この記事は、中小企業診断士試験の「運営管理」科目に関するものです。運営管理についてくわしくは、下記記事をご覧ください。
目次
マーチャンダイジングとは?
マーチャンダイジングという言葉を聞きなれない方も多いかも知れません。
おおまかにマーチャンダイジングを説明するならば、
「小売店に特化したマーケティング」
と言えるでしょう。
アメリカ・マーケティング協会(AMA)ではマーチャンダイジングについて、
企業のマーケティング目標を実現するのに最も役にたつように、特定の商品またはサービスを場所、時間、価格、そして数量で市場に出すことにともなう計画と統制
と定義しています。
上記の定義にある5つの要素、つまり商品・場所・時間・価格・数量を適正化して、顧客満足と自社の利益を高めるものが、マーチャンダイジングなのです。
マーチャンダイジングの5つの適正
上記のとおり、マーチャンダイジングには5つの適性が必要です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
適正な商品
市場やお客様に望まれている、つまりニーズを充たす商品を展開できているか?
つまり、適正な商品政策や品揃えが実現できているか、ということです。
適正な場所
商品やサービスの入手方法や入手場所、および販売場所が適切であるか? また、店舗内でお客様の動線を考慮した適切な陳列ができているか?
適正な時間
仕入れ時期・販売時期は適切か? 季節要因など、その商品にふさわしい時期が考慮されているか?
適正な価格
顧客の欲求と自社利益をバランスした適切な価格であるか? また、その価格を実現するための適切な仕入れ価格であるか? 値付け、販売戦略
適正な数量
仕入れ量や販売数量は適正であるか、在庫管理は適正か?
マーチャンダイジングとマーケティングの違い
マーケティング戦略のフレームワークに4Pがあります。
「製品」「価格」「流通/販売場所」「プロモーション」
一方、マーチャンダイジングにおける5つの適正は以下のとおりです。
「商品」「場所」「時間」「価格」「数量」
このように、マーケティングとマーチャンダイジングには深い関わり合いがあります。
冒頭申し上げた通り、マーチャンダイジングは
「小売店に特化したマーケティング」
と言われるゆえんです。
マーチャンダイジングの類型
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)
特に視覚的な要素に着目し、訴求を行うマーチャンダイジングの一手法です。
店舗内のデザインや陳列、インテリアなどを視覚的な要素を使って演出します。
ライフスタイルマーチャンダイジング
特に顧客のライフスタイルに着目したマーチャンダイジングの手法です。
たとえば、「仕事と美容にコミットした独身女性」がターゲットであれば、スーツ、パンプス、化粧品、エステグッズなどを合わせて提案・販売します。
クロスマーチャンダイジング
スーパーマーケットなどで見られるマーチャンダイジング手法で、異なるカテゴリーの商品を同一の売り場に陳列することで相乗効果をよび、購入を促進させます。
たとえば、鮮魚売り場に刺身醤油を陳列する、ようなケースが該当します。
インストアマーチャンダイジング(ISM)とは?
インストアマーチャンダイジングとは、その名のとおり、店頭におけるマーチャンダイジングの実現のことであり、科学的な手法により売上高目標を達成しようとします。
- 売上高 = 客単価 × 来店客数
- 客単価 = 動線長 × 立寄率 × 視認率 × 買上率 × 買上個数 × 商品単価
- 来店客数 = 顧客数 × 来店回数
上記のとおり、売上高は客単価と来店客数に分解でき、客単価・来店客数とも更に分解できます。
このうち、ISMでは客単価の分解式のそれぞれの項目についてアプローチしていきます。
その理由としては、
- 店内で購入を決める非計画購買の消費の割合が大きい
- 来店客数を増加させる施策(広告)などよりも、客単価を上げる店内活動の方が費用が少なくて済む
などが挙げられます。
インストアマーチャンダイジング(ISM)の体系
インストアマーチャンダイジングは、インストアプロモーション(ISP)とスペースマネジメントに分類できます。
インストアプロモーション
店頭プロモーション全般のことであり、価格主導型と非価格主導型に分かれます。
価格主導型のインストアプロモーションには、「特売、値引き、バンドル販売、チラシ、クーポン、ポイント」等があります。
非価格主導型のISMには、「POP、デモンストレーション、ノベルティ、サンプル提供」等を挙げることができます。
スペースマネジメント
スペースマネジメントは、さらにフロアマネジメントとプラノグラムに分類できます。
フロアマネジメントとは、消費者から見て購入しやすいレイアウトに計画することです。プラノグラムは陳列や棚割のことです。
カテゴリーマネジメント
カテゴリーマネジメントとは、従来の商品レベルに捉われることなく、自店の販売戦略や計画、目標に基づき、適切な商品(カテゴリを設定して商品を管理していくことです。
顧客に価値を提供することに集中し、顧客にとって価値あるカテゴリを創出することにより、業績もアップすると考えられます。
たとえば、スーパーの肉売り場に焼肉のタレ、ステーキソース、塩コショウ、各種スパイスなどを併せて陳列することで、消費者にとって価値が大きくなります。
最終的には、こうした取り組みを、企業を超えて連携して取り組むことが、カテゴリーマネジメントの目指すところになります。
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