目次
行政書士の開発許可申請に関する業務内容!
開発行為と開発許可
開発許可とは都市計画法で義務付けられている手続きで、建設物や特定工作物を建設する際に欠かせません。
開発許可の対象となる開発行為には以下のようなものです。
開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更(区画または形状または性質の変更)のことである
開発行為をしようとする者は、原則として、都道府県知事の許可(開発許可)を受けなければなりません。
また、特定工作物とは、以下のようなものとなります。
- 第一種特定工作物:コンクリートプラント、アスファルトプラントなど
- 第二種特定工作物:ゴルフコース、1ヘクタール以上の野球場・テニス場・遊園地・墓地など
以上が開発行為と開発許可の概要となりますが、開発許可が不要となる例外も様々なケースがあり、一般の方にとって、難解な制度となっています。
実は、「開発許可」については、宅建試験に出題範囲であり、宅建受験生にはお馴染みの分野です。
将来、開発許可の業務を手掛けたい行政書士受験生の方は、宅建の勉強も必要になってくると言えるでしょう。
行政書士と宅建のダブルライセンスについては、下記記事も参考にしてください。
https://gyousei-fight.com/gyousei-w-license/
開発許可申請と建築許可申請
以下では、行政書士の開発許可に関する2つの業務内容について簡単に解説していきます。
- 開発許可申請:建設に際して土地の区画形質の変更(開発行為)を伴うもの
- 建設許可申請:建設業法に基づいて建設工事を請け負う際の許可
行政書士は、権利・義務や事実関係の書類作成および申請のスペシャリストです。
開発許可申請や建設許可申請の手続きでは様々な書類を作成する必要がありますので、行政書士の得意分野と言っても過言ではありません。
また、行政書士の資格を取得すると、「市街化調整区域に家を建てたい時はどうすれば良い?」といった顧客のサポートもできます。
市街化調整区域とは市街化を抑制する区域のことで、決められた基準を満たさないと建築や開発等が行えない地域のことです。
「いいなと思った土地が市街化調整区域だった…」と悩む方は多いため、行政書士の出番だと言えるでしょう。
行政書士が開発許可に関する業務に携わるメリット!
行政書士が取り扱える業務はたくさんありますが、資格を取得した後は何を専門的に行うのが考えるのが大事です。
ここでは、行政書士が開発許可に関する業務に携わるメリットをいくつか挙げていきます。
- 申請の手続きが複雑なので、より多くの顧客を確保できる
- 他の業務と比較してみると開発許可は報酬の相場が高い
- 取り扱える業務の幅が広がれば顧客が増えて売り上げのアップに繋がる
報酬額の高い開発許可の案件をたくさん確保できれば、行政書士事務所の売り上げアップに繋がるのは間違いありません。
収益を上げて「稼げる行政書士」「食える行政書士」を目指すに当たり、顧客の確保とコスト削減の相乗効果が大きなポイント!
開発許可申請に対応できる行政書士は限られていますので、ライバルと差をつけるために正しい知識と経験を積んでみてはいかがでしょうか。
開発許可や建築許可の申請手続きの流れを解説!
この項では、行政書士の取り扱い業務である開発許可や建築許可の申請手続きの流れについてまとめてみました(以下は福岡県の場合)。
- 開発予定標識の設置(市条例第13条):開発行為の計画を近隣の住人に伝えるために、開発予定標識を設置してその旨を市長に報告する
- 事前説明:近隣住民に対して開発行為の計画に関する説明して、その状況を市長に報告する
- 開発計画事前協議(市条例第12条):公共施設等の配置や設備、土地利用の調整について市長と協議する
- 関係部局との同意・協議(法第32条):公共施設の管理者との同意・協議、手続きを進めるべき関係部局との協議を行う
- 開発許可申請(法第30条):開発行為許可申請書や添付資料を市長に提出する
- 工事の着手の届出(市規則第14条):工事に着手した時に速やかにその旨を市長に届け出る
- 工事完了の届出(法第36条、市規則第15条):工事が完了したら工事完了公告を市長に届け出る
参考:福岡県の開発許可申請の流れ(市街化区域の場合) https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/machinami/netdetetsuduki/Procedure_UPA.html
開発許可が必要なのかどうかは、都市計画区域分と開発を予定する土地面積で判断されます。
都市計画法による開発許可や建築許可を希望する場合、申請前に大まかな手続きについて確認しておきましょう。
開発許可や建築許可の申請手続きを行政書士に依頼するメリット!
開発許可や建築許可の申請手続きはややこしいため、専門の行政書士に依頼するクライアントは多くいます。
ここでは、顧客の視点から見て、なぜ行政書士に委託すべきなのか、そのメリットを考えてみます。
- 許可取得にかかる時間と労力を削減して本業に集中できる
- 自分でやるよりも許可申請までの時間を短縮できる
- 許可条件を満たす証明が難しいケースでも行政書士の専門知識と経験が活きる
- 許可を申請した後も専門家のフォローやアドバイスを受けられる
開発許可の申請にかかる期間は、「開発区域の面積が5ヘクタール未満は21日以内」「5ヘクタール以上の場合は36日以内」と目安があります。
約1ヵ月の時間がかかりますが、許可を最短で取るには申請までの時間を短縮するしかありません。
開発許可申請は「開発行為許可申請書」「設計説明書」「資金計画書」「土地利用計画図」などたくさんの書類が必要ですので、準備期間を短くするには行政書士への依頼が手っ取り早いと言えるのです。
開発許可や建築許可の手続きを依頼される行政書士になるには?
行政書士の資格を持っている人なら、誰でも開発許可や建築許可の手続きを依頼されるわけではありません。
「プロに任せて安心して開発許可の手続きを進めたい」と考えている顧客は、次の点を意識して行政書士を選んでいます。
- 今までに開発許可や建築許可に関する数多くの実績を持っている
- 依頼の業務を迅速かつ確実に遂行してくれる
- 申請が難しいケースや特殊な状況でも対応してくれる
- 費用について丁寧な対応とわかりやすい説明をしてくれる
開発許可の申請手続きに限った話ではないものの、信頼できる行政書士であることをアピールすることが重要です。
行政書士の開発許可に関する業務の報酬相場はどのくらい?
行政書士の開発許可申請代行の報酬は、30万円~50万円が相場です。
上記の項目でも少し解説したように、行政書士の他の業務と比較してみると開発許可の申請代行の報酬はかなり高めに設定されています。
しかし、報酬の金額は行政書士事務所で違いがありますので、具体例を挙げて比較してみました。
行政書士事務所 | 第29条開発行為許可申請の報酬 | 第34条開発行為許可申請の報酬 | 第43条建築許可申請の報酬 |
---|---|---|---|
サポート行政書士法人 | 30万円~ | 40万円~ | 20万円~ |
九龍橋合同事務所 | 50万円~ | 50万円~ | 15万円~ |
ことの葉行政書士事務所 | 18万円~(図面作成を除く) | 10万円~(図面作成を除く) | 16万円~(図面作成を除く) |
開発許可申請は種別によって申請書類の数なども異なるため、報酬額も違ってきますし、また、基本料金に加えて様々な諸経費が必要になるケースもあります。
将来、開発許可申請を業務にしたいと考えている方は、同業他社の費用などについてしっかりリサーチしておきましょう。
まとめ
行政書士事務所の中には、開発許可や建設許可の業務をメインで行っているところがあります。
行政書士の資格を取得すれば、一定以上の面積で宅地造成等の開発行為を行う際に必要な開発許可の申請手続きに関する仕事と携わることができるわけです。
「申請の手続きは複雑だからプロにお願いしたい」という方はたくさんありますので、開発許可申請ができる行政書士を目指してみてください。
なお、これから行政書士試験に挑戦する方も多いと思いますが、難易度の高い試験のため、特に社会人の方などは勉強時間の捻出が難しいと思います。
そのような方は、スマホでスキマ時間に学習できる行政書士オンライン通信講座の利用を検討してみてください。