人的資源管理(HRM:ヒューマン・リソース・マネジメント) その2 能力開発・賃金管理

現金賃金の体系

こんにちは、トシゾーです。

今回は「人的資源管理(HRM : Human Resource Management)」の2回目です。

前回は、「評価・雇用管理」でしたが、今回は「能力開発・賃金管理」について説明します。

前回の内容を知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。

人的資源管理(HRM:ヒューマン・リソース・マネジメント)その1 評価・雇用管理
こんにちは、トシゾーです。 今回の記事は「人的資源管理(HRM:Human Resource Management)」に関するものです。 ...

人的資源管理(HRM)の機能 その3: 能力開発

能力開発とは

現在、企業を取り巻く環境は、不断に変化しています。

その結果、従業員に求められる能力も絶え間なく変化しています。

つまり、企業にとっては、継続的に従業員の能力開発を行うことで、その企業の経営戦略に合致した人的資源を保有し続けることができるのです。

OJT 、OFF-JT 、自己啓発

能力開発には、「OJT 、OFF-JT 、自己啓発」の3つがあります。

OJT(職場内教育訓練)

OJTとは、上司が部下に対し、実際に業務を行いながら、その仕事に関する知識・スキルなどを伝えていく教育訓練のことです。実際に業務を進めていくうえでは、非常に効果的な方法でしょう。

ただし、物事を体型的に教えることには向きません。また、上司は教育のプロであるとは限らない(ほとんどの場合、教育については素人である)ため、教え方に課題があることも多い、というのが実情です。

OFF-JT(職場外教育訓練)

OFF-JTとは、職場を離れ、集合教育形態で行われる教育訓練のことです。

OFF-JTに参加している間は業務に参加できませんし、講師の調達の他、様々な費用が発生しますが、新しい知識やスキル、ノウハウなどを効果的・効率的に習熟するには、非常に向いています。

なお、近年では、e-ラーニングを使った研修も増えています。e-ラーニングはOFF-JTの一環とも言えますが、研修施設などに集合する必要がありません。

時間外に職場や自宅などでも受講できるため、費用体効果が高く、多くの企業が採用しています。

自己啓発

従業員ガ自発的に能力開発を行うことを、自己啓発といいます。

特に近年、雇用が流動化しています。

かつて、わが国の企業は「家族型経営主義」と言われ、「終身雇用」が当たり前でした。

しかし、現在では、バブル後の「失われた20年」を経て、企業を取り巻く経営環境が悪くなると、多くの企業がリストラなどの人員調整を行います。

つまり、従業員も「現在、正社員だから」などと、安心しているわけにはいかないのです。

そのような状況のなか、多くのビジネスマンの間で、自己啓発が取り組まれています。

自己啓発の目的は、エンプロイアビリティを高めることです。

エンプロイアビリティとは、現在勤務している会社以外でも雇用されうる能力という意味であり、ビジネスマンの市場価値を高める手段、と言えるでしょう。

CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)

CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)とは、キャリアの長期的な展望を作成し、それに従って教育訓練などを実施することです。

具体的には、従業員の希望と企業のニーズを組合わせたキャリア育成長期計画を作成、その計画に従いながら教育訓練や異動・配置などを実施していきます。

人的資源管理(HRM)の機能 その4: 賃金管理

賃金とは何か、賃金管理の全体像

賃金とは、労働の対価として使用者が労働者に払う全てのもの、と定義されます。

私たちの感覚では、「賃金=給料」というイメージがありますが、特に名称には左右されず、たとえば「〇〇手当」という名称であっても、立派に賃金です。

使用者(オーナー、社長など)から見れば、賃金は経営における費用の主要なものです。

一方、労働者から見れば、賃金は労働の対価であり、さらには生活の原資(生計費)となります。

賃金管理では、大きく、以下3つの要素を管理します。

賃金額管理

賃金額管理には、「総額賃金管理」と「個別賃金管理」などがあります。

賃金制度

賃金制度には、「賃金体系」と「賃金形態」などがあります。

特殊賃金

特殊賃金には、「賞与」と「退職金」などがあります。

賃金額管理

総額賃金

総額賃金とは、現金賃金の総額のことです。

現金賃金とは、所定内賃金、所定外賃金、賞与などのことです。

ちなみに、現金以外にも賃金に当たるものがあり、法定福利費・福利厚生費・教育訓練費などが該当します。また、基本的に一度のみの支払いとなる退職金も、分類上、現金以外の賃金に該当します。

総額賃金を管理するには、まず、売上や利益額などの業績数値より総額人件費の適正額を算出します。

そして、その適正額を参考にしながら総額賃金を決定していきます。

個別賃金

つづいて、個別賃金です。

総額賃金は、それぞれの従業員に配分する必要がありますが、このことを個別賃金管理といいます。

個別賃金管理で重要なのは「モデル賃金」です。

モデル賃金とは、年齢/職業/勤続年数などをベースに賃金の一般水準を示したものであり、これを参考にして個別賃金を算出します。

また、個別賃金の調整には、定期昇給ベースアップを利用します。

定期昇給とは、年に1回など定期的に昇給が行われます。定期昇給には、自動的に昇給するものや、賃金査定が行われるものなど、様々なケースがあります。

一方のベースアップとは、賃金表を書き換えるものです。すべての労働者の賃金に関連します。

賃金制度

賃金体系

現金賃金の体系は次のようになります。

現金賃金の体系

現金賃金の体系

現金賃金の体系においては、基本給および手当が、基本的な部分となります。

基本給の種類

基本給には、「仕事給」「属人給」「総合給」などがあります。

仕事給は、さらに「職務給」と「職能給」に分かれます。職務給は、従事する仕事の内容によって決定します。職能給は、従業員の能力(=職能資格)によって決するものです。

属人給とは、金属年数や年齢など、労働者の属人的要素をベースとして決まる賃金のことです。

職務給と属人給をミックスさせたものが、総合給となります。

賃金形態

賃金の形態には、一定の時間に区切って賃金を支払う「定額賃金制」と、仕事の成果に応じて支払う「出来高制」の2種類があります。

定額賃金制には、日給・月給・年棒・時給などがあります。

また、出来高制には、歩合・出来高払いなどがあります。

特殊賃金

賞与

そもそも、「賞与」とは、どのような考え方で支給が始まったのでしょうか?

賞与の考え方としては、「企業経営の成果を配分する」「従業員の功労に報いる」「慣習的に開始された」など様々な説があります。

現在、一般的な企業においては、賞与の支給は年間2回程度実施されています。

賞与でも、賃金と同じように「賞与総額」管理と「個別賞与額」管理を行う必要があります。

まずは賞与の総額を決定し、個別賞与額を決定する流れとなりますが、多くの企業においては、個人の成果や業績を反映させたり、部門業績を反映させるなどの連動化も多く行われます。

退職金

退職金は、労働者の老後を支える生活資金の原資として、非常に重要なものです。

しかし、退職金制度は法令で決められたものではありません。また、現在、多くの企業にとって、その金額の大きさが負担になっています。

そのため、多くの企業は、退職金算定方法の見直しや退職一時金の年金化を進めているのが現状です。

算定方法の見直し

これまで、我が国の企業は終身雇用制をベースとしており、退職金の算定に当たっては、基本給をベースに退職金を算出していました。

しかし、この方式では、定年退職者の基本給は高額となるため、退職金負担も大きくなり過ぎる、という課題があります。

そこで、退職金算定方法の見直しがされています。その中でも、ポイント制退職金が代表的なものの1つです。

ポイント制退職金とは、資格等級別にポイントを定めるものです。そして、退職までのポイントをトータルして退職金額のベースにします。

この方式を採用することにより、勤務年月の長さよりも、企業への貢献度に応じた退職金支払いが可能となります。

一時金の年金化

退職一時金(いわゆる退職金)を年金化することにより、企業と従業員、双方にメリットがあります。

企業にとっては、毎年の退職者の増減に関わらず、年金化することにより、計画的な資金管理ができます。また、掛け金を損金扱いにして、節税効果が図ることも可能です。

一方、退職者にとっては、一時金ではなく、定期的に年金として支払われることで、生活の基盤となりやすくなります。

確定拠出型企業年金

確定拠出型企業年金とは、企業の退職金原資の掛け金を、どのように運用するのか、従業員がそれぞれ、自分自身で運用方法を決定するものです。

従業員が現役時代から、自己責任において自身の年金原資の運用先を選択するものであり、現在、大きな注目を浴びています。

その他 報酬制度

その他の報酬制度としては、「ストックオプション制度」や「福利厚生」などがあります。

ストックオプション制度

ストックオプション制度とは、ベンチャー企業などでよく見られる

「当該企業が将来発行する株式を、あらかじめ決められた価格で購入できる権利」

のことです。

なぜ、ストックオプションが必要なのでしょうか?

それは、一般にベンチャー企業などは当初資金が少なく、従業員に対して十分な金銭的報酬を支払えないからです。

その代わり、そのベンチャー企業が成功して株価が大きく上昇した場合、上昇した価格に関わらず一定の価格で株式を従業員に買い取らせることを約束します。

つまり、ベンチャー企業が成功すれば、従業員は一躍大金持ちなることができる、というわけです。

このようにストックオプション制度においては、従業員は将来の株価上昇をめざし、モチベーションを保ちながら会社のために業務遂行ができます。

ただし、ストックオプションで実際に利益が発生するのは、その会社の株価が上昇した場合だけです。必ずしも利益を得ることができるわけではない点には、注意が必要です。

福利厚生

福利厚生とは、企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして付加的に実施されるすべてのものを指します。目的としては、企業への帰属意識の向上や、その配偶者や家族への福祉向上などがあります。

福利厚生は、「法定福利」と「法定外福利」があります。

法定福利とは、その名のとおり、事業主が負担することが法律で義務づけられているものです。具体的には、健康保険、介護保険、労災保険、雇用保険、厚生年金保険などの保険料支払いなどがあります。

一方の法定外福利とは、法律に定めておらず、企業が独自に行うものです。たとえば、通勤補助、住宅補助、社宅・寮の提供、財形貯蓄などがあります。

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