FPと簿記のダブルライセンスのメリットは?両方を同時取得はおすすめ?難易度は?

FPと簿記のダブルライセンス

「お金やキャリアのために資格をひとつ取ろう」と調べはじめると、必ずと言っていいほど並んで出てくるのが、FP(ファイナンシャルプランナー)と簿記です。「FPと簿記、どっちを取ればいいんだろう」――最初の一歩で、ここで立ち止まってしまう方は多いのではないでしょうか。

先に結論からお伝えします。FPと簿記は、「どちらが上か」で選ぶ資格ではなく、「あなたが何のために、どんな知識を使いたいか」で向き不向きが分かれる資格です。ざっくり言えば、FPは“暮らしとお金の全体設計(保険・年金・税金・住宅・相続)”を扱い、簿記は“会社や事業のお金を記録・計算する会計スキル”を扱います。狙う方向そのものが違うので、本来は優劣ではなく「自分の目的にどちらが近いか」で決めるのが正解なのです。

そこで、この記事では、FPと簿記で迷っているあなたに向けて、

  • FPと簿記は何がどう違うのか(守備範囲・扱うお金・活かす場面)
  • 難易度と勉強時間の目安はどれくらい差があるのか
  • 目的・キャリア別に見て、どっちが自分に向くのか
  • 両方取る(ダブルライセンス)なら、順番はどうするか

という順番で、迷っている初学者の目線から整理していきます。

なお、試験方式・受検資格・合格率などの数字は、年度によって変わることがあります。この記事では考え方の枠組みと判断軸をお伝えしますが、具体的な最新情報は、必ず日本FP協会(jafp.or.jp)・きんざい(kinzai.or.jp)・日本商工会議所(kentei.ne.jp)といった公式で確認するようにしてください。まずは「自分はどっち向きか」の判断軸を持ち帰っていただくことを、この記事のゴールにしましょう。

目次

結論:FPと簿記は「どっちが上か」でなく「何に使いたいか」で選ぶ

まず、いちばん大事な判断のものさしから整理しておきましょう。

FPと簿記で迷ったとき、「難しいほうがすごい」「就職に強いのはどっち」といった“優劣”で比べたくなりますが、ここでつまずく方が多いところです。2つは扱う知識の方向がまったく違うので、優劣ではなく「自分の目的にどちらが近いか」で選ぶのが正解になります。

判断軸はシンプルに、次の3つで考えてみてください。

  • 目的:暮らしのお金を整えたいのか/会社・事業の数字を扱いたいのか
  • 活かす場面:家計やお金の相談に活かすのか/経理・財務・転職で活かすのか
  • 取りやすさ:今の自分が、どちらなら無理なく続けられそうか

「簿記とFP、どっちを取るべき?」「優先順位は?」とよく検索されますが、ここに唯一の正解はありません。あなたの目的次第で、向く資格は変わるからです。だからこそ、まずは「自分が何のために学びたいのか」をはっきりさせることが、遠回りに見えていちばんの近道になります。

この記事は、①FPと簿記の違い → ②難易度・勉強時間の比較 → ③目的・キャリア別の向き不向き → ④両方取る場合の順番、という流れで解説します。どちらも基礎から積み上げられる資格試験なので、どのレベルから取得を目指すかも含めて整理していきましょう。読み終えるころには、「自分はどっち向きか」が自分の言葉で説明できるようになっているはずです。まずは資格そのものの全体像を押さえたい方は、FP資格の全体ロードマップもあわせてご覧ください。

FPと簿記は何が違う?|守備範囲・扱うお金・活かせる場面

「どっちが向くか」を考える前に、まずは2つが何を扱う資格なのかをはっきりさせておきましょう。ここが分かると、迷いの半分は自然に晴れていきます。

FP(ファイナンシャルプランナー)が扱うのは、“暮らしのお金”の全体設計です。保険、年金、税金、住宅ローン、相続――こうした「人生で関わるお金」を、家計全体の視点から見渡して、どう備え、どう整えるかを考えます。一人ひとりのライフプラン(人生設計)にそって、お金の置き場所や守り方を提案するのがFPの知識、とイメージするとよいでしょう。

一方、簿記が扱うのは、“会社のお金”を記録・計算する会計スキルです。日々の取引を「仕訳」というルールで記録し、最終的に決算書(財務諸表)にまとめる――この一連の流れを学びます。企業のお金がどう動き、どう数字になっていくのかを読み解き、経営の状態を理解する力、と言い換えてもよいでしょう。なお、簿記にはいくつかの種類がありますが、この記事では受験者がもっとも多い日商簿記(日本商工会議所)を基準にして話を進めます。会計の上位資格(公認会計士や税理士など)への入り口としても知られています。

つまり、同じ「お金の資格」でも、FPは“暮らしのお金の全体設計”、簿記は“会社のお金の記録”と、見ている方向がまるで違うのです。この違いを表に整理すると、次のようになります。

FP(ファイナンシャルプランナー) 簿記
扱うお金 暮らし・家計のお金 会社・事業のお金
学ぶ内容 保険・年金・税金・住宅・相続・資産運用 仕訳・決算・財務諸表(会計)
活かせる場面 家計の見直し・お金の相談業務・自分の資産設計 経理・財務・会計の実務・転職での評価
こんな人に 暮らしのお金を整えたい人 会社の数字を扱いたい人

「FPと簿記は仕事や人生に役立つの?」とよく聞かれますが、答えは「どちらも実用的。ただし役立つ“場面”が違う」です。FPは自分や家族の暮らしのお金に、簿記は会社の経理・財務の現場に効いてきます。どちらが上ということではなく、あなたが活かしたい場面に近いほうを選べばよい、というわけです。簿記そのものの学習ステップが気になる方は、簿記の全体ロードマップもチェックしてみてください。

最後に、混同しやすいポイントを一つ。「FP」とひとくちに言っても、国家資格の「FP技能士」と、日本FP協会が認定する「AFP・CFP」は別物です。FP技能士(1〜3級)は一度合格すれば更新は不要ですが、AFP・CFPは登録制で、継続教育による2年ごとの更新が必要になります。CFPはその上位に位置づけられる資格です。この違いはあとの章でも触れますが、まずは「FP技能士=更新不要/AFP・CFP=2年更新」とだけ覚えておきましょう。

難易度と勉強時間はどっちが大変?|あくまで目安で比較

「結局、どっちのほうが難しいの?」――これも気になるところですよね。ここでは難易度と勉強時間の目安を比べていきますが、先に大事な前提を一つお伝えします。

FPと簿記は守備範囲が違うので、難易度を“単純に”比べることはできません。同じ「2級」でも、FP2級と簿記2級では問われる内容も計算の量もまったく異なります。ですから、以下はあくまで「学習の負担感の目安」として、参考程度にご覧ください。実際の難しさは、あなたの得意・不得意(計算が好きか、暗記が得意か)によっても変わってきます。

<3級どうしの比較(目安)> FP3級と簿記3級は、どちらも「入門」として人気があります。FP3級は暮らしのお金の幅広い知識を“広く浅く”問う傾向があり、暗記中心で取り組みやすいと感じる方が多いようです。簿記3級は商業簿記の基礎で、仕訳のルールを覚えて手を動かす計算問題が中心になります。「暗記が得意ならFP3級、コツコツ手を動かすのが苦でないなら簿記3級」が、ざっくりした向き不向きの目安です。

<2級どうしの比較(目安)> 2級になると、どちらもぐっと本格的になります。FP2級は6分野(ライフプランニング・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続)を一定の深さで問われ、学科試験に加えて実技試験もあります(合格には両方が必要です)。簿記2級は商業簿記に加えて工業簿記が増え、出題範囲も計算量も3級から大きく広がります。「会計の計算をしっかりやり込む覚悟があるか」が、簿記2級では一つの分かれ目になります。なお、簿記1級は会計学・原価計算・連結会計などを含み、難度が一段と高くなります(ここでは詳細には立ち入りません)。

<勉強時間の目安> 勉強時間も人によって幅が大きいのですが、一般には「FP3級・簿記3級は比較的短期間でも狙える」「2級はそれぞれまとまった学習時間が必要」という傾向で語られます。ただしこれは目安であり、教材や学習スタイル、もともとの知識量で大きく変わります。FP側の学習時間の考え方は、FPの勉強時間の目安でくわしく整理しているので、あわせて参考にしてください。

<試験方式の“今”を押さえておく> ここは年度で変わりやすいので、最新は公式での確認が欠かせません。FP技能検定はCBT方式(パソコンで受ける方式)への移行が進んでおり、FP3級は2024年度、FP2級は2025年度からCBT方式での実施になっています。3級と2級で移行の年度が1年ずれている点に注意してください。簿記(日商)のほうは、ネット試験(CBT)と統一試験(ペーパー)が併存しており、ネット試験は随時受けやすい仕組みになっています。

そして合格率は、団体別・級別・回ごとに大きく変動します。「簿記2級とFP2級はどっちが難しい?」「簿記3級とFP3級は?」という問いに、固定した数字でお答えするのは難しいのが正直なところです。受検資格や合格基準もふくめ、最新の数字は必ず日本FP協会(jafp.or.jp)・きんざい(kinzai.or.jp)・日本商工会議所(kentei.ne.jp)の公式情報でご確認ください。

あなたはどっち向き?|目的・キャリア別の選び方

ここまでの違いをふまえて、いよいよ「あなたはどっち向きか」を具体的に考えていきましょう。判断のヒントは、やはり「何のために、どこで活かしたいか」です。

「暮らしのお金を整えたい・お金の相談に乗りたい」ならFPが向く 保険の見直し、年金や老後資金の準備、住宅ローン、相続――こうした“個人や家族の暮らしのお金”に関心があるなら、FPがしっくりきます。学んだ知識がそのまま日常の家計に活きますし、お金の相談に乗る場面(相談業務や、職場・地域での信頼づくり)でも力を発揮します。とくに金融業・保険・不動産といった、お金を扱う仕事との相性は抜群です。「お金まわりの不安を、自分の手で整理できるようになりたい」という人には、FPがよい入り口になるでしょう。

「経理・財務・会計の仕事や転職で評価されたい」なら簿記が向く 一方、会社の数字を扱う仕事を目指すなら、簿記が王道です。経理・財務はもちろん、営業や管理部門でも「決算書が読める」ことは、あらゆるビジネスの現場で強みになります。とくに簿記2級は、求人で評価されやすい資格としてよく挙げられます。「会計のスキルを実務で武器にしたい」「転職や就職でアピールできる資格がほしい」という人には、簿記が向いています。

立場別に考えると、もう少し見えやすくなります。

  • 学生:就職活動でアピールしたいなら、評価されやすい簿記(とくに2級)が一案。お金の知識を幅広く持っておきたいならFP3級から。
  • 主婦・主夫:家計の見直しや教育・老後資金の計画に直結するFPが人気。生活にすぐ役立つ実感を得やすいのが魅力です。
  • 社会人:今の仕事に近いほうを選ぶのが基本。経理・管理系なら簿記、保険・金融・不動産・相談系ならFP、と仕事との距離で選ぶと失敗しにくいです。
  • 副業・将来の独立:お金の相談やライフプラン提案で広げたいならFP、数字の管理や事業の経理を自分でやりたいなら簿記、という方向で考えるとよいでしょう。

「FPと簿記、どっちが向く?」「優先順位は?」という問いには、“目的→取りやすさ”の順で決めるのがおすすめです。まず目的でどちらが近いかを決め、それでも迷うなら、今の自分が無理なく続けられそうなほうから始める――この順番で考えると、迷いがほどけていきます。

なお、どちらを選ぶにしても、独学で進めるか講座を使うかで学習効率は変わってきます。「自分に合った進め方で、できるだけ最短で取りたい」という方は、FP講座のおすすめ比較もチェックして、教材選びの参考にしてみてください。

両方取る(ダブルライセンス)なら?|相性・順番・メリット

ここまで読んで「どっちも捨てがたい」と感じた方も多いはずです。じつは、FPと簿記は“両方取る”という選択肢とも相性のよい組み合わせです。「FPと簿記のダブルライセンスはどう?」という疑問に、ここでお答えしておきましょう。

なぜ相性が良いのか FPは“暮らしとお金の全体設計”、簿記は“会社の数字を読む力”――この2つがそろうと、「お金の全体像を描く力」と「数字で裏づける力」の両方が手に入ります。たとえば、家計や事業の相談に乗るときに、FPの視点でプランを描き、簿記の視点で数字を確認できる。守備範囲が重ならず補い合うからこそ、ダブルライセンスが活きるのです。

おすすめの順番は「取りやすさ×目的」で決める 順番に絶対の正解はありませんが、考え方の軸は「取りやすさ」と「目的」の掛け合わせです。たとえば、入門として取り組みやすいほうから始めて学習のリズムをつかみ、もう一方へ進む、という流れが王道です。一例として「まず3級どうしで土台を作り、必要に応じて2級へ進む」という進め方もありますが、これも目安にすぎません。あなたが今いちばん活かしたい知識のほうを先に取る、と考えても構いません。大切なのは、1つを取り切ってから次へ進むこと。同時に欲張りすぎると、どちらも中途半端になりがちです。

ダブルライセンスが活きる場面 2つの知識がそろうと、活躍の幅は確実に広がります。お金の相談業務に数字の裏づけを加えたり、経理の実務に資産設計の視点を持ち込んだり――とくに独立・開業を視野に入れる人にとっては、心強い組み合わせになります。FPを軸に独立を考えている方は、FPで独立・開業するにはもあわせてご覧ください。

「ダブルライセンスは意味ある?」と迷ったら 一方で、「両方取っても意味があるのか」「片方だけで十分では」と感じる方もいるでしょう。正直に言えば、片方だけでも、その資格が活きる仕事や場面なら十分に役立ちます。経理一本で進むなら簿記だけ、家計相談に専念するならFPだけ、という選び方も立派な正解です。ダブルライセンスが特に効くのは、「お金の全体提案」と「数字の裏づけ」の両方を一人で担いたいとき。逆に、活かす場面がはっきり片方に寄っているなら、無理に2つ目を狙わず1つを深めるほうが、時間もコストも無駄になりません。「両方取らないと損」ということはないので、ご自身の目的に照らして判断してください。

ただし、最後に一つだけ注意点を。「資格を取ること」自体が目的になってしまわないように気をつけてください。ダブルライセンスは“手段”であって“ゴール”ではありません。「取ったあと、どう活かしたいか」を先にイメージしておくと、学習のモチベーションも続きやすく、回り道になりにくいですよ。

つまずきやすいポイントと、迷いを解くチェックリスト

最後に、FPと簿記で迷う方がつまずきやすいポイントと、迷いを解くためのチェックリストを整理しておきます。

つまずきポイント①:FP技能士とAFP・CFPを混同してしまう あらためて確認しておきましょう。国家資格のFP技能士(1〜3級)は一度合格すれば更新不要、日本FP協会認定のAFP・CFPは登録制で2年ごとの更新が必要です。CFPはその上位にあたります。「FPを取る」と言うとき、自分が目指すのがどちらなのかを意識しておくと、学習計画も立てやすくなります。

つまずきポイント②:「どっちも気になって決められない」 そんなときは、半年後・1年後の自分をイメージしてみてください。「家計やお金の不安を整理できている自分」が見たいならFP、「会社の数字を読めて、仕事で頼りにされている自分」が見たいなら簿記。なりたい姿に近いほうから、まず1つに絞ってみましょう。

迷いを解く30秒チェックリスト 最後に、判断のものさしをチェックリストにまとめておきます。直感で「はい/いいえ」を付けてみて、「はい」が多かったほうが、いまのあなたに向いている資格です。

  • 家計・保険・年金・相続など“暮らしのお金”を整理したい → FP
  • 会社の決算書・仕訳・財務諸表を読めるようになりたい → 簿記
  • お金の相談に乗る・提案する仕事に活かしたい → FP
  • 経理・財務・会計の実務や転職で評価されたい → 簿記
  • 暗記中心のほうが取り組みやすい → FP/コツコツ計算するのが苦でない → 簿記

「はい」が半々になった方は、本文でお伝えしたとおり“取りやすさ”で先に1つに決めて、もう一方はダブルライセンスとして後から足せば大丈夫です。まずは1つ目に集中しましょう。

次の一歩 方向が見えてきたら、あとは動き出すだけです。

まとめ FPと簿記は、優劣で選ぶ資格ではありません。FPは“暮らしとお金の全体設計”、簿記は“会社のお金の記録”――あなたの目的に近いほうを選ぶのが、いちばん後悔のない決め方です。迷ったら「何のために、どこで活かしたいか」に立ち返ってみてください。その答えが、あなたにとっての“どっち”を教えてくれるはずです。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)
『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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