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こんにちは、トシゾーです。
今回は、中小企業診断士 2次試験の事例Ⅰ(事例1)について、出題傾向・与件文の読み方・組織人事の定石・80分の解答プロセスを、受験生目線で整理します。
結論から言うと、事例Ⅰは「全体像が捉えにくい」と言われますが、与件文を根拠に、組織・人事の定石で一貫させれば、合格点の60点は十分にねらえます。
事例Ⅰは、正確には「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」という名称で、略して「組織・人事の事例」と呼ばれます。
- 正式:「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ」=組織(人事を含む)を中心とした戦略・管理の事例。
- 時間/配点:80分/100点(2次は筆記4事例×各80分)。
- 設問数の目安:4〜5問(現状分析→要因→施策の流れが基本)。
- 頻出テーマ:組織構造(機能別/事業部/プロジェクト)、人事制度(MBO・評価・報酬・育成)、権限移譲・標準化・モチベーションなど。
- ゴール:“組織・人事を手段に経営課題を解く”答案を、根拠は与件文で一貫させること。
なお、中小企業診断士の2次試験は、筆記4事例(事例Ⅰ〜Ⅳ)のみです。令和8年度(2026年)から第2次試験の口述試験は廃止されたため、本記事も筆記での得点に集中して解説します。
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なぜ中小企業診断士 2次 事例Ⅰは「全体像が捉えにくい」のか
まず、なぜ事例Ⅰは「全体像が捉えにくい事例」と言われるのか、その理由を押さえましょう。結論はシンプルです。
「与件文に、意図的に書かれていない(隠している)情報がある」
つまり事例Ⅰでは、与件文をしっかり読み込み、出題者の意図を読み取って、書かれていない情報を補いながら解答を組み立てる必要があります。
模範解答が資格スクールによってバラつきやすいのも、この「隠された情報」が理由だと考えています。
では、なぜ事例Ⅰの与件文には隠された情報があるのでしょうか。理由は2つあります。
- 理由1:テーマが身近だから。組織・人事は誰もが何かしら経験を語れるテーマです。情報を丁寧に書きすぎると多くの受験生がそれなりの解答を書けてしまい、差がつきません。そのため意図的に情報を絞っていると考えられます。
- 理由2:規模の大きい企業が対象になりやすいから。「組織形態の変更」はある程度の規模がないと現実味がありません。規模が大きい企業は経営に影響する要因が多く、限られた文字数の与件文ではすべてを書ききれない。やむを得ず情報が絞られる、という側面もあります。
受験生にとって大切なのは、次の意識です。
「与件に隠された情報があることを意識し、適切な対策を行う」
その具体策が、後述する
「設問文を読む段階で、仮説検証思考で解答の方向性を考える」
です。次の章から、出題傾向と定石、そして80分の解法プロセスへと順番に見ていきましょう。
中小企業診断士 2次 事例Ⅰの出題傾向と頻出テーマ
事例Ⅰの設問は、事例企業の「過去・現在・未来」を行き来しながら問われます。出題の流れをつかむと、何を聞かれているのかが見えやすくなります。
- 過去を問う設問:これまでの経緯から、A社の強み・弱みや成功・失敗の要因を分析させる。
- 現在を問う設問:いまの組織体制・人材面の課題を読み取らせる。
- 未来を問う設問:あるべき姿に向けた施策(助言)を、対象と効果まで含めて書かせる。
設問のタイプによって、答案で書くべき中身も変わります。過去なら「要因」、現在なら「課題」、未来なら「施策+対象+効果」——この対応を意識するだけで、的外れな解答を避けやすくなります。
次に、事例Ⅰの頻出テーマです。事例Ⅰ(組織・人事)に絞ると、出題の柱はある程度決まっています。
- 組織構造:機能別組織/事業部制/プロジェクト組織など、形態の変更。
- 人事制度:目標管理(MBO)・評価・報酬・育成(採用/配置を含む)。
- 組織の動かし方:権限移譲、標準化・マニュアル化、モチベーション向上。
これらは、事例Ⅱ(マーケティング・流通)、事例Ⅲ(生産・技術)、事例Ⅳ(財務・会計)とは切り口がまったく異なります。事例Ⅰの答案は、あくまで「組織・人事」の土俵で考えるのが大原則です。他の事例の論点を混ぜないようにしましょう。なお、事例Ⅱの対策は事例Ⅱ(マーケティング・流通の事例)の解き方で別途解説しています。
ここで挙げた傾向はあくまで傾向・目安です。年度によって問われ方は変わるため、最終的には過去問で出題のクセを確かめてください。
事例Ⅰの定石|組織・人事の施策バリエーション(ハード面とソフト面)
事例Ⅰで求められているのは、ひと言でいえば次のことです。
「経営戦略の策定・実行や経営の管理を達成するために、組織や人事の施策を“手段”として導入する」
そして、事例Ⅰの解答に使える組織・人事の施策は、ある程度パターンが決まっています。ここではハード面とソフト面に分けて整理します。これが、答案の引き出しになる「定石」です。
まず、ハード面には「組織構造」と「人事制度」があります。
組織構造に関わる施策には、次のようなものがあります。
- 機能別組織や事業部制など、適切な形態へ変更する
- プロジェクト組織のような時限的組織を追加する など
人事制度に関わる施策には、次のようなものがあります(人的資源管理は採用・育成・評価・配置・報酬の切り口で押さえると整理しやすいです)。
- 目標管理制度や成果主義を導入する
- 教育制度(OJT・Off-JT、e-ラーニングなど)を導入する
- 表彰制度を導入する など
つづいてソフト面は、「組織文化」「能力向上」「モチベーション向上」が中心です。関連する施策には次のようなものがあります。
- 標準化・マニュアル化
- 権限移譲、職務拡大
- 自己啓発の推進
これらハード面・ソフト面の施策を確実に理解・記憶し、解答時に瞬時に引き出せる状態(=自分の血肉)にしておくことが、もっとも有効な事例Ⅰ対策になります。
中小企業診断士 2次 事例Ⅰの解法プロセス(80分の解答手順)
ここからは、80分のなかで事例Ⅰをどう解くか、押さえるべきポイントを5つに分けて説明します。
①組織・人事の問題として解答する(マーケ・生産の施策に逃げない)
事例Ⅰでは経営戦略・経営管理に有効な施策が問われますが、ついマーケティングや生産管理の知識で答えてしまうことがあります。
たとえば「A社の売上を伸ばすために必要な施策は何か」と問われると、「売上向上=マーケ施策」と考えたくなる気持ちは分かります。
しかし事例Ⅰは、あくまで「組織・人事の事例」です。まずは
「本当に組織・人事の施策でできることはないか」
を考え、追求するのが基本姿勢です。
②解法の順番を固定する=設問→与件→方向性→記述(最初に与件を読まない)
試験で最初にやるべきことは、与件文を読むことではありません。正しい順番は次のとおりです。
①設問を読む → ②与件文を読む → ③解答の方向性を考える → ④解答を書く
いきなり与件文から読むと、設問を読んだあとに「設問に関係する部分」を探してもう一度与件を読み直すことになり、時間をロスします。まず設問を読み、続いて与件を読みながら各設問に関係する箇所をチェックしていく——これが定石です。
③設問を読むだけで仮説検証思考で解答の方向性を2〜3パターン用意する
設問を読む段階で、「最終的な解答はどんな形か」を考えます。与件を読む前に、設問だけで解答の方向性が2〜3パターン思い浮かぶ状態を目指しましょう。
このとき、問われていることを一文で言い換え、制約条件・時制(過去/現在/未来)・解答対象を確認しておくと、ブレません。
たとえば「A社はなぜ海外進出という意思決定をしたのか」という設問なら、あらかじめ次のような仮説を立てておきます。
- 「自社の元請け会社が海外進出するため、それについて行く」
- 「国内の需要が縮小したため」
- 「海外の新しい需要を取り込むため」
どれが正しいかは、与件文を読んで検証します。仮説を持って与件を読むと、その仮説に関連する記述に脳が反応しやすくなり、隠された事実にも気づきやすくなります。焦点が絞れるぶん、解答時間の短縮にもつながります。
④色付きマーカーはSWOTでなく「設問対応づけ」に使う
強みは赤、弱みは青——のように、SWOTの要素でマーカーを塗り分ける人がいますが、これはおすすめしません。強み・弱みは文脈によって変わるからです。
たとえば「A社の営業は個人的能力が高く、一匹狼的な営業部員が多い」という事実。これは強みでしょうか、弱みでしょうか。営業力が高い意味では強みですが、「今後は標準化してチーム力を高めたい」という前提なら弱みにもなり得ます。
そこで、マーカーの有効な使い方はこちらです。
「与件文のうち、それぞれの設問に関係する部分を、色を変えてマークしていく」
設問1は赤、設問2は青、という具合です。こうしておくと、与件を読み終えて設問に戻ったとき、どの設問の根拠が与件のどこにあるかが一目で分かり、時間短縮に効きます。
⑤限られた文字数で伝える言い換えのバリエーションを準備する
解答では文字数がネックになりがちです。そこで、ある用語を短い別の用語に置き換える引き出しを持っておくと便利です。
たとえば「プロモーション」は「販促」、「モチベーション」は「やる気」と置き換えられます。限られた字数で言いたいことを伝えるために、言い回しのバリエーションをあらかじめ用意しておきましょう。
中小企業診断士 2次 事例Ⅰの勉強法|過去問の使い方と注意点
事例Ⅰの実力は、過去問演習で伸びます。知識を入れたら、あとは「与件根拠で一貫させる」練習をどれだけ積めるかが勝負です。過去問の回し方のポイントを整理します。
- 初回は本番同様に時間を測る。80分の感覚を体に入れます。
- 2回目以降は設問分析を深める。設問の言い換え・時制・解答対象を毎回ていねいに確認します。
- 解答例・模範解答・再現答案を使い分ける。模範解答はスクールごとにバラつくので、1つを正解視せず「与件のどこを根拠にしたか」を比べます。
- 過去問はPDFで管理する。診断協会が公開する過去問のPDFや、各スクールの解答例PDFを年度ごとに整理しておくと、復習がはかどります。
- 答案を他人に読んでもらう。事例Ⅰは「伝わりにくい表現」になりがち。第三者(合格者や他の受験者)に読んでもらい、因果が伝わるかを確認すると一気に改善します。
書いた答案は、次のセルフ添削チェックリストで振り返ると効果的です。
- 設問要求に真正面から答えているか(理由を聞かれて施策を書いていないか)。
- 与件文の根拠が解答に反映されているか。
- 組織・人事の視点から外れていないか(マーケ・生産に逃げていないか)。
- 因果関係が読み手に伝わるか。
採点はせず、「次はここを直す」という改善点として記録していくと、伸びが安定します。
過去問演習の具体的な進め方は中小企業診断士の過去問の活用法を、2次試験全体の戦略は中小企業診断士 2次試験の対策と勉強法(総合版)もあわせて参考にしてください。
よくある質問(Q&A)|中小企業診断士 2次 事例Ⅰの不安を整理する
最後に、事例Ⅰでよくある疑問に答えておきます。
Q1. 事例Ⅰは難しい?安定して高得点は取れる?
事例Ⅰは「全体像が捉えにくい」ため、上級者でも得点がブレやすい事例です。安定して高得点を狙うのは簡単ではありません。
ただし、与件根拠+組織・人事の定石で一貫させれば、合格ラインの60点前後は十分にねらえます。満点ではなく「他の受験生に差をつけられない答案」を着実に積み上げる意識で十分です(得点は年度・採点により変わるため、あくまで目安です)。
Q2. 事例Ⅰだけ対策すればいい?
いいえ。2次試験は筆記4事例(事例Ⅰ〜Ⅳ)の総合得点で合否が決まります。令和8年度(2026年)から口述試験は廃止され、2次は筆記4事例のみになりました。事例Ⅰだけでなく、4事例をバランスよく仕上げる必要があります。
事例Ⅱ以降は切り口が異なるので、別記事で対策してください。たとえば事例Ⅱ(マーケティング・流通の事例)の解き方が参考になります。
Q3. フレームワーク(SWOTなど)はどう使う?
SWOTで与件を塗り分ける使い方はおすすめしません(強み・弱みは文脈で変わるため)。マーカーは「設問ごとに関係する与件箇所を色分けする」ために使いましょう。フレームワークは“分類の道具”ではなく、設問に答えるための“着眼の補助”と考えると活きてきます。
なお「事例Ⅰは受かる気がしない」と感じる方も多いですが、それは事例Ⅰの構造的な難しさであって、あなたの実力不足とは限りません。本記事の対策で十分に巻き返せます。
まとめ|与件を根拠に「組織・人事を手段に経営課題を解く」を徹底する
ここまで、中小企業診断士 2次 事例Ⅰ(組織・人事)の出題傾向・定石・解法・勉強法を解説してきました。最後に要点を3つに整理します。
- 与件根拠で一貫させる:事例Ⅰは隠された情報を補いつつ、必ず与件文を根拠に答える。
- 解法の順番を固定する:設問→与件→方向性→記述。最初に与件から読まない。
- 組織・人事の定石を引き出しにする:ハード面(組織構造・人事制度)とソフト面(文化・能力・モチベーション)を瞬時に使えるようにする。
事例Ⅰは「全体像が捉えにくい」「安定して高得点が難しい」と言われますが、だからこそ、この記事の対策を実践すれば、出題者の意図に沿った答案を作りやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。
さらに学習を進めたい方は、次の記事もどうぞ。
- 2次試験全体の戦略:中小企業診断士 2次試験の対策と勉強法(総合版)
- 他事例の対策:事例Ⅱ(マーケティング・流通の事例)の解き方
- 過去問の活用法:中小企業診断士の過去問の使い方
- 受験全体の進め方:中小企業診断士のキャリア全体ロードマップ
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試験に関する最新情報を始め、難関資格である診断士試験を攻略するための「最速合格」ノウハウが詰まっています。
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