今回は行政書士の補助者について、お伝えします。
行政書士補助者は、行政書士をサポートする存在であり、正社員以外にもアルバイトやパートなど、様々な勤務形態があり、いずれの場合でも「補助者証」の必携が義務付けられている専門の資格です。
そのため、一般事務の方とは明確に区別されます。
しかし、その知名度は高くなく、行政書士試験受験者のなかにも、補助者について知らない方は多いようです。
そこで、この記事では
- 「行政書士補助者は一般事務とどう違うの?」
- 「どうすれば補助者になれるの?」
- 「補助者になるメリットは?」
など、行政書士補助者を知らない方に向けて、分かりやすく説明したいと思います。
特に、将来行政書士として独立開業したい方は、補助者として行政書士事務所などで働くことにより、仕事の取り方・進め方・事務所運営ノウハウなどが身につくことになります!
ぜひ、補助者について正しく理解し、チャンスがあれば補助者として活躍して欲しいと思います。
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目次
行政書士の補助者とは?
行政書士事務所で働くに当たり、次の3通りの方法があります。
- 行政書士の資格を取得し、使用人行政書士として働く
- 行政書士の補助者になる
- 事務所の事務員になる
このうち、行政書士の補助者とは、行政書士を支援する重要な立場の者です。
日本行政書士会連合会では「行政書士会補助者規則」(準則)のなかで、補助者について以下のような内容を定めています。
- 行政書士の責任において、補助者の業務を指揮・監督すること
- 補助者となる者の履歴書・誓約書・守秘義務誓約書などを行政書士連合会に提出すること
- 補助者に対し、行政書士連合会から補助者証の交付を受けること
これを見ても、一般の事務とは明らかに異なる存在であることが分かります。
その行政書士補助者が行う業務は、具体的には以下のとおり。
- 行政書士が作成する書類の下書きや清書
- 書類の官公庁への提出や交付申請
- 顧客への対応(相談業務など)
行政書士資格の保有者ではないので、自分の判断で行政書士の独占業務などを行うことはできませんが、行政書士の指揮・監督のもと、様々な行政書士業務を行います。
行政書士補助者は自ら顧客を開拓し、相談を受けて仕事を行うこともできません。あくまで行政書士資格保持者の「補助(者)」として、業務をサポートするのです。
各種作成する書類を補助者が自らの判断で訂正したり加筆したりすることもできませんが、多忙な行政書士にとっては、自らをサポートしてくれる補助者は無くてはならない存在です。
なお、行政書士が取り扱える書類のジャンルは様々ですので、事務所によって補助者の仕事内容も変わってきます。
補助者の担当する業務の範囲
上記でも少し触れましたが、ここでは、もう少し詳しく補助者の業務について見ていきましょう。
補助者の業務は、事務所内での仕事と役所へ行く仕事の2種類に大別できます。
書類作成など、事務所内での業務
事務所内では、PCを使って書類作成やリサーチ(いわゆる調査・調べもの)をすることがメインとなります。
行政書士のサポートというと、「法律知識が一番必要なの?」と思うかも知れませんが、もっとも重要なのはPCスキルです。
今時の書類作成といえば、「ワードやエクセルなどを使えないと話にならない」という事務所がほとんどです。生半可な法律知識よりは、PCスキルがある方が即戦力となります。
さらに上記に加え、事務職員がいない小規模事務所では、電話対応や雑務なども担当します。
お客様からの問い合わせに対応する事もあるので、電話やメールの対応に関するマナーも必要です。
役所(公官署)へ行く業務
行政書士の主な業務に許認可申請・取得があります。そのため、行政書士に代わって役所(官公署)に書類を提出に行くことがあります。
また、住民票や履歴事項全部証明書など、各種証明のために必要な書類を行政書士の代わりに取りに行くこともあります。
上記のような業務は、いずれも相対的に単価が低く、多くの案件を扱うのが一般的です。多忙な行政書士本人が役所に行く時間が取れないので、補助者に任せるわけです。
補助者は書類提出などはできるものの、原則として書類の訂正をするなどはできません。持ち帰って、行政書士の先生に直してもらうことになります。
多くの役所を回るということは、地域によっては、自動車免許がないと話にならないケースもあります(特に地方の場合。大都市圏だと公共交通機関で足りるケースもあります)。
行政書士補助者として働くメリット
これから行政書士の資格取得を目指すに当たり、事務所で行政書士補助者として働くのは選択肢の一つです。
以下では、行政書士補助者として働くメリットをいくつか挙げてみました。
- 資格を持っていなくても行政書士に近い仕事ができる
- 日々の業務を行政書士試験に活かして合格率を高められる
- 経験を積むことで将来的に行政書士として独立する時に役立つ
行政書士の試験は難易度が高く、ちょっとした勉強で何とかなる資格ではありません。
そのため、行政書士補助者として働いて知識や経験を積み重ねながら資格取得の勉強を並行して行うのは実に効果的ですよ。
補助者として働きながら行政書士の勉強をするの大変かも知れませんが、時間や場所を選ばず学習できるスマホ対応の行政書士オンライン通信講座などの利用を検討してみてください。
行政書士補助者の求人の例
転職サイトやハローワークで探してみると、行政書士補助者の求人はたくさんあります。
行政書士1人で数多くの案件をこなすのは無理がありますので、行政書士補助者の力が必要です。
ここでは、行政書士の資格を持つ人と行政書士補助者の求人の例を見ていきます。
求人情報の種類:一般(フルタイム)
事業所名:○×行政書士事務所
雇用形態:正社員
年齢:39歳以下
就業時間:09:00~18:00
基本給:200,000円~250,000円
賞与:あり
学歴:大卒以上
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求人情報の種類:一般(パート)
事業所名:○×行政書士事務所
雇用形態:パート労働者
年齢:不問
就業時間:09:00~15:00、10:00~16:00
基本給:時給1,200円
賞与:なし
学歴:不問
資格保有者でないと行政書士の求人に応募できませんが、条件が合っていれば行政書士補助者として働くことは可能です.
パートやアルバイトでの募集が多く、副業が可能な場合もあり
実際のところ、補助者の求人は正社員ではなく、パートやアルバイトの募集のほうが多いです。
事務所によっては副業を許可してくれるところもあります。
行政書士補助者の年収は?
上記のパートの求人例だと時給1,200円でしたが、現実にはそれより低い所もあります。1,000円~1,200円程度が相場といえるでしょう。
その場合、フルタイムで働くと年収200万~240万円程度となります。
行政書士補助者の給料はそこまで高くないですが、官公署との付き合い方や報酬額を設定する方法、守秘義務およびコンプライアンスについて多くの経験を積むことができますので、まだ資格をお持ちでない方は補助者から始めてみてはいかがでしょうか。
補助者の働く環境:比較的小さな職場であることが多い
上記のような求人を探してみると分かるのですが、補助者を募集している事務所(企業、法人)は、圧倒的に小規模な場合が多いです。
実際、「所属している補助者が1~3名」という事務所が8割以上というデータもあります。
イメージとしては、代表となる行政書士が一人で経営し、数人の補助者が支えるという感じでしょうか。
仕事の進め方も、「組織的に動く」というより、「各自で任された業務を行う」といった感じが多いです。
実際に働き始めてみると、「立派なオフィス」というより「雑居ビルの一室」といった事務所が大半ですので、あまり期待し過ぎない方が良いかも知れません。
一方、仕事内容はハードな事務所がほとんどです。少数精鋭ですから、採用後すぐに多くの業務を任され、時間に追われることになります。
大変といえば大変なのですが、その分、成長も出来ますし、将来、行政書士として独立を目指す方には「仕事が覚えられる」「事務所の経営ノウハウを身に着けることができる」とチャンスしかない環境とも言えるでしょう。
行政書士補助者になるには登録が必要!
行政書士補助者は資格を持っていなくても、運転免許やある程度のパソコンスキルがあれば働くことができます。
あくまでも行政書士のサポートがメインの業務ですが、顧客への対応をしたり提出書類のチェックをしたりしますので、ミスのないように慎重にこなさないといけません。
行政書士補助者になるには、事務所が所属している都道府県にある行政書士会へ登録の申請をしなければなりません。
上記でも少し触れましたが、事務所が所属している行政書士会に届出を提出した後に、補助者証が発行されて行政書士のサポート業務が行えるようになるのです。
行政書士補助者登録費用や必要な書類
行政書士補助者の登録で必要な書類は、各都道府県の行政書士会で書式が異なります。
東京都行政書士会の場合、下記の書類を用意して行政書士補助者登録を行うことになります(会則施行規則第13条による)。
1. 補助者採用届 – 1枚
※ 職印欄は採用する行政書士の職印押印
※ 法人での採用の場合は行政書士法人の職印押印2. 補助者の住民票(発行後3ヶ月以内)- 1通
※ 外国籍の方の場合は、在留資格と在留期間等の記載のあるもの3. 写真(縦3cm×横2.5cm)- 2枚
※ 無帽、正面上半身、無背景
※ 写真裏面に補助者氏名を記入してください4. 手数料 2,000円(郵送の場合、現金書留か郵便小為替)
5. 返信用封筒(郵送の場合 ※補助者5名までは84円(簡易書留の場合は404円)切手貼付)
行政書士補助者は行政書士会から正式に認可を受けたアシスタントですので、一般的な事務員とは違って事前に登録の申請をしないといけません。
また、行政書士補助者登録は書類の提出に加えて、2,000円~5,000円の手数料も必要だと心得ておきましょう。
補助者登録書類の提出方法
来局の場合は、窓口の混み具合にもよりますが、20分〜30分程で作成し、補助者証は当日貰うことができます。
また、郵送の場合は必要書類を封筒に入れ事務局総務課補助者採用係まで郵送します。到着後2〜3日で事務所宛に返送されます。
行政書士補助者は勤務中に補助者証の携帯が必須!
所属している行政書士会に対し、補助者の登録申請を行うことで、当該事務所に対して補助者証の発行がされます。
行政書士補助者として働く方は、補助者証を勤務中に常に携帯しておかないといけません。
それは、「行政書士補助者は一般事務員ができない業務に携わる」「官公署に出向き、必要な書類の交付を求める場合に補助者証の提出が求められる」という2つが大きな理由ですね。
補助者証の交付を受けた後も、行政書士補助者の登録情報に変更があった時や有効期限を更新する際は、随時手続きが必要になります。
都道府県によって異なりますが、原則的に行政書士補助者の補助者証は有効期限が2年間と設定されていますので、時期が来たら忘れずに申請しましょう。
行政書士補助者の変更手続きや更新手続きは、各都道府県の行政書士会のWebサイトで確認できます。
補助者にもバッジがある
行政書士には専用のバッジがあることをご存じの方は多いでしょう。秋桜(コスモス)がモチーフになっているバッジで、行政書士の業務を遂行する際には着用義務があります。
実は、補助者にも専用のバッジがあります。
行政書士バッジとよく似たデザインですが、バッジの中心に「補」の字が書かれており、補助者のバッジであることが分かります。
なお、行政書士とは違い、補助者にはバッジの着用義務はありません。
行政書士補助者を辞める時は補助者証を返納する
もし今の事務所で行政書士補助者を辞める時は、交付された補助者証を返納しないといけません。
補助者証は現在の事務所の行政書士補助者としての身分証明書になりますので、他の事務所では使えないのです。
別の事務所に勤務する場合は、今の補助者証を返納して新しい事務所で再度行政書士補助者登録の申請を行います。
補助者解職の場合の必要書類(会則施行規則第13条による)
補助者解職届 – 1部
※ 職印欄は解職する行政書士の職印押印
※ 法人での解職の場合は行政書士法人の職印押印
まとめ
以上のように、行政書士補助者のできることや登録に必要な書類についてまとめました。
行政書士の資格を持たない人でも、運転免許や基本的なPC操作スキルを持っていれば事務所で行政書士補助者として働いて経験を積むことができます。
行政書士補助者の登録申請を済ませれば、所属する都道府県の行政書士会から補助者証が交付されて行政書士業務に関する実務を補助できるのです。
行政書士の資格を取得した後でも働くことはできますので、独立する前に試してみてください。