条「秘密を守る義務」
  • 行政書士法13条「会則を守る義務」

副業とはいえ、行政書士登録をすれば、それだけで国家資格を持つ専門家です。覚悟を持って業務を遂行する必要があります。

「依頼に応ずる義務」(11条)が副業のネックになりやすい

副業として特にネックになりやすいのが、行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」です。条文には、次のように規定されています。

行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。

引用:行政書士法(e-Gov法令検索)

つまり、登録して行政書士を名乗る以上、「平日は本業があるので、その依頼は受けられません」と安易に断りにくいのです。ただし、専門外・利益相反・対応能力を超える案件などは「正当な事由」となる場合があり、その線引きは個別事情や所属会の見解によって変わります。過度に身構える必要はありませんが、本業の都合だけを理由に依頼を自由に選り好みできるわけではない点は、副業を始める前に頭に入れておきましょう(判断に迷う場合は所属会に確認するのが確実です)。

対策としては、副業の間は無理な営業で案件を抱え込みすぎない、あるいはあくまで独立開業までのステップと割り切り、業務が増えてきたら専業を検討するといった考え方が現実的です。

競業避止義務・守秘義務にも気を配る

本業を持つ副業ならではの注意点として、本業の会社に対する競業避止義務や、本業・副業それぞれの守秘義務があります。

本業で得た情報を行政書士業務に流用したり、逆に行政書士の依頼者情報を漏らしたりすれば、重大な信頼喪失や契約違反につながります。本業と副業の情報はきっちり分ける意識を持ちましょう。

確定申告・名義貸しなど、お金とルールの注意点

最後に、見落とされがちな実務面の注意点です。

  • 副業の所得が一定額を超えると、確定申告が必要になる(住民税の扱いにも注意)
  • 「名義貸し」や無登録での営業は厳禁(登録した本人が責任を持って業務を行う)

特に名義貸しや無登録営業は、行政書士法の業務制限(19条=行政書士でない者が報酬を得て業務を行うことの制限)にも関わる重大なルール違反です。「ちょっとだけなら」という安易な気持ちで踏み込まないようにしてください。

行政書士として副業するデメリット・向き不向き

副業で行政書士の仕事に携わる場合、良いことばかりではありません。いくつかのデメリットや弊害もありますので、副業を検討する方は要チェックです。

  • 官公庁(役所)を相手にする業務が多く、平日の昼間に時間を確保できないと両立が厳しい
  • 業務を受注できても、本業が忙しいと、顧客への柔軟な準備や対応がしにくい
  • 顧客からの急ぎの電話や問い合わせに対応できないと、大きな機会損失になる
  • 土日に行政書士として働くと、体力面・精神面でキツくなり、本業に支障が出ることもある
  • 安定した副収入を得たいなら、自分で営業活動を続ける必要がある

専業でも副業でも、行政書士として働く以上は顧客を第一に考える必要があります。また、前述のとおり登録するだけで費用が発生しますので、「登録しているのにほとんど仕事をしない」状態は、固定費が出ていくだけのムダになってしまいます。

本業が忙しすぎて行政書士の仕事の時間を確保できない人は、現実的に副業は難しいと心得ておきましょう。

副業よりも専業が向いている人

逆に、次に該当する方は、副業ではなく専業として行政書士に取り組むほうが向いています。

  • 平日も土日も本業で拘束されることが多く、顧客への対応が難しい
  • 知人や同業者からの紹介で、顧客をしっかり獲得できる見込みがある
  • ある程度の仕事を確保できるようになり、独立開業を本気で目指したい

サラリーマンが副業する場合、本業と副業のどちらも疎かにしてはいけません。行政書士への登録は責任を伴いますから、本業が忙しくて依頼に十分対応できないのであれば、専業のほうが向いていることも多いのです。

「副業として始めるべきか、それとも専業を目指すべきか」を、自分の生活スタイルと照らし合わせて冷静に判断してください。

目次

副業を成功させるためのポイントと、次に読むべき記事

最後に、行政書士の副業を成功させるために押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 会社の就業規則(公務員なら兼業制限)を見て、副業しても大丈夫かを“先に”確認しておく
  • 行政書士法に目を通し、本業と副業を混同しないようにする
  • 副業でスキルと実績を積み、最終的には独立開業を目指す
  • 成功している行政書士をモデルケースにして研究する
  • 仕事を確保する方法や、土日で収まる仕事量にする工夫を把握する

サラリーマンの副業としての行政書士は、やり方次第で両立できます。「開業までに経験を積みたい」という方は、行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」に注意しながら、副業行政書士として一歩を踏み出してみてください。

始める前に決めておきたい「最初の一歩」と「撤退ライン」

副業で失敗しないコツは、勢いで登録する前に“動き出しの手順”と“やめる基準”をセットで決めておくことです。私がおすすめしたいのは、次のような進め方です。

  • 登録前にやること……就業規則(公務員なら兼業制限)の確認 → 登録費用・月会費を書き出し「年間いくら固定でかかるか」を把握 → 自分が扱う1〜2分野を仮決め
  • 最初の数か月でやること……得意分野に絞ってプロフィール・料金の考え方を整理 → 知人・本業人脈に一声かける → ブログやSNSで専門分野を発信し始める
  • 撤退ラインを決めておく……「○か月続けて固定費を回収できなければ一度立ち止まる」「本業に支障が出たら受任を絞る」など、感情で抱え込みすぎないための基準を先に言語化しておく

副業は「始めること」より「無理なく続けられる設計にしておくこと」が大切です。固定費(登録費用・会費)という現実を直視したうえで、“撤退ラインを決めているから、安心して踏み出せる”という状態をつくっておきましょう。

差別化のカギは「独占業務」を軸にすること

副業で安定して稼ぐには、行政書士の独占業務(行政書士しか行えない業務)を軸に、自分の強みとなる分野を絞っていくことが効果的です。何でも屋になるより、「この分野なら任せられる」という専門性を作るほうが、紹介やリピートにつながりやすくなります。

独占業務の中身については、行政書士の独占業務を解説した記事でくわしくまとめていますので、副業の方向性を考える参考にしてください。

全体像はロードマップで把握しておく

副業・雇用・独立開業を含めた行政書士の働き方や、合格から実務までの全体の流れは、行政書士の全体ロードマップで整理しています。「自分は今どの段階にいて、次に何をすべきか」を見失わないために、あわせてチェックしておくと安心です。

まとめ|行政書士の副業は“覚悟と現実理解”があれば武器になる

ここまで、行政書士を副業にする際のメリット・デメリット、そして注意点を整理してきました。最後に要点をまとめます。

  • 副業でも行政書士会への「登録」が必須(合格しただけでは名乗れない・費用もかかる)
  • できる仕事の範囲は行政書士法1条の3で決まっている
  • 会社員は就業規則、公務員は兼業制限を必ず確認する
  • 「儲かるか」は集客・営業・業務範囲・稼働時間しだい(資格だけで自動的には稼げない)

会社勤めのサラリーマンでも行政書士として副業はできますが、行政書士法を順守し、責任を持って業務を遂行するのが大前提です。副業だからといって甘い考えは禁物。

逆に言えば、「覚悟」と「現実の正しい理解」さえあれば、行政書士の副業は本業の収入を支えながら独立への足場を築ける、心強い武器になります。それでも挑戦したいと思える方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 行政書士は副業OKですか? A. 行政書士として副業をすること自体は可能です。ただし、行政書士会への登録が必須で、会社員は勤務先の就業規則、公務員は兼業制限の確認が前提になります。

Q. 行政書士は副業禁止ですか? A. 行政書士の側に「副業禁止」のルールがあるわけではありません。問題になるのは、あなたの勤務先の就業規則や、公務員の兼業制限です。まずはそちらを確認しましょう。

Q. 行政書士は副業でいくら稼げますか? A. 人によって大きく異なり、一概には言えません。案件の単価×件数で決まり、集客力・稼働時間に左右されます。登録費用や会費を引いた「利益」で考えることが大切です。

Q. 行政書士は在宅ワークできますか? A. 書類作成や相談対応など在宅で進めやすい業務もありますが、官公署への申請など平日の役所対応が必要な業務も多く、「完全在宅・土日だけ」を狙うなら業務選びの工夫が必要です。

Q. サラリーマンにとって最強の副業ですか? A. 「誰にとっても最強」と断定はできません。登録要件や時間の制約があり、向き不向きがあります。本業との両立や、将来の独立を見据えられる方には、相性の良い副業だと言えます。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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