最終更新日: 2026年10月10日/内容確認日: 2026年10月10日
本記事では、旅行業法の第三種旅行業の登録を受けた中小の旅行業者で、総合旅行業務取扱管理者試験に合格した旅行業務取扱管理者を選任し、旅行業協会の保証社員で、標準旅行業約款と同一の旅行業約款を用いる会社を主なモデルとして想定します。業務は、国内・本邦外の手配旅行、法人・学校・団体からの依頼による受注型企画旅行、他の旅行業者が実施する募集型企画旅行の受託契約による販売の3つです。この対象は本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。自社が実施する募集型企画旅行、他の旅行業者のための手配、渡航手続の代行、旅行相談の契約、保険の募集、住宅宿泊の仲介は、本記事では扱いません。
法令は2026年10月9日に確認した、その日に施行されている版によります(節9)。
1. 結論:旅行会社なら何から始めるか
旅行会社でAIを使うなら、最初の一手は「運送・宿泊機関等からの予約の回答を、手配1件ごとに契約書面と行程に照らし、未確定と不一致を一覧にすること」です。次に「目的地の安全・衛生の情報を案件ごとに記録し、旅行開始前に再確認すること」、その次に「契約の種類ごとの説明事項・記載事項を一覧にし、交付する書面の欠けを見つけること」が続きます。
番号は効果の大きさの順位で、そのTopで作る記録を材料に使う別の業務のまとまりの数(本記事の業務の分解で数えた計算値で11・9・7)で比べました。売上・事故・法令上の重要度の比較ではなく、法令上の3種の書面の材料になるTop3も、この物差しでは3番目です。実施の順序は別で、Top1とTop2は3週目から並行して始め、Top3はTop2の記録の様式を前提にするため、4週目に範囲と様式を決めて30日の後に始めます(節3)。
一方で、手配・企画を進めるか、契約の締結の承諾、催行、旅程管理業務、変更・払戻しの決定は人に残ります(節6)。本記事を貫く原則は「AIは照合・抽出・下書きまで、確定は人」です。
2. 業務全体の流れ
本記事のモデルでは、1件の旅行の仕事は次の流れで進みます。
- 引き合いを聞き取り、範囲の内か外かを分けます。
- 目的地の安全・衛生の情報を確かめ、手配・企画を進めるかを決めます。
- 手配旅行は見積を、受注型企画旅行は計画と企画書面を作ります。
- 契約を締結しようとするときに取引条件を説明します(書面は節9)。
- 契約を締結し、運送・宿泊機関等へ予約を申し込み、回答を受けます。
- 確定書面(約款で必要な場合)と最終案内を出し、企画旅行は催行を判断して旅程を管理します。
- 旅行代金の収受、手配先への支払、精算を行います(自社の収益の入口)。
本シリーズでは、この業態を、1件ごとの依頼とその後の変更・取消しや手配の回答が起点になる「イベント駆動型」を主、旅行者と運送・宿泊機関等の条件をそろえて手配を成立させる「二面パイプライン型」を従と整理しています。
3. AI導入優先Top3
| 業務マップ上の範囲 | 記録の単位 | 実施の順序 | 導入前提 | |
|---|---|---|---|---|
| Top1:手配の回答と行程の照合 | 最も広い(11) | 1件の旅行の契約の中の手配1件(予約の申込みと回答) | ①(3週目から) | 予約の回答と契約書面・行程を電子で取り出せる |
| Top2:安全・衛生の情報の記録と再確認 | 2番目(9) | 1件の契約の目的地ごとの情報(取得日・区分とレベル) | ①と並行 | 案件の目的地の一覧がある |
| Top3:説明事項・記載事項と書面 | 3番目(7) | 1件の契約の事項と交付した書面の版 | ②(30日の後から) | Top2の説明の案の様式が決まっている |
Top1とTop2は、他のTopの完了を前提にしません。試行期間は3週目と4週目の2週間です。
Top1:予約の回答を手配1件ごとに契約書面と行程に照らし、未確定と不一致を一覧にする
何をするか。 予約の申込みごとに、運送・宿泊機関等や手配代行者からの回答(確認書・予約番号・バウチャー)を手配台帳に登録し、契約書面・企画の行程と照らして「確定/未確定/不一致」を出します。台帳の鍵は契約と手配の通し番号にし、予約番号は回答の後に埋める欄にします。
なぜ最も広いか。 本記事の分解では、照合の結果を確定書面、最終案内、催行の判断、支払と精算などが使います。旅行業法第12条の10は、旅行業者が企画旅行を実施する場合に、企画旅行の円滑な実施を確保するため国土交通省令で定める措置を講じることを求め、その措置には旅行の開始前に必要な予約その他の措置が含まれます(旅行業法施行規則第32条第1号)。本記事の整理では、照合の結果がこの措置と確定書面の材料になります。
どう始めるか。 直近1か月分の契約の予約の回答と行程を手配1件1行の表に並べ、「確定/未確定/不一致」をAIに下書きさせます。試行期間には新しい契約の回答を台帳に登録して照合し、未確定・不一致だけを人が見ます。受注型企画旅行の予約の点検は、本記事の設計では催行の前に担当者が全件確認します。
何を測るか。 手配100件あたりの未確定・不一致の件数(率)と、受注型企画旅行の契約から確定書面の交付までの平均日数。
注意。 本記事の設計では、回答(確定)を受けていない運送・宿泊を確定として案内せず、予約の点検で未確定が残る企画旅行は催行の判断に進めません。照合は手配の誤りがなくなることを保証しません。
Top2:目的地の安全・衛生の情報を案件ごとに記録し、旅行開始前に再確認する
何をするか。 本記事の設計では、本邦外は外務省の危険情報・感染症危険情報・スポット情報、本邦内は気象庁の気象警報・注意報と早期注意情報を正本にします。どちらも法令ではなく、本記事が選んだ初期の情報源で、網羅ではありません(自治体の避難情報などは扱いません)。取得日・情報の区分とレベル・本文の該当箇所を案件に記録し(発表が無ければその旨と確認日)、説明の案を作り、旅行開始前に再確認して差分を出します。AIが下書きし、担当者が外務省・気象庁のページと全件照合します。
なぜ2番目か。 本記事の分解では、この記録を手配・企画を進める判断、説明事項、催行の判断、広告の点検などが使います。旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則第3条は、企画旅行契約と、旅行相談を除くそれ以外の契約の取引条件の説明に、旅行の目的地を勘案して旅行者が取得することが望ましい安全及び衛生に関する情報がある場合の、その旨及び当該情報を含めています(第1号ヨ・第2号)。
どう始めるか。 直近1か月分の案件の目的地について、正本からの抽出と記録をAIに下書きさせ、試行期間には新しい案件で行います。
何を測るか。 安全の情報の記録がある案件の割合と、旅行開始前の再確認を行った案件の割合。
注意。 本記事の設計では、本邦外は外務省の危険情報のレベル3(渡航中止勧告)・レベル4(退避勧告)の国・地域を含む旅程を手配・販売・催行せず、本邦内は旅行開始前の再確認で目的地の市町村に気象庁の特別警報が発表されている旅程を催行しません(大雨・土砂災害・高潮・河川氾濫に関する特別警報は警戒レベル5相当で、暴風・波浪・大雪・暴風雪の特別警報も含めます)。それ以外の危険情報・警報等の発表と、レベルが上がったときは責任者の判断に回します。これは社内の止めで、法令の要件ではありません。外務省の海外安全ホームページは、旅行会社は危険情報やそのレベル・内容にかかわらず自己の責任において企画旅行の実施を判断しているとしています。本記事では、発表されていないことを止める条件にせず、「安全」とも記録しません。
Top3:契約の種類ごとの説明事項・記載事項を一覧にし、交付する書面の欠けを見つける
何をするか。 企画旅行と手配旅行で異なる説明事項・記載事項を旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則第3条・第5条・第9条から一覧にし、取引をする者への書面の事項(旅行業法施行規則第27条の4)も加えます。見積・企画・旅行業約款・安全の情報の案から事項の案を作り、書面との不一致と欠けの候補をAIに出させ、交付した書面の版も台帳に残します。
なぜ3番目か。 本記事の分解では、この一覧を説明と交付、各書面の交付、確定書面などが使い、旅行業法第12条の4第2項・第12条の5第1項・同条第3項の3種の書面の材料になります(節9)。
どう始めるか。 4週目に始める契約の種類と様式を決め、30日の後に一覧と直近1か月分の書面を突き合わせます。
何を測るか。 契約100件あたりの点検で見つかった欠けの件数(率)と、説明・交付の記録が契約の承諾の前にそろっている割合。
注意。 本記事の設計では、この点検を、法令が求める契約の締結の前の説明と書面の交付に先立って社内で置く手順とし、担当者が全件確認します。欠けが残る間は説明と交付に進まず、説明と交付の記録、旅行業務取扱管理者の在籍、登録の有効期間、手配・企画を進める判断がそろうまで契約の締結を承諾しません。契約責任者を定めて申し込む団体の受注型企画旅行について、標準旅行業約款は、特約を結んだ場合を除き、契約責任者が構成者の契約の締結に関する一切の代理権を有しているものとみなすとしています(受注型企画旅行契約の部第21条・第22条)。旅行業法の説明と書面の交付の相手を契約責任者だけとするかは本記事では判断せず、本記事の設計では、契約責任者と構成者一人ひとりの両方に説明と書面の交付を行い、全員分の記録がそろうまで承諾しません(電磁的方法は構成者ごとの承諾がある場合に限ります)。
4. AIに任せやすい仕事
結果をそのまま次へ渡せる仕事です。照らし合わせる相手は、人が確定した記録や現行の版です。
- 形を整える。 予約の回答と契約の台帳への登録、収支の集計。
- 照らし合わせる。 手配の回答と契約書面・行程、入金と請求、受託販売の手数料、掲示と現行の料金表・約款の版。
- 違いを見つける。 回答と行程の不一致、変更・取消しの反映で書面の作り直しが要るもの。
- 足りないものを探す。 説明・交付の記録の欠け、未入金、研修の記録の欠け、登録の有効期間など期限の近いもの。
- 下書きを作る。 請求書、前事業年度の取引の額の集計。
- 探し出す。 空き状況と料金の比較表。結果は見積の候補で、見積は担当者が全件確認します(節5)。
不一致・欠け・期限の近いものだけを人が見ます。
5. AI支援に向く仕事
AIが案や候補を作り、担当者が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むことは手間ではなく、品質の設計です。
- 見積と料金表の照合、計画の案と企画書面の草案
- 説明事項・記載事項の案と点検の候補、各書面の草案
- 安全・衛生の情報の抽出と記録の下書き、説明の案、旅行開始前の差分
- 受注型企画旅行の予約の点検表(催行の前に全件確認)
- 変更・取消しの料金の計算の候補、提供の同意の文案
6. 人に残す仕事・判断
線の引き方の原則は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。
事業者としての決定。 手配・企画を進めるか(安全)、企画と旅行代金、契約の締結の承諾、催行、旅程管理業務を行う者の選任、代替サービス、変更・払戻しの金額、受託契約、広告、補償。提供の同意の判定、漏えい等の報告、AIに入れる情報の範囲も人が決めます。
法令が選任された者に行わせる職務。 旅行業者等が選任した旅行業務取扱管理者は、営業所の旅行業務に関し、取引条件の明確性、旅行に関するサービスの提供の確実性その他の国土交通省令で定める事項の管理及び監督に関する事務を行います(旅行業法第11条の2第1項、同法施行規則第10条)。企画旅行に参加する旅行者に同行して旅程管理業務を行う者として選任される者のうち主任の者は、同法第6条第1項第1号から第6号までのいずれにも該当せず、旅程管理研修の課程を修了し、旅行の目的地を勘案して国土交通省令で定める実務の経験を有する者でなければなりません(同法第12条の11第1項)。本記事の整理では、これらを選任される者の要件と職務の規定として扱い、説明や手配の作業を担える者を限る規定としては扱っていません。
AIの照合や下書きが9割正しくても、ここに挙げたものは人が決めます。
7. Best Practice
本シリーズでは、到達点を、1件の旅行の契約を単位に3つの記録が結ばれた構造と整理しています。第一に、予約の回答が手配1件ごとに行程と照らされ、未確定が確定として扱われない。第二に、目的地の安全・衛生の情報が取得日・区分・レベルつきで残り、判断の入力になる。第三に、事項と書面の版が台帳にあり、締結の前の点検と旅行業務取扱管理者の管理及び監督の材料になる。
8. Before / After
Before。本記事が改善の出発点として置いた設計上の比較の基準で、業界の実態の描写ではありません。 1件の旅行の契約について、予約の回答、目的地の安全の情報、説明事項と書面の版がそれぞれ別の記録にあり、手配1件・目的地・契約の種類の単位で結ばれていない。
After。到達点として置いた姿です。 3つの記録が1件の旅行の契約で結ばれ、書面と催行の判断はこの記録から作られます。未確定や事項の欠けがある間は、確定としての案内・催行・契約の承諾に進みません。判断は人に残ったままです。
9. 法令・規制・情報管理
以下は本記事の実務上の整理で、条文を確かめた規律だけを挙げており、すべての規律ではありません。法令は2026年10月9日に確認した、その日に施行されている版によります。未施行の改正は扱っていません。標準旅行業約款は観光庁長官・消費者庁長官が定めて公示した告示で、法令ではありません。旅行業者が標準旅行業約款と同一の旅行業約款を定めたときは、その約款は旅行業法第12条の2第1項の認可を受けたものとみなされます(同法第12条の3)。約款は令和8年4月1日から適用の版を見ています。
業務の範囲。 旅行業法施行規則第1条の3は、第三種旅行業務を、旅行業法第2条第1項各号の行為のうち、企画旅行(一の企画旅行ごとに拠点区域内において実施されるものを除く)の実施に係るもの以外のものと定めています(拠点区域は、営業所の存する市町村とその隣接市町村などの区域)。本記事では、第二種旅行業務の号の括弧書(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。次号において同じ)から、第三種で除かれる企画旅行は募集型に限られ、受注型企画旅行と手配旅行(本邦外を含む)、受託契約による代理は除かれていないと読んでいます。これは本記事の条文の読みで、観光庁の解釈・通知で確かめたものではありません。
旅行業務取扱管理者。 旅行業者等は、営業所ごとに一人以上の旅行業務取扱管理者を選任して管理及び監督の事務を行わせなければなりません(第11条の2第1項)。選任した者の全てが第6条第1項第1号から第6号までのいずれかに該当し、又は全てが欠けるに至ったときは、新たに選任するまでの間、その営業所で旅行業務に関する契約を締結してはなりません(第11条の2第2項)。
取引条件の説明と書面。 旅行業者等は、旅行者と企画旅行契約、手配旅行契約その他旅行業務に関し契約を締結しようとするときは、旅行者が依頼しようとする旅行業務の内容を確認した上、取引の条件について旅行者に説明し、国土交通省令・内閣府令で定める場合を除き、定められた事項を記載した書面を交付しなければなりません(第12条の4第1項・第2項)。交付を要しないのは、対価と引換えにサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合です(旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則第4条)。書面に代えて、政令で定めるところにより、旅行者の承諾を得て、国土交通省令・内閣府令で定める情報通信の技術を利用する方法で提供することもでき、書面を交付したものとみなされます(第12条の4第3項)。
契約を締結したときは、国土交通省令・内閣府令で定める場合を除き、遅滞なく、定められた事項を記載した書面又はサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付します(第12条の5第1項。旅行相談の契約は交付を要しません・同規則第8条。政令で定めるところにより、旅行者の承諾を得て、国土交通省令・内閣府令で定める情報通信の技術を利用する措置で代えることもできます・第12条の5第2項)。記載事項は契約の種類で分かれます(同規則第9条)。運送・宿泊機関等や手配代行者など旅行者以外の取引をする者と契約を締結したときは、旅行者への書面とは別に、国土交通省令で定める場合を除き、遅滞なく、旅行者に提供すべきサービスの内容、対価又は料金、旅行業務取扱管理者の氏名、契約締結の年月日などを記載した書面を交付します(第12条の5第3項、旅行業法施行規則第27条の4。政令で定めるところにより、取引をする者の承諾を得て、情報通信の技術を利用して通知する措置で代えることもできます・第12条の5第4項)。
個人情報。 2026年10月9日に確認した版(2026年10月1日施行)の個人情報の保護に関する法律では、旅券の番号は個人識別符号です(同法施行令第1条第2号)。名簿や手配台帳の情報は、個人情報データベース等(特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものなど。政令で定めるものを除く)を構成する場合に個人データに当たります(第16条)。個人データの第三者への提供には、法令に基づく場合など第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意が要ります(同項)。利用目的の達成に必要な範囲内において取扱いの全部又は一部を委託することに伴う提供では、提供を受ける者は第三者に該当しないとされますが(同条第5項第1号)、手配先への提供がどれに当たるかは本記事では判断していません。外国(我が国と同等の水準にあると認められる個人情報の保護に関する制度を有している外国として規則で定めるものを除く)にある第三者(規則で定める基準に適合する体制を整備している者を除く)への提供は、第27条第1項各号の場合を除き、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が要り、この場合は第27条の規定は適用されません。同意を得ようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ外国の制度などの参考となる情報を本人に提供します(第28条第1項・第2項)。本記事の設計では、手配先が国内か外国かを問わず、申込みの時に本人(団体は契約責任者を通じて構成者)から第三者と外国にある第三者への提供の同意を得て、同意を確かめられない間は提供しません。
生成AI・クラウドに出す条件。 ①入れる情報を必要最小限にする②入力データを学習に利用するか③保存期間と削除の方法④契約上の機密保持とデータの取扱条件⑤アクセス権限と利用ログ⑥再委託や国外保存など自社の規程上確認が必要な事項、の6点を確かめ、組織が利用を承認したサービスに限ります。これは法令の要件ではなく、組織として決める運用です。本記事の設計では、外国にサーバのあるAI・クラウドへの個人データ(旅券の番号を含む)の入力は、第28条の判定が「対象外と確認済み」になるまで行いません。
10. 最初の30日プラン
1週目:測る。 担当者が直近1か月分の契約を手配1件・目的地・契約の種類の単位で表にし、①手配100件あたりの未確定・不一致の件数②受注型企画旅行の契約から確定書面の交付までの平均日数③安全の情報の記録がある案件の割合④旅行開始前の再確認を行った案件の割合⑤契約100件あたりの説明事項・記載事項の欠けの件数⑥説明・交付の記録が契約の承諾の前にそろっている割合を、5営業日で数えます。件数は率と平均で記録します。
2週目:様式を決める。 手配台帳(手配1件1行)、安全の情報の記録と止める条件、契約の種類ごとの説明事項・記載事項の一覧(Top3の準備)を作ります。
3週目:AIの出力を候補のまま試す。 3週目と4週目を試行期間にし、Top1は新しい契約の回答を台帳に登録してAIに照合と未確定の一覧を下書きさせ、未確定・不一致だけを人が見ます。Top2はAIの抽出を担当者が正本と全件照合します。個人データ(旅券の番号を含む)は外国にサーバのあるAIに入れません。
4週目:比べる。 ①〜④を試行期間の2週間の手配・契約・案件で数え、率と平均にそろえて1週目と比べます。Top3の範囲と様式を決めます。Top1・Top2を全件に広げるか、Top3を始めるかは責任者が決めます。⑤⑥はTop3を始めてから比べます。
11. AI活用成熟度
- Lv1 人依存。 予約の回答・安全の情報・説明の書面の確認を、担当者が記憶とファイルで行う。
- Lv2 台帳化。 手配台帳・安全の情報・説明と交付の記録が、それぞれ1つの表になっている。
- Lv3 一元化。 3つの記録が1件の旅行の契約で結ばれ、書面がその記録から作られる。
- Lv4 AI支援。 AIが照合・抽出・点検の下書きと候補を出し、担当者が仕事ごとに全件か例外を確認する。
- Lv5 仕組み化。 止める条件(未確定、危険情報のレベル3・4と特別警報、事項の欠け、同意の未確認)が記録から表示され、判断は責任者が行い、旅行業務取扱管理者が日々の記録で管理及び監督を行う。
Lv5は、AIが催行・契約の承諾・旅程管理を判断する状態ではありません。
12. FAQ
Q. 外務省の危険情報がレベル2の国への手配を頼まれました。AIの要約で判断してよいですか。 A. 本記事の設計では、AIの要約は下書きで、担当者が外務省のページと全件照合し、進めるかは責任者が判断します。危険情報は法令ではありません(節3)。
Q. 学校の研修旅行で、説明と書面は引率の先生(契約責任者)にだけ行えば足りますか。 A. 本記事では判断していません。本記事の設計では、契約責任者と構成者一人ひとりの両方に説明と書面の交付を行い、全員分の記録がそろうまで契約の締結を承諾しません(節3)。
Q. 第三種旅行業で、本邦外の手配旅行や法人からの受注型企画旅行を扱えますか。 A. 本記事では、旅行業法施行規則第1条の3の文言から扱えると読んでいますが、観光庁の解釈・通知では確かめていません(節9)。
Q. 旅券の番号の入った名簿をAIで整えてもよいですか。 A. 旅券の番号は個人識別符号です。本記事の設計では、外国にサーバのあるAI・クラウドには個人情報の保護に関する法律第28条の判定が済むまで入れず、承認したサービスでも6つの条件を確かめます(節9)。
13. 関連業態・シリーズ導線
観光協会・DMOの記事は、「事業IDの実績台帳と、財源ごとの条件の一覧」をTop1に置き、旅行会社を主な対象にしていないと書いています。本記事は観光協会・DMO以外の民間の旅行業者を扱い、記録の単位を1件の旅行の契約とその中の手配1件に置いています。
業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。
14. この記事を自社に当てはめたい方へ
同じ旅行会社でも、手配旅行・受注型企画旅行・受託販売のどれを多く扱うか、予約の回答と契約書面を電子で取り出せるかで、最初の一手は変わります。
15. 無料AI戦略診断/AI顧問
AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自社のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。
自社の業務に沿って一緒に設計したい方には、AI顧問サービスがあります。まず話を聞いてみたい方は、お問い合わせから30分の無料リモート面談をご利用ください。
