FPの学科と実技の違いは?1級・2級・3級の学科試験と実技試験の違いを解説

FPの学科と実技の違いは?

これからFP(ファイナンシャル・プランニング技能士)の試験に挑戦しようと考えている人にとって、

「FPの実技試験って、いったい何をするの?」「学科とどう違って、どっちが難しいの?」

ということは、まず最初に気になるところですよね。

「実技」と聞くと、面接や接客のロールプレイをイメージする方が多いのですが、先に結論からお伝えすると、FP試験の実技は「お金の相談事例(設例)をもとに、計算や判断をするペーパー(筆記)の応用問題」が中心です(面接形式があるのは1級のきんざいなど一部だけです)。

そして、これから受ける方にいちばん知っておいてほしいのが、学科試験は全員共通なのに対して、実技試験は「日本FP協会」と「きんざい(金融財政事情研究会)」という2つの実施団体・選択科目によって、出題内容そのものが変わるという点です。

そこで、この記事では、

  • そもそもFPの実技試験とは何か(学科との役割・出題形式の違い)
  • 実技は実施団体・選択科目で内容が違う(協会=資産設計提案業務/きんざい=個人資産相談業務 等の対応表)
  • 3級・2級・1級の級別で、実技の科目や範囲がどう違うか
  • 学科と実技はどっちが難しいのか、合格率と難易度の考え方
  • 同じ日に受けるべきか、受検の順番やCBT方式の最新事情

などを、日本FP協会・きんざいの公式情報に当たりながら「あくまで目安」として分かりやすくまとめました。

なお、合格には学科・実技の両方の合格が必要です。自分に合った実技科目を選ぶ材料にしてもらえたら嬉しいです。

なお、AFP・CFPも含めた各資格(ライセンス)の内容の違いについては、別記事で詳しく解説しています。

おすすめFP通信講座一覧」もあわせて参考にしてください。それでは、まず「FPの実技試験とは何か」というところから見ていきましょう。

 

目次

FPの実技試験とは?学科試験との役割・出題形式の違い

「FPの実技試験とは、結局なにをするの?」――これは、これから受ける方がいちばん気になる疑問だと思います。

結論から言うと、実技試験は「FPとして実際にお金の相談業務を行うときに必要な”使える力”を見る試験」です。学科試験で身につけた知識をもとに、相談者のライフプランや家計の事例(設例)を読み取り、電卓を使った計算や、適切なアドバイスの判断を問われます。

ここで多くの方が誤解しやすいのですが、実技試験といっても、ほとんどの級ではペーパー(筆記)試験です。面接やロールプレイのような形式は、1級のきんざい(口頭試問)など一部に限られます。「実技=面接」というイメージで身構えてしまう必要はありません。

<学科試験と実技試験の役割の違い> 学科と実技は、問われる力がはっきり分かれています。表で整理してみましょう。

項目 学科試験 実技試験
問われる力 知識を「持っているか」 知識を「使えるか」(計算・提案・資料読み取り)
出題形式 選択式(マークシート系)が中心 事例問題・計算・記述などが中心(級・団体で異なる)
実施団体による違い 共通の内容 団体・選択科目によって内容が変わる

このように、学科が「知識のインプットを確認する試験」だとすれば、実技は「その知識を相談の現場で使えるかをチェックする試験」というイメージです。

なお、学科も実技も、出題される分野自体は大きく共通しています。FP試験で扱うのは、ライフプランニングと資金計画/リスク管理(保険)/金融資産運用/タックスプランニング(税金)/不動産/相続・事業承継の6分野です。学科ではこの6分野の知識を広く問われ、実技では同じ分野の知識を「事例を解く形」で問われる、と考えるとわかりやすいでしょう。

そして大切なのが、FPの資格(技能士)を取得するには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があるという点です。学科か実技のどちらか一方だけ合格した状態は「一部合格」と呼ばれ、それだけではファイナンシャル・プランニング技能士を名乗ることはできません(一部合格には、後述する免除の仕組みがあります)。

ちなみに、実技試験の試験時間は級や団体によって異なります。受検する級・団体が決まったら、最新の受検案内(試験要綱)で試験時間や問題数を確認しておくと安心です。

<合格基準(合格ライン)の見方> 学科・実技とも、合格基準は「満点のうち6割以上」が一つの目安とされています(具体的な満点・配点や合格基準は級・団体・方式によって異なるため、最新の試験要綱で確認してください)。実技は記述や計算で解答する科目もあり、採点(審査)の考え方や部分点の有無は団体・科目によって扱いが異なります。詳しい配点や合格基準は公式の試験要綱で確認しておきましょう。学科・実技の両方に合格すると、ファイナンシャル・プランニング技能士としての合格証書が発行されます。

 

FP実技試験は「実施団体」と「選択科目」で内容が違う|協会ときんざいの対応表

この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。FPの実技試験を理解するうえで、「学科は共通、でも実技は団体と選択科目で内容が違う」という仕組みを押さえることが、何よりの近道になります。

まず前提として、FP技能検定を実施しているのは2つの団体です。

  • 日本FP協会(jafp.or.jp)=AFP・CFPの認定団体でもあります
  • きんざい=一般社団法人金融財政事情研究会(kinzai.or.jp)

どちらも国家検定であるFP技能検定を運営しており、複数の指定試験機関が同じ国家資格を実施する制度になっています(どちらの団体で合格しても、得られる「FP技能士」は同じ国家資格です)。このうち、2級・3級の学科試験は、どちらの団体で申し込んでも同じ内容で、出題も解答方法も共通です(なお、後ほど触れるように1級の学科はきんざいのみの実施で、扱いが異なります)。一方で、実技試験は、選んだ団体・科目によって出題される内容が変わります。だからこそ「どの団体の、どの科目で受けるか」が、FP受験で最初に検討すべきポイントになるのです。

<実技試験の科目:団体ごとの対応表> 団体と選択科目の対応を、表で整理しておきましょう。

実施団体 実技試験の科目(選択業務)
日本FP協会 資産設計提案業務
きんざい(金融財政事情研究会) 個人資産相談業務/保険顧客資産相談業務 など(級によって選べる業務が増えます)

ざっくりした傾向としては、日本FP協会の「資産設計提案業務」は、家計やライフプランなど日常生活に身近なテーマが題材になりやすく、きんざいの各業務は、相談の現場(個人資産・保険など)に特化した内容になりやすい、とイメージしておくとよいでしょう(あくまで傾向で、実際の難しさの感じ方は人によります)。

<どの団体・科目を選ぶ?目的別の考え方> 「結局どっちを選べばいいの?」と迷う方のために、選び方の目安を挙げておきます。

  • 迷ったら、日本FP協会の「資産設計提案業務」が合いやすい人が多い(題材が身近で取り組みやすいと感じる人が多い)
  • 保険業務に活かしたい人は、きんざいの保険系の業務を検討(保険顧客資産相談業務 など)
  • 合格率の数字だけで選ばないこと。自分の学習目的や、将来どんな相談業務に活かしたいかで選ぶのがおすすめ

なお、学科と実技で、それぞれ違う実施団体のものを組み合わせて受検できるかは、受検のしかた(CBT方式の予約方法など)によって扱いが変わる場合があります。実際に申し込む前に、日本FP協会・きんざいの最新の受検案内で確認しておくと安心です。

 

【級別】FP実技試験の科目と範囲|3級・2級・1級でどう違う?

実技試験の科目は、級が上がるほど選べる種類が増えていきます。3級・2級・1級それぞれで、どの団体のどんな科目があるのかを見ていきましょう。

<FP3級の実技試験> 3級の実技試験は、次の中から1つを選んで受検します。

  • 日本FP協会:資産設計提案業務
  • きんざい:個人資産相談業務/保険顧客資産相談業務

保険業を目指す方などは「保険顧客資産相談業務」を選ぶケースもありますが、それ以外の一般の方は、まず合格して仕事に活かすことを優先するなら、題材が身近な日本FP協会の「資産設計提案業務」を選ぶ人が多い傾向です。なお、学科試験はどちらの団体でも共通なので、勉強する分野や範囲は同じです。

<FP2級の実技試験> 2級になると、実技の科目が増えます。

  • 日本FP協会:資産設計提案業務
  • きんざい:個人資産相談業務/生保顧客資産相談業務/損保顧客資産相談業務/中小事業主資産相談業務

「2級の実技はどれを選べばいいの?」と迷う方は、次の目安を参考にしてみてください。

  • まず合格を優先したい方は日本FP協会を選ぶ人が多い⇒日常生活に関連のある題材が中心で、取り組みやすいと感じる人が多い
  • 特定分野の実務に活かしたい方はきんざいを検討⇒「生保顧客資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」など、自分の業務に近い科目を選べる

どちらの団体で2級を受けるかは、実技で選ぶ科目を軸に決めるのがポイントです。なお、科目ごとの受験者の人気・割合は年によって変わります。最新の状況や受験者数は、各団体の公式情報で確認してください(古いデータの数字を鵜呑みにしないようにしましょう)。

<FP1級の実技試験> 1級も、学科と実技の両方の合格が必要です。ただし、1級の学科試験を実施しているのはきんざいのみで、2級・3級の学科がマークシート中心だったのに対し、1級の学科は記述式も加わる長丁場の試験になります。

1級の実技試験は、団体によって形式が大きく異なります。

  • きんざい:口頭試問(面接)形式。設例をもとに複数の試験官と面接を行い、顧客対応力そのものを問われる
  • 日本FP協会:筆記(記述式)の試験

どちらの団体で受けても「FP1級」という資格そのものは同じです。ただし、きんざいは面接を突破する必要があるため、対策が面倒な方やあがり症の方は、記述式の日本FP協会を選ぶという考え方もあります。なお、1級の実技の実施時期や扱いは変更されることがあるため、受検前に必ず公式の試験要綱で確認してください。

実技で問われる分野のうち、「金融資産運用」の中身をもっと深く知りたいという方は、FPの金融資産運用について解説した記事もあわせて読んでみてください。

 

FPの学科と実技、どっちが難しい?合格率と難易度の考え方

「FPは学科と実技、どっちが難しいの?」――これも、これから受ける方からよく聞かれる質問です。

結論からお伝えすると、どちらが難しいかは人によって感じ方が分かれます。傾向としては、次のような違いがあります。

  • 学科:出題範囲が広く、6分野の知識を幅広く覚える必要がある。「暗記の量」で大変さを感じやすい
  • 実技:覚える範囲は学科と重なるが、設例の読み取りや計算が必要。「使いこなす応用」で大変さを感じやすい

暗記が得意な人は実技を難しく感じやすく、逆に計算や事例問題が得意な人は学科を面倒に感じやすい、という具合に、得意・不得意によって体感が変わるのです。一概に「どちらが難しい」とは言い切れません。

<合格率は「変動するもの」として見る> 難易度を語るときに気をつけたいのが、合格率の数字の扱いです。FPの合格率は、団体別・学科/実技別・試験回ごとに変動します。そのため、ひとつの数字だけを見て「FPは簡単(難しい)」と決めつけないことが大切です。

おおまかな目安としては、3級は比較的合格率が高め、2級は中程度、1級やCFPは難関といわれます。ただしこれも回によって幅があり、固定された数字ではありません。たとえば「3級は誰でも受かる」「2級は学科より実技のほうが受かりやすい」といった話を見かけることもありますが、これらは回や受検者層によって変わるため、最新の合格率は必ず各団体(日本FP協会・きんざい)の公式発表で確認してください。

なお、「FPの実技の合格率は?」という疑問についても同じで、団体・科目・回によって数字が動くため、受ける予定の団体・科目の最新データを公式で確認するのが確実です。

<「実技だけ落ちた」場合も立て直せる> 「学科は受かったのに、実技だけ落ちてしまった……」という人も少なくありません。でも、落ち込みすぎる必要はありません。FPには「一部合格」という仕組みがあり、学科か実技の片方に合格していれば、一定期間は合格済みの試験が免除され、落ちたほうだけを受け直すことができます(免除の期限は後述します)。

実技だけ落ちてしまう人は、知識が足りないというより、設例の読み取りや計算演習の練習が足りていないことが多いものです。原因を一つずつ潰していけば、十分に合格を狙えます。

ちなみに、勉強時間の目安が気になる方はFPの勉強時間について解説した記事を、上位資格であるCFPの難易度が気になる方はCFPの難易度を解説した記事もあわせて参考にしてください。

 

学科と実技は同じ日に受ける?受検の順番・CBT方式の最新事情

「学科と実技は、同じ日に受けたほうがいいの?」「どっちを先に勉強すればいい?」――受検の段取りについても、整理しておきましょう。

<まず押さえたい:FP3級・2級はCBT方式へ> ここ数年で大きく変わったのが、試験の受け方です。FP3級は2024年度から、FP2級は2025年度から、CBT方式(テストセンターのパソコンで受ける方式)へ移行しました。これにより、従来の「年3回のペーパー試験」から、1年を通して、自分の都合に合わせて受検日を選べる「通年受検」へと変わっています。日本FP協会・きんざいとも、2級・3級は原則CBT方式での実施です。ただし、年末年始やメンテナンス等の休止期間、予約の空き状況、申込の締切などはあるため、「いつでも必ず受けられる」というわけではありません。受検したい時期が決まったら、早めに予約状況を確認しておくと安心です。

CBT方式では、テストセンターの空きがあれば自分の都合に合わせて試験日を予約できるのが大きなメリットです。ただし、1級の学科・実技の扱いは2級・3級とは異なるため、1級を目指す方は最新の試験要綱を必ず確認してください。

<学科と実技、どちらを先に?> 勉強の順番としては、「学科で知識を固めてから、実技でその知識を使う練習をする」という流れが一般的です。学科で覚えた内容が実技の土台になるため、まったく別物として切り分けるより、地続きで進めるほうが効率的です。

受検のタイミングについては、CBT方式になったことで、学科と実技をそれぞれ別々の日に予約することもできますし、近い日程でまとめて受けることもできます。なお、1級は学科と実技が別の試験として実施されるため、同時受験という考え方にはなりません。

<「一部合格」と免除の仕組み> 学科か実技の片方だけに合格した場合は「一部合格」となります。この一部合格には免除の仕組みがあり、合格した試験実施日の「翌々年度末」までに限り、次回以降に合格済みの試験を免除できます(つまり、その期間内なら落ちたほうの試験だけを受け直せます)。

ただし、別々に受けると、その間に税制改正などで学んだ内容が変わってしまい、勉強し直しが必要になるリスクもあります。免除期間や最新の試験日程・申込方法・電卓の扱いなどは変更されることがあるため、受検前に日本FP協会・きんざいの公式情報で必ず確認しておきましょう。

 

FP実技試験の勉強・対策のコツ|過去問と設例演習で実技だけ落ちないために

最後に、実技試験で「あと一歩」を取りこぼさないための勉強・対策のコツを整理しておきます。実技は、ポイントを押さえれば十分に対応できる試験です。

<過去問・設例演習をくり返す> 実技対策の王道は、過去問と設例(事例)問題をくり返し解くことです。学科と出題範囲は重なっているので、新しい知識をゼロから覚え直す必要はありません。「学科で覚えた知識を、実技の問題形式で解く」という練習に時間を使うのが効率的です。出題のパターンや、計算の手順に慣れていきましょう。

<時間配分と計算ミスに注意> 実技でつまずきやすいのが、設例の読み取りに時間をかけすぎることと、計算ミスです。本番では、解ける問題から手をつける・電卓の操作に慣れておく・見直しの時間を残す、といった時間配分の意識が効いてきます。過去問を解いたあとは、模範解答(公式の解答例)と自分の回答を照らし合わせて、どこで間違えたのかを振り返る習慣をつけると、同じミスを防ぎやすくなります。

<「実技だけ落ちる」を防ぐ> 先ほども触れたように、実技だけ落ちてしまう人は、知識ではなく「設例の読み取り」と「計算演習」の不足が原因になりがちです。学科の勉強と並行して、早めに実技形式の問題に触れておくと、本番で慌てずに済みます。落ちても珍しいことではありません。原因を一つずつ潰せば、次は十分に合格を狙えます。

<独学が不安なら通信講座も選択肢> 「独学だと、実技対策が不安……」という方は、通信講座を活用するのも一つの方法です。どの講座が自分に合うかは、おすすめのFP通信講座をまとめた記事を参考に、教材や費用を見比べて選んでみてください。

なお、最新の出題範囲や試験要綱、無料で公開されている過去問の有無などは、日本FP協会・きんざいの公式サイトで確認するのが確実です。

 

まとめ|FPの実技は「団体と科目で内容が違う」ことを押さえれば怖くない

FPの実技試験について、学科との違いや団体・科目による中身の違いが見えてきたのではないでしょうか。最後に、この記事のポイントを振り返っておきます。

  • 実技は「お金の相談事例を解く応用問題」が中心(面接形式は1級のきんざいなど一部だけ)。学科は知識、実技はその使い方を問う試験
  • 最大のポイントは「学科は共通/実技は団体・選択科目で内容が違う」こと(協会=資産設計提案業務/きんざい=個人資産相談業務 等)
  • 合格には学科・実技の両方の合格が必要。合格率は団体・回・方式で変動するので、数字に振り回されない
  • FP3級は2024年度・2級は2025年度からCBT方式(通年受検)へ。最新の日程・要綱は公式で確認

「実技は団体と科目で内容が違う」という仕組みさえ押さえてしまえば、自分に合った科目を選んで、落ち着いて対策を進められます。

これからFPの学習を始める方は、あわせて次の記事も参考にしてみてください。

学科と実技、両方の合格を目指して、まずは自分に合った実技科目を選ぶところから始めてみてください。応援しています。

 

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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