FP2級・3級の「相続・事業承継」は難しい?勉強方法のポイントを分かりやすく説明!

FP2級・3級の「相続・事業承継」

「FP試験の『相続・事業承継』って、なんだか難しそう……」

「相続税の計算とか、贈与税とか、覚えることが多くて苦手……」

FP2級・3級を目指すあなたが、いま相続・事業承継の科目でつまずいているなら、それはとても自然なことです。

なぜなら、相続・事業承継は、ファイナンシャルプランナーの6科目のなかでも、多くの受験生が「いちばん難しい」と感じる科目だからです。

相続そのものは、一生のうちに何度も経験するものではありません。だからこそ、その手続きや税制をきちんと理解している人は多くなく、はじめて学ぶときに「とっつきにくい」と感じやすいのです。

しかし、相続は、財産の多い少ないに関係なく発生します

誰かが亡くなったとき、その人の名義の財産があり、それを引き継ぐ人(相続人)がいれば、必ず相続が発生します。そして一定額以上の財産が残されていれば、相続税の納税が必要になることもあります。

先に結論からお伝えします。

相続・事業承継は「出題されるポイントがある程度決まっている科目」です。頻出論点を基本に忠実にひとつずつ押さえていけば、初学者でも十分に合格点が取れます。

必要以上に恐れる必要はありません。

この記事では、相続が苦手なあなたに向けて、

  • 相続・事業承継で「何を学ぶのか」という全体像
  • 法定相続人・相続分・基礎控除といった頻出論点の押さえ方
  • 贈与税・事業承継税制など「年度で変わりやすい論点」との付き合い方
  • 暗記に頼らない勉強法とひっかけ対策

を、学習の「目安」としてわかりやすく整理しました。

なお、ひとつだけ先にお願いがあります。相続・贈与の税制は、改正がとても多い分野です。基礎控除額・税率・各種特例(事業承継税制など)の具体的な数値は、年度によって変わることがあります。本記事の数値はあくまで「学習の目安」としてお読みいただき、実際の試験対策では必ず国税庁や受験する団体の最新の公式情報で確認するようにしてくださいね。

それでは、まず「相続・事業承継とは、そもそもどんな科目なのか」というところから見ていきましょう。

 

 

目次

FP試験の「相続・事業承継」とは?|6科目のなかで最難関と言われる理由

まず、「FPの相続・事業承継では、いったい何を学ぶのか」という全体像から整理しておきましょう。

この科目では、相続の手続き、財産の配分である相続分遺言書の作成といった「相続のルール」に加えて、相続税の計算の手順を学びます。

さらに、生前に財産を譲る「贈与(贈与税)」や、相続時の節税を中心とする「相続対策」「事業承継対策」まで、扱う論点は幅広く、ひとつひとつが奥深いのが特徴です。

たとえば遺言ひとつをとっても、できるだけ争いが起きないよう作成手続きが厳格に決められていますし、配偶者や子・直系尊属などには「最低限これだけは確保できる」という取り分(遺留分)が認められています。テレビドラマで描かれるような「愛人が全財産を相続する」といった遺言も、遺留分権利者がいれば遺留分侵害額請求の対象になり得るため、そのとおりに通るとは限りません。こうした「相続のルール」を学ぶのが、この科目の入り口なのですね。

このように、相続・事業承継は「複雑で、普段あまり考えることのない論点」が多い科目です。民法(法律)と税法の両方が絡み、しかも相続税の計算といった「数字を動かす問題」まで出てきます。用語も「借地権・貸宅地・貸家建付地」のように紛らわしいものが多く、はじめは「とっつきにくい」と感じやすい――それが「FPで最難関」と言われる理由になっています。日常で何度も経験するものではないぶん、イメージがわきにくいのも、苦手意識につながりやすいポイントですね。

FPは相続対策の「提案」はできるが、税務申告や登記は専門家の領域

ここで、ひとつ大事な線引きをお伝えしておきます。

「FPで相続対策はできますか?」とよく聞かれますが、答えは「相続・事業承継の知識をもとに、対策の提案やコーディネートはできる」です。顧客の状況を整理し、「こういう選択肢がありますよ」と道筋を示すのは、まさにFPの役割です。

ただし、具体的な税務申告(税理士の独占業務)や、不動産登記(司法書士の独占業務)、法律上の代理(弁護士の領域)などは、FP単独では行えません。実際の手続きは、それぞれの専門家と連携して進めることになります。「どこまでがFPの仕事で、どこからが専門家の仕事か」という線引きは、試験でも実務でも意識しておきたいポイントです。

本記事の主題は「FP技能士2級・3級」|AFP・CFPとは別物

なお、この記事で扱うのはFP2級・3級=「FP技能士」の試験対策です。

FP技能士は国家資格で、1級・2級・3級があり、一度合格すれば更新は不要です。一方、よく似た名前のAFP・CFP®は、日本FP協会が認定する民間資格で、こちらは登録制となっており、継続教育によって2年ごとに更新する必要があります(CFP®はその上位に位置づけられる国際資格です)。

「FP技能士=更新不要」「AFP・CFP®=2年ごとに更新」――この違いはよく混同されがちなので、頭の片隅に置いておきましょう。

FP2級・3級の試験科目と「相続・事業承継」の位置づけ|2級と3級で出題の深さが違う

相続・事業承継は、FP技能検定の試験科目のひとつです。

まず、FP2級・3級の試験科目は、以下のとおり基本的に同一です。

ただし、試験科目は同じでも、それぞれの科目から出題される内容の「深さ」が、2級と3級では大きく異なりますので注意してください。

FP3級では、個人や個人事業主に対する内容が主ですが、2級では、中小事業者(中小企業、法人など)に対するファイナンシャルプランニングの内容も扱います。

カンタンにいえば、

個人相手のFPが3級、個人に加えて会社の相手もできるFPが2級

というイメージです。試験科目が同じでも、問われる内容の深さに大きな差があることが実感できると思います。

2級と事業承継の関係|学科ではおおむね10題前後が出題される

「FP2級と事業承継は、どう関係するの?」という疑問にお答えします。

学科試験では、相続・事業承継の分野からおおむね10題前後が出題される傾向にあります(出題数は回や実技の選択科目によって変わりうるため、最新は各団体の公式情報でご確認ください)。

その内訳を、過去の出題傾向から大づかみにすると、

  • 3級:贈与・相続に関する基本的な論点が中心
  • 2級:贈与・相続が中心であることは同じだが、加えて相続対策・事業承継対策も問われる

という違いがあります。どちらの級でも、「贈与・相続」が最重要であることは間違いありません。まずはここを軸に学習を組み立てると効率的です。

FP3級は2024年度・FP2級は2025年度(2025年4月)からCBT方式に移行している

学習を始める前に、試験の「受け方」についても押さえておきましょう。

FP3級は2024年度(2024年4月)から、FP2級は2025年度(2025年4月)から、学科・実技ともにCBT方式(テストセンターのパソコンで受ける方式)に移行し、従来の年3回のペーパー試験は終了しました。これにより、現在は3級・2級とも全国で随時(通年で)受検できるようになっています。

また、FP技能検定は日本FP協会(jafp.or.jp)と金融財政事情研究会(きんざい)(kinzai.or.jp)の2団体が実施しており、学科は共通問題実技は団体や選択科目によって異なる(協会は「資産設計提案業務」、きんざいは「個人資産相談業務」など)という点も覚えておくと安心です。

試験方式や出題数の細かいルールは改定されることがあるので、申込みの前に必ず受験する団体の公式サイトで最新情報を確認してくださいね。

相続・事業承継の出題範囲(全体像)|2級だけの論点はどこか

それでは、相続・事業承継の具体的な出題範囲を見ていきましょう。

ファイナンシャルプランナーの試験で出題される「相続・事業承継」の出題範囲は、以下のとおりです。

相続・事業承継

  1. 贈与と法律
  2. 贈与と税金
  3. 相続と法律
  4. 相続と税金
  5. 相続財産の評価(不動産以外)
  6. 相続財産の評価(不動産)
  7. 不動産の相続対策
  8. 相続と保険の活用
  9. 事業承継対策
  10. 事業と経営
  11. 相続・事業承継の最新の動向

上記のうち、黒文字の部分(1〜8、11)は2級・3級で共通の出題範囲赤字(9、10)は2級のみの出題範囲です。

こうして並べてみると、論点の多さに圧倒されるかもしれません。でも、ここで大切なのは「全部を完璧にしようとしないこと」です。

合格に必要なのは満点ではなく、合格点(学科・実技とも、おおむね6割が一つの目安と言われています。合格基準は変わることがあるので最新は公式でご確認ください)。頻出論点から優先的に潰していくのが、相続・事業承継を攻略する王道です。次の章で、その「頻出論点」を具体的に見ていきましょう。

ここが頻出!相続・事業承継の重要論点|法定相続人・相続分・基礎控除を最優先で押さえる

相続・事業承継の分野でも、100点満点を狙うのではなく、合格点を確実に取りきる戦略を取るべきです。

そこで、まずは2級・3級共通の頻出論点を見てみましょう。

<2級・3級共通の頻出の論点>

  • 相続と法律
  • 相続と税金
  • 贈与と税金
  • 相続財産の評価(不動産)

このとおり、贈与・相続の関連が頻出です。さらに2級では、これらに加えて「相続対策・事業承継対策」も近年は毎回のように出題されています(出題傾向は変わりうるため目安としてとらえてください)。

それでは、上記の頻出論点について、ひとつずつ勉強のポイントを見ていきましょう。

①相続と法律|「誰が・どれだけ相続するか」を最優先で固める

ここでは、法定相続人の定義と相続順位、相続分に関する事項が最重要です。

わかりやすく言うと、人が亡くなったときに「誰が相続人になるのか」「相続できる順番は?」「どれくらい遺産をもらえるのか?」というルールです。これらは民法の規定です。

法定相続人の順位を整理すると、

  • 配偶者:常に相続人になる
  • 第1順位:子(子がいない場合は孫などの直系卑属)
  • 第2順位:直系尊属(父母など)
  • 第3順位:兄弟姉妹

となります。それぞれの立場によって相続順位や法定相続分が異なりますから、しっかり押さえておきましょう。

なお、相続を取り巻く制度は近年も変化しています。たとえば2024年(令和6年)4月から相続登記が義務化されるなど、周辺ルールの改正も続いています。こうした「制度の変化」もFP的な知識として時々アップデートしておくと安心です(最新の制度は公式情報でご確認ください)。

②相続と税金|相続税の計算の「流れ」と基礎控除を押さえる

ここは、何と言っても相続税の計算が最重要です。相続・事業承継の科目の「ヤマ」とも言える部分なので、繰り返し手を動かして覚えましょう。

相続税の計算は、おおまかに次の流れで進みます。

  1. 各人の課税価格を求める(財産から非課税財産・葬式費用・債務などを差し引く)
  2. 課税価格の合計から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求める
  3. 法定相続分で按分し、税率をかけて相続税の総額を計算する
  4. 実際の取得割合に応じて各人の納付税額を算出する

このうち、試験で頻出なのが基礎控除額です。現行の基礎控除額は、

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

という算式で計算します(平成27年の改正で、それ以前より引き下げられました)。たとえば法定相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3=4,800万円が基礎控除額となります。

もうひとつ重要なのが配偶者の税額軽減です。これは、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、配偶者に相続税がかからないという制度です。

ここで定番のひっかけがあります。この軽減を使って相続税額がゼロになった場合でも、相続税の申告そのものは必要です。「税額が0なら申告も不要」と思い込むと失点しますので注意してください。

※基礎控除額・税率・配偶者の税額軽減の取扱いは、税制改正で変わることがあります。試験対策では必ず国税庁の最新情報で数値を確認してください。

③贈与と税金|暦年課税と相続時精算課税の「2本柱」を整理する

ここでは、贈与税の非課税財産、そして暦年課税相続時精算課税制度の2本柱が最重要です。

暦年課税は、1年間(1月1日〜12月31日)に贈与を受けた財産に対して課税する方式で、年110万円の基礎控除があります。

相続時精算課税制度は、親(祖父母)から子(孫)へ生前贈与する財産と、その後に相続する遺産にかかる贈与税・相続税を通算するための仕組みです。一定の要件のもと、累計2,500万円までの特別控除があり、これを超える部分に一律20%の贈与税がかかります。

そして、この分野は近年の税制改正で大きく動いた論点なので、特に注意が必要です。

  • 相続時精算課税の年110万円の基礎控除(新設):令和6年(2024年)1月1日以後の贈与については、相続時精算課税を選んでも、暦年課税とは別に年110万円までの基礎控除が使えるようになりました。
  • 暦年課税の生前贈与加算の延長:相続が発生したとき、亡くなる前の一定期間の贈与は相続財産に加算されます。この加算対象期間が、令和6年1月1日以後の贈与については「相続開始前3年以内」から「7年以内」へ段階的に延長されました(延長された3年超7年以内の部分については、総額100万円までは加算されない緩和措置があります)。

このように、贈与の論点は改正が多く、数字や期間が変わりやすいのが特徴です。テキストや過去問が古いと改正前の内容のままになっていることもあるので、暦年課税・相続時精算課税まわりは必ず国税庁の最新情報で確認するようにしましょう。

④相続財産の評価(不動産)|宅地の上に存する権利の評価が頻出

ここでは、借地権・貸宅地・貸家建付地など、宅地の上に存する権利の評価が頻出です。

これらは名前が似ていて混乱しやすいので、「自分が土地を貸しているのか/借りているのか」「建物を貸しているのか」といった視点で、整理して対比しながら覚えると理解が進みます。

また、一定の要件を満たす宅地の評価額を大きく減額できる「小規模宅地等の特例」も重要論点です。居住用・事業用などで限度面積や減額割合が異なりますが、適用要件や割合は改正されることがあるため、枠組みを押さえたうえで詳細は公式情報で確認しましょう。

事業主が亡くなった場合、事業承継はどうなる?

「事業主(経営者)が亡くなったら、事業承継はどう進めればいいの?」という疑問も、この分野でよく問われます。

大きく分けると、(1)相続によって事業を引き継ぐケースと、(2)生前から計画的に事業承継対策(後継者の選定・自社株対策・納税資金の準備など)を進めておくケースがあります。

亡くなってから慌てるよりも、生前のうちに対策を整えておくほうがスムーズなのは言うまでもありません。この「生前の事業承継対策」と、その税制上の優遇(事業承継税制)については、次の章で詳しく見ていきます。なお、実際の手続きは状況によって大きく異なり、税理士やM&A専門家などとの連携が前提になる点も押さえておきましょう。

事業承継対策と事業承継税制(2級頻出)|一般措置と特例措置の違いを押さえる

ここからは、2級で出題される「事業承継対策」の領域です。3級ではあまり問われませんが、2級では相続対策・事業承継対策が学科で出題されるため、枠組みを押さえておきましょう。

そもそも「事業承継」とは?|会社を後継者へ引き継ぐこと

「事業承継とは、どういうことですか?」を一言でいえば、経営者が後継者へ、会社(自社株式・事業用資産・経営)を引き継ぐことです。

後継者を誰にするかによって、事業承継は大きく次の3つの類型に分けられます。

  • 親族内承継:子などの親族へ引き継ぐ
  • 従業員承継(社内承継):役員・従業員へ引き継ぐ
  • 第三者承継(M&Aなど):社外の第三者へ引き継ぐ

どの方法が最適かはケースによって異なります(個人事業主か法人かによっても、承継の進め方や手続きの考え方は変わってきます)。また、事業承継では「お金」の問題だけでなく、経営の承継(後継者の育成)資産の承継(自社株式・事業用資産)知的資産の承継(信用・ノウハウ・取引先との関係)という3つの要素をバランスよく引き継ぐことが大切だと言われています。

事業承継税制(一般措置と特例措置)の枠組み

事業承継で最も重い負担になりがちなのが、自社株式を引き継ぐときの贈与税・相続税です。これを軽減するために設けられているのが「法人版事業承継税制(非上場株式等の納税猶予・免除制度)」です。

これは、一定の要件のもとで、後継者が引き継ぐ非上場株式等にかかる贈与税・相続税の納税を猶予し、さらに後継者の死亡など一定の場合にはその納税が免除される制度です。

この制度には「一般措置」と「特例措置」の2つがあります。

  • 一般措置:恒久的な制度。納税猶予の対象となる株式数や猶予割合に一定の制限がある。
  • 特例措置:期間限定の制度として設けられたもので、対象株式数の制限が撤廃され、納税猶予割合が引き上げられるなど、一般措置より有利な内容になっている。ただし、適用を受けるには、あらかじめ「特例承継計画」を期限までに提出するなどの要件がある。

ここで重要なのは、特例措置は「期間限定」であり、適用期限や特例承継計画の提出期限が定められているという点です。

そして――この事業承継税制こそ、最も改正・延長が起こりやすい論点です。納税猶予割合の具体的な数値、適用期限、特例承継計画の提出期限、延長の有無などは、必ず中小企業庁・国税庁の最新の公式情報で確認してください。本記事ではあえて細かい期限の数値を断定せず、「枠組み」と「最新を公式確認する姿勢」をお伝えするにとどめます。

株価対策・生命保険の活用も「対策」の一部

事業承継対策では、自社株評価の引き下げ(株価対策)や、生命保険の活用もよく登場します。

生命保険は、納税資金の準備(相続税の納税原資)や、後継者以外の相続人へ渡す代償分割の原資として使われることがあります。保険を使う論点は、姉妹科目のリスク管理とも関係が深いので、あわせて学ぶと理解が深まります。

ただし、株価対策や保険活用の個別の税効果は、会社の状況によって大きく異なり、専門的な判断が必要です。FPは「こういう対策の選択肢があります」と提案・コーディネートはできますが、具体的な税務判断や手続きは税理士などの専門家と連携して進めるのが基本だと押さえておきましょう。

相続・事業承継の正しい勉強方法とコツ|暗記に頼らず「なぜ?」で理解する

ここまで論点を見てきて、「やっぱり覚えることが多い……」と感じたかもしれません。

たしかに、相続・事業承継は覚えるべき事項の多い科目です。でも、単純な丸暗記だけに頼ると、忘れやすくなりますし、勉強が無味乾燥に感じられて苦痛になってしまいます。

ポイントは、「少しずつでも、理解を増やしながら覚えること」です。具体的なコツを2つ紹介します。

「なぜ、そうなのか?」を問いかけながら覚える

「相続時精算課税制度の仕組み」や「非課税となる贈与」などは、「なぜ、そうなっているのか?」を自分なりに考えながら覚えると、グッと理解が進みます。

たとえば、

  • 相続時精算課税制度は、相続時に納税の精算を行うことで生前贈与をしやすくし、若い世代(相続人)がお金を使いやすくする=経済の活性化をねらった仕組み
  • お見舞い金やお祝い金に贈与税を課税しないのは、社会通念上、常識的な範囲のやりとりにまで課税するのは適切ではないから

といった具合に、「豆知識(トリビア)を増やすイメージ」で納得しながら学習すると、勉強そのものが楽しくなり、記憶にも残りやすくなりますよ。

出題されやすい「ひっかけ」ポイントをおさえる

FPの学科試験は、3級が○×式・三答択一式、2級が四答択一式といった選択式です(CBT方式では画面上で解答しますが、選択式である点は変わりません)。

こうした択一式では、「あれ?」と感じさせる、ひっかけのような選択肢がよく出題されます。

先ほども触れましたが、たとえば「配偶者の税額軽減」を利用して相続税額がゼロになったケース。このとき、

「配偶者の税額軽減を利用して相続税の額がゼロになった場合、相続税の申告は不要である」

という選択肢が出たら、答えは×です(軽減を受けるには申告が必要だからです)。

テキストを読んでいて「あれ?」「これは引っかけられそうだな」と感じた点は、その都度チェックしておく習慣をつけましょう。

過去問・問題集で「どう問われるか」を体感する

3級は基本的な事柄を押さえておけばOKですが、2級に合格するには、もう一歩踏み込んだ勉強が必要です。

「時間がないから」とテキストを読むだけで済ませてしまうと、「どのように出題されるか(出題形式)」がわからず、本番で力を出しきれません。一捻りも二捻りも加えた形で問われるため、過去問や問題集を解きながら、「何が問われているのか」を整理していくことが大切です。

過去問を繰り返すと、

「どんな論点が問われやすいのか」

「どのような表現で問われるのか」

が体感的にわかるようになります。頻出(相続と法律→相続と税金→贈与と税金→不動産評価)から優先的に潰し、計算問題は実際に手を動かして反復する――これが、相続・事業承継を得点源に変える近道です。

相続が苦手でも、大丈夫です。論点を絞って、頻出から潰していけば、この科目はむしろ得点源にできます。完璧主義を少しだけ手放して、「合格点を取りきる」ことに集中していきましょう。

独立してFP相談を受けたい人は、知識の「更新」も意識を

「個人事業主として(独立系FPとして)、相続・事業承継の相談を受けたい」と考えている人もいるでしょう。

その場合、FP技能士の資格に加えて、AFP・CFP®を取得して知識をアップデートし続けるのが役立ちます。ここで思い出してほしいのが、前述の「AFP・CFP®は2年ごとに継続教育で更新が必要」という点です。相続・贈与の税制は改正が多いからこそ、知識を継続的に最新へ更新していく姿勢が、実務でも信頼につながります(FP技能士そのものは更新不要ですが、知識のアップデートは別問題、というわけですね)。

相続・事業承継が苦手な人の学習サポート|苦手なら他科目とあわせて講座も選択肢

ここまで読んで、「やっぱり相続税の計算や不動産評価は手強そう……」と感じたなら、独学にこだわりすぎず、講座を活用するのもひとつの手です。

特に、相続税の計算や不動産の評価といった「数字を動かす論点」は、独学だとつまずきやすい部分です。図解や講義で「計算の流れ」を一度クリアに理解できると、その後の過去問演習がぐっと楽になります。もちろん独学で十分合格できる人も多いので、ここは自分の得意・不得意と相談して選んでくださいね。

FP講座の比較・選び方は、おすすめのFP講座をまとめた記事で詳しく解説しています。料金や教材は改定されることがあるので、最新は各講座の公式サイトでご確認くださいね。

相続とセットで学ぶと効率がいい科目

相続・事業承継は、ほかの科目と論点がつながっている部分が多いのも特徴です。回遊しながら学ぶと、理解が立体的になります。

そして、FP資格全体の進め方・学習ロードマップを確認したい人は、まずこちらを読んでおくと、自分が今どこを学んでいるのかが見えてきます。

FP資格の全体ロードマップ(学習の進め方)はこちら

まとめ|相続・事業承継は「頻出論点を基本に忠実に」で合格点が狙える

以上、FP試験の「相続・事業承継」について、勉強のポイントを整理しました。

最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。

  • 相続・事業承継はFPで最難関と言われる科目。でも、出題ポイントは決まっている
  • 頻出論点(法定相続人・相続分・相続税の計算・基礎控除・贈与税・不動産評価)から優先的に潰すのが攻略の王道
  • 暗記に頼らず「なぜ?」で理解し、過去問でひっかけと出題形式に慣れる
  • 相続が苦手でも、論点を絞れば得点源にできる。完璧主義は手放してOK

そして、何度もお伝えしてきた、いちばん大事なポイントをもう一度。

相続・贈与の税制は改正がとても多い分野です。基礎控除額・税率・各種特例(配偶者の税額軽減・相続時精算課税・小規模宅地等の特例・事業承継税制など)、そして生前贈与加算の期間やCBT移行後の試験ルールは、年度によって変わることがあります。本記事の数値はあくまで「学習の目安」です。試験対策では、必ず国税庁・日本FP協会(jafp.or.jp)・きんざい(kinzai.or.jp)などの最新の公式情報で確認してくださいね。

適切なファイナンシャルプランニングを顧客に提供するうえで、相続・事業承継の知識は欠かせません。ぜひこの科目を攻略して、顧客から信頼されるファイナンシャルプランナーを目指してください。

これから学ぶ方は、あわせて以下も参考にしてみてください。

講座選びで迷ったら、おすすめのFP講座まとめもあわせてチェックしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『Webマーケティング最強の1冊目』(千葉テレビ『モーニングこんぱす』で紹介)
『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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