測量会社のAI活用|最初の一手と人に残す判断

測量会社のAI活用:案件で使う既存の測量成果の出所・承認・明示を、着手前に1つの台帳で確定する流れ

最終更新日: 2026年9月26日/内容確認日: 2026年9月26日

本記事では、国・地方公共団体等の測量計画機関から公共測量を受託し、あわせて建設会社・設計事務所・不動産事業者・土地の所有者などから、それ以外の測量も請け負う、測量業者の登録を受けた中小の事業者を主なモデルとして想定します。これは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。不動産の表示に関する登記について必要な調査又は測量を業として行うこと、土木施設の施工、建築物の設計・工事監理、地質調査は中心から外しています。

目次

1. 結論:測量会社なら何から始めるか

測量会社でAIを使うなら、最初の一手は「案件で使う既存の測量成果を、出所・承認・明示の台帳に着手前に1行ずつ確定すること」です。次に「観測記録から成果までを、同じ点・同じ観測のIDで1本の線にすること」、その次に「立入り・通知・承諾・許可を、現地作業の前に現地台帳へ揃えること」が続きます。

この番号は着手の順序で、効果の大きさの順位ではありません。本記事の整理では、使う成果の出所と承認が作業計画・観測・成果の明示の入力になり、後の2つの台帳が参照する案件の骨格になるため、先に置きました。

一方で、公共測量の作業計画の作製、公共測量に技術者として従事させる者の割当、承認の申請者の確定、公共測量での立入りの判断、精度の判定、納品の可否は、AIに渡せない領域として残ります(節6)。原則は「AIは候補まで、確定は人」です。

2. 業務全体の流れ

本記事のモデルでは、1件の測量は次の流れで進みます。

  1. 受注。引き合い・入札公告、測量の区分と手続の確認、積算・契約・作業計画。
  2. 準備。既存の測量成果の収集と承認の手続、踏査・選点、立入りの連絡、測量標や杭の設置。
  3. 現地の測量。観測、地形・地物・写真・点群の取得、用地・境界に関する測量の現地作業。
  4. 成果。計算・点検・精度管理、図化と成果の作成、社内検査と納品。
  5. 変更の協議と、請求・入金・支払・案件別原価。

本シリーズではこの業態を、現地で確かめるまで状態が確定しない案件の型として整理し、登録の5年ごとの更新と毎事業年度の書類の提出という暦の性格も併せ持つものとしています。

3. AI導入優先Top3

Topの番号は着手の順序で、効果の大きさの順位ではありません。試行はどれも、次に着手する3件で行います。

Top1:使う既存成果の出所台帳を着手前に確定し、承認の申請と成果の明示を同じ台帳から作る

何をするか。 案件で使う成果と既設の測量標を1行ずつ載せ、成果の名称/基本測量か公共測量か/成果を得た(標識を設置した)機関/使用・複製・測量標の使用の別/承認の要否と相手方/承認を得る者/明示の要否/承認の記録、の8欄で1枚にします。

なぜ最初か。 測量法は、成果の種類と行為で承認の相手方を分けています。基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、あらかじめ国土地理院の長の承認を得て(第30条第1項)、得られた測量成果にその旨を明示します(同条第3項)。基本測量の測量成果のうち地図その他の図表、成果表、写真又は成果を記録した文書を、測量の用に供し、刊行し、又は電磁的方法で不特定多数の者に提供するために複製しようとする者も、あらかじめ国土地理院の長の承認を得ます(第29条)。公共測量の測量成果のうち図表等を同じ目的で複製しようとする者と、使用して測量を実施しようとする者は、あらかじめ当該測量成果を得た測量計画機関の承認を得て(第43条・第44条第1項)、使用して得た測量成果にはその旨を明示します(第44条第3項)。基本測量の測量標は、基本測量以外の測量を実施しようとする者が国土地理院の長の承認を得て使用でき(第26条)、公共測量の測量標ではこれが準用されて、設置した測量計画機関の承認になります(第39条)。本記事の整理では、承認を得る者は行為で決まるため、1行ずつ確定すれば、申請と明示を同じ行から作れます。

どう始めるか。 AIには収集した資料の一覧化、欄の候補の記入、申請書の草案、明示の文の生成と承認の記録との照合をさせます。承認の要否と申請者は人が確定します。

何を測るか。 承認・明示の抜けが検査・納品の直前で見つかった件数、出所が不明な成果の件数、申請から承認までの日数。

注意。 承認の相手方を国土地理院の長に一律にしないでください。出所が分からない成果を、AIに「承認不要」と推測させないでください。

Top2:観測記録から成果までを、同じ点・同じ観測のIDで1本の線にする

何をするか。 点のIDと観測のIDを決め、観測データ・手簿の取込み、計算、点検値と許容範囲の照合、判定、精度管理表、成果表の各行に同じIDを付けます。

なぜ二番目か。 測量法は、測量成果(当該測量において最終の目的として得た結果)と測量記録(測量成果を得る過程において得た作業記録)を分けて定義しています(第9条)。公共測量は、測量計画機関が定めて国土交通大臣の承認を得た作業規程に基づいて実施し(第33条)、作業規程に定める事項には精度管理の方法があります(測量法施行規則第4条の3第6号)。測量業者は、常に測量成果の正確さの確保に努めなければならないとされています(第56条。努力規定)。本記事の整理では、成果と記録と判定を同じIDでつなぐことを、検査で成果の根拠を示すための記録の設計と置きました。

どう始めるか。 許容範囲は、本記事の設計では、案件の作業規程・仕様書から担当者が表に登録した値だけを使い、AIに推測させません。AIには取込みの点検、照合、超過の検出、原因の候補、精度管理表への転記、社内検査での不一致の一覧をさせます。

何を測るか。 社内検査で1件を遡るのに要した時間、計画機関の検査の指摘の件数、再測の件数と原因の内訳。

注意。 点検の結果(機械的な照合)と精度の判定(人の決定)を同じ状態にしないでください。

Top3:立入り・通知・承諾・許可を現地作業の前に現地台帳へ揃え、現地で判明したことを同じ台帳に戻す

何をするか。 作業範囲ごとに、区分(公共測量か否か)/立入りの根拠/通知・承諾の相手と日時/伐除・一時使用/道路の使用の要否と許可/既設の測量標の現況/未了の項目、の7欄を1枚にします。現地で判明したことは、日時/位置/写真/影響/前提条件書の該当行、の5欄で同じ台帳に戻します。

なぜ三番目か。 公共測量では、測量法の立入り・伐除・一時使用の規定が準用され、通知と承諾の手続が場面ごとに違います(節9)。道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人は、所轄警察署長の許可を受けなければなりません(道路交通法第77条第1項第1号)。本記事では、根拠と相手が違う手続を作業範囲ごとに1か所に揃えることを、着手の条件の設計と置きました。2026年12月3日施行の測量法の改正(令和八年法律第二十七号。節9)以降は、測量計画機関は技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施できなくなるため、本記事では着手の条件に計画機関の助言の受領の確認も置きました。

どう始めるか。 AIには区分に応じた連絡文と日程の草案、記録の台帳化、未了の検出、判明した事項からの協議資料の草案をさせます。

何を測るか。 現地で作業が止まった件数(根拠を示せない・承諾が無い・許可が無い)、発見から協議資料までの日数、追加の作業の費用を協議にかけた件数。

注意。 公共測量の立入りの規定を、公共測量以外の測量の連絡文に使わないでください。承諾を得ていない状態を「承諾済み」にしないでください。

4. AIに任せやすい仕事

人は例外と不一致だけを見て、次の工程へ渡せる仕事です。

  • 形を整える。 受け取った成果表・点の記・図面の一覧化、観測データと手簿の取込み、踏査・標識の写真の台帳化。
  • 照らし合わせる。 点検計算の結果と担当者が登録した許容範囲、成果に書いた明示と承認の記録。
  • 違いを見つける。 観測記録の欠測・重複、機器の番号と日時の食い違い。
  • 足りないものを探す。 受領資料の不足、通知・承諾・許可の記録の未了。
  • 下書きを作る。 人が判定を済ませた値からの精度管理表への転記、登録の台帳からの標識の記載事項。担当者が確かめてから使います。
  • 探し出す。 登録の有効期間の満了や毎事業年度の書類の提出期限が近い手続、入金の消えていない請求。

5. AI支援に向く仕事

AIが候補や下書きを作り、人が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むのは品質の設計です。

  • 条件と区分の整理。 公告・仕様書からの技術者要件・成果品・履行期間の抽出、測量の区分の候補、依頼が登記のための調査・測量に当たるおそれの整理。
  • 積算と計画の案。 数量の拾いと積算、見積の前提条件書、作業計画の草案。
  • 書面の草案。 承認の申請書、立入り・伐除・一時使用・立会いの連絡文と日程。
  • 点検と協議。 許容範囲を超えた箇所の原因の候補と再測の範囲の案、社内検査の突合せ、変更・追加の協議資料。

6. 人に残す仕事・判断

線の引き方は、「AIが答えを出せるか」ではなく「誰が答えに責任を持つのか」です。

法令が担い手を限っているもの。 測量法第48条は、技術者として基本測量又は公共測量に従事する者を、登録された測量士又は測量士補に限っています。測量士は測量に関する計画を作製し又は実施し、測量士補は測量士の作製した計画に従い測量に従事します。本記事の整理では、ここから、公共測量の作業計画の作製(測量士)と、公共測量に技術者として従事させる者の割当を人に残しました。第48条をそれ以外の測量に広げて読みませんが、資格を問わないという意味ではなく、その場合の技術者の配置は事業者の判断です。

法令が義務者を定めて手続を課しているもの。 測量業者の登録・更新・変更登録の申請、営業所への測量士の設置(例外は節9)、成果・測量標の使用等の承認の要否と申請者の確定、公共測量での立入りと伐除・一時使用の手続(条件は節9)、道路の使用の許可の要否の確認と申請、外注が一括下請負(元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合を除く)や測量業者以外への下請(第4条から第6条までの測量に限る)に当たらないことの確認、規則で定める漏えい等の事態での報告・通知の要否。

経営と現場の判断。 受注と請け負う範囲、区分と手続の確定、見積・入札金額、契約、公共測量以外の測量の作業計画の承認と承諾の取得、精度の判定、納品の可否、変更の合意、危険時の作業の中止、外部のAIへ入れてよい情報。

仮にAIの照合が9割正しくても、100件なら10件の取り違えが残ります。本記事では、精度の判定と納品の可否を人が全件見るものとしました。

7. Best Practice

到達点は「1件の測量が、3つの台帳で着手前から納品まで切れずにたどれる」構造です。いずれも本記事の設計で、業界で確立した手法として述べるものではありません。

第一に、使う既存の成果と承認・明示の要否が、着手前に1つの台帳で確定しています。

第二に、観測記録から成果までが同じIDでつながり、現地で確認した事実・既存資料の記載・推測が別の欄にあります。

第三に、立入りの根拠・通知・承諾・許可が作業範囲ごとに揃い、未了があれば着手せず、現地で判明したことが同じ台帳から協議資料になります。

8. Before / After

Before。本記事が置いた想定です。 条文が定める手続と記録(成果の承認と明示、測量成果と測量記録、公共測量での立入り・伐除の手続)と、本記事が台帳に置く項目が、案件ごとに1か所に揃っていない状態を出発点に置きました。業界の実態として述べるものではありません。

After。到達点として置いた姿です。 1件ごとに出所台帳・点検の線・現地台帳があり、AIの出力は下書きや候補のまま持ち、節6の判断を人が決めて確定にします。

9. 法令・規制・情報管理

以下は本記事の実務上の整理です。個別の判断は専門家や所管の窓口に確認してください。条文は2026年9月に確認した現行版によります。

測量と測量業者(測量法)。 測量は土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影を含みます(第3条)。公共測量は、基本測量(国土地理院の行うもの)以外の測量のうち、実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し又は補助して実施するものと、基本測量又は前者の測量成果を使用して、行政庁の処分や国・公共団体の助成を受けて行われる事業のために実施する測量で国土交通大臣が指定するものをいい、建物に関する測量その他の局地的測量や高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除きます(第4条・第5条)。

測量業(基本測量、公共測量又は基本測量及び公共測量以外の測量を請け負う営業)を営もうとする者は、測量業者としての登録を受けなければならず、登録を受けない者は測量業を営むことができません(第10条の2・第55条第1項・第55条の14)。本記事の整理では、政令で定める測量だけを請け負う営業が測量業に当たるかは、個別に確かめる事項です。登録の有効期間は五年です(第55条第2項)。登録申請書の提出先は条文上国土交通大臣で、その権限は主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長及び北海道開発局長に委任されています(第55条の2・第59条の2・施行規則第18条)。測量業者は、毎事業年度終了の日から三月以内に営業経歴書と財務に関する書類を提出し(第55条の8第1項)、営業所ごとに測量士を一人以上置きます。測量業者(法人の場合はいずれかの役員)が測量士であるときは、その者が自ら主として業務を行う営業所には適用されません(第55条の13)。請け負った測量を一括して他人に請け負わせることと、他の測量業者から一括して請け負うことは、元請負人があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合を除き禁じられ(第56条の2)、請け負った測量のうち第4条から第6条までに規定する測量は、測量業者以外の者に請け負わせてはなりません(第56条の3)。

公共測量の義務者。 作業規程の承認を得ること(第33条第1項)、実施前の計画書の提出と技術的助言の求め(第36条)、測量成果を得たときの写しの送付(第40条第1項)、永久標識を設置したとき等の通知(第37条第3項・第4項)は、測量計画機関(公共測量又は基本測量及び公共測量以外の測量を計画する者。第7条)の義務です。設置する測量標への、公共測量の測量標であること及び測量計画機関の名称の表示は、公共測量を実施する者の義務です(第37条第1項)。本記事の整理では、義務者は行為で決まり、測量会社に固定して読みません。

公共測量での立入り等(第39条による準用)。 測量計画機関又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、公共測量を実施するために必要があるときは、国有、公有又は私有の土地に立ち入ることができます。宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする者は、あらかじめ占有者に通知し(通知が困難なときを除く)、立ち入る者は身分を示す証明書を携帯して、関係人の請求があれば呈示します(第15条)。障害となる植物やかき、さく等は、やむを得ない必要があるときにあらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て伐除し(第16条)、承諾なしの伐除は山林原野又はこれに類する土地で承諾を得ることが困難であり、かつ現状を著しく損傷しないときに限られ、遅滞なく通知します(第17条)。仮設標識のための土地等の一時使用は、あらかじめ占有者に通知して行います(通知が困難なときを除く。第18条)。これらを公共測量以外の測量に広げて読みません。

2026年12月3日施行の改正。 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和八年法律第二十七号。2026年6月3日公布)により、2026年12月3日から、第36条第2項で、国土地理院の長は求めに応じて技術的助言を行うものとされ、測量計画機関はその技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施してはならないとされます。実施の公示の規定(第36条の2)が新設され、第39条の準用の範囲は第15条から第26条までになります。それまでは現行の第36条と第39条によります。

登記のための調査・測量との線(土地家屋調査士法)。 調査士会に入会している土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人でない者(公共嘱託登記土地家屋調査士協会を除く)は、不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量(第3条第1項第1号)をはじめとする同項第1号から第5号までの事務(第2号・第3号は第1号の調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る)又はこれらに関する相談を業とすることができません(第68条第1項。弁護士等・司法書士等のただし書があります)。本記事の整理では、登記について必要な調査又は測量を業として行うことを測量会社の業務に含めず、受付時に当たるおそれを整理して、当たる場合は土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人への引継ぎを案内します。

個人情報と、生成AI・クラウドへ出す条件(個人情報の保護に関する法律)。 地権者の名簿が個人データに当たるのは、個人情報データベース等を構成する場合です(第16条第3項)。個人情報取扱事業者は個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じ(第23条)、取扱いを委託するときは委託先に必要かつ適切な監督を行います(第25条。義務者は委託する側)。個人データの第三者提供には、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意が要り(第27条第1項)、利用目的の達成に必要な範囲内において取扱いを委託することに伴う提供では、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項第1号)。行政機関等から個人情報の取扱いの委託を受けた者が当該委託を受けた業務を行う場合は、安全管理措置の規定の準用と、その業務に従事している者又は従事していた者等の、業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ又は不当な目的に利用しない義務があります(第66条第2項第1号・第67条)。個人データの漏えい等で、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして規則で定める事態が生じたときは、個人情報取扱事業者は個人情報保護委員会に報告し、本人に通知します。他の個人情報取扱事業者又は行政機関等から取扱いの委託を受け、規則で定めるところにより委託元に通知したときは、報告と本人への通知を要しません。本人への通知が困難で代わるべき措置をとるときも除かれます(第26条)。

生成AIやクラウドに入れる場合、それが委託・第三者提供・その他のどれに当たるかは人が確かめます。そのうえで、①入れる情報を必要最小限にする、②AI事業者が入力を学習に利用するか、③保存期間と削除の方法、④注文者・計画機関との契約上の機密保持とサービスのデータの取扱条件、⑤アクセス権限と利用ログ、⑥再委託や国外保存など組織の規程上確認が必要な事項、の6点を確かめ、組織が利用を承認したサービスに限ります。本記事の設計では、地権者の氏名・住所等は既定では入れません。

10. 最初の30日プラン

1週目:測る。 承認・明示の抜けの件数、社内検査で1件を遡る時間、再測の件数と原因、現地で作業が止まった件数と理由、発見から協議資料までの日数の5項目を、直近に完了した案件の記録と簡易ログで数えます。記録者は各案件の担当者(集計は管理担当)で、記録は1週目の開始から2週間続けます。

2週目:正本とルールを決める。 台帳の欄とIDの付け方、確認前後を分ける状態の欄、区分ごとの手続の一覧(義務者は行為どおり)、許容範囲を誰が登録し誰が確かめるか、外部のAIに入れない情報を決めます。

3週目:人が全件確認する小規模試行。 次に着手する3件で3つの台帳を使い始めます。AIには一覧化と候補、草案、取込みの点検、登録済みの許容範囲との照合、未了の検出を任せ、節6の判断は人が行います。

4週目:比べる。 1週目の項目を試行した3件について同じ方法で測って比べ、効果が見えない項目は原因(様式・入力の手間・区分の取り違え)を記録してから続けるかを決めます。

11. AI活用成熟度

  • Lv1 人依存。 使う成果・承認・点検の判定・立入りの約束が、担当者の記憶と個人のファイルにある。
  • Lv2 台帳化。 3つの台帳の様式が決まり、案件ごとに埋まる。
  • Lv3 一元化。 3つの台帳が同じ案件ID・点のIDでつながり、請求・原価と結びつく。
  • Lv4 AI支援。 候補・照合・草案・未了の検出をAIが行い、人が確定する。
  • Lv5 仕組み化。 再測の原因、現地で判明した事項、承認に要した日数、原価の差異が、次の見積・作業計画・受注方針に戻る。

Lv5は、節6の判断をAIが自動で行う状態ではありません。

12. FAQ

Q. 境界に関わる測量を頼まれました。受けてよいですか。 A. 不動産の表示に関する登記について必要な調査又は測量などを業とすることには、土地家屋調査士法第68条第1項の制限があります(節9)。本記事の整理では、受付の時点で当たるおそれを整理し、受けるかどうかは人が決め、当たる場合は土地家屋調査士等への引継ぎを案内します。

Q. 測量業者の登録は、どこに申請するのですか。 A. 条文上は国土交通大臣ですが、その権限は主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長及び北海道開発局長に委任されています(節9)。

Q. 2026年12月の測量法の改正で、受託した公共測量の進め方は変わりますか。 A. 2026年12月3日施行の改正(令和八年法律第二十七号。2026年6月3日公布)で、測量計画機関は国土地理院の長の技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施してはならないとされます(義務者は測量計画機関)。本記事では着手の条件に助言の受領の確認を置きますが、工期が延びると決めつけるものではありません(節9)。

Q. 地権者の名簿を生成AIに読ませてもよいですか。 A. 名簿が個人データに当たるのは、個人情報データベース等を構成する場合です。本記事の整理では関わる規定は委託元によって違い(節9)、入力が委託・第三者提供・その他のどれに当たるかも人が確かめ、節9の6点を確認します。本記事の設計では、既定では入れません。

13. 関連業態・シリーズ導線

土木工事会社の記事は、本記事の整理では、施工に必要な範囲の測量を自社の工程として持ち、測量の注文者にもなりうる業態として、請け負う範囲を見比べるときに読めます。

建築設計事務所の記事は、本記事の整理では、設計の与条件としての敷地の測量を外注する側になりうる業態として、要求と設計条件を台帳で扱う考え方を見比べるときに読めます。

業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。

14. この記事を自社に当てはめたい方へ

同じ測量会社でも、公共測量の受託が多いか、民間の測量が多いかで最初の一手は変わります。使う成果・点検の記録・現地の手続のどれが案件ごとに1か所に揃っているかが出発点です。

15. 無料AI戦略診断/AI顧問

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)
『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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