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中小企業診断士試験

2次試験事例1(組織・人事の事例)の対策と勉強方法を徹底解説!

中小企業診断士 2次試験事例Ⅰ

こんにちは、トシゾーです。

今回は、中小企業診断士の二次試験 事例Ⅰ(事例1)の勉強法や解法について説明します。

事例Ⅰは、正確には「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」という名称であり、略して「組織・人事の事例」といわれます。

この「組織・人事」というテーマですが、事例Ⅰ~事例Ⅳの中で、診断士受験生以外の一般の方にも、もっとも身近なテーマといえるでしょう。

なぜなら、ほとんどの方が「会社や学校」といった何らかの組織に属しており、

「組織とはどのようなものであるか」

ということを、少なくとも、自分の経験上から、何かしら語れる(意見を持っている)からです。

人事についても同様でしょう。

そのため、一見、事例Ⅰは「もっとも取り組みやすい課題」と考えている方も多いのですが、実は、各資格スクールが発表する模範解答の内容にも幅が出やすい、なんとも

「全体像の捉えにくい事例」

なのです。

そのため、上級者(試験合格者)でも、事例Ⅰで安定して高得点を取ることは難しいとされています。

しかし、必要以上に怖れることはありません。

この記事で説明する勉強法や解法のポイントを頭に入れれば、60点の合格点以上を確保することは、決して難しくありません。

本格的に事例Ⅰの勉強を始める前に、ぜひ、この記事を読んで頂きたいと思います。

なぜ、事例Ⅰは全体像が捉えにくいのか?

まず、なぜ事例Ⅰは「全体像が捉えにくい事例」と言われるのか、その理由について説明します。結論から言えば、以下に集約されます。

「与件文に、意図的に書かれていない(隠している)情報がある」

つまり、あなたが事例Ⅰを解答する際には、与件文をしっかり読み込んで、出題者の意図を読み取り、書かれていない情報を補完して解答文を書く必要があるのです。

事例Ⅰの模範解答の内容が、資格スクールによって幅がある(バラける)理由も、ここにあると考えています。

それでは、なぜ、事例Ⅰの与件文に隠された情報があるのでしょうか。

理由は2つあります。

1つ目は、前述のとおり、「組織・人事」のテーマは我々にとって身近なものであるため、情報を隠すことなく丁寧な与件文を用意すれば、多くの受験者がそれなりの解答を作成してしまう恐れがあるからです。つまり、試験解答の差がつきにくくなるため、意図的に情報を隠した出題をしていると考えられます。

2つ目の理由は、「組織・人事」というテーマ故、比較的規模が大きい企業が対象(与件企業)となりやすいことにあります。というのも、「組織形態の変更を行う」というのは、ある程度規模の大きい企業でないと現実味がありません。そして、規模が大きい企業の場合、経営に影響を与える要因が様々にあるはずですが、限られた文字数の与件文では、それらすべてを表現しきれないのです。こちらは、やむを得ず、限られた情報での与件文になっている、と言えるでしょう。

以上が、事例Ⅰの与件文に隠された情報がある理由ですが、二次試験を受験するあなたにとって大切なことは

「与件に隠された情報があることを意識し、適切な対策を行うこと」

となります。

そして、そのための対策が、後述する

「設問文を読む際に、仮説検証思考で、解答の方向性を考える」

となります。

二次試験 事例Ⅰ(組織・人事の事例)の試験対策

中小企業診断士二次試験の事例Ⅰでは、人事を含む組織に関するテーマを中心に、経営戦略や経営管理に関する内容が出題されます。

つまり、事例Ⅰで求められているのは、

「経営戦略の策定・実行や経営の管理を適切に行うことを目標に、組織や人事の施策を手段として導入する」

ということです。

そして、事例Ⅰで解答と関係する組織・人事の施策のバリエーションは、ある程度、決まっています。

ここでは、組織・人事のハード面とソフト面に分けて説明しましょう。

まず、組織・人事のハード面には、「組織構造」「人事制度」があります。

組織構造に関わる施策としては、以下のようなものがあります。

  • 機能別組織や事業部制など、適切な形態へ変更する
  • プロジェクト組織のような時限的組織を追加する など

また、人事制度に関わる施策としては、以下のようなものがあります。

  • 目標管理制度や成果主義を導入する
  • 教育制度(OJT・Off-JT、e-ラーニングなど)を導入する
  • 表彰制度を導入する など

つづいて、組織・人事のソフト面としては、「組織文化」や「能力向上」、「モチベーション向上」が挙げられます。

これらに関連する事項としては、以下のようなものがあります。

  • 標準化・マニュアル化
  • 権限移譲、職務拡大
  • 自己啓発の推進

以上のようなハード面・ソフト面の施策を確実に理解・記憶(=あなたの血肉に)しておき、解答時に、瞬時に使いこなせることが、有効な試験対策となるのです。

二次試験 事例Ⅰの解答方法(解法のポイントと順番)

ここでは、事例Ⅰを解答する際に押さえるべきポイントを説明します。

組織・人事の問題として解答する

設問では、経営戦略や経営管理のために有効な施策を問われますが、その際、知識としてマーケティング施策や生産管理の施策を知っていると、それらの知識で解答を書いてしまうケースがあります。

たとえば、

「A社の売上を伸ばすために必要な施策は何か」

という主旨で問われた場合、売上向上=マーケティング的な施策が有効、と考えてしまう気持ちは分からないでもありません。

しかし、事例Ⅰは、あくまで「組織・人事の事例」ですから、

「本当に組織・人事の施策でできることはないのか」

を、まずは考え、追求することが重要です。

問題解法の適切な順番を押さえる

試験問題を解くにあたり、最初にやるべきことは、与件文を読むことではありません。

正しくは、

①設問を読む、②与件文を読む、③解答の方向性を考える、④解答を書く

という順番になります。

最初に与件文を読んでしまうと、次に設問を読んでから再度、与件文を読み、設問に関係ある部分を探すことなってしまいます。

これでは時間のロスが大きくなってしまいます。

時間のロスを無くすためには、まずは設問を読み、続いて与件文を読みながら、各設問に関係ある部分をチェックしていくことが定石となります。

設問を読むだけで、仮説検証思考で解答の方向性を考える

最初に設問を読む際には、「最終的な解答はどのようなものであるか」、その方向性を考えます。

つまり、与件文を読む前に、設問を読むだけで「解答の方向性が2~3パターン思い浮かぶ」ような状態になることを目指します。

たとえば、

「A 社はなぜ海外進出をすると言う 意思決定をしたのか」

という設問に対し、3つ程度の方向性を、あらかじめ仮説として挙げておきます。

  • 「自社の元請け会社が海外進出するため、それについて行く」
  • 「国内の需要が縮小したため」
  • 「海外の新しい需要を取り込むため」

などの方向性が考えられるでしょう。そして、このうちどれが正しいかは与件文を読むことによって判断します。

以上のように設問を読む段階で仮説として解答の方向性を考え、実際に与件文を読んで、どれが正しいか(或いは別の解答があるか)を検証するのです。

これにより、焦点を絞って解答案を考えることができます。

さらに、焦点を絞って考えることにより、隠された事実に気がつきやすくなるというメリットもあります。なぜならば、漫然と与件文を読むよりも、仮説を持って与件文を読んだ方が、その仮説に関連する事項に、脳が反応しやすくなるからです。

もちろん、試験解答時間の短縮も図れます。

ぜひ、あなたも仮説検証思考を持って、事例にあたるようにしてください。

色付きマーカーをSWOTに使わない

よく色付きのマーカーを使って、SWOTの各要素を塗り分けることがあります。たとえば、強みは赤、弱みが青でマークするなどです。

しかし、これは適切ではありません。というのも、強み・弱み、というものは文脈によって変わるからです。

たとえば、「A 社の営業は個人的能力が高く一匹狼的な営業部員が多い」という事実があったとします。

はたして、この事実は、A社にとって強みでしょうか、弱みでしょうか。

単純に「営業力が強い」という意味では、強みかも知れません。 しかし、「今後営業力を伸ばすのに営業を標準化し、チーム力を高める」ということが前提にあった場合は、弱みと考えられるかも知れません。

このように強み・弱みなどのSWOTの要素は、文脈により変わってしまうのです。これが、SWOTでマークをすることが適切ではない理由です。

それでは、色付きマーカーはどのように使うべきでしょうか。もっとも有効な使い方は

「与件文において、それぞれに設問に関係ある部分に、色を変えてマークしていく」

これが有効な色付きマーカーの利用法です。たとえば、設問1に関係する箇所は赤でマークする、設問2に関係する箇所は青でマークする、などです。

このようにすることにより、与件を読み終え、再度、設問に戻った際、

「それぞれの設問に関係のある部分が、与件のどこにあるか」

が、一目で分かります。 この方法も時間の短縮に非常に有効に働くことになるのです。

解答を書くために、有効なポイント

解答を書く際に、文字数がネックになることがあります。これに対しては、ある用語をいくつかの別の用語に置き換えて表現できると非常に便利です。

たとえば、「プロモーション」は「販促」という用語に置き換えることができますし、「モチベーション」を「やる気」という風に置きかえても良いかも知れません。

このように、限られた文字数で言いたいことを伝えるには、別の言い回しのバリエーションを予め考えておくことが有効です。

二次試験 事例Ⅰ(組織・人事の事例)の概要 <まとめ>

ここまで、中小企業診断士 二次試験 事例Ⅰ(組織・人事の事例)の勉強法、試験対策、解法のポイントについて説明してきました。

前述のとおり、事例Ⅰは、「全体像の捉えにくい事例」「安定して高得点を取ることが難しい」と言われています。

ただ、それだけに、この記事で説明した対策を実施すれば、他の受験生に比べ、出題者の意図に沿った解答を作りやすくなるはずです。

ぜひ、あなたも参考にして、活用してみてください。

なお二次試験の対策と勉強法の総合版は、次の記事を参考にしてください。

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