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中小企業診断士が将来性や需要のある資格だと言える理由
税理士や社会保険労務士と比べてみると、中小企業診断士には独占業務がありません。
独占業務とは、その資格を有する者だけが行うことができる業務のことですね。
そのため、「中小企業診断士になっても仕事がないのでは?」「将来性も低いのでは?」と考えている方も多いと思います。
しかし、中小企業診断士は将来性が高く、需要も増加している国家資格です。
次項より、中小企業診断士が将来性や需要のある資格と言える要因をチェックしていきましょう。
毎年、受験者が増加している
中小企業診断士第一次試験の受験者は、次のとおり増加傾向です。
<年度 受験者数 合格者数 合格率>
平成30年度 16,434人 3,236人 21.7%
平成29年度 14,343人 3,106人 21.7%
平成28年度 13,605人 2,404人 17.7%
平成27年度 13,186人 3,426人 26.0%
平成26年度 13,805人 3,207人 23.2%
平成25年度 14,252人 3,094人 21.7%
日経新聞で調査したビジネスマンが対象の「あたらしく取りたい資格」では、中小企業診断士は2016年度に第1位に輝きました。
つまり、中小企業診断士という資格の認知度も上昇していますので、今後も需要は増えていくと仮定できます。
幅広い業界で活用できる
資格の種類によっては、「○○○の業界だけでしか活かせない」という場合もあります。
しかし、企業の経営に関わる知識を横断的に身につけた中小企業診断士は、幅広い業界で活用できるのです。
以下では、どのような方が診断士試験を受けているのかを、一社)中小企業診断協会の公表による統計データでご紹介します。
<経営コンサルタント自営業>
申込者数:234名
試験合格者数:40名<税理士・公認会計士等自営業>
申込者数:492名
試験合格者数:72名<経営コンサルタント事業所等勤務>
申込者数:595名
試験合格者数:65名<民間企業勤務>
申込者数:11,976名
試験合格者数:1,921名<政府系金融機関勤務>
申込者数:356名
試験合格者数:70名<中小企業支援機関>
申込者数:569名
試験合格者数:55名<独立行政法人・公益法人等勤務>
申込者数:240名
試験合格者数:29名<公務員>
申込者数:610名
試験合格者数:118名<研究・教育>
申込者数:141名
試験合格者数:19名<学生>
申込者数:443名
試験合格者数:35名
経営コンサルタントや金融機関に勤務している人だけではなく、あらゆる業種や職種の人が中小企業診断士の資格取得を目指していることがわかります。
幅広い業界で活用できれば転職でも役立ちますので、中小企業診断士は需要の高い資格だと考えて良いでしょう。
経営コンサルタントが果たせる役割は大きい
中小企業診断士のメインの顧客は、経営の問題点を抱えている中小企業の経営者です。
国内で活躍しているのは、中小企業や零細企業と言っても過言ではありません。
「国内で活躍しているのは大手自動車メーカーやメガバンクなのでは?」と考えている方はいますが、大企業は全体の僅か0.3%に過ぎないのです。
そんな日本の中小企業は、次のように多くの問題や課題を抱えています。
- 生産性の低下
- 人手不足
- 雇用環境の悪化
- 起業後間もない廃業
中小企業で異なる問題や課題を洗い出し、解決のためのアドバイスを行うのが中小企業診断士です。
経営コンサルタントの中小企業診断士が果たせる役割は大きいので、資格保有者に寄せられる期待も大きくなっています。
コンサルティングが必要な部署はもちろんのこと、企画や開発などの部門でも中小企業診断士の資格を持つ人材が求められているのです。
人工知能やロボットには代替が難しい
様々な職業や資格の将来性を語るに当たり、人工知能やロボットとの競合性を考慮しないといけません。
野村総合研究所が発表した研究結果によると、これから10年~20年の間に日本の労働人口の半数は機械で代替できるとデータが出ています。
「あらゆる職業がAIに仕事を奪われるのでは?」と不安視する声もありました。
しかし、中小企業診断士は人工知能やロボットには代替が難しい仕事です。
中小企業診断士が中小企業の経営診断やアドバイスを行う際に、様々な角度から俯瞰した、総合的な視点で問題解決案を提示することが必要です。
また、中小企業診断士の仕事は、下記のように人と人とのコミュニケーションも必須となります。
- 経営者だけではなく従業員からも意見を聞き取る
- 企業が抱えている問題点を一つひとつ指摘する
- 様々な角度から物事を考えて経営を正しい方向に導くアドバイスを行う
企業の経営の在り方は千差万別ですので、中小企業診断士の仕事はロボットで真似することはできません。
中小企業診断士は「人工知能やロボットによる代替可能性が低い職業」としてリストアップされていますので、今後も需要は益々増えていきます。
中小企業診断士に将来性はあるの?
中小企業診断士と他の士業を比較してみると、仕事のやり方に違いがあります。
他の士業の多くは、資格受験の学習時に学んだ知識やノウハウを使い、業務をこなすのが一般的です。
一方、中小企業診断士においては、受験時に学習した知識は、あくまでコンサルティングを実践するための基礎知識に過ぎません。リアルなコンサルティングの現場では、学習した知識を活かしつつ、状況を見極めながら最適な提案を行う必要があります。
単に勉強しただけでは勤まる仕事ではなく、コンサルティング経験を重ねることにより、さらに優れた提案ができるようになるのですから、なかなかAI(人工知能)やロボットに代わりが務まるとも思えないですよね。
また、今後も「経営に関するアドバイスへの需要(ニーズ)」は減少することは考えにくいものです。
以上より、中小企業診断士には高い将来性がある、と考えて間違いないでしょう。
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まとめ
ここまで読まれて、中小企業診断士の将来性や需要が大きいことを理解して頂けたかと思います。
「受験者が増えている」「幅広い業界で活用できる」「人工知能やロボットには代替が難しい」といった理由を加味すると、中小企業診断士の需要は今後も増えていくと予想できます。
社内での評価アップや転職で役立つ資格ですので、ぜひ、スクールへの通学や通信講座で中小企業診断士の資格取得を目指してみてください。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |