社会保険労務士(社労士)の資格を取得してから働くに当たり、「忙しい時期はあるの?」「繁忙期はいつなの?」と疑問を抱えている方はいませんか?
勤務社労士なのか開業社労士なのかで変わりますが、社会保険労務士(社労士)には忙しい時期と暇な時期があります。
社会人として仕事をする以上、社会保険労務士(社労士)も繁忙期を知っておくのは大事です。
繁忙期について把握していれば、広い視野で1年間のスケジュールを管理できるようになりますよ。
ここでは、社会保険労務士(社労士)の繁忙期や忙しい理由について詳しくまとめてみました。
目次
社会保険労務士(社労士)の繁忙期はいつなの?
6月~7月の時期が最も忙しい
社会保険労務士(社労士)が最も忙しい時期は、6月~7月です。
新年度になって少し経過し、6月から7月になると次の2つの申告があります。
- 労働保険の年度更新:前の年度の1年間における確定労働保険料、および当年の概算労働保険料を申告・納付する手続きのこと。毎年6月1日から7月10日までに行います。
- 社会保険の算定基礎届:健康保険や介護保険、厚生年金の標準報酬月額を届出する手続きのこと。毎年7月10日までに実施する必要があります。
この2つの業務が重なりますので、社会保険労務士事務所は6月~7月にかけての時期が繁忙期になるわけです。
労働保険の年度更新は、前年度の確定労働保険料と今年度の概算労働保険料を同時に計算して、申告・納付しないといけません。
社会保険の算定基礎届も7月1日時点で会社に在籍している全員に対して届出を行う必要がありますので、社会保険労務士(社労士)がやるべき作業は多くなります。
3月~4月の新年度
3月~4月の新年度も、社会保険労務士(社労士)の繁忙期の一つ!
他の社会人にも該当しますが、社会保険労務士(社労士)は特にこの時期に忙しくなります。
なぜ3月~4月の時期に社会保険労務士(社労士)の業務が増えるのか、考えられる理由をいくつか見ていきましょう。
- 新卒社員の入社に伴い、雇用契約の締結や社会保険の加入手続きなどの業務が発生する
- 新入社員の入社だけではなく、既存社員の退社も多くなりやすい
- 企業勤務で総務の業務を担当していると、パソコンの初期設定や名刺の作成など備品の準備が必要になる
新年度は社員の入れ替わりが最も激しいタイミングですので、社会保険労務士(社労士)の業務も比例して増えますね。
年末から年明けにかけて
12月や1月など年末から年明けにかけては、社会保険労務士(社労士)の給与計算業務の中で年末調整の業務量が多くなります。
年末調整とは、既に支払い済みの従業員の源泉所得税(概算)を、正確な所得税の金額と比較し、その差額を計算して1年間の所得税の精算を行う手続きです。
上記で解説した労働保険や社会保険とは違い、年末調整は毎年1月1日から12月31日までが対象期間になります。
つまり、原則的に12月31日に在籍している社員の全員の年末調整を行わないといけません。
「正社員」「派遣社員」「パート」など全ての雇用形態の方の年末調整が必要になりますので、社会保険労務士(社労士)にとってはかなり忙しい時期なのです。
「年末は毎年休みが取れない…」と嘆いている社会保険労務士(社労士)も多いのではないでしょうか。
賞与支給日の前後
社会保険労務士(社労士)の繁忙期は、基本的に「6月~7月」「3月~4月」「年末年始」の3つです。
しかし、賞与が支給される会社では、賞与支給日の前後も忙しくなります。
これはボーナスをもらった直後に退職を申し出る社員がいるのが理由です。
会社に属している社員が退職すると、社会保険労務士(社労士)は社会保険の喪失手続きや雇用保険の離職票作成といった業務を行わないといけません。
大企業では退職者の人数が増えやすいため、社会保険労務士(社労士)の思いがけない繁忙期になりますよ。
社会保険労務士(社労士)の繁忙期の把握はワークライフバランスのために必要!
社会保険労務士(社労士)の繁忙期や忙しいタイミングについておわかり頂けましたか?
勤務社労士も開業社労士も、繁忙期を把握するのは次の理由で大事です。
- あらかじめ自身のスケジュールを立てやすくなる
- ワークライフバランスを保ちやすくなる
- ゆとりを持って年間スケジュールを管理できる
近年では、仕事の話でワークライフバランスという言葉を見掛けるようになりました。
ワークライフバランスを直訳すると仕事と生活の調和で、取り組む企業側に立ったメリットをいくつか挙げていきます。
- 「社員を大切にする会社」とイメージ付けて優秀な人材を確保できる
- 社員のモチベーションが向上して結果的に売り上げアップに繋がる
- 「離職率が低くて社員が安心して働ける会社」と優良企業のイメージを付けられる
- 出産や育児の支援をすることで女性社員が定着する
ワークライフバランスは企業だけではなく、社会保険労務士(社労士)自身も考える必要があります。
独立開業している社会保険労務士(社労士)も、「閑散期を有効活用して顧客を獲得する」など、繁忙期を知ることでワークライフバランスを保てるのです。
繁忙期のせいで体調を崩す社会保険労務士はいますので、勤務社労士も開業社労士も上手なスケジュール管理を行いましょう。
社会保険労務士(社労士)の閑散期はいつなの?
1年間の中で社会保険労務士(社労士)の繁忙期があれば、逆に閑散期もあります。
勤務社労士も開業社労士も、1年中ずっと忙しい時期が続くわけではありません。
社会保険労務士(社労士)の主な閑散期は、特別大きなイベントのない2月と8月です。
新年度を迎える前と6月~7月の繁忙期が終わった後は、社会保険労務士(社労士)が行うべき業務は少なくなります。
そのため、閑散期は月例の給与計算など社会保険労務士(社労士)の基本的な業務をこなしつつ、オフをしっかりと楽しんで健康体のキープを目指しましょう。
ただし、2月は研修が多かったり8月はお盆休みがあったりと日程がタイトになりやすいため、この時期のスケジュール管理も忘れてはいけません。
働き方改革でニーズが高まる社会保険労務士(社労士)の仕事!
2019年の4月1日から働き方改革がスタートし、社会保険労務士(社労士)の仕事のニーズは高まりました。
法改正のポイントや就業規則の改定など、社会保険労務士(社労士)が企業に対して行うサポートはたくさんあります。
そもそも、ひとことで「働き方改革」と言っても、その内容は多彩です。
以下では、働き方改革関連法案などの内容の一部を紹介します。
- 有給休暇が10日以上の社員に対して、1年間に5日以上の消化を会社に義務化する
- 時間外労働の上限は1ヵ月で45時間、1年間で360時間に見直す
- 今までは1ヵ月だったフレックスタイム制の清算期間を3ヵ月に拡大する
- 成果で従業員を評価する高度プロフェッショナル制度を創設する
- 中小企業の猶予措置である月60時間を超える時間外労働の割増率がアップする
- 疲労の蓄積が見られる従業員が申し出た時に医師による面接指導を義務化する
この働き方改革により、「非正規雇用の待遇差改善」「長時間労働の是正」「柔軟に働ける環境づくり」「賃金引き上げと労働生産性向上」「ハラスメント防止対策」など様々な点が変わります。
今までは、社会保険労務士(社労士)に対して「手続きの代行業」というイメージがありました。
しかし、現代では働き方改革の影響もあって、社会保険労務士(社労士)のイメージは人事労務コンサルタントに変化していますね。
中小企業の経営者にとって働き方改革は頭の痛い問題ですので、労務のスペシャリストの社会保険労務士(社労士)によるサポートが欠かせません。
社会保険労務士(社労士)は自身の働き方改革にも着目すべき!
これから社会保険労務士(社労士)を目指す方も、既に開業社労士や勤務社労士として働いている方も、自身の働き方改革にも着目すべきです。
働き方改革の担い手として契約している企業の施策を立案したり実行したりするのはもちろんのこと、自分自身の労働時間も削減しないといけません。
それは上記でも解説したように、社会保険労務士(社労士)として働く方もワークライフバランスが大切だからです。
社会保険労務士(社労士)の業務の繁忙期や閑散期を把握しておけば、労働時間の削減の第一歩に繋がります。
もちろん、社労士の繁忙期自体が無くなることはありませんので、どうすれば業務を効率化できるのか考えましょう。
あなた自身の健全なワークライフバランスを実現するためにも、仕事の繁忙期について、うまくコントロールしていきたいですね。
まとめ
社会保険労務士(社労士)の業務は他の仕事と同じように、繁忙期と閑散期の両方があります。
労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届の手続きがある6月~7月、3月~4月の新年度、年末年始の時期は社会保険労務士(社労士)の繁忙期です。
企業からの依頼が増えて忙しくなるのが予想されますが、社会保険労務士(社労士)は自身のワークライフバランスを保つ努力をしてみてください。