今回は、厚生年金保険法に関する記事です。
社労士試験において、厚生年金保険法は最も難易度が高い科目の1つです。
厚生年金保険法とは、日本国内に住む被用者(会社員や公務員など)が加入する年金保険について定めた法律です。
なぜ社会保険労務士(社労士)の試験科目で厚生年金保険法が難しいのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 内容が難解でボリュームがあり、理解するまでに時間がかかる
- それ自体が複雑な給付制度に法改正や経過措置が加わり、さらに複雑化している
- 国民年金法との類似事項や違いをわきまえないといけない(知識の混同が起こりやすい)
高得点が狙いにくい科目ですが、社会保険労務士(社労士)の試験に合格するには基準点をクリアしないといけません。
この記事では、社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法について詳しくまとめてみましたので、ぜひ、この記事を読んで、あなたにも厚生年金保険法を攻略して欲しいと思います。
目次
社会保険労務士(社労士)試験の厚生年金保険法について
社会保険労務士(社労士)の試験科目!厚生年金保険法の内容は?
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法は、私たち全国民の基礎年金である国民年金法よりも歴史の深い法律です。
日本の年金制度は、一階部分の国民年金と二階部分の厚生年金に見立てた2階建て年金の考え方が根付いています。
この厚生年金保険法の内容について簡単に見ていきましょう。
- 被用者(企業従業員、公務員など)についての厚生年金保険を定める社会保障法の一つ
- 基礎年金に上乗せする形で「老齢」「障害」「遺族」の厚生年金を支給する
- 国民年金法と並んで日本の公的年金法の中心を占めている
- 保険料は標準報酬月額または標準賞与額に保険料率を乗じて得た金額で、半分は事業主が負担する
厚生年金保険法は度重なる法改正とそれに伴う経過措置で、同じ年金制度の国民年金法とは比較にならないくらいのボリュームになっています。
特に年金制度自体のイメージを掴みにくい現役世代の社会保険労務士(社労士)受験生にとって、厚生年金保険法は厄介な試験科目ですね。
しかし、年金制度は社会保険労務士(社労士)の試験合格だけではなく、今後の生活にも深く関わってきます。
国民年金法と厚生年金保険法について知ることで、何かしらの役に立つのは間違いありません。
社会保険労務士(社労士)の試験科目!厚生年金保険法の出題傾向は?
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法は、択一式試験が10問、選択式試験が1問(空欄が5つ)で構成されています。
全ての科目に基準点が設けられていますので、社会保険労務士(社労士)に合格するに当たって厚生年金保険法を捨て科目にはできません。
だからと言って厚生年金保険法の勉強だけに注力していると他の試験科目が疎かになりやすいため、出題傾向を把握しておくのは重要ですよ。
以下では、厚生年金保険法の頻出問題を挙げていきます。
- 厚生保険年金給付の種類:60歳から64歳まで特別に支給される老齢厚生年金、病気や怪我で受けられる障害厚生年金、厚生年金に加入している人が死亡した際に遺族に支払われる遺族厚生年金など
- 被保険者:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する70歳未満の全ての人で、個人経営の農業やサービス業は任意で任意単独被保険者になれる
- 保険料:年金額の算出は報酬月額を1等級(8万8千円)から32等級(65万円)にわけた標準報酬月額が使われる
- 厚生年金基金:確定給付企業年金や企業型確定拠出年金と一緒で、日本の年金制度の3階部分を担っている
厚生年金保険法の中でも、「老齢厚生年金」、「障害厚生年金」、「遺族厚生年金」は3大頻出項目です。
社会保険労務士(社労士)の試験勉強において、それぞれの年金の全体像や支給対象、金額について覚えておかないといけません。
原則として、「老齢」、「障害」、「遺族」の3つに関係する給付を柱として理解すればOKですが、厚生年金保険法は国民年金法とは比較にならないほどボリュームが膨れ上がっています。
しかし、全てを理解しようとすると、他の社会保険労務士(社労士)の試験科目に手が回らなくなるのが厄介なポイントです。
膨大な範囲ながらも出題傾向は存在しますので、あくまでも社会保険労務士(社労士)の試験で狙われるポイントに絞って厚生年金保険法の対策を行いましょう。
社会保険労務士(社労士)の試験科目!厚生年金保険法の勉強法はこれだ!
難しい社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法は、効率良く勉強を進めていくのが攻略の鍵です。
「難しいから…」「取っつきにくいから…」という理由で、厚生年金保険法の対策を諦めるのは得策とは言えません。
そこで、以下では社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法の勉強法を紹介していきます。
どのポイントに注力して勉強して社会保険労務士(社労士)の試験対策を行うべきなのか、是非一度参考にしてみてください。
頻出のカテゴリを押さえる
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法に限った話ではありませんが、頻出のカテゴリはしっかりと押さえるべきです。
前項でも少し触れましたが、厚生年金保険法の中でも、社会保険労務士(社労士)の試験では次のキーワードが狙われます。
- 基本的な給付である「老齢厚生年金」や「障害厚生年金」および「遺族厚生年金」
- 年金の被保険者や保険料、加入要件を満たす場合の届出
- 第32条~第41条の通則や厚生年金基金制度の見直し
社会保険労務士(社労士)の試験で狙われやすいキーワードは、例年大きな変更はありません。
出題傾向に沿った勉強に取り組むことで、社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法は対応できます。
国民年金法との類似点と相違点に注目する
私たちが住んでいる日本では、社会保険によって公的な年金制度が整っています。
上記でも軽く説明しましたが、日本の公的年金の仕組みは次の2階建てです。
- 全ての公的年金のベースになる一階部分の国民年金
- 会社員が国民年金に上乗せする形で加入する二階部分の厚生年金
社会保険労務士(社労士)の試験では、国民年金と厚生年金の両方について問われます。
学習の当初はそれぞれをインプットすべきですが、国民年金と厚生年金を別々に学習していても中々身に付きません。
片方に集中して勉強しているうちにもう一方を忘れたり、2つの年金制度が混同したりします。
そこで、社会保険労務士(社労士)の勉強を進めてある程度の知識を習得した後は、2つの類似点と相違点に注目しながら横断学習で習熟度を高めるのがコツです。
国民年金と厚生年金はどちらも日本の年金制度という共通点がありますので、横並びで整理しながら学習すると記憶が定着しやすいですよ。
民年金法と厚生年金保険法の類似点や相違点に着目すれば、社会保険労務士(社労士)の試験勉強の中で知識が混同する心配はありません。
過去問を繰り返し解く
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法の出題される傾向を確認したり、苦手分野を知るためには、過去問を使った勉強が必須です。
過去問を解いてわからなかった部分を参考書に戻って復習すれば、厚生年金保険法への苦手意識がなくなっていきます。
以下では、厚生年金保険法の社会保険労務士(社労士)の過去問をいくつか挙げてみました。
- 被保険者の死亡により妻が中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金の受給権を取得した場合において、その遺族厚生年金は、妻に当該被保険者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。(正しい)
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。(正しい)
- 被保険者の使用される船舶について、当該船舶が滅失し、沈没し、又は全く運航に堪えなくなるに至った場合には、事業主は当該被保険者に係る保険料について、当該至った日の属する月以降の免除の申請を行うことができる。(間違い)
国民年金法と厚生年金保険法を関連付けた選択肢も多く見られますので、両科目の10年分の過去問は必ず解きましょう。
深堀りせずに捨てる問題は捨てる
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法は、深掘りするのは良くありません。
難解な厚生年金保険法の対策で出題ポイントを意識していないと、「社会保険労務士(社労士)の試験で出題されないようなマニアックな部分まで固執していた…」という事態に陥ります。
他の試験科目にも該当しますが、重箱のスミをつつくような意地悪問題や奇問が出題されるケースは少なくありません。
こうした出題への対策は時間を要す一方で結果に結びつけるのが困難ですので、深掘りせずに捨てる問題は捨てるのが効率の良い勉強法です。
社会保険労務士(社労士)の厚生年金保険法は6点確保を目指して、よく出題されるポイント中心に学習を進めてみてください。
まとめ
社会保険労務士(社労士)の試験科目の厚生年金保険法の内容、出題傾向や正しい勉強法についてまとめました。
厚生年金保険法は範囲が幅広くて厄介ですが、頻出カテゴリを把握したり国民年金法と結び付けたりする勉強法で基準点をクリアできます。
間違った勉強法だと解ける問題も解けなくなりますので、これから社会保険労務士(社労士)の試験合格を目指す方は学習のやり方を今一度見直してみてください。
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