警備会社のAI活用|最初の一手と人に残す判断

警備会社のAI活用:警備員一人ごとの適格性・資格・教育の状態と期限を一つの台帳にまとめ、配置の計画と実績を同じデータで持つ流れ

最終更新日: 2026年9月24日/内容確認日: 2026年9月24日

本記事では、警備業法第4条の都道府県公安委員会の認定を受けて警備業を営む事業者のうち、施設での警備(同法第2条第1項第1号の業務のうち機械警備業務を除くもの)と交通誘導・雑踏警備(同項第2号)を柱に、他人の需要に応じて常駐・巡回・スポットを組み合わせて受託する、警備員100人未満・営業所1か所の警備会社を主なモデルとして想定します。これは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。運搬警備(同項第3号)・身辺警備(同項第4号)・機械警備業務は「行う場合」として触れます。建物の維持保全を受託するビルメンテナンス、建物を所有者の立場で管理する事業、工事の請負、探偵業は対象外です。

目次

1. 結論:警備会社なら何から始めるか

警備会社でAIを使うなら、最初の一手は「警備員一人ごとの適格性・資格・教育の状態と期限を一つの台帳にまとめること」です。次に「配置の計画と実績を同じデータで持ち、上番・下番の報告を電話から外すこと」、その次に「契約ごとに配置の要件を判定し、書面・警備計画・配置表を同じ内容で通すこと」が続きます。

この順序にしたのは、警備業務が「法令の要件を満たす警備員を配置して実施する」仕事だからです。警備員を労働者派遣で借りることはできず、教育と適格性の確認は従事の前提です。順序は本記事の設計で、効果の大きさを測った結果ではありません。

一方で、本記事の整理では、警備員の適格性の確認、誰に当該種別の業務を実施させるかの確定、教育計画書の作成と実施記録への付記、書面の交付、認定の更新、価格と更新条件の決定、現場の危険への対応は、AIに渡せない領域として残ります。原則は「AIは候補と差分まで、確定は人」です。

2. 業務全体の流れ

本記事のモデルでは、仕事は次のように回ります。

  1. 引合いの受付、現地調査、見積。どの区分か、検定の合格証明書を持つ警備員の配置が要るかを判定します。
  2. 契約の締結と法定書面の交付。現場ごとの警備計画と、緊急時の連絡・対応手順の作成。
  3. 採用と適格性の確認、教育の計画と実施、資格の取得と維持。
  4. 配置計画、当日の上番・下番の管理と欠員への対応。
  5. 実施。施設警備、交通誘導・雑踏警備、運搬警備、身辺警備、機械警備業務は要件も教育も別々です。
  6. 事故・異常・苦情への対応、記録と報告書の作成、顧客報告。
  7. 請求、現場別の原価、入金の消込、契約更新の交渉。

裏側では、備付書類、認定と各種届出、労働安全衛生、情報と映像の管理、法令改正の確認が動いています。本シリーズでは、この業種の仕事を動かしているのは暦と契約の周期だと整理しています。勤務が日・週・月で反復し、その上に法令が課す年度・年単位の周期が重なります。事故・苦情・機械警備の受信のように状態変化で始まる処理は、本シリーズでは周期の上に乗る層として整理しています。交通誘導・雑踏警備を主とする事業者では、この整理は変わりえます。

本記事の整理では、次の二つの統計は数える単位が違い、足し合わせたり言い換えたりはできません。令和3年経済センサス‐活動調査では、警備業(日本標準産業分類の小分類923)の民営事業所8,273、従業者412,568人、売上(収入)金額2,469,366百万円(事業所数・従業者数は令和3年6月1日現在、売上は令和2年1年間)。警察庁の業務統計では、認定業者が令和7年12月末現在で10,949業者、警備員が596,985人です。同じ時点で、認定業者の90.3%は警備員数100人未満、84.2%は営業所が1か所だけです。

3. AI導入優先Top3

試行の単位は、Top1が1営業所の在籍者全員、Top2が1営業所で1週間、Top3が次の10件の引合いです。

Top1:警備員一人ごとの適格性・資格・教育の台帳

何をするか。 名簿を、配置の可否を見るときに開く表と同じものにします。氏名・採用年月日、行った教育の実施年月日・内容・時間数・実施者、合格証明書や資格者証の種別・交付した公安委員会・交付年月日・番号、営業所でその区分を取り扱うこととした日までを一枚で持ち、期限までの残日数をAIに出させます。

なぜ最初か。 本記事の整理では、配置できるかは「その人が法令の要件を満たしているか」で決まります。現任の教育は毎年度行い、指導教育責任者の講習にも期限があります。台帳が古いと、要件を満たすかをその場で確かめられません。

どう始めるか。 1営業所の在籍者全員の名簿・資格・教育の記録を一つの表に統合します。

何を測るか。 名簿の記載項目がそろっている人の割合、期限の何日前に着手したか、配置できず断った件数。

注意。 教育の時間数は警備員の区分で変わります。AIに出させてよいのは候補までです。

Top2:配置と実績を同じデータで持ち、上番・下番を電話から外す

何をするか。 配置計画、当日の確定、上番・下番、現場記録、月次の締めを同じ配置のレコードの上で進め、上番・下番は入力経路を一つにまとめて予定との差分を機械に出させます。

なぜ二番目か。 本記事では、配置を原価であると同時に法令の履行の証跡でもあると整理しています。警察庁の「省力化投資促進プラン(警備業)」も、配置シフト管理・上下番管理・名簿や教育の記録のシステム化を挙げ、検定の合格証明書を持つ警備員の配置が法律で定められているため配置時間や場所ごとに複数のシフトの作成が必要で膨大な時間を要していることを記載しています。

どう始めるか。 1営業所で1週間、入力経路を一つにして試します。電話は残して並行させます。

何を測るか。 朝夕の電話対応の件数、未上番の検知までの時間、記録が事務所へ届くまでの日数、締めから請求までの日数。

注意。 記録の下書きは、人が全件確認してから報告書や請求に使います。

Top3:契約ごとに配置の要件を判定し、書面・計画・配置を同じ内容で通す

何をするか。 引合いの受付票に「どの区分か」「配置が要るか」「要る場合は根拠と確認先・確認日」の3欄を足し、判定を、契約を締結するまでの書面、締結したときの書面、警備計画、配置表へ同じ内容で通します。

なぜ三番目か。 検定の一級を受けられるのは、二級の合格証明書の交付を受けた後にその種別の業務に従事した期間が1年以上である者か、公安委員会がこれと同等以上の知識及び能力を有すると認める者です。本記事では、有資格者の育成に期間がかかる前提で三番目に置きました。

どう始めるか。 次に受ける10件の引合いで、3欄を必ず埋めます。

何を測るか。 書面の記載項目の欠落件数、判定が記録された契約の割合、契約・警備計画・配置表の不整合の件数。

注意。 配置の要否は業務の種別と場所の条件で変わります。とくに交通誘導は、高速自動車国道又は自動車専用道路で行うものか、都道府県公安委員会が必要と認めるものに当たるかで変わるため、所在地ごとに確認します。

4. AIに任せやすい仕事

結果をそのまま次の処理へ渡せる仕事です。性質で分けます。

形を整える。 引合いの内容、上番・下番の報告、現場の記録、苦情の受付内容、機械警備の受信記録を決まった項目に落とす。

照らし合わせる。 鍵の授受と入退館の記録を突き合わせ、入金と請求データを消し込む。

違いを見つける。 配置の予定と上番の実績の差から、未上番と遅参を検知する。

足りないものを探す。 人が確定した区分と必要時間数に照らして、未受講の人と不足時間数を抽出する。講習と認定の期限までの残日数を出す。書類の保存期間の残りを起算点ごとに計算する。報告書の提出漏れを見つける。護身用具の数量と装備の点検項目を管理する。

集める。 苦情を分類して集計し、契約の更新期限と実績を整理する。

教育の記録なら、不足を「見つける」のはこの節、「作って付記をする」のは人に残る仕事です。

5. AI支援に向く仕事

AIが案を出し、人が全件確認してから使う仕事です。

  • 配置計画の作成と日々の確定、欠員時の代替候補の抽出。勤務の間隔や休日の条件は機械に検知させ、本人の事情を踏まえた確定は人です。
  • 検定の合格証明書の要否の判定。候補は機械が出せますが、判定結果は全件確認します。
  • 警備員の適格性の確認。誓約書の回収状況や記載漏れの指摘は機械、確認そのものは全件人です。
  • 教育の対象者と必要時間数の判定。区分・従事歴・資格で変わるため、候補は機械、判定は人が全件確認します。
  • 警備日誌・巡回記録・月次報告書の下書き。締めの照合、請求データの作成、現場別の原価集計。
  • 備付書類の整備と電磁的方法による記録への移行(必要に応じ直ちに表示できることが条件で、国家公安委員会が定める基準の確保に努めます)、各種届出の作成。届出の相手方は届出ごとに違うため、宛先は人が確認します。
  • 法令・規則・都道府県公安委員会規則の改正の収集と差分の抽出。影響の判断は人です。
  • 監視カメラやセンサーによる検知。検知は推論なので、現場での事実の確認は人です。

6. 人に残す仕事・判断

線の引き方は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。

まず、本記事の整理では、法令が「その行為を行える者」を限定している主なものは、警備業を営むこと(認定を受けた者に限られます)、警備員となること(18歳未満の者と一定の欠格事由に当たる者は警備員となってはならず、警備業者も従事させてはなりません)、公安委員会が行う検定・行政処分です。検定に関する配置の定めは、場所ごと・敷地ごと・車両ごとなどに合格証明書を持つ警備員を何人以上配置するかという基準です。

そのうえで、人に残るものは二つに分かれます。

法令が警備業者に課した義務の履行として、人が行うもの。 契約を締結するまでの書面と、締結したときの書面の交付。営業所ごと・区分ごとの警備員指導教育責任者の選任。警備員指導教育責任者による教育計画書の作成と、指導教育責任者及び実施者による実施記録への「誤りがないことを確認する旨」の付記。誰にその種別の業務を実施させるかの確定。認定の更新の申請。機械警備業務を行う場合の、都道府県公安委員会規則の基準による警備員・待機所・車両等の配置の維持。

経営・現場の責任として、人が決めるもの。 見積と受注価格。警備計画と緊急時の対応手順の承認。採用の可否。現場で危険が変わったときの中断・退避・増員の判断。警察機関・消防への連絡と応急の措置。労働災害の再発防止策。苦情の原因究明と改善措置。契約更新の条件。再委託先の選定。委託先の監督と、漏えい等が生じたときの報告・通知の要否の判断。

教育の実施記録への付記は、内容を作ることではなく、指導教育責任者と実施者が確かめたという行為そのものです。

7. Best Practice

本記事では、到達点を三つの構造がつながった状態と整理しています。

一つ目。 契約ごとに「どの区分か」「配置の要件は何か」が確定し、契約を締結するまでの書面、締結したときの書面、警備計画、配置表に同じ内容が通っている。

二つ目。 警備員一人ごとの適格性・資格・教育が一つの台帳にあり、期限が前倒しで動いている。

三つ目。 配置の計画と実績が同じデータで結ばれ、請求と現場別の原価につながっている。見積に前回の同種現場の実績配置と原価が添えられている。

8. Before / After

警察庁の省力化投資促進プランは、全警備業者の90%以上が警備員数100人未満の中小企業でITツールの導入が進んでいないこと、上番・下番の報告を電話で受けているため管制員等を配置して対応している会社が多いことを記載しています。警察庁の有識者検討会報告書(2018年4月)は、警備業者へのアンケート調査で、ICT等を活用していない理由として「技術に関する知見がなく、導入の可否の判断が困難」が「導入に伴う当面のコスト高」を上回っていたと記載しています。

Afterは、人の状態が一つの台帳にあって配置の可否がその場で分かり、未上番が自動で検知され、記録が当日のうちに月次報告と請求の根拠になり、教育が年度に平準化され、見積に実績と原価が添えられた状態です。

9. 法令・規制・情報管理

本記事で扱う制度は警備業法とその下位規範です。建設業法ではありません。

認定と更新。 警備業を営むには、同法第3条各号のいずれにも該当しないことについて都道府県公安委員会の認定を受けます。有効期間は、認定を受けた日(更新された場合は更新前の有効期間が満了した日の翌日)から起算して5年で、満了後も営むときは更新を申請してその更新を受ける必要があり、満了すると認定は効力を失います。

実施の基本原則。 警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならないとされています(第15条)。

書面の交付。 契約を締結するまでに概要の書面を、締結したときは遅滞なく内容を明らかにする書面を交付します。後者には、内閣府令で定める業務の内容、対価その他依頼者が支払う金銭の額、支払の時期及び方法、業務を行う期間、契約の解除に関する事項、その他内閣府令で定める事項の6つを記載します。別の時点の別の義務で、一方で他方を代替できません。交付しない、記載が欠けるなどの場合は100万円以下の罰金の対象です。

教育。 警備業者は、その警備員に対し、内閣府令で定めるところにより教育を行います。教育は基本教育と業務別教育、必要に応じて行う向上のための教育からなり、業務別教育の区分は5つ(第1号の業務のうち機械警備業務を除くもの、第2号、第3号、第4号、機械警備業務)です。時間数はいずれも「以上」で、警備員の区分により異なります。新たに従事させようとする警備員は、他の区分に当たらない場合が20時間で、ほかに10時間・3時間・7時間・13時間の区分があります。現に従事させている警備員は毎年度行い、他の区分に当たらない場合が10時間、一定の合格証明書や資格者証を持つ者が当該種別以外の業務に従事している場合などが6時間です。さらに、一定の合格証明書の交付を受けている警備員で当該種別の業務に従事させているものと、指導教育責任者資格者証の交付を受けている警備員で当該区分の業務に従事させているものは対象から除かれ、新たに従事させようとする警備員として教育を行った日の属する年度は、行った教育に対応する教育を行わなくてよいという定めもあります。

警備員指導教育責任者。 営業所(警備員の属しないものを除きます)ごと、及びその営業所で取り扱う区分ごとに、資格者証の交付を受けている者のうちから選任します。欠けたときはその日から14日間は選任しておかなくてよいとされます。原則は区分ごとに専任で、例外が二つあります。その営業所の全区分に応じた資格者証の交付を受けている者が置かれる場合は区分ごとにそれぞれ専任を選任することを要せず、専任の者が置かれている営業所に近接し所属する警備員が5人以下の営業所で、その者が当該区分の資格者証の交付を受けており、公安委員会の承認を得た場合は専任を選任することを要しません。また3年ごとに講習を受けさせます。起算点はその営業所でその区分を取り扱うこととした日で、交付日や選任日ではありません。

検定と配置。 国家公安委員会規則で定める種別の業務を行うときは、その種別の合格証明書の交付を受けている警備員に実施させます。対象は第2条第1項第1号から第3号までで、第4号は含まれません。種別は6つあり、配置の定めは項ごとに異なります。施設警備の配置は防護対象特定核燃料物質を取り扱う施設と空港に係るものに限られます。交通誘導の配置は、高速自動車国道又は自動車専用道路において行うものと、道路又は交通の状況により都道府県公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認めるものの二つの場合に限られ、後者に当たるかは所在地の定めによります。貴重品運搬の配置は現金に係るものに限ります。

備付書類。 営業所ごとに、名簿、指導計画書、年度ごとの教育計画書と実施記録、契約ごとの書類、苦情の書類など8つを備えます。教育計画書は当該年度の開始の日の30日前まで。保存は名簿が退職の日から1年、指導計画書が実地に指導した日から2年、教育計画書と実施記録が当該年度が終了した日から2年で、備え付けない場合などは30万円以下の罰金の対象です。

人員の確保。 警備業法第2条第1項各号に掲げる業務については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)により、何人も労働者派遣事業を行ってはならないとされ、役務の提供を受ける者も、その指揮命令の下に派遣労働者を従事させてはならないとされています。本記事では、他の警備業者への再委託を、受託者が自己の雇用する警備員を自己の指揮命令の下に従事させるものとして、人員の融通とは別の関係と整理しています(確認した範囲での当てはめです)。そのうえで、再委託先が第4条の認定を受けていることの確認が要ります。

情報の管理。 名簿(本籍・住所・生年月日・写真を含みます)、顧客の施設で取得する映像や入退館の記録、依頼者の情報を扱います。個人情報の保護に関する法律は、安全管理措置、従業者の監督、委託先の監督、個人の権利利益を害するおそれが大きい漏えい等として個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときの同委員会への報告と本人への通知、第三者提供の制限を定めています。報告と通知には、委託元へ通知したときや、本人への通知が困難で代わるべき措置をとるときの例外があります。外部へ渡すときは、第三者提供・委託・その他のどの類型に当たるかを確認し、必要な同意・通知・契約・監督を行います。警備計画書の施設の弱い箇所や巡回の経路は個人情報とは別の機密で、契約上の秘密保持の条項が置かれている場合はその内容にも従います。生成AIへ入れるときは、投入する情報の最小化、学習利用の有無、保存期間と削除、契約上の取扱条件、アクセス権限と利用ログ、再委託や国外保存の扱いの6点を先に決めます。

現行性。 本シリーズでは、警備業法とその施行令・施行規則、検定等に関する規則、講習等に関する規則について、2026年9月20日時点の法令データで現行の版を確認しています。労働者派遣法と個人情報の保護に関する法律には2026年10月1日以降に施行される改正の版が含まれていますが、その内容は本記事では扱っていません。それぞれの施行日までは現行の規定によります。

10. 最初の30日プラン

1週目:測る。 配置表の作成に使った時間、上番・下番の電話の件数と朝夕の対応時間、当日変更と欠員の件数、現任の教育の月別の実施時間、締めから請求までの日数、自社で配置できず断った件数と他の警備業者へ再委託して受けた件数、記録が事務所へ届くまでの日数。あわせて認定の満了日、営業所と区分ごとの講習の起算日、教育計画書を備えた日を確認します。

2週目:正本を決める。 名簿を「配置の可否を見る台帳」と同じものにし、受付票に3欄を足します。契約を締結するまでの書面と締結したときの書面を別の雛形に分け、届出の相手方と保存期間の起算点を一覧にします。

3週目:小さく試す。 1営業所で1週間、上番・下番の入力経路を一つにします。期限の差分の抽出を自動化し、警備日誌の下書きを音声や写真から作って内容は人が全件確認します。やらないことは、配置の確定を機械に任せること、教育の実施記録への付記を生成させること、書面を確認なしで交付することです。

4週目:比べて決める。 1週目と同じ項目を測り直し、配置表の作成時間・朝夕の電話件数・記録が届くまでの日数の3つで変化を見ます。次は、自社で配置できなかった件数が多ければ配置の候補づくり、現任の教育の実施が特定の月に偏っていれば年度計画の平準化、現場別の粗利が出ていなければ原価の集計へ進みます。

11. AI活用成熟度

Lv1 人依存。 配置・教育・記録・請求の情報が台帳になっておらず、期限の管理が個人に任されている段階。

Lv2 台帳化。 名簿・資格・配置表・勤怠がそれぞれ表計算やツールになっている。台帳の間の突き合わせが残る。

Lv3 一元化。 名簿と資格台帳と配置の可否を見る台帳が同じものになり、計画と実績が同じレコードの上にある。法令の期限がカレンダーに落ちている。

Lv4 AI支援。 配置の候補と不足の指摘が出る。教育の対象者と不足時間が抽出される。記録が音声や写真から構造化される。

Lv5 仕組み化。 受注から配置の要件、人の状態、配置、実績、請求と原価、更新までが一つのデータで回り、法令の期限が工程に組み込まれている。Lv5は全自動ではありません。配置の確定、教育計画書の作成と実施記録への付記、現場の危険への対応、価格の決定は人です。

12. FAQ

交通誘導の現場には、必ず検定に合格した警備員を置くのですか。 配置が定められているのは、高速自動車国道又は自動車専用道路において行うものと、道路又は交通の状況により都道府県公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認めるものの二つの場合です。後者に当たるかは所在地の定めによるため、現場ごとに確認してください。

警備員を派遣で確保することはできますか。 警備業法第2条第1項各号に掲げる業務については、何人も労働者派遣事業を行ってはならないとされ、役務の提供を受ける者も、その指揮命令の下に派遣労働者を従事させてはならないとされています。本記事の整理では、他の警備業者への再委託は、受託者が自己の雇用する警備員を自己の指揮命令の下に従事させるもので、これとは別の関係です(確認した範囲での当てはめです)。

現任の教育は年に10時間で足りますか。 10時間は毎年度行う教育で他の区分に当たらない警備員の場合の値で、いずれも「以上」です。一定の合格証明書や資格者証を持つ警備員が当該種別以外の業務に従事している場合などは6時間、一定の証明書の交付を受けている警備員を、その種別・区分の業務に従事させている場合は対象から除かれ、新たに従事させようとする警備員として教育を行った日の属する年度は、行った教育に対応する教育を行わなくてよいという定めもあります。一人ずつ区分を当てて判定してください。

配置をAIに決めさせてよいですか。 本記事の整理では、候補の作成と、要件を満たさない組合せの指摘までは機械に任せられます。その種別の合格証明書の交付を受けている警備員に実施させる義務は警備業者にあるため、確定は人です。

自社の施設を自社の社員が警戒する場合も、認定が必要ですか。 警備業法の警備業務は「他人の需要に応じて行うもの」に限られます。自社の需要に応じて自社の従業員が行う場合の当てはめは、本記事では条文で確認できた範囲を超える判断をしていません。所轄の警察署等に確認してください。

警備料金の相場はどのくらいですか。 本記事では料金の水準を扱っていません。業界団体が「警備料金の基礎知識」を作成し見積書の雛形を共有していることは、警察庁の資料で確認しています。

13. 関連業態・シリーズ導線

建物設備管理・保守会社は、施設警備の現場では同じ建物で並んで働く業態です。周期で仕事が回る構造は似ていますが、周期の対象が設備か人の資格かが違います。

展示会・イベント運営会社の記事は、本記事の整理では雑踏警備業務の発注者になる側の業務として読めます。

業種別AI活用の一覧はピラーページにあります。

14. この記事を自社に当てはめたい方へ

同じ警備会社でも、取り扱う区分の数や機械警備業務を行うかで最初の一手は変わります。人の台帳が整っていなければ台帳から、整っているなら配置と実績のつなぎ込みから、いまの整理状況が出発点です。

15. 無料AI戦略診断/AI顧問

AI戦略診断は無料・登録不要です。回答すると、自社のAI活用がいまどの段階にあるかと、最初に取り組むべき領域が分かります。

自社の業務に沿って一緒に設計したい方には、AI顧問サービスがあります。まず話を聞いてみたい方は、お問い合わせから30分の無料リモート面談をご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)
『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

目次