経営戦略は大きく3つの階層からなっています。それを「階層別戦略」と呼びます。この記事では、最初に「階層別戦略」について見ていきます。
さらに、「経営戦略の戦略策定プロセス」を学習しましょう。経営戦略の策定方法の定石を覚えることが目的です。
経営戦略の策定プロセスの理解は、2次試験の全事例において必要になってくる重要事項です。
頑張っておさえて欲しいと思います。
※経営戦略の策定プロセスについては、下記動画も参考にしてください。
目次
3つの階層別戦略
経営戦略は、以下のとおり、大きく3つに分かれます。
企業戦略(成長戦略)
主に経営資源の配分に関わる戦略であり、企業全体レベルの戦略です。ドメイン(事業領域)の策定や再定義、市場の選定や製品・サービスの決定などを行います。
事業戦略(競争戦略)
企業の各事業分野において、競合企業に勝つための戦略です。
機能戦略
「機能」とは、経理、人事、営業、生産、物流、購買など、各部門ごとで実施する職能のことです。部門ごとに、それぞれの業務目標を決めていきます。
経営戦略の策定プロセス
経営戦略の策定プロセス 概要
前述のとおり、経営戦略の戦略策定プロセスとは、2次試験の全事例に関係する非常に重要なものです。その基本的な策定方法を抑えておきましょう。
経営理念
経営者や企業が表明する、普遍的・抽象的な形で企業の目的、価値観、存在意義、行動指針などのことです。「使命」や「ミッション」なども同じ意味です。
経営目標
抽象的な経営理念に対し、数値などを盛り込んだ、より具体的な目標のことです。
外部環境分析
外部環境とは、企業を取り巻く環境であり、大きく「マクロ外部環境」と「ミクロ外部環境」に分かれます。
マクロ外部環境には、「経済的環境」「人口動態的環境」「社会的環境」「政治的環境」「技術環境」などがあります。
ミクロ外部環境には、「顧客」「競合他社」「流通業者」「供給業者」などがあります。
内部環境分析
ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を内部環境とも呼びます。内部環境では、自社の強みと弱みを分析します。
SWOT分析
外部環境分析と内部環境分析により、自社の機会(Opportunity)と脅威(Threat)、強み(Strength)と弱み(Weakness)をマトリックスに整理する戦略分析手法です。
強み・弱み・機会・脅威の英語の頭文字から、SWOT分析と呼ばれます。
戦略ドメイン(事業領域)
戦略ドメインの定義
戦略ドメインとは、「企業がどこで戦うか」という事業領域のことを指します。
戦略ドメインの意義
ドメインを定めることによって、企業の意思決定を迅速にできます。また、経営資源を集中したり、組織の一体化を図ることもできます。
戦略ドメインの構成要素
戦略ドメインは、「標的顧客(誰に)」「顧客機能(何を)」「独自能力・技術(どのように)」の3つの要素から構成されています。
戦略ドメインの物理的な定義、機能的な定義
戦略ドメインは、ブレないように、ある程度絞ることが必要です。
また、戦略ドメインの定義には、「物理的な定義」と「機能的な定義」の2つの方式があります。
物理的な定義の例としては、「鉄道会社が自社を【鉄道事業】と定義する」などがあります。
機能的定義の例としては、「鉄道会社が自社を【輸送事業】と定義する」などがあります。
物理的定義では、「定義が具体的で明快」というメリットがあります。
一方の機能的定義には、「顧客のニーズを中心に据えており、市場の変化に柔軟に対応しやすい」などのメリットがあります。
階層別戦略と経営戦略の策定プロセス(経営戦略論) <まとめ>
階層別戦略と経営戦略の策定プロセスについては、いかがでしたでしょうか?
前述のとおり、経営戦略の策定プロセスは2次試験の解法の柱になりますので、ぜひ抑えて欲しい部分です。
次回は、経営戦略の階層構造のうち、企業全体のレベルで策定する「成長戦略(企業戦略)」を見ていきます。
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