FP2級や3級の「ライフプランニングと資金計画」勉強方法や試験範囲は?

FP2級や3級の「ライフプランニングと資金計画」

これからファイナンシャルプランナー(FP)の勉強を始めようとしている人にとって、

「FPで最初に学ぶ『ライフプランニングと資金計画』って、いったい何を勉強するの?」「6つの係数とかキャッシュフロー表とか、難しそう……」

というのは、いちばん気になるところですよね。

先に結論からお伝えすると、「ライフプランニングと資金計画」はFP試験で最初に学ぶ”土台科目”であり、社会保険・公的年金・6つの係数・キャッシュフロー表といった「お金の人生設計」の基礎が詰まった、いちばん身近で面白い分野です。ここをしっかり押さえておくと、このあとに続くリスク管理や金融資産運用、タックスプランニングといった他の科目もグッと理解しやすくなります。

ただし、ひとつだけ注意点があります。公的年金や社会保険、税制といった分野は、制度改正や保険料率の変更がたびたび行われるため、古い情報のまま暗記してしまうと本番でつまずく原因になります。本記事でも具体的な数字はあくまで「目安」にとどめていますので、受験の直前には必ず日本FP協会(jafp.or.jp)やきんざい(kinzai.or.jp)などの公式情報で最新を確認するようにしてください。

そこで、この記事では、ファイナンシャルプランナーの試験科目である「ライフプランニングと資金計画」が、いったいどんな内容で、何に気をつけて勉強すればよいのかを、全体像から丁寧に整理していきます。

その前に、まずはFP試験の科目構成を確認しておきましょう。ファイナンシャルプランナーの試験科目は、1級~3級のいずれも、以下の6科目となっています。

ご覧のとおり、「ライフプランニングと資金計画」は最初に学習する科目です。ファイナンシャルプランナー試験の中心科目と言っても過言ではありません。

この記事では、この科目で具体的に何を学ぶのか・6つの係数の使い分け・社会保険と公的年金の全体像・教育/住宅/老後の3大資金・キャッシュフロー表と可処分所得の計算まで、FPを最初に学ぶあなたが「全体の地図」を持てるように整理していきます。

それでは、一緒に見ていきましょう。

 

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目次

そもそも「ライフプランニングと資金計画」とは?|人生設計とお金の計画

まず、ライフプランニング資金計画という言葉の意味を確認しておきましょう。

ライフプランニング ⇒ ライフプラン(人生設計)を作ること

資金計画 ⇒ ライフプランに必要な資金の計画をすること。ファイナンシャル・プランニングともいう

↑こんなイメージです。

さらに、ライフプランは、ライフデザインに基づいて作られることになります。

「最初にライフデザインありき」なんですね。

ライフデザインとライフプランはどう違う?

ライフデザインライフプランは似たような言葉ですが、定義には違いがありますので、それぞれ何を指しているのかチェックしておきましょう。

ライフデザイン個人の価値観に基づく生き方で、人生の目標や目的を決める元になるもの

ライフプランは長期間にわたる具体的な生活設計で、個人や家族の長期の人生計画

具体的な例を挙げると……

ライフデザイン:結婚はしたい、子供は2人以上欲しい、老後は夫婦2人でゆっくり過ごしたい など

ライフプラン:結婚は〇歳ごろ、マイホームは〇歳ごろ、老後の費用は…… など

……と、こんな感じです。

大枠を決定するのがライフデザインで、ライフプランはさらに具体的な設計、と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

というわけで、最初の話に戻ると、

「ライフプランニングと資金計画」とは「人生設計と、それに必要なお金の計画」

ということになるのです。

ライフプランニングと資金計画の具体的な進め方

では、実際にどうやってライフプランニングと資金計画を行っていくのか、大まかな流れをまとめてみました。

リフォームや旅行のプラン、子供が独立するタイミングや親の介護リスクが高まる時期など、家族構成に合わせてライフイベントを洗い出す

将来のやりたいことや、やるべきことが整理できたら、どのくらいのお金が必要なのか将来の収支をシミュレーションする

シミュレーションの結果が想定どおりにいくとは限らないため、住宅ローンの組み方の再検討や生活費の見直し(節約)など収支プランを改善する

あなたや家族に不測の事態が起きた場合でも最初に描いたライフプランを実現できるように、万一のときのシミュレーションを行う

最初に決めたライフプランを適宜修正しながら資金計画を立てることで、将来的にゆとりある生活を送りやすくなります。

「FPのライフプランニング相談」とはどんなもの?ライフプランナーとの違いも整理

ここで、よく検索される「FPのライフプランニングの相談とは?」という疑問にも触れておきましょう。

FPのライフプランニング相談とは、ざっくり言えば上で見た「ライフイベントの洗い出し → 将来の収支シミュレーション → 収支プランの改善」を、お金の専門家であるFPが一緒に行ってくれるサービスのことです。

個人の収入や今の資産、家族構成や負債に関するデータを集める

個人の要望や目標をヒアリングして現状を分析する

その結果に基づいて、ライフプランの目標を達成するための総合的な資金計画を立てる

自分でライフプランを描こうと思っても、何から始めればよいのか迷ってしまいますよね。そんなときに、経済的な側面からライフプランの実現を後押ししてくれるのがFP(ファイナンシャル・プランナー)です。

なお、「FP」と「ライフプランナー」の違いを気にされる方も多いですが、ここは混同されやすいので簡単に整理しておきます。一般に「ライフプランナー」は保険会社の営業職的な肩書きとして使われることが多いのに対し、「FP(ファイナンシャル・プランナー)」は資格に基づいてお金の相談に応じる専門家を指すことが多い、という違いがあります。とはいえ呼び方の使われ方は会社によってまちまちなので、「どんな立場の人が、どんな目的で相談に乗ってくれるのか」で見極めるのが現実的でしょう(断定はできないため、あくまで一般的な傾向としてとらえてください)。

リタイアメントプランニングとは?

「ライフプランニングと資金計画」の科目では、リタイアメントプランニングについても学びます。

わかりやすく言うと、リタイアメントプランニングとは、退職に向けた準備や老後の生活を計画することを指します。

人生100年時代と言われ高齢化が進む日本では、リタイアメントプランニングのニーズが高まっています。老後をイメージすると、次のようなさまざまな不安がつきまといます。

年金は原則65歳から。いつから・いくら受け取れるのか不安

どのくらいの貯蓄があれば安心なのかわからない

もしかしたら病気で定年まで働けないかもしれない

両親や配偶者の介護が自分にできるのか不安

なお、公的年金の受給開始は原則65歳ですが、希望すれば早めに受け取る「繰上げ受給」(その分は減額)や、遅らせて受け取る「繰下げ受給」(その分は増額)も選べます(具体的な減額率・増額率や年齢の範囲は制度改正で変わることがあるため、最新は日本年金機構などの公式情報でご確認ください)。

50代を超えると、「まだ遠い先のこと」と思っていた定年や退職が一気に視野に入ってきます。望みどおりのセカンドライフを送りたい方は、早めにリタイアメントプランニングを始めてみてください。

「ライフプランニングと資金計画」の試験範囲|2級と3級で何が違う?

ここでは、ファイナンシャルプランナーの試験のうち、FP技能士2級と3級で出題される「ライフプランニングと資金計画」の出題範囲を見ていきます。

参考
ファイナンシャルプランナー(FP)の試験には、FP技能士1級~3級のほか、日本FP協会が認定するAFP・CFPもあります。FP技能士は国家資格で一度合格すれば更新は不要ですが、AFP・CFPは継続教育を受けて2年ごとに更新が必要です(CFPはその上位資格にあたります)。両者は性質が違うので混同しないようにしましょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)の試験で出題される「ライフプランニングと資金計画」の出題範囲は、以下の一覧のとおりです。

  1. ファイナンシャル・プランニングと倫理
  2. ファイナンシャル・プランニングと関連法規
  3. ライフプランニングの考え方・手法
  4. 社会保険
  5. 公的年金
  6. 企業年金・個人年金等
  7. 年金と税金
  8. ライフプラン策定上の資金計画
  9. 中小法人の資金計画
  10. ローンとカード
  11. ライフプランニングと資金計画の最新の動向

以上のうち、赤字の「⑨中小法人の資金計画」は2級のみの出題範囲です。それ以外は、2級と3級で共通の試験範囲となっています。

基本的なファイナンシャル・プランニングの倫理や手法に加えて、社会保険関連(公的年金・健康保険・労災保険・雇用保険)やライフイベント表・キャッシュフロー表の作成など、幅広い知識を身につける必要があります。

FPの試験はいつ受けられる?2025年からCBT方式に全面移行

試験のスケジュールについては、FP3級・2級がCBT方式(パソコンで受験する方式)へ移行し、通年で受検できるようになりました。3級が先行して移行し、続いて2級も移行する形で、近年このCBT化が進みました。

以前は「1月・5月・9月の年3回」というペーパー試験が中心でしたが、現在はテストセンターで自分の都合に合わせて随時受検できる形に変わっています。これにより、「次の試験まで何か月も待つ」ということがなくなり、学習計画を立てやすくなりました。

ただし、移行の正確な開始時期・対象級・学科/実技の扱い・申込期間や受検休止期間などは、団体や年度によって異なり、変更されることもあります。とくに1級や実技試験の扱いは級・団体によって違うため、受検を考えている方は、必ず最新の受検案内を日本FP協会(jafp.or.jp)またはきんざい(kinzai.or.jp)の公式サイトで確認してください。

試験を実施しているのは2つの団体

FP技能検定を実施しているのは、次の2つの団体です。

日本FP協会(jafp.or.jp):実技は「資産設計提案業務」

金融財政事情研究会=きんざい(kinzai.or.jp):実技は「個人資産相談業務」など

2級・3級の学科試験は、どちらの団体で受けても共通問題ですが、実技試験は団体や選択する科目によって内容が異なります。そして、FP技能士に合格するには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。どちらの団体で受けるかは、実技の出題内容や自分の得意分野で選ぶとよいでしょう(1級や各団体の実技科目の詳細は、公式の受検案内で確認してください)。

ライフプランニングの三種の神器|ライフイベント表・キャッシュフロー表・個人バランスシート

ライフプランニングを実際に進めていくときに使う、“三種の神器”とも言える3つの表があります。試験でも頻出ですし、実生活でも役立つツールなので、ここでしっかりイメージをつかんでおきましょう。

  • ライフイベント表:家族の将来の予定(結婚・出産・教育・住宅購入・退職など)と、それぞれにかかる必要資金を時系列で書き出す表
  • キャッシュフロー表:年ごとの収入・支出・年間収支・貯蓄残高を将来にわたって予測する表
  • 個人バランスシート:ある時点の資産と負債を対比し、純資産(資産−負債)を把握する表(家計版の貸借対照表)

このうち、家計の将来予測の中核になるのがキャッシュフロー表です。あとで詳しく説明する可処分所得(手取りに近い金額)をベースに、物価上昇率や昇給率といった変動率を加味して作っていきます。「このままだと〇歳ごろに貯蓄が底をつきそう」といった将来のお金の不安を”数字”で見える化できるのが、この表の強みです。

そして個人バランスシートは、いわば家計版の貸借対照表(B/S)。「今、我が家にはどれだけの資産があり、住宅ローンなどの負債がどれだけあるのか」を一枚で把握できます。

「ライフイベント表で”予定”を、キャッシュフロー表で”将来の流れ”を、バランスシートで”今の状態”を見る」――この3つをセットで使うのがライフプランニングの基本です。

ちなみに、これらの表は試験対策としてだけでなく、自分自身のライフプランづくりにもそのまま使えます。日本FP協会も家計診断のツールやライフプラン作成のシートを公開していますし、無料で使えるテンプレートやシミュレーションツールも数多くあります。学んだ知識をそのまま自分の家計に活かせるのは、この科目ならではの魅力です(入力する数字はあくまでご自身の状況に合わせて調整してください)。

6つの係数を使い分ける|将来のお金を計算する”電卓いらず”の道具

ライフプランニングと資金計画でつまずきやすく、かつ試験で頻出なのが「6つの係数」です。「係数の問題が苦手で……」と検索する受験生が多いことからも、ここが大きな山場だとわかります。

6つの係数は、「今あるお金」と「将来のお金」を行き来して計算するための道具です。丸暗記しようとすると混乱するので、「何を求めたいのか」から逆引きで選ぶのがコツです。下の表で対(ペア)にして整理してみましょう。

  • 【一括系】終価係数:今ある一括のお金を運用したら、将来いくらになる?
  • 【一括系】現価係数:将来必要な額のために、今いくら用意すればいい?
  • 【積立系】年金終価係数:毎年一定額を積み立てたら、将来いくらになる?
  • 【積立系】減債基金係数:将来の目標額のために、毎年いくら積み立てればいい?
  • 【取崩し系】資本回収係数:今ある元本を、毎年いくらずつ取り崩せる?(ローンの毎年の返済額にも使う)
  • 【取崩し系】年金現価係数:毎年一定額を受け取るために、今いくら元本が必要?

覚え方のコツは、「現在 ↔ 将来」「一括 ↔ 毎年」という軸で、対になる係数をセットで押さえることです。たとえば「終価係数(今→将来)」と「現価係数(将来→今)」は逆の関係、「年金終価係数(毎年積立→将来)」と「減債基金係数(将来→毎年積立)」も逆の関係……というように整理すると、本番で「どっちを使うんだっけ?」と迷いにくくなります。

なお、2級でも係数は頻出ですが、係数名を丸暗記するよりも「どの場面でどの係数を使うか」を理解しているかどうかが得点に直結します。試験では係数早見表を使って計算するので、まずは「求めたいもの」から係数を選べるようにしておきましょう(CBT方式に移行してからの電卓の使用ルールは変更されることがあるため、最新の受検案内で確認してください)。

社会保険と公的年金|この科目の最頻出にして最重要パート

ライフプランニングと資金計画のなかで、最も出題が多く、かつ受験生がつまずきやすいのが「社会保険」と「公的年金」です。逆に言えば、ここを得意分野にできれば合格はグッと近づきます。

まず全体像から押さえましょう。

  • 公的年金:全国民が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員などが上乗せで加入する厚生年金“2階建て”構造
  • 企業年金・個人年金等:公的年金の上乗せ部分にあたる“3階部分”。確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)や確定給付企業年金、退職金などがここに含まれる
  • 社会保険健康保険・介護保険・年金保険・労災保険・雇用保険の体系(働き方や年齢で加入する制度が変わる)

出題範囲の「⑥企業年金・個人年金等」や「退職金」は、この“3階部分”として公的年金とセットで押さえると、老後資金の全体像がスッキリ理解できます。この科目では、それぞれの制度の「誰が・いつから・いくら」もらえる(払う)のかを学んでいきます。

ここでひとつ大事な注意点です。社会保険料率や年金の給付額、受給開始年齢といった具体的な数字は、制度改正や料率の見直しでたびたび変わります。本記事でも個別の金額や率はあえて細かく書いていませんが、受験前には必ず日本年金機構や各団体の公式情報で最新の数字を確認してください。古い数字のまま覚えてしまうのが、この分野でいちばん危険なパターンです。

たとえば公的年金の受給開始は原則65歳ですが、先ほど触れたように繰上げ受給(早くもらう代わりに減額)・繰下げ受給(遅くもらう代わりに増額)という選択肢もあります。こうした「制度の仕組み(考え方)」はしっかり理解しつつ、「具体的な率や金額」は最新を確認する――という役割分担で学ぶのがおすすめです。

学習の優先順位としては、

全ての項目をマスターするには時間が足りないため、「関連法規」「ライフプランニングの考え方」「資金計画」「社会保険制度」「公的年金」「企業年金・個人年金」「年金と税金」を重点的に学習する

公的年金(国民年金と厚生年金)や社会保険制度については、給付の条件になる年齢や金額の数字を、最新の情報でしっかり押さえる

ライフプラン策定時の資金計画では、提案書やキャッシュフロー表を作成するトレーニングを行う

というイメージです。なかでも、特に出題が多いのは次の4つです。

・公的年金 ・社会保険 ・ライフプランニングの考え方・手法 ・ライフプラン策定上の資金計画

この4つについては、他の論点の1.5~2倍は入念に学習するくらいの気持ちで取り組みましょう。

ちなみに、「ファイナンシャルプランナーが保険を勧めてくるのはなぜ?」と疑問に思ったことはありませんか。これは、相談の流れのなかで「公的保障(社会保険)で足りない部分を民間の保険で補う」という提案につながりやすいこと、そして保険会社系のFPは保険商品の販売も業務に含むことが背景にあります(独立系FPと企業系FPでは立場が異なります)。だからこそ、この科目で「公的な社会保険で何がカバーされ、何が足りないのか」という全体像を学んでおくと、いざ自分が保険を検討するときにも”言われるがまま”にならずに済みます。中立に判断する力が身につくのも、この分野を学ぶ大きなメリットです。

人生の3大資金|教育資金・住宅資金・老後資金の備え方

ライフプランのなかでとくに大きな支出になるのが、「教育資金」「住宅資金」「老後資金」の”3大資金”です。この3つをどう準備するかが、ライフプランニングのいちばんの肝と言ってもいいでしょう。

  • 教育資金:幼稚園から大学まで、子供の進路によって大きく変わる。教育ローン(国の教育ローン)・奨学金・学資保険などで備える
  • 住宅資金:人生で最も大きな買い物のひとつ。住宅ローンの返済方法・金利タイプ・借換えの知識が必要
  • 老後資金:公的年金を土台に、不足分をどう補うかがテーマ。iDeCoやNISAなどの制度も登場

教育資金は、進路(公立か私立か、大学は文系か理系かなど)によって必要額が大きく変わります。具体的な平均額は調査時点や前提で変わるため断定は避けますが、「いつ・いくら必要になるか」をライフイベント表に書き込んでおくことが第一歩です。手段としては、教育ローン(国の教育ローン)・奨学金・学資保険などがあります(条件や金額は変わるので、最新は日本政策金融公庫などの公式情報で確認してください)。

住宅資金では、住宅ローンの返済方法(元利均等返済・元金均等返済)金利タイプ(固定・変動)借換えの基礎が問われます。「毎年いくら返済するか」は、先ほど学んだ資本回収係数で計算できる、というように係数の知識ともつながっています。ここが「ライフプランニングと資金計画」という科目の面白いところですね。

老後資金は、公的年金だけで足りるのか、足りないならどう備えるのかがテーマです。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA、個人年金保険といった制度が選択肢になりますが、掛金の限度額や税制上の取り扱いは制度改正で変わることがあるため、ここも最新を公式で確認するクセをつけましょう。

そして、これら3大資金をすべて織り込んで「将来の収支」を見える化するのが、先ほどのキャッシュフロー表です。シミュレーションするときは、少し厳しめの前提(収入はやや低め、支出はやや高め)で細かく試算しておくと、いざというときに慌てずに済みます。漠然とした不安を数字に置き換えてみる――これがライフプランニングの醍醐味です。

可処分所得とキャッシュフロー表の作り方|計算でつまずかないコツ

キャッシュフロー表を作るうえで、絶対に外せないキーワードが「可処分所得(かしょぶんしょとく)」です。ここは試験でも間違えやすいポイントなので、しっかり整理しておきましょう。

可処分所得 = 年収 −(所得税 + 住民税 + 社会保険料)

ざっくり言うと、可処分所得は「手取りに近い、自由に使えるお金」のことです。キャッシュフロー表の収入欄には、額面の年収ではなく、この可処分所得を書くのが基本になります。

ここでつまずきやすいのが、「何を差し引くか」です。可処分所得を計算するときに差し引くのは、所得税・住民税・社会保険料の3つだけ生命保険料や財形貯蓄などは差し引きません(これらは”支出”としてキャッシュフロー表の支出側で扱います)。「税金や社会保険料は所得から引くけれど、保険料や貯蓄は引かない」――この区別を間違えると計算がズレてしまうので、要注意です。

次に、キャッシュフロー表の将来の数値の出し方です。物価上昇や昇給を見込んで、将来の金額は次のように計算します。

将来の金額 = 現在の金額 ×(1 + 変動率)n (n=経過年数)

たとえば「昇給率2%」「物価上昇率1%」といった前提を置いて、数年後の収入や支出を見積もっていきます。先ほどの6つの係数の考え方ともつながっているのがわかりますね(変動率の数字はあくまで仮の前提なので、自分の状況に合わせて設定してください)。

この「可処分所得を出す → 変動率を加味して将来の収支を予測する」という流れは、実技試験でもよく問われる頻出パターンです。直前期に「これだけは覚えておきたい」と焦りがちなテーマですが、ここは丸暗記ではなく”計算の流れ”として理解しておくと、本番で応用が効きます。得点に直結するポイントなので、ぜひ手を動かして練習してみてください。

「ライフプランニングと資金計画」の正しい勉強方法とコツ

最後に、この科目の正しい勉強方法やコツを整理しておきましょう。勉強方法が間違っていると、「なかなか得点が伸びない」「学習時間が無駄に長くなる」といったことになりかねません。

まず大前提として、FP技能士試験は非常に試験範囲が広いので、「100点を取ってやろう」とは決して考えないでください。

合格基準は、学科・実技ともに6割(60%)程度とされています(満点は団体や科目で異なります)。そして繰り返しになりますが、学科試験と実技試験の両方に合格して、はじめてFP技能士の合格となります。つまり、頻出範囲を中心に、メリハリをつけた学習が必須です。満点を狙う必要はなく、「確実に6割を超える得点力」を作ることに集中しましょう。

具体的なコツは次のとおりです。

  • 頻出論点(社会保険・公的年金・6つの係数・3大資金・キャッシュフロー表)を軸に学ぶ。範囲が広くても、出るところは決まっている
  • テキストのインプットだけで終わらせず、必ず過去問でアウトプットする。テキストを読むだけでは出題形式に慣れず、本番で失敗しやすい
  • 2級では捻った出題もあるため、「何が問われているのか」を整理しながら問題集や過去問を解く

3級と2級の難易度の違いも押さえておきましょう。

FP3級の学科試験:基礎的な知識が、わかりやすい記述で出題される

FP2級の学科試験:3級より応用的な知識が出題され、問われ方も複雑になる

「2級と3級は出題範囲があまり変わらないから、難易度もそんなに変わらないのでは?」と聞かれることがありますが、そんなことはありません。範囲は近くても、問われる”深さ”がまったく違うのです。就職や転職を見据えるなら、企業から評価されやすい2級を目指す方が多いですが、まずは3級で土台を固めてから2級へ進むのが王道です。

なお、「ファイナンシャルプランニング2級の難易度は?」「FP2級は無駄な資格?」といった声もよく見かけます。合格率は団体・回によって変動するため断定はできませんが、3級は比較的高め、2級は中程度、1級やCFPは難関というのが大まかな傾向です(最新の合格率は各団体の公式サイトで確認してください)。「無駄かどうか」も活かし方次第で、お金の知識は仕事にも自分の家計にも一生役立ちます。数字に振り回されず、頻出論点を着実に固めていきましょう。

CBT方式への移行で通年受検ができるようになったので、自分のペースで「この日までに仕上げる」という計画を立てやすくなったのも追い風です。ライフプランニングと資金計画はFP試験の土台になる部分ですので、ここをしっかり押さえて、合格に向けて着実に進んでいってください。

まとめ|「ライフプランニングと資金計画」はFP全体の土台。最新の制度は公式で確認を

今回は、ファイナンシャルプランナーの試験で最初に学ぶ科目「ライフプランニングと資金計画」について、勉強する内容と勉強法をまとめました。

ポイントを振り返っておきましょう。

  • この科目はFPで最初に学ぶ”土台科目”。社会保険・公的年金・6つの係数・3大資金・キャッシュフロー表/可処分所得が頻出の核
  • 公的年金・社会保険・税制・係数の前提となる制度は改正や料率変更が起きやすい。古い情報のまま暗記せず、最新を公式(jafp.or.jp/kinzai.or.jp/日本年金機構 など)で確認
  • 合格には学科・実技の両方が必要。満点ではなく「確実に6割を超える得点力」を頻出論点で作る

ファイナンシャル・プランニングを考えるうえで、ライフプランニングと資金計画は切り離すことができません。中心科目であるこの分野を攻略すれば、FP全体の理解が一気に進みます。

そしてもうひとつ、強調しておきたいことがあります。この科目で学ぶ社会保険・公的年金・3大資金・キャッシュフロー表は、試験に受かるためだけの知識ではありません。「年金は実際いくらもらえそうか」「住宅ローンは無理なく返せるか」「老後資金はいくら足りないのか」――こうした自分や家族の”お金の判断”を、不安の感覚ではなく”数字”で下せるようになるのが、この科目を学ぶ最大の価値です。学んだ知識を自分のライフプラン作成という「行動」にまで落とし込むと、合格後も一生もののスキルとして効いてきます。

このあとは、リスク管理金融資産運用相続・事業承継といった他の科目へと進んでいきます。FP資格全体の進め方や学習の順番を地図のように確認したい方は、FP資格の全体ロードマップを参考にしてください。また、独学が不安で講座選びを検討したい方は、FP講座のおすすめ比較もあわせてどうぞ。

まずはこの土台科目で「お金の人生設計」の全体像をつかんで、FP合格への第一歩を踏み出していきましょう。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験など、情報処理技術者試験の学習法・過去問解説を中心に発信しています。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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