行政書士の年収の現実は?一年目の年収や”雇われ”の金額を徹底調査!

行政書士の年収

今回は、行政書士の年収の「現実」についての記事です。

行政書士を目指していると、「結局、行政書士の年収っていくらが現実なの?」「1年目や雇われだと、どのくらいもらえるんだろう…」と、お金の不安がよぎりますよね。

結論から先にお伝えすると、行政書士の年収は「開業か勤務か」「何年目か」「どの分野をやるか」で大きく変わり、ひとつの平均値だけで語れるものではありません。

巷では「行政書士の平均年収は500〜600万円!」などと言われることがありますが、実はこの数字には大きなカラクリがあります。そして、行政書士の年収について公式に調査が行われたことはなく、世に出ている平均年収はあくまで各種データからの推計値です。

この記事では、日本行政書士会連合会(日行連)や厚生労働省・国税庁などのデータをもとに、

1年目・雇われ・開業・年齢別・男女別・ダブルライセンスといった「あなたが知りたい立場ごとの年収の目安」

を、断定を避けながら一つずつ整理していきます。

さらに、年収が伸びる人と伸び悩む人の差はどこにあるのか、どの業務の報酬単価が高いのかまで、読者であるあなたの判断材料として一緒に見ていきましょう。

なお、本記事で示す金額はいずれも「目安・推計」です。年収は幅が大きく年度でも変わるため、ひとつの数字を鵜呑みにせず、ご自身の状況に当てはめて読んでくださいね。

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結論|行政書士の年収は「立場と年次」で大きく変わる。平均値だけで判断しない

最初に、この記事の結論を整理しておきます。

  • よく聞く「平均500〜600万円」は、一部の高所得層が押し上げた数字=鵜呑みにしない
  • 現実は、売上500万円未満の層が全体の約8割(日行連の統計)
  • 1年目・雇われ・開業で年収は大きく違う=自分の立場に置き換えて読む
  • 稼げるかどうかは資格そのものより「どう活かすか」次第=断定はできない

「平均年収」という言葉は、つい「自分もそのくらいもらえる」とイメージしてしまいますが、行政書士の世界では、その平均値がかなり実態とズレています。

まずは、なぜ「平均500〜600万円」が独り歩きするのか、そのカラクリから一緒に見ていきましょう。そのうえで、あなたが本当に知りたい「1年目」「雇われ」「開業」といった立場ごとの目安へと進んでいきます。

行政書士という資格の全体像(試験から登録・実務まで)を先に押さえておきたい方は、行政書士のロードマップ(全体像)もあわせてご覧ください。

行政書士の平均年収のカラクリ|なぜ「500〜600万円」が独り歩きするのか

前述のとおり、行政書士の平均年収は約500〜600万円とされています。

しかし、この数字は年に2,000万円〜3,000万円以上稼ぐ層から、ほとんど活動していない層(副業、登録だけ継続している高齢者など)までのすべてを含んだ「平均」です。

一般に「平均年収が500〜600万円」というと、実際に500〜600万円ぐらいもらっている人が一番多いのだろう、とイメージしますよね。

しかし、実際は違うのです。

日本行政書士会連合会が平成30年に会員4,338人へ行った統計データによると、

売上500万円未満が、全体の78.7%

という結果が出ています。しかもこれは「売上」のデータで、ここから経費を引いたものが手元に残る「年収」になります。

「売上」と「年収」は別物|経費を引くとさらに下がる

売上が500万円だとしても、たとえ自宅事務所であっても、交通費・消耗品・行政書士会の会費などの経費は必要です。売上から経費を引いた残りが「所得(≒事業の儲け)」で、おおまかには450万円ほど、というイメージです。さらにそこから所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金などを支払うため、実際に手元に残る「手取り」はもう一段下がります。会社員の「額面」と「手取り」が違うのと同じで、売上=手取りではない点に注意してください。

弁護士・公認会計士・税理士などの難関士業に比べると遠く届かないどころか、一般企業の会社員のほうが多くもらっているケースも珍しくありません。

それなのに、なぜ平均年収が約500〜600万円と言われるのか。それは、数は少ないながら売上3,000万円以上、人によっては1億円以上を稼ぐ人がいて、その層が平均を大きく吊り上げているからです。

つまり、8割近くの行政書士が売上500万円未満であるにもかかわらず、一部の高所得者が平均年収を押し上げているという構図なんですね。

なお、「平均年収591万円」といった具体的な数字を見かけることもありますが、こうした数字は調査主体・サンプル数・調査年で大きく変わります(小規模なアンケート調査をもとにした推計のこともあります)。ひとつの平均値を絶対視せず、後述する「分布」で実態をつかむことをおすすめします。

統計データで見る売上の「分布」と中央値

それでは、その4,338人の会員データを具体的に見てみましょう。

日本行政書士会連合会の発行する「月刊日本行政」2018年10月号に、次のデータが掲載されています。

年間売上高(階級別) 割合(平成30年) 割合(平成25年)
500万円未満 78.7% 78.0%
500万円〜1,000万円未満 11.3% 11.4%
1,000万円〜2,000万円未満 5.3% 5.0%
2,000万円〜3,000万円未満 1.8% 1.9%
3,000万円〜4,000万円未満 0.8% 0.9%
4,000万円〜5,000万円未満 0.5% 0.6%
5,000万円〜1億円未満 0.8% 0.7%
1億円以上 0.3% 0.3%

※上記は累積ではなく「階級別」の割合です(各行は重複しない売上帯で、合計するとほぼ100%になります)。出典は日本行政書士会連合会「月刊日本行政」2018年10月号で、同連合会のWebサイト(日本行政書士会連合会)でPDF版を確認できます。最新の実態調査結果も同サイトで公表されています。

この分布を見ると、「平均」ではなく「中央値」(真ん中の人)で見れば、行政書士の売上は500万円未満の帯に入ることがわかります。つまり、多くの行政書士が実感している収入は、平均値よりかなり下というのが現実です。

なお、日行連は約5年に1度この種の実態調査を行っており、直近では令和5年(2023年)の調査結果も公表されています。最新調査でも売上500万円未満が概ね8割弱を占める傾向は大きくは変わっていませんが、最新の数値は時点により更新されますので、判断の際は日行連の公表資料で最新版を確認してください。

売上から経費を引いたものが年収になる、という点もあらためて押さえておきましょう。自宅で一人営業なら経費は小さいでしょうが、売上が2〜3,000万円を超えてくると、使用人行政書士や補助者・事務員などを抱えることが多く、売上の30%以上が経費になることも珍しくありません。複数人で事務所を運営する場合は、売上から経費を引いた金額を人数で分けるため、代表を除いて一人当たり1,000万円を超えるのは簡単ではない、という現実もあります。

「行政書士はやめとけ・稼げない」は本当?年収に差がつく理由

ここまで読んで、「やっぱり行政書士はやめとけ、ってことなの?」とガッカリした方がいるかもしれません。

検索すると「行政書士 やめとけ」「行政書士は稼げない」といった言葉も出てきます。ただ、これらは半分本当で、半分は誤解です。なぜ年収に大きな差がつくのか、その理由を分解してみましょう。

  • 理由1:独立開業が前提の資格=働き方が人によって全く違うため、個人差が極端に大きい
  • 理由2:開業のハードルが比較的低い=準備不足のまま始めて、軌道に乗らない人がいる
  • 理由3:扱う業務分野の選び方=報酬単価やリピート性が分野で大きく変わる
  • 理由4:顧客獲得力(営業・紹介・Web集客)=同じ資格でも集客できるかで差が出る

裏を返せば、「行政書士が稼げない」のではなく、「準備不足で・分野を選ばず・集客もしないまま開業すると稼ぎにくい」ということです。

「行政書士は、やめたほうがいい」と第三者が言うかもしれませんが、自分の人生を決めるのは自分自身のはず。確かに雇われのままだと大きな年収アップは難しいかもしれませんが、

  • 独立して自分の裁量で稼ぐ
  • ダブルライセンスで業務の幅を広げる
  • 稼げる分野に特化する

など、知恵を使えば行政書士で年収を上げる手段は数多くあります。

なお、「AIが普及したら行政書士の仕事はなくなるのでは」という不安もよく聞きます。確かに定型的な書類作成は効率化が進む可能性がありますが、許認可の要件判断・役所との折衝・依頼者へのヒアリングといった人が担う部分は残ると考えられます。とはいえ将来の需要は不確実ですので、断定はできません。需要や将来性をもう少し詳しく知りたい方は、行政書士の将来性・需要の記事もあわせてご覧ください。

以下では、いよいよ「1年目」「雇われ」「開業」といった立場ごとの年収を、具体的に見ていきましょう。

新人1年目の行政書士の年収|雇われ・開業スタート時のリアル

「行政書士1年目の年収って、結局いくらなの?」――これは受験生・転職検討者が一番気になるところですよね。

結論からいうと、1年目は勤務でも開業でも年収は低めで、200万〜300万円台が一つの目安です。ただしこれはあくまで目安で、人や働き方によって上下します。

雇われ1年目|資格より「実務未経験スタート」だから低め

雇われ(勤務)の場合、行政書士事務所や法務事務所で働くにあたっては、未経験で採用される形になります。資格を持っていても、最初から高年収は期待しにくいのが実情です。

「たったこれだけしかもらえないの?」と給料に不満を抱く新人は少なくありません。後述する年齢別の推計では20代前半の平均年収を342万円としていますが、あくまで平均で、1年目はこれより低くなる可能性も十分あります。

ちなみに、未経験者を歓迎する求人自体は存在します。

  • 未経験から始められる
  • 未経験でもサポートします
  • 未経験者大歓迎

まずは実務に慣れ、知識とスキルを積む期間と割り切るのが現実的です。長期でキャリアを形成すれば、給料や年収は少しずつ上がっていきます。

開業1年目|顧客ゼロからのスタートで時間がかかる

独立開業の場合、1年目は基本的に顧客ゼロからのスタートです。売上が立つまでには時間がかかるのが普通で、初年度は年収100万〜200万円ほど、場合によってはほとんど仕事にならないこともあり得ます。

逆にいえば、ここで焦って報酬単価を下げすぎると、その後の経営が苦しくなります。1年目は「種まきの期間」と捉え、専門分野づくりと顧客との信頼関係づくりに時間を使うのが、結果的に年収アップへの近道になります。

なお、学歴による制限はありません。行政書士試験に学歴の条件はないため、中卒でも高卒でも、試験に合格すれば同じように働けます。高卒だから年収が低い、というよりも、「1年目はまだこれから」という点が本質です。

雇われ(勤務)行政書士の年収|独立との違いと「天井」

雇われている行政書士と独立開業した行政書士とでは、年収のレンジが大きく違います。

  • 雇われている行政書士:約200万円〜600万円
  • 独立開業した行政書士:約200万円〜3,000万円

※上記のレンジ(1年目の200万〜300万円台、開業1年目の100万〜200万円なども含め)は、求人情報や各種推計をもとにした「おおよその目安」です。実際の金額は、地域・分野・実務経験・営業力などによって大きく上下し、レンジの外に出ることもあります。特定の金額を保証するものではない点にご注意ください。

雇われている行政書士とは、行政書士事務所で働く使用人行政書士や、企業の法務部などで活躍する試験合格者のことです。

ここで一点注意があります。

行政書士の資格登録を活かして「行政書士として」企業に勤務することはできません。あくまで、行政書士の試験勉強で培った知識を使いながら、法務に関連する業務を行うことになります。

なお、会社員として働きながら行政書士登録をして副業で行政書士業務を行うことは、制度上はあり得ます。ただし実際には、勤務先の就業規則による副業可否のほか、行政書士会への登録要件・事務所の設置・所属する単位会の運用などの確認が必要です。「会社員のまま副業で」と考える場合は、登録予定の都道府県行政書士会に事前に相談することをおすすめします(運用は会や時期によって異なる場合があります)。

雇われの場合、資格を持っていても最初から高年収は期待できません。その代わり、年齢を重ねてスキルや経験を積めば、年収600万円くらいまでは見込めます。ただし、勤務である以上、大幅な年収アップには「天井」がある、と心得ておくとよいでしょう。

一方で独立開業した行政書士は、成功すれば高年収を得られますが、高いビジネススキル(営業・経営)が要求されます。

「会社員を続けながら、まずは副業で行政書士を始めたい」という方も増えています。副業として現実的に成り立つのか、いくらくらい稼げるのかについては、行政書士の副業・お小遣い稼ぎの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ちなみに、公務員として一定年数の行政事務に従事した方は、試験を受けずに行政書士登録ができる特認制度があります。公務員からの行政書士というキャリアに関心がある方は、公務員から行政書士になる方法(特認制度)もチェックしてみてください。

独立開業した行政書士の年収|ピンキリの実態と稼ぐ条件

独立開業している行政書士の年収は、まさにピンキリです。

行政書士法人など大きな事務所を運営している代表であれば、年収2,000万〜3,000万円、人によっては5,000万円以上を得ている方もいます(ただし、かなり幅があります)。

一方で、開業すれば自動的に儲かるわけではありません。案件を獲得できなければ、開業しても意味がないのです。自分の好きなように業務をこなせるのが独立の大きなメリットですが、満足のいく収入になるまでには時間がかかります。

つまり、独立開業の年収を左右するのは、次の3つです。

  • 顧客獲得(営業・紹介・Web集客)=仕事がなければ売上は立たない
  • 専門分野の選択=報酬単価とリピート性の高い分野を選べているか
  • 地域の競争環境=都市部と地方で案件数・単価・競合が変わる傾向がある

行政書士は独立開業向きの国家資格ですので、中長期で事務所を育てていく視点を持ちたいですね。なお、高年収の例はあくまで「一部」であり、誰もが同じように到達できるわけではない点には注意してください。

年齢別・男女別の年収目安|推計データで全体像をつかむ

ここでは、行政書士の年齢別の平均月額給与・平均年収の推計を一覧にしました。年齢を重ねるイメージをつかむ参考にしてください。

<平均月額給与(年齢別)>
20歳〜24歳:21.4万円 25歳〜29歳:26.6万円 30歳〜34歳:29.3万円 35歳〜39歳:33.4万円 40歳〜44歳:37.5万円 45歳〜49歳:42.0万円 50歳〜54歳:45.0万円 55歳〜59歳:44.6万円 60歳〜65歳:30.4万円
<平均年収(年齢別)>
20歳〜24歳:342万円 25歳〜29歳:426万円 30歳〜34歳:468万円 35歳〜39歳:534万円 40歳〜44歳:600万円 45歳〜49歳:672万円 50歳〜54歳:720万円 55歳〜59歳:714万円 60歳〜65歳:486万円

年齢を重ねて経験を積むほど平均年収が上がっていくのは、行政書士に限らず他の職種でも同じ傾向です。

次に、男女別の年収目安です。性別で平均年収が変わるのか、年齢別のデータを一覧にまとめました。

<男性(年齢別)>
20歳〜24歳:381.8万円〜 25歳〜29歳:435.0万円〜 30歳〜34歳:467.6万円〜567.6万円 35歳〜39歳:483.4万円〜587.4万円 40歳〜44歳:539.0万円〜660.0万円
<女性(年齢別)>
20歳〜24歳:312.0万円〜342.0万円 25歳〜29歳:373.5万円〜376.0万円 30歳〜34歳:368.0万円〜428.3万円 35歳〜39歳:430.0万円〜443.2万円 40歳〜44歳:479.0万円〜498.0万円

男性と比較すると女性の行政書士は年収がやや下がる傾向がありますが、女性でも十分に活躍できる分野です。独立・在宅・兼業など働き方の選択肢も広く、ライフスタイルに合わせやすいのも特徴といえます。

※重要:本項の年齢別・男女別データは、日本行政書士会連合会(日行連)や厚生労働省・国税庁などのデータをもとに独自集計した「推計値」です。賃金統計をベースにした目安であり、勤務型(給与所得)の数字に近い性格のものと考えられます。独立開業した行政書士の所得はこれとは大きく異なる(上下に幅が出る)ため、開業を検討している方は前述の「売上分布」もあわせてご覧ください。いずれも公式に確定した数字ではありませんので、年齢ごとの傾向をつかむための参考程度とお考えください。

行政書士で年収1,000万円は可能?高年収を実現する道筋

結論から言うと、行政書士として年収1,000万円を稼ぐのは、不可能ではありません。

ただし、使用人行政書士や企業勤務では現実的に厳しく、独立開業をして年収1,000万円・2,000万円を得ている行政書士の多くは、開業組です。

年収1,000万円プレーヤーになるには、「独立開業して、いかに効率よく顧客を獲得できるか」という点を押さえる必要があります。

行政書士としてのスキルや能力がどれだけ高くても、それを発揮できる仕事がなければ年収は上がりません。インターネットでの宣伝、紹介の獲得、ダブルライセンスによる差別化など、顧客を確保する努力が欠かせません。

報酬額は自分で決められる|信用を積めば単価も上げられる

年収を上げるうえで、適正な報酬額を設定することはとても重要です。

行政書士の場合、報酬額は各人が自由に設定できます。

とはいえ、世間相場というものがありますので、相場から大きく離れた高い報酬を設定しても、よほど差別化できている行政書士でなければ仕事は来ません。

しかし、どんな仕事もキッチリ責任をもって仕上げることを続けていれば、顧客が顧客を呼び、結果として年収アップにつながります。信用が積み上がれば、次の項で見る報酬単価の改定も現実味を帯びてきます。

「自分も年収300万円・500万円・1,000万円を目指したい」と考えるなら、まずは必要な売上を、報酬単価×案件数で逆算してみると、現実的な目標が見えてきます。ただし、案件数は集客力に左右されるため、ここでも「目安」として捉えてくださいね。

報酬単価と稼げる業務分野|どの仕事がいくらになるか

行政書士の収益の柱は、独占業務です。行政書士法第1条の3では、報酬を得て「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」を作成することは行政書士の独占業務とされ、行政書士・行政書士法人以外の者がこれらを業として行うことは制限されています(同法第19条・違反には罰則)。許認可申請の書類作成・提出代理などが、その代表例です。

一方で、不動産登記や商業登記、紛争時の代理人といった業務は司法書士・弁護士の独占業務であり、行政書士には行えません。ここを取り違えると業務範囲を誤りますので、しっかり線引きしておきましょう。

主要業務の報酬単価の目安

以下は、日本行政書士会連合会が実施した報酬額統計調査(平成27年度)の結果から、主要業務の平均報酬額を抜粋したものです。あくまで「業務ごとの単価の大小・相場感をつかむための一例(旧年度のデータ)」としてご覧ください。同調査は行政書士法第10条の2に基づき約5年に1度実施され、その後の調査(直近では令和7年度)も公表されています。物価や運用の変化で金額は変わりますので、実際に報酬を設定・依頼する際は、必ず日行連が公表する最新年度の報酬額統計を確認してください

建設業許可申請:平均118,204円 経営状況分析申請:平均32,485円 経営規模等評価申請及び総合評定値請求申請:平均56,983円 建設業変更届出:平均42,170円 建設工事紛争処理申請:平均59,960円 農地法第3条許可申請:平均50,236円 農地法第4条許可申請:平均80,114円 農地法第5条許可申請:平均103,623円 農用地除外申出:平均94,967円 開発行為許可申請:平均434,437円 河川関係許可申請:平均151,784円 宅地建物取引業者免許申請:平均107,195円 宅地建物取引士資格登録申請:平均22,709円 資力確保措置の状況についての届出:平均22,114円 建築士事務所登録申請:平均62,398円 測量業者登録申請:平均87,579円 道路位置指定申請:平均297,380円 マンション管理業者登録申請:平均73,185円 屋外広告物設置許可申請:平均56,050円 特殊車両通行許可申請:平均49,995円 特定旅客自動車運送事業認可申請:平均102,143円 自動車整備事業指定申請:平均14,500円 旅行業登録申請:平均150,435円 風俗営業許可申請:平均158,484円 古物商許可申請:平均49,713円

行政書士の報酬額や報酬額設定のポイントについては、こちらの記事を参考にしてください。

稼げる傾向のある分野はここだ

同じ行政書士でも、選ぶ分野によって報酬単価やリピート性が変わります。稼ぎやすい傾向のある分野を見ていきましょう。

建設業

建設業は小規模事業者も多く、全国に多くの顧客がいます。建設業許可は5年ごとに更新が必要で、さらに毎事業年度ごとに決算変更届(事業年度終了届)の提出も求められるため、一度許可を取得した顧客とは継続的な付き合いになりやすく、顧問契約につながりやすいというメリットがあります。顧客を多く持てば経営が安定しますが、従来からの主要分野ゆえ新規参入の難易度は高めです。

入管業務(外国人関連)

外国人労働者や留学生は増加傾向にあるため、入管(出入国在留管理)に関わる業務は将来性があるといえます。在留資格認定証明書の交付申請、在留資格変更許可申請、永住許可申請などのニーズは、今後も高まっていくと考えられます。

行政書士の入管関連業務(外国人向けビザの申請等)について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

産廃(産業廃棄物)

産業廃棄物の収集・運搬・処理に関わる許可取得の業務です。たとえばA県で積んでB県で下ろす場合、両県で許可が必要になるなど、件数が増えやすい特徴があります。法改正も多く、顧問契約やコンサルティング業務へつなげやすい分野です。

風俗営業

風俗営業許可が必要なのは、キャバクラ・バー・ゲームセンター・パチンコなどの業種です。関連法令や規制内容に精通するだけでなく、図面作成や周辺調査も必要なため難易度が高く、その分高めの報酬が期待できます。

相続

相続分野では、遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、相続人の調査・相続関係図の作成、戸籍の取得、名義変更に関する手続きなど、行政書士にできることが多くあります。ただし、登記に関わる手続きや紛争時の代理は司法書士・弁護士の独占業務であり、行政書士は行えません。そのため他士業とチームで連携することが多く、連携がうまくいけば定期的に仕事が発生するようになります。

その他(ドローン・民泊など)

将来性のあるものとして、ドローン使用許可、民泊設置許可などもあります。社会情勢によって需要が変動する分野ですので、動向を見ながら取り組むとよいでしょう。

ダブルライセンス・他士業比較・廃業率|年収を底上げする視点とリスク

最後に、年収を底上げする「ダブルライセンス」と、知っておきたい「廃業の現実」、そして「他士業との比較」を見ておきましょう。

ダブルライセンスで業務の幅と単価を広げる

行政書士だけでなく、他の資格も取得するダブルライセンスを目指す方は増えています。資格の組み合わせによってメリットは変わりますが、代表的なものを挙げてみます。

  • 社会保険労務士など同じ法律系の資格を取れば、士業としての活動に弾みがつく
  • 宅建(宅建士)とは民法など学習の相乗効果があり、不動産系の業務につくなら強い
  • 足りない部分を補い、幅広い分野の仕事をこなせるようになる
  • 独立開業時に自分のスキルをアピールしやすく、営業しやすくなる

できる仕事の選択肢が広がるため、ダブルライセンスを持つ行政書士は年収が高くなる傾向があります。1年目から高年収を得るのは難しくても、数年かけてダブルライセンスになり、年収を数百万円アップさせた例は少なくありません。

「社労士と行政書士、どっちが稼げる?」への考え方

「社労士と行政書士はどっちが稼げる?」「一番儲かる士業は?」という疑問もよく聞かれます。

ただ、これは一概には言えません。どの士業も「開業して顧客を獲得できるか」「専門特化できるか」で年収が大きく変わるため、資格の種類そのものより、その後の活かし方で差がつくのが実情です。年収だけで資格を選ぶより、自分が続けられる分野・興味を持てる分野で選ぶほうが、結果的に年収にもつながりやすいといえます。

行政書士の廃業率も知っておく

平均年収だけでなく、「実際に食べていけずに廃業する人がどれくらいいるのか」も気になりますよね。

現在、行政書士の登録者数は5万人前後の規模です。一方、廃業率についての正式な統計データはありません。

ただ、ある1年間(2017年5月〜2018年4月)に行政書士登録を抹消した人数は1,461名でした。このうち「食べていけずに廃業した」割合は分かりませんが、年間1,500人程度が登録を抹消するという事実は、知っておいてよいでしょう。参入も退出もある「成果次第の世界」だということです。

行政書士の廃業率や、開業後に廃業しないための方法については、こちらの記事をチェックしてみてください。

まとめ|年収の「現実」を正しく知り、自分の戦略を立てよう

行政書士の年収について、立場ごとのデータを整理してきました。あらためてポイントを振り返ります。

  • 平均値のカラクリを理解する=売上500万円未満が約8割という「現実」を踏まえる
  • 1年目は低めでも、勤務なら経験、開業なら専門特化で伸びていく
  • 稼げる分野・独占業務・ダブルライセンスで年収は底上げできる
  • 金額はすべて「目安・推計」=年度や働き方で変わるため断定はできない

平均年収は思いのほか低く感じるかもしれませんが、キャリアを積んだり、独立開業して専門特化したりすることで、年収を伸ばしている人がいるのも事実です。もちろん努力や市場環境次第で結果は変わり、収入が増えることを保証できるものではありません。それでも、自分の工夫が結果に反映されやすい仕事ではありますので、関心のある方はぜひ行政書士というキャリアを検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 行政書士1年目の平均年収はいくら? A. 勤務でも開業でも低めで、200万〜300万円台が目安です。開業1年目は顧客ゼロからのスタートのため、さらに低くなることもあります(あくまで目安です)。

Q. 20代・新卒の行政書士の年収はどれくらい? A. 年齢別推計では20代前半で342万円、20代後半で426万円が目安ですが、実務経験が少ない1年目はこれより低くなる可能性があります。

Q. 行政書士で年収1,000万円は可能? A. 不可能ではありませんが、勤務では現実的に厳しく、独立開業して効率よく顧客を獲得できるかが分かれ目です。

Q. 行政書士で年収3,000万円は現実的? A. 行政書士法人や大規模事務所の代表など、ごく一部には存在します。ただし全体から見れば少数で、再現性が保証されるものではありません。

Q. 社労士と行政書士はどっちが稼げる?/一番儲かる士業は? A. 一概には言えません。どの士業も顧客獲得力・専門特化で年収が大きく変わるため、資格の種類より活かし方で差がつきます。

Q. 行政書士は飽和状態ですか? A. 登録者数は5万人前後と多いものの、入管・建設業・相続など需要のある分野は残っています。「飽和だから稼げない」と単純に言い切れるものではありません。

まずは合格=学習を始めることから

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西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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