今回は、労働安全衛生法の対策や勉強方法について、お伝えします。
労働安全衛生法は、労働基準法から分離される形で昭和47年(1972年)に制定された法律です。
労働基準法と関連の深い法律なのですが、受験生の視点で見た場合、これら2つの法律への対策は大きく異なります。
まず、条文数の比較的少ない労働基準法に比べ、労働安全衛生法は広範な分野から出題されます。
また、比較的社会人に馴染みが深いテーマが多い労働基準法に対し、労働安全衛生法は危険な業務に関するテーマが多くなっているため、一般のサラリーマンなどにとってイメージしにくい内容が多いのです。
このように出題範囲が広く、イメージしにくい内容の多い労働安全衛生法に対し、どのような対策や勉強法をすればよいのか、詳しく説明したいと思います。
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目次
社会保険労務士(社労士)の試験科目の労働安全衛生法について
社会保険労務士(社労士)の試験の対応が難しいのは、出題範囲が広いのが一番の理由です。
数多くの試験科目の中でも労働安全衛生法は、次の3つの理由で受験生泣かせだと考えられています。
- 学習範囲が他の科目よりも広い
- その割に出題数が少なく点数に結び付きにくいため、勉強効率が悪い
- 一般の社会人に馴染みのない論点が多い
労働安全衛生法を捨て科目にしたいと考えている受験生はいますが、社会保険労務士(社労士)の試験は科目ごとに足切りがありますので注意しないといけません。
社会保険労務士(社労士)の試験科目!労働安全衛生法の内容は?
社会保険労務士(社労士)の試験科目の労働安全衛生法は、事業場の安全衛生管理体制や健康診断に関する法律です。
前述のとおり、元々は労働基準法の一部だった法律を分離し、単独の法律として労働安全衛生法にしました。
そのため、社会保険労務士(社労士)の試験では労働基準法と労働安全衛生法がセットで出題されます。
まず最初に、労働安全衛生法の法律の内容を簡単に見ていきましょう。
- 労働安全衛生法の基本:「労働者、事業者、事業場とは」「労働災害防止計画とは」
- 安全衛生管理体制:「安全衛生管理体制におけるそれぞれの役割」「設置が義務付けられている委員会とその役割」「元方事業者が講ずべき措置」
- 危険防止と安全衛生教育:「危険防止に関して全ての事業者が講ずべき措置」「危険防止に関する事業者の義務」「機械などに関する規制」
- 心身の健康:「作業環境管理/作業管理」「健康管理、健康の保持増進」「快適な職場環境形成のための措置」
- その他:「就業制限業務と免許及び技能講習」「安全衛生の改善措置」「監督や罰則など」
職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成するのが労働安全衛生法の目的ですね。
疲労やストレスの生じない環境作りで労働者の能力発揮と職場の活性化を図らないといけないため、この法律が作られました。
社会保険労務士(社労士)の試験できちんと得点するには、法律全般に渡って何が義務で何が努力なのか注意深く見ていくのがポイントです。
社会保険労務士(社労士)の試験科目!労働安全衛生法の出題傾向は?
上記でも説明した通り、社会保険労務士(社労士)の試験では労働基準法と労働安全衛生法がセットで出題されます。
問題の出題数と配点の内訳については下記の通りです。
労働基準法:計7問(7点満点)
労働安全衛生法:計3問(3点満点)
労働基準法:計3肢(3点満点)
労働安全衛生法:計2肢(2点満点)
労働基準法と比較してみると、労働安全衛生法は出題数が少なくなっています。
つまり、労働安全衛生法は出題傾向を分析し、効率的な学習であまり時間をかけない試験対策を実施しないといけません。
次に社会保険労務士(社労士)の労働安全衛生法の択一式試験で、どのような内容の問題が出題されたのかまとめてみました。
2016年度:○
2017年度:○
2018年度:×
2016年度:○
2017年度:×
2018年度:×
2016年度:×
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2016年度:×
2017年度:○
2018年度:×
2016年度:×
2017年度:×
2018年度:○
過去の社会保険労務士試験の出題傾向を見てみると、労働安全衛生法の中でも「安全衛生管理体制」、「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」、および「健康の保持増進のための措置」の3点は重点的に学習すべき範囲と分かります。
安全衛生管理体制からの出題は最も多いため、社会保険労務士(社労士)の試験対策では忘れずに取り組んでください。
社会保険労務士(社労士)の試験科目!労働安全衛生法の勉強法はこれだ!
社会保険労務士(社労士)の試験の労働安全衛生法を対策するに当たり、日々の勉強法が重要だと言っても過言ではありません。
出題数の少ない労働安全衛生法に力を入れ過ぎていると、今度は他の試験科目を得点できなくなります。
それぞれの試験科目の勉強のバランスを取るのは、社会保険労務士(社労士)の合格では大事ですよ。
以下では社会保険労務士(社労士)の試験科目の労働安全衛生法の勉強法を紹介していますので、何をすれば良いのか迷っている受験生は参考にしてみましょう。
暗記項目が多いと心得ておく
他の試験科目と比べてみると、社会保険労務士(社労士)の労働安全衛生法は暗記項目が多くなっています。
専門用語も数多く出てきますので、覚えるのに苦労している受験生は少なくありません。
全体的なボリュームは少ないのですが、「3年」「50人」「1トン」など数字を押さえて覚えるのがコツです。
張り切って最初の方に覚えても後半には忘れてしまうことが多いため、社会保険労務士(社労士)の試験科目の労働安全衛生法は直前の対策でも良いでしょう。
どちらかと言うと、労働安全衛生法ではなく労働基準法に力を入れた勉強法がおすすめです。
条文の内容を理解する
社会保険労務士(社労士)の労働安全衛生法の勉強を始めるに当たり、条文を理解することも重要です。
労働安全衛生法や労働基準法施行令、労働安全衛生規則の条文に何が書かれているのか理解するには、参考書を利用すべきです。
労働安全衛生法は広範な出題分野ですし、初学者が条文だけを読んでも理解できないため、条文そのものに当たるよりは、参考書を読んで学習した内容を記憶に定着させていくほうが効率的です。
「労働安全衛生法の勉強をするなら○○○の参考書」とは特に決まっていませんが、色々と購入するよりも信用できる大手の資格取得専門学校の教材に絞るべきですね。
※社労士試験のおすすめテキストについては、下記の記事も参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-osusume-text/
出題頻度の高い分野を中心的に学習する
労働安全衛生法の科目を完璧にしても、社会保険労務士(社労士)の試験に合格できません。
全ての科目をバランス良く得点する必要がありますので、労働安全衛生法は下記のように出題頻度の高い分野を中心的に学習しましょう。
- 安全衛生管理体制は絶対に落とさないつもりで基本書と過去問を組み合わせて覚える
- 総則は基本書の太字の部分に注意して基本的な問題を把握する
- メンタルヘルスに関わる健康診断や健康診断の記録の保存と事後措置、面接措置を学習する
「安全衛生管理体制」と「健康の保持増進のための措置」から学習を進め、近年で話題になっているメンタルヘルスの問題もきちんと押さえておくべきです。
労働安全衛生法の中でも、機械・危険物質・有害物質関連などの専門的な箇所の勉強はウェイトを軽くしてみましょう。
過去問を繰り返し解く
「社会保険労務士(社労士)の労働安全衛生法は暗記科目だから参考書やテキストだけで良いのでは?」とイメージしている方はいませんか?
しかし、労働安全衛生法も他の科目と一緒で、参考書と過去問を併用した勉強が必須です。
具体的にどのような流れで社会保険労務士(社労士)の試験勉強を進めれば良いのか見ていきましょう。
- 参考書やテキストで労働安全衛生法の条文を理解する
- 少なくとも5年分の過去問を繰り返し解いていく
- わからなかった部分は参考書に戻って復習する
基本的な社会保険労務士(社労士)の学習を終えた後に、過去問に取り組むのが一般的です。
社会保険労務士(社労士)の試験では過去問が形を変えて出題されるケースも多いため、労働安全衛生法の勉強でも有効活用してください。
まとめ
以上のように、社会保険労務士(社労士)の試験科目の労働安全衛生法についてまとめました。
学習範囲が広い割に中々点数に結びつかない厄介な科目ですが、「安全衛生管理体制」や「健康の保持増進のための措置」を中心に出題傾向の高い分野を押さえていくのがおすすめです。
範囲は広いですが、重箱の隅をつつくような難問・奇問の出題は少ないですので、基本を押さえることを目標に、これから社会保険労務士(社労士)の合格を目指す方は、この記事に書いてあることを参考にして取り組んでみましょう。