ITパスポート試験の令和6年公開問題より、問36~問40(マネジメント系)の解答解説を掲載します。
テキストではなく、動画解説を希望される方は下記YouTubeをご覧ください。
目次
【問36】プロジェクトに該当するもの -プロジェクトマネジメント
問題
プロジェクトに該当する事例として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a 会社合併に伴う新組織への移行
b 社内システムの問合せや不具合を受け付けるサービスデスクの運用
c 新規の経理システム導入に向けたプログラム開発
d 毎年度末に実施する会計処理
ア a, c
イ b, c
ウ b, d
エ c
解答
ア
解説
プロジェクトとは、特定の目的(事業や業務など)を達成するために明確に期限を定めて実施される業務のことです。
a→会社合併の期日は決定しているのでプロジェクトといえます
b→サービスデスクの運用は継続的に行われるのでプロジェクトとは言えません。
c→新システムの導入はリリース予定日が決められているためプロジェクトです。
d→定期的に繰り返される業務はプロジェクトではありません。
【問37】プロジェクト統合マネジメント -プロジェクトマネジメント
問題
システム開発プロジェクトを終結する時に、プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として, 最も適切なものはどれか。
ア 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
イ 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
ウ 総費用の予算と実績の差異を分析する。
エ 知識や教訓を組織の資産として登録する。
解答
エ
解説
プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKには、10の知識分野が定義されています。
プロジェクト統合マネジメントはその10の知識分野のなかでも中心的なもので、他の9つの知識分野間の調整や、全体に関わる活動を行います。
他の選択肢
ア プロジェクト・スケジュール・マネジメントの活動です
イ プロジェクト・スコープ・マネジメントの活動です
ウ プロジェクト・コスト・マネジメントの活動です
【問38】稼働率の計算問題 -サービスマネジメント
問題
あるシステムの運用において,利用者との間で SLA を交わし、 利用可能日を月曜日から金曜日, 1日の利用可能時間を7時から22時まで, 稼働率を98%以上で合意し
た。
1週間の運用において, 障害などでシステムの停止を許容できる時間は最大何時間か。
ア 0.3
イ 1.5
ウ 1.8
エ 2.1
解答
イ
解説
1日15時間稼働なので、週(月~金)では75時間稼働となります。
SLAでは稼働率98%以上で合意とのこと、逆に言えば、2%までシステム停止が許容できます。
システム停止許容時間 = 75時間 × 0.02
=1.5(時間)となります。
【問39】サービスデスク -サービスマネジメント
問題
サービスデスクを評価するためには適切な KPI を定めて評価する必要がある。 顧客満足度を高めるために値が小さい方が良い KPI として, 適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a SLA で合意された目標時間内に対応が完了したインシデント件数の割合
b 1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合
c 二次担当へエスカレーションされたインシデント件数の割合
d 利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間
ア a, b
イ a, d
ウ b, c
エ c, d
解答
エ
解説
サービスデスクとは、ユーザーからの問い合わせをワンストップで受ける1次窓口です。
ここでは、インシデント(ユーザー側で発生した問題で、問い合わせのあった案件)をできるだけ早期復旧することを目的としています。
また、KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)はビジネス目的達成に向けた「中間目標」や「行動目標」にあたります。
a→SLA(サービスレベル合意書)で合意された目標時間内に対応完了したインシデントの数は値が大きい方が良いです。
b→インシデントについて、1回の問い合わせで解決できたほうが早期解決となるので、値は大きいほうが良いです。
c→サービスデスクで解答できない場合、より詳しい担当者や上司など、二次担当者にインシデントを繋ぎますが(=エスカレーション)、この値は小さいほうがよいです。
d→利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間は小さい方がよいです。
【問40】アジャイル開発 -ソフトウェア開発管理技術
問題
アジャイル開発に関する記述として, 最も適切なものはどれか。
ア 開発する機能を小さい単位に分割して、 優先度の高いものから短期間で開発とリリースを繰り返す。
イ 共通フレームを適用して要件定義、設計などの工程名及び作成する文書を定義する。
ウ システム開発を上流工程から下流工程まで順番に進めて、 全ての開発工程が終了してからリリースする。
エ プロトタイプを作成して利用者に確認を求め、 利用者の評価とフィードバックを行いながら開発を進めていく。
解答
ア
解説
アジャイル開発とは、短い期間に開発期間を区切り段階的に開発を進めることで、システムを俊敏かつ効率的に完成させていく開発手法のことです。
他の選択肢
イ→アジャイル開発では、従来の開発モデルのような統合的なドキュメント定義は要求されません。
ウ→ウォーターフォールモデルの説明です。
エ→プロトタイピングモデルの説明です。