意思決定の階層構造(企業経営理論-戦略論) ~中小企業診断士試験

意思決定の階層構造

意思決定の階層構造とは

意思決定の階層構造とは何でしょうか?

これは、アンゾフとサイモンにより提唱された、企業における「意思決定」を性質や階層別に分離したものです。

企業の管理活動においては、日々、様々な階層のマネジメント(マネージャー)が意思決定を行っていますが、そうした企業における意思決定をターゲットとして分類しています。

アンゾフの意思決定分類

戦略的意思決定

戦略的意思決定とは、経営環境に適合するためのものです。

企業全体の経営資源の配分に関することについて、意思決定することが基本です。トップマネジメントが実施することになります。

たとえば、製品-市場戦略における標的市場の選択などが、戦略的意思決定にあたります。

管理的意思決定

管理的意思決定とは、企業の経営資源を組織に適合させるためのものです。

中間管理職(ミドル・マネジメント)が実施するものであり、組織構造の構築に係わる意思決定と経営資源の調達・開発に関わる意思決定の2つがあります。

言い換えると、組織の整備とヒト・モノ・カネ・情報の調達・開発に関わる意思決定となります。

業務的意思決定

業務的意思決定は、定型的な日常業務の効率性と収益性を最大化するためのものです。

現場の管理者(ロワーマネジメントとも呼ばれます)の職能です。

サイモンの意思決定分類について

サイモンは、「定型的意思決定」と「非定型的意思決定」の2つの分類を提唱しました。

定型的意思決定

定型的意思決定とは、マニュアル化・プログラム化できるものです。

日常的に繰り返し発生するような、特定の問題に対応するために行う意思決定であり、問題解決のための手法をマニュアル化(定型化)しています。

非定形的意思決定

非定型的意思決定とは、マニュアル化・プログラム化できない意思決定のことをいいます。

世の中には、環境変化のために様々な問題が新たに発生したり、通常発生しえない例外的な問題などが発生します。

そのような問題を解決するためのものが、非定型的意思決となります。

非定型的意思決定では、より上位の者が、個別に解決策を検討することが必須であり、そのぶん、重要な意思決定と言えるでしょう。

意思決定のプロセスとは?

意思決定のプロセスの考え方

ここでは、「どのような流れで、意思決定がなされるか」、つまり、「意思決定のプロセス」について考えてみましょう。

意思決定とは、瞬間的に判断するものもありますが、それだけではありません。

「問題を探索し、幾つかの代替案を設計する。そして、各代替案を評価した上で、最終的に特定の代替案を選択する」という一連のプロセス

から構成されます。

サイモンは、意思決定プロセスにおいて、4つのフェーズがあると主張しました。

さらに、意思決定の前提となるものや、人間の意思決定が「制約された合理性」の中で発生することを導きました。

意思決定の4つのフェーズについて

意思決定は以下の順序で実現します。

第1のプロセス「情報活動」:問題を発見する活動

第2のプロセス:「設計活動」:問題解決に向けた代替案を作成する活動

第3のプロセス:「選択活動」:各代替案を評価し、最適な代替案を選択する活動

第4のプロセス:「検討活動」:選択された代替案を実行し、その結果を分析する活動

意思決定の前提

意思決定を行う前提となる情報には、大きく2種類のものがあります。

価値前提

「なぜ意思決定を行うのか」という、意思決定を行う目的に関する情報です。

価値前提は、意思決定をする者の主観的な価値観に依存する情報のため、客観的な評価・検証はできません。

事実前提

事実前提とは、目的達成のために選択する手段に関するものです。

技術・法令など、第三者が客観的に判断できる情報になります。

意思決定基準

意思決定を行う際の基準には、サイモンが提唱した以下2つの基準があります。

最適化基準

最適化基準とは、他のいかなる代替案よりも優れた最適な意思決定を行う基準となります。

この基準に従い活動する人間観を「経済人モデル」といいます。

しかし、最適化基準を行うのは、容易なことではありません。

なぜなら、人間の情報処理能力や情報収集能力には限界があります。さらに、意思決定プロセスに費やすことができるコストも無限ではないからです。

実際の意思決定の場においては、最適化基準を利用することは不可能です。

なお、

満足化基準

当然ですが、現実の人間には認知的な限界があります。

また、設計・選択コストにも限りがあることから、ある程度(一定水準)の満足ができる基準を前提に意思決定プロセスをする、という考え方蛾「満足化基準」となります。

この基準に従って活動する人間観を「経営人モデル」と呼びます。

サイモンは「人間は満足化基準に従って意思決定を行う」と考え、「制約のある合理性の中で意思決定を行う」ことを提唱したのです。

 

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