今回の記事は、「社労士の副業」がテーマです。
「社労士の副業」といっても、独立開業している社労士の先生が行う副業のことではありません。
- 社労士の資格を取得したが、仕事に活かしていない一般のサラリーマン
以上のような方をターゲットとし、社労士資格を活かして副業をするにあたり、ポイントや注意点などを分かりやすく説明します。
興味のある方は是非チェックしてみてください。
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サラリーマンしながら社労士の資格を活かして副業できるの?
サラリーマンの中には日々の仕事や業務ではなく、副業が目的で社会保険労務士(社労士)の資格取得を目指す方もいます。
行政書士や司法書士、中小企業診断士や税理士・弁理士など他の士業と同じで、社会保険労務士(社労士)は副業にも役立つ資格。
サラリーマンや会社員にとって、社会保険や就業規則、年金などは非常に馴染み深いものです。
経験のない方でも取っつきやすい分野ですので、社会保険労務士(社労士)の資格を活かした副業は決して不可能ではありません。
会社の就業規則で副業が禁じられていないのであれば、平日の空いた時間や土日などの休日を利用して副業を始めるのは選択肢の一つです。
サラリーマンが社会保険労務士(社労士)の資格を活かして副業するに当たり、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
- 会社員の給料に加えて副業の報酬が入るため、全体的な年収がアップしてゆとりのある生活を送ることができる
- 副業で実務の経験を積みながら将来的に独立開業する道も開くことができる
- 「働き方改革」の浸透などにより、社労士の専門分野である「人事・労務」のフィールドが脚光を浴びているが、そうした将来性のある分野での経験が積める
- 専門知識を活かした執筆・社労士講座の添削など、子育てしながら在宅でリモートワークできる副業も増えている
副業をすることで、社労士として独立開業するための事前準備にもなる!
社会保険労務士(社労士)の資格の保有者でも、すぐに独立開業して稼げるようになるわけではありません。
新規顧客の獲得が上手くいかなかったり年収が下がるリスクがあったりと、独立開業にはデメリットもありますね。
※社会保険労務士(社労士)として独立開業するメリットとデメリットはこちら!
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-dokuritsu-kaigyou/
しかし、副業として業務に取り組んでいれば、年収を増やしながら自分の適性を見極められます。
- 「社会保険労務士(社労士)の仕事は向いてそうだから独立する」
- 「社会保険労務士(社労士)だけで食べていくのは難しいから副業を続ける」
と今後の人生を柔軟に変えていけるわけです。
サラリーマンが社会保険労務士(社労士)の資格を取得して副業する価値は充分ありますので、まだ取得していない方は、ぜひ社労士の試験にチャレンジしてみてください。
社労士の副業には、どんな種類があるの?
社労士の副業には、以下のような種類があります。
- 社労士の独占業務(1号業務・2号業務)
- コンサルティング業務(3号業務)
- 補助金申請の支援業務
- 社労士会の紹介によるパート・アルバイト
- 行政や公的機関(役所・ハローワーク等)の紹介によるパート・アルバイト
- 社労士講座の講師業務
- 専門記事の執筆・ブログ運営等
など
それぞれ1つずつ説明していきましょう。
1.社労士の独占業務(1号業務・2号業務)の手続き
1号業務・2号業務の内容は以下のとおり
- 1号業務:労働社会保険に関わる書類の作成や提出などの手続きを労働社会保険諸法令に基づいて行う業務。
- 2号業務:労働社会保険の諸法令に定められた帳簿書類(就業規則や労働者名簿、賃金台帳など)の作成。
これらの手続きを、他者のために業として代理して(委託されて)行うことは社労士にしか許されない独占業務です。
これらの仕事は、たとえ副業で行うとしても、社労士の本業の内容そのもの、と言えます。
※社労士の独占業務について詳しくは、下記記事も参考にしてみてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-dokusen-gyoumu/
2.コンサルティング業務(3号業務)
社労士のコンサルティング業務は3号業務と呼ばれ、以下のように多彩なテーマで行われます。
- 労務管理や労働社会保険諸法令に基づく社会保険の事項の相談や指導
- 企業の採用の支援
- 人事制度の構築
- 組織活性化
- 社員のキャリアに関する事項
また、コンサルティングから派生して、様々な研修やセミナーを実施することも多くあります。
3号業務は、今後の社労士の業務として有望な領域ですが、実は資格者である必要はありません。
そのため、行政書士や中小企業診断士、無資格で人事コンサルタントを名乗る方などと競争になりやすい分野です。
ただし、人事労務分野で難関の社労士資格を持っていれば、それだけ信頼は高くなりますので、営業的にも有利に働くでしょう。
※社労士の3号業務について詳しくは、下記記事も参考にしてみてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-consulting/
3.補助金申請の支援業務
厚生労働省の助成金は社労士しか受任できない独占業務です。
しかし、一般的な補助金の申請代行は社労士だけではなく、行政書士や中小企業診断士といった士業の資格をお持ちの方もできます。
補助金申請の支援業務には、申請書の作成やアドバイスを始め、添付書類である経営企画書・事業計画書の作成、審査プロセスへのサポートなど、副業としてできることは多々あります。
4.社労士会の紹介によるパート・アルバイト
社労士会の紹介によるアルバイトとは、いわゆる「行政協力」のことです。
行政協力について詳しくは後述します。
5.行政や公的機関(役所・ハローワーク等)の紹介によるパート・アルバイト
ハローワークや協会けんぽ、市町村の役所などで、相談業務の担当者などを募集することがあります。
また、派遣会社経由で短時間の派遣として副業できる場合もあります。
6.社労士講座の講師業務
社労士講座の受験講師の仕事です。講義を担当する他、テキスト作成や過去問解説・模擬試験の問題作成および添削・採点など、様々な業務があります。
一般的な通学講座の講師の他、最近ではWeb配信用の動画を撮影するための講師も多くなっています。もちろん、その場合は講義自体の回数は多くありません。
講義以外のテキスト作成・過去問解説執筆・作問・添削などは、ほとんどの場合は在宅やリモートワークとなります。
子育てしながら副業することも全く問題ありません。
7.専門記事の執筆・ブログ運営等
雑誌やWeb媒体に専門的な知識を活用して記事を書いたり、Webサイトやブログなどに役立つ記事コンテンツを執筆したりする仕事です。
こちらも完全在宅リモートワークで可能な副業です。
社会保険労務士(社労士)の資格を活かして副業する上で押さえておくべきポイント
社会保険労務士(社労士)の資格を取得しても、すぐに副業できるわけではありません。
試験に合格した後も、社会保険労務士(社労士)として働くためにやるべきことはたくさんあります。
「社会保険労務士(社労士)の資格を活かして副業したい!」と考える方のために、以下では押さえておきたいポイントをまとめてみました。
社労士の資格の登録には2年間以上の実務経験が必要
社会保険労務士(社労士)としての独占業務に関わる副業をする場合には、試験の合格に加えて全国社会保険労務士会連合会への登録が必須条件です。
全国社会保険労務士会連合会の登録を受けると共に、都道府県の社会保険労務士会の会員になり、社労士バッジを付けて仕事をする必要があります。
社労士会に社会保険労務士(社労士)が登録する条件は次のいずれかです。
- 労働社会保険諸法令に関する2年以上の実務経験を持っている
- 実務経験のない方は事務指定講習を受講して修了証書をもらう
資格だけ持っていても、社会保険労務士(社労士)として名乗って仕事を進めることはできません。
つまり、今までに2年以上の実務経験を持っていないサラリーマンは、事務指定講習を受講して社労士会に登録した後に社会保険労務士(社労士)の資格を活かして副業できる形になります。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習で一体何をするのか見ていきましょう。
- 教材を使って自己学習して研究課題の報告や添削指導が行われる「通信指導課程」
- 講習科目について講義形式を4日間に渡って受ける「面接指導課程」
4ヵ月間の通信指導課程と4日間の面接指導課程の組み合わせを行うことにより、事務指定講習の修了証書を受け取ることができます。
実務経験を持っていない方は、社会保険労務士(社労士)として副業できるまでに時間がかかると心得ておいてください。
なお、全国社会保険労務士連合会や事務指定講習について詳細は、下記の記事を参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaro-rengou-kai/
社会保険労務士名簿(社労士名簿)への登録で一定の費用がかかる
社会保険労務士(社労士)の資格を活かして働くに当たり、専業でも副業でも社会保険労務士名簿(社労士名簿)への登録が必要です。
お住まいの地域によって変わりますが、社会保険労務士名簿への登録でかかる費用の目安をまとめてみました。
- 登録免許税が3万円
- 手数料が3万円
- 入所予定の社労士会への入会金が3万円~8万円
- 別途で年会費が数万円
初年度は最低でも10万円、2年目以降も数万円ずつかかりますので、意外と大きな負担です。
サラリーマンとして働いている方は毎月一定の収入をもらっていますので大丈夫だと思いますが、社会保険労務士(社労士)の仕事を始める前にもお金がかかります。
※社労士の登録料や資格の維持費について詳しくは、次の記事をご参考にどうぞ!
https://syaroushi-ganba.com/syaroushi-hiyou-ijihi/
パート・アルバイトの日給(日当)の相場は1万円~2万円
「社会保険労務士(社労士)で副業をして本業と同じくらいの金額を稼ぐつもり!」と意気込んでいるサラリーマンの方はいませんか?
仕事内容によって変わりますので一概には説明できないものの、社会保険労務士(社労士)のアルバイトの日給(日当)は1万円~2万円が相場です。
つまり、1ヵ月間で土日を利用して5日間に渡って社会保険労務士(社労士)の仕事のアルバイトを副業で行えば、5万円~10万円を稼げる形になります。
「難関の資格を取得したのにこれだけしか稼げないの?」と疑問に感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、サラリーマンが副業する場合は平日に仕事をするのが難しいため、劇的に収入を増やせないのは仕方ありません。
この点に関しては社会保険労務士(社労士)の副業だけではなく、他の仕事やアルバイトにも該当します。
とはいえ、一般のバイトよりは割が良いのは間違いありません。
社会保険労務士(社労士)のアルバイトの報酬は1日の日当が2万円と設定されている仕事が多いため、時給1,000円のバイトで副業するよりも効率良く稼げるのです。
副業として行える社会保険労務士(社労士)の仕事はたくさんありますが、新米でもベテランでも基本的に報酬は変わりません。
土日だけとはいえ、積極的に仕事を請け負えば、それなりの金額を稼ぐことができますので、副業で年収をアップさせたいサラリーマンに社会保険労務士(社労士)の資格はおすすめです。
副業の仕事を探す方法は全部で2種類!
「社会保険労務士(社労士)の副業の仕事はあるの?」「社会保険労務士(社労士)の資格を取ったばかりでは仕事をもらえないのでは?」と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、社会保険労務士(社労士)の副業の仕事は次の2つから選んで探すことが可能です。
・所属する社会保険労務士会が募集しているアルバイトに応募して副業する
・労働問題や中小企業向けなど無料相談会のイベントが定期的に主催されている
・イベントの開催頻度は1週間に1回や1ヵ月に1回など非常に高い
・社会保険労務士会を通さずに就職指導や相談会のイベントの人員を募集するケースはある
・ハローワークや協会けんぽで副業の仕事を探すことができる
・相談業務であれば必ずしも社会保険労務士会に登録しなくても良い
・クラウドワークスやランサーズなどクラウドソーシングを使う
それなりの金額を副業で稼ぎたいサラリーマンや、社会保険労務士(社労士)としての経験を積みたい方には社会保険労務士会経由のアルバイトが適しています。
なお、開業社労士として社会保険労務士会(社労士会)に登録している社労士を、社労士会が窓口になって派遣するサービスのことを行政協力といいます。
行政協力には、様々なメリット( 実務経験を積める・人脈を広げられる・報酬が貰えるなど)がありますから、新人のうちは行政協力をしながら力を蓄えることはおすすめですよ。
行政協力については、下記の記事も参考にしてください。
https://syaroushi-ganba.com/syaro-gyousei-kyouryoku/
一方で自分でアルバイトを探して副業する場合は、しがらみがなく気楽というメリットはありますが、時給1,000円~1,500円と報酬が少なくなります。
また、空いている時間を有効活用して社会保険労務士事務所(社労士事務所)でパート勤務するのも選択肢の一つです。
社労士事務所の求人はそこまで多くありませんが、転職サイトや求人サイトを使って、社労士のパートの仕事を探して副業に取り組んでみましょう。
土日に「週末起業」の副業として開業するのは難しい!
アルバイトやパートを前提にすれば、社会保険労務士(社労士)の資格を活かして副業するのはサラリーマンにとって良い方法です。
1ヵ月に10万円の報酬を得ることができれば、1年間で年収は今よりも120万円アップします。
社会保険労務士会に登録して仕事の依頼を受けていれば、「アルバイトが見つからない…」と悩むことはありません。
しかし、サラリーマンが土日に週末起業の副業で社会保険労務士(社労士)の資格を活かして開業するのは話が別です。
とりあえず自分で事務所を開いて開業したは良いものの、稼げなくて廃業するケースが多いです。
なぜ週末起業の副業として社会保険労務士(社労士)の事務所を開業するのが難しいのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 平日に仕事をしながら自分で顧客を新規開拓するために営業するのは並大抵のことではない
- ツテを持っていない方は仕事の依頼の獲得すら難しい(仕事をしたくてもできない)
- 土日は役所(官公庁や労働基準監督署など)がやっていないため、窓口の訪問や提出代行は平日の時間を使わざるをえない
本業の社会保険労務士(社労士)ですら、独立開業すると朝から晩まで働いて試行錯誤しています。
副業のちょっとした片手間でこなせるほど開業は甘いものではありません。
コンサルティング業務であれば土日の相談を受けることができますが、平日に対応していない社労士事務所の需要は少ないと考えられます。
「週末起業の副業として、サラリーマンをしながら社労士事務所を開業するのは絶対に不可能」とは言い切れないものの、スポット的なアルバイトで副業するか今の会社を辞めて専業になるか決断してください。
「小遣い稼ぎ」感覚で副業をしない
これは社労士の副業に限った話ではありませんが、「小遣い稼ぎの感覚で、いい加減な気持ち・対応の仕事はしない」というのは本当に重要です。
特に、将来独立を考えて居る人は、独立する前から「悪い評判・口コミ」が発生してしまうことにもなりかねません。これでは、独立の準備どころか、独立を困難にしてしまっているようなものです。
また、将来独立する予定がない方でも、社労士業界は狭い世界ですから、パート・アルバイトさえやりにくくなる可能性が大です。
副業をやるのであれば、どんな小さな案件でも誠心誠意・丁寧に実施することが重要で押す。
どうしても会社に副業がバレたくないという方は・・・
ここまでは、「会社の就業規則で副業が禁じられていない場合」という前提で社労士の副業について説明してきました。
しかし、この記事をお読みの方のなかには
- 会社の就業規則で副業が禁止になっているけれども、ぜひ社労士の経験を積むために副業をしたい!
- 就業規則では禁止されていないけれども、上司が副業に対して良い顔をしないので、できればバレたくない
そういった方もいらっしゃるでしょう。
そこで、副業がバレないための注意点をまとめた記事をご紹介します(外部サイト)。
「副業がバレないようにするための5つの注意点」などが分かりやすくまとめられていますので、気になる方はチェックしてみてください。
バレない副業8選を紹介!副業がバレないための注意点や会社が副業を禁止する理由も解説
まとめ
社会保険労務士(社労士)の資格を活かした副業についておわかり頂けましたか?
社会保険労務士会経由で仕事を受けたり自分でアルバイトを探したりと、サラリーマンが副業して年収を増やすことはできます。
しかし、副業を始めるに当たっていくつかの注意点もありますので、社会保険労務士(社労士)として働き始める前にしっかりと確認しておきましょう。