今回のテーマは、「社労士試験と実務経験」についてです。
社労士試験においては、「受験資格」と「合格後の資格登録」の2つのシーンにおいて、実務経験が関係してきます。
- 受験資格:「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3つのうち、いずれかの要件を充たすことが必要
- 合格後の資格登録:「2年以上の実務経験」または「事務指定講習の受講」のいずれかが必要
以上について、分かりやすく説明しますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
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目次
実務経験なしで社会保険労務士(社労士)の試験を受けられるの?
前述のとおり、社会保険労務士(社労士)の試験の受験資格は、「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3つに大きくわけられます。
どれか1つの要件をクリアしていればOKですので、実務経験なしでも社会保険労務士(社労士)の試験を受けられるわけです。
社会保険労務士(社労士)は受験資格に制限のない試験ではありませんが、そこまでハードルが高いわけではありません。
一般的に大学を卒業した者は、学歴で社会保険労務士(社労士)の受験資格をクリアできます。
しかし、次の実務経験をお持ちの方は、学歴や国家試験合格の要件を満たさなくても受験OKですよ。
受験資格コード | 受験資格 | 該当する者 |
---|---|---|
08 | 労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員 | 健康保険組合や労働保険事務組合の役員や従業員 |
09 | 国や地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間が通算して3年以上 | 市役所や区役所に勤めていた公務員 |
11 | 社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人で事務に従事した期間が通算して3年以上 | 社会保険労務士事務所や弁護士事務所等の補助者 |
12 | 労働組合の役員として労働組合の業務に従事した期間が通算して3年以上 | 労働組合の専従役員や法人等の労務担当役員 |
13 | 労働組合の職員または事業を営む個人の従業者で労働社会保険諸法令の事務に従事した期間が通算して3年以上 | その他法人等の従業者 |
参考:https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html
ざっくりと説明すると、特別な判断を要しない単純事務を除き、行政・労働・社会保険関連の事務手続きに従事してから通算して3年以上が経過する者は、実務経験ありだと判断されます。
実務経験の要件を満たしていれば、高校や大学を卒業していない人でも社会保険労務士(社労士)の試験の受験が可能です。
企業の総務や人事で働いていただけでは、実務経験とは認められない
一点注意しないといけないのは、一般企業の人事や総務で働いていただけでは、社労士試験の受験資格としての「実務経験」とは認められないことです。
一般企業の人事や総務で社員の採用や求人、または年収・給料に関する事務の経験があれば、社労士に関する実務のようにも思えますが、そういったものは認められません。
社労士試験の実務経験と認められるのは、あくまで先述の表に書いてある業務のみですので、注意してください。
社会保険労務士(社労士)の試験を実務経験で受ける際の証明書!
社会保険労務士(社労士)の試験を実務経験で受けるに当たり、確認のために証明書を提出しないといけません。
社会保険労務士(社労士)の試験の出願時に、次の内容を実務経験証明書に明記します。
- 受験者の氏名や生年月日、住所
- 雇用形態(正社員、派遣社員、役員、期間契約社員・嘱託社員、パート)
- 勤務形態(常勤、非常勤)
- 所属部署名や従事した事務内容、従事した期間
個人情報を証明書に入力し、証明者欄に記入・押印すればOKです。
社会保険労務士(社労士)の試験の実務経験証明書はフォーマットが決められていますので、こちらのページからダウンロードしましょう。
参考:https://www.sharosi-siken.or.jp/pdf/03/03_04_type1_jitsumu.pdf
上記でも解説しましたが、社会保険労務士(社労士)の受験資格は実際に労働・社会保険関連業務に従事したかどうかで判断されます。
つまり、実務経験証明書の中には、従事した業務内容について具体的にわかりやすく記載しないといけません。
特別な判断を要さない単純な業務は実務経験から除かれますので、社会保険労務士(社労士)の試験を受験する予定の方はあらかじめ確認しておいてください。
社会保険労務士(社労士)の試験で実務経験の科目免除はある?
社会保険労務士(社労士)の試験では、実務経験をお持ちの方が科目免除として認められることがあります。
下記に該当する方は、免除が決定された科目について社会保険労務士(社労士)の試験が免除される仕組みです。
- 国や地方公共団体の公務員として労働社会保険法令に関する施行事務に従事した期間が通算して10年以上
- 厚生労働大臣が指定する団体の役員として労働社会保険法令事務に従事した期間が通算して15年以上
- 日本年金機構の役員として社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算して15年以上
- 全国健康保険協会の役員として社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算して15年以上
科目免除の要件をクリアし、出願時に科目免除申請用の実務経験証明書を提出すると、社会保険労務士(社労士)の試験合格まで生涯有効になります。
社会保険労務士(社労士)の科目免除についてはこちらのページでも解説していますので、合わせてご覧になってください。
社会保険労務士(社労士)の資格登録には実務経験2年以上が必要!
社会保険労務士(社労士)の試験は、実務経験なしでも受けられます。
しかし、社会保険労務士(社労士)の資格登録には、2年間以上の実務経験が必要です。
「試験に合格すれば社会保険労務士(社労士)として働けるのでは?」とイメージしている方はいますが、社労士として働くには次のステップを踏まないといけません。
- 社会保険労務士(社労士)の試験に合格する
- 2年以上の実務経験を積むか事務指定講習を受ける
- 社会保険労務士連合会の名簿に登録する
これらの手続きを経て、社会保険労務士(社労士)を名乗って業務と携わることができるわけですね。
社会保険労務士(社労士)の登録要件を満たす具体的な業務内容は、以下のような、社会保険労務士法施行規則第1条の11に掲げる事務を指しています。
- 国又は地方公共団体の公務員として従事する法別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令の施行事務
- 労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人及び日本年金機構の役員
- 国若しくは地方公共団体の公務員、労働組合の職員又は会社その他の法人
- 労働組合の役員として専ら従事する労働組合の業務
- 法人等の労務を担当する役員として従事する業務
- 社会保険労務士又は社会保険労務士法人の補助者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務
社会保険労務士(社労士)の試験に合格して登録する予定の方は、所定の実務経験の有無を満たしているのかどうか社労士会連合会に確認しておきましょう。
社会保険労務士(社労士)として登録するメリット!
2年以上の実務経験を積んで社会保険労務士(社労士)として登録するに当たり、次の3つのメリットがあります。
- 勤務社労士として勤めている会社の社労士業務を担うことができる
- 開業登録をして開業社労士として社労士業務を受注できる
- 様々な研修に参加してスキルアップできる
社会保険労務士(社労士)の資格登録のメリットは、社労士として名乗れるようになるだけではありません。
全国社会保険労務士会連合会や都道府県社会保険労務士会から送られてくる会報で最新情報に触れたり、独自セミナーに参加したりして継続的なスキルアップができます。
試験に合格して満足するのではなく、他の社会保険労務士(社労士)と差別化を図る努力をしてみてください。
社労士会への登録で必要な書類
以下では、社会保険労務士(社労士)が社労士会に登録するに当たり、申請に必要な書類をまとめてみました。
- 社会保険労務士登録申請書(正本1枚、副本2枚の3枚複写)
- 労働社会保険諸法令関係事務従事期間証明書(事務に従事したことに関する証明)
- 社会保険労務士試験合格証書の写し
- 住民票1通(3ヵ月以内の発行でマイナンバーの記載なし)
- 顔写真1枚(タテ3cm×ヨコ2.5cm、カラー白黒可)
- 戸籍抄本1通(3ヵ月以内の発行でマイナンバーの記載なし)
社労士登録にはこれらの書類に加えて、登録料や年会費などの費用もかかりますので注意しましょう。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習について徹底解説!
社会保険労務士(社労士)の登録で実務経験が必要だと聞き、「すぐに働くことができないの?」と悩んでいる方はいませんか?
しかし、2年間の実務経験を満たせない方のために、社労士会連合会は労働社会保険諸法令関係事務指定講習を実施しています。
指定の事務指定講習を受講して修了すれば、実務経験なしでも社労士会に登録して社会保険労務士(社労士)を名乗れる仕組み!
学歴の要件をクリアして社会保険労務士(社労士)の試験を受けた方には、実務経験がありません。
通常は2年間の実務経験が必要ですが、事務指定講習を受ければ短い期間で社会保険労務士(社労士)としての登録ができます。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習の概要について知りたい方は、以下を参考にしてください。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習を受講するメリット!
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習には、次の3つのメリットがあります。
- 社労士の登録に必要な2年間の実務経験が免除される
- 社労士同士の横の繋がりや人脈を作ることができる
- 実務家の体験談を吸収して知識を身につけられる
4ヵ月+4日間の事務指定講習で、2年間の実務経験の代わりになるのは大きなメリットですね。
実務経験の免除に加えて、人脈の形成や知識の吸収に繋がるのも社会保険労務士(社労士)の事務指定講習の魅力だと言えます。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習の内容!
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習の内容は、次の2つに大きくわけられます。
- 通信指導過程:2月~5月末までの4ヵ月間に渡って実施される通信指導で、労働保険・社会保険の具体的な手続きや実務を学ぶ
- 面接指導過程:通信指導過程の各課題を修了した後に、「労働基準法」「雇用保険法」「健康保険法」などの集合授業に出席する
「事務指定講習は面接を受けないといけないの?」と不安を抱えている方はいませんか?
しかし、社会保険労務士(社労士)の事務指定講習の面接指導過程は一人ひとりの面接ではなく、集合授業に参加するだけですので安心してください。
社会保険労務士(社労士)の事務指定講習を受ける上での注意点…
事務指定講習を修了すれば、2年間の実務経験がなくても社会保険労務士(社労士)を名乗って働くことができます。
ただし、社会保険労務士(社労士)の事務指定講習には次の注意点がありますのできちんと確認しておきましょう。
- 受講料として75,600円(税込)を支払わないといけない
- 通信指導過程は所定の期間内に研究課題を提出する必要あり
- 4日間の面接指導を全ての日程で受講する必要あり
- 面接指導の会場は「東京」「愛知」「大阪」「福岡」の4都市のみ
高額な受講料と連続4日間の面接指導は、社会保険労務士(社労士)の事務指定講習のネックですね。
事務指定講習について更に詳しくは、下記の記事にも説明しています。よろしければチェックしてみてください。
まとめ
社会保険労務士(社労士)は学歴や国家試験合格の要件を満たしていれば、実務経験なしでも試験を受けられます。
しかし、社会保険労務士(社労士)の試験に合格してから登録する場合は、2年間の実務経験が必要です。
2年間の実務経験を満たせる事務指定講習も社労士会連合会では実施されていますので、これから社会保険労務士(社労士)を目指す方も頭の片隅に入れておきましょう。