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こんにちは、トシゾーです。
中小企業診断士 2次試験の事例II(マーケティング・流通の事例)は、「一見、取り組みやすく見えるだけ」の科目です。
結論から言うと、事例IIで点を伸ばす答えはシンプルです。与件文を根拠にして、「ダナドコ(誰に・何を・どのように・効果)」の型で施策を組み立てる。これに尽きます。
マーケティングと聞くと「思いつきのアイデアで書けそう」と感じる方が多く、得意科目だと考えられがちです。ですが実際は、与件を無視した思いつき施策で大きく失点し、受験生によって得点差がつきやすい事例です。
この記事では、事例IIの全体像から、ダナドコの型・与件の読み方・80分の解き方・勉強法まで、得点を安定させるポイントを整理します。
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中小企業診断士 2次試験 事例IIとは|マーケティング・流通の事例の全体像
中小企業診断士 2次試験の事例IIは、「マーケティングや流通を中心とする経営戦略および管理に関する事例」です。略して「マーケティング・流通の事例」と呼ばれます。
他の事例と同じく、80分間/100点満点の科目です。与件文(事例企業の状況説明)に、設問が4問程度、そして近年は与件か設問にグラフや表などのデータが付くこともあります。
2次試験は筆記4事例のみ(令和8年度から口述試験は廃止)
事例IIの位置づけを正しくつかむために、2次試験全体を確認しておきましょう。
中小企業診断士の2次試験は、筆記4事例のみで構成されます。
- 事例I:組織・人事の事例
- 事例II:マーケティング・流通の事例(本記事のテーマ)
- 事例III:生産・技術の事例
- 事例IV:財務・会計の事例
令和8年度(2026年)から、第2次試験の口述試験は廃止されました。つまり、2次の合否は筆記4事例で決まります。「2次=筆記+口述」という古い前提で対策する必要はありません(最新の試験制度は中小企業診断協会=J-SMECAの公式案内でご確認ください)。
なお、2次試験の合格率はおおむね18〜19%前後で推移していますが、年によって変動します。最新の数字は各年の公式発表で確認してください。
事例IIは「得点源にしやすい」が落とし穴もある
事例IIの与件文は読みやすく、状況をイメージしやすいのが特徴です。そのため「取り組みやすい=得意」と感じる人が多くいます。
ですが、ここが落とし穴です。取り組みやすく見えるからこそ、与件を無視した思いつき施策を書いてしまい、大きく失点する受験生が後を絶ちません。
だからこそ、最初に「対策の方向性」を正しく押さえることが重要です。2次試験全体の戦略は、中小企業診断士 二次試験 対策の記事でも解説しています。
事例IIで点を落とす受験生の共通パターン|「与件無視の思いつき施策」
事例IIで失点する受験生には、共通したパターンがあります。
売上向上・差別化・集客・顧客との関係性強化などがテーマになりやすい事例IIでは、自分の過去の経験から、いくらでも施策のアイデアをひねり出せてしまいます。その結果、与件の内容や与件企業の規模感に合わない施策を、つい解答に書いてしまうのです。
よくある失点パターンを5つに整理しました。
- ターゲット顧客の選定を間違える(与件が示すべき相手とずれている)
- 与件に根拠のないアイデアを書く(自分の思いつきで施策を作る)
- 自社の強みを使っていない施策になる(強みと施策がつながっていない)
- 施策を並べるだけで、効果まで書けていない(「何のために」が抜ける)
- SWOT分析で終わり、課題解決に結び付いていない(分析だけで提案がない)
こうした解答は、一見もっともらしく見えます。ですが、それでは中小企業診断士試験には受かりません。
あなたが解答欄に書こうとした施策は、
「その施策を選んだ根拠は、この与件文のどこにありますか」
「その施策は、なぜ与件企業が実施すべきなのですか」
という2つの問いに、きちんと答えられるでしょうか。
あくまで「与件文を絶対的な基礎資料として、与件企業に最適な施策を洗い出す」というスタンスを忘れないでください。これが事例IIの土台です。
事例IIの定石「ダナドコ」の型|誰に・何を・どのように・効果
事例IIの施策提案で、抜け漏れと一貫性のズレを防ぐ定石が「ダナドコ」の型です。
ダナドコとは、施策を次の4要素で組み立てる考え方です。
- ダ(誰に)=ターゲット顧客(例:地域住民、既存顧客、観光客、シニア層)
- ナ(何を)=提供する商品・サービス・価値
- ド(どのように)=施策・チャネル・プロモーション(4P)
- コ(効果)=売上向上・新規/リピート・関係性強化・差別化
この4要素を埋めるように解答を組み立てると、「誰に向けた施策なのか」「結局どんな効果を生むのか」が明確になり、説得力のある提案になります。
ダナドコを支える補助フレーム(STP・4P・SWOT)
ダナドコの各要素を埋めるとき、次のフレームワークが補助になります。
- STP(誰に=ダ):セグメント→ターゲット→ポジショニング。事例IIでは「差別化集中」の方向で、狙うべき顧客を絞り込むために使います。
- 4P(どのように=ド):製品・価格・流通・プロモーション。施策の具体策を考える切り口です。
- SWOT(土台):自社の強み(S)を、機会(O)や施策に結びつけるために使います。
ダナドコは「型」であって、テンプレの当てはめではない
ここで注意が必要です。ダナドコはあくまで思考の型であり、与件を無視したテンプレの機械的な当てはめではありません。
「誰に」も「効果」も、必ず与件文の根拠とセットで埋めてください。与件に書かれた地域・顧客・強みを起点にダナドコを組み立てる。これが、得点につながる使い方です。
与件文の着眼点|地域・顧客・競合をどう読むか
ダナドコの型を活かすには、与件文を「正しい着眼点」で読む力が欠かせません。
事例IIの与件文には、地域資源・顧客・競合・自社の強みが散りばめられています。次の4点を意識して読み込みましょう。
- 地域・立地の特性:商店街、観光地、住宅地など、事例企業が置かれた環境
- 顧客層とニーズ:年齢・世代、既存/見込み、LTV(顧客生涯価値)の観点
- 競合状況と差別化の余地:誰と競合し、どこで差別化できるか
- 与件に明示された課題・社長の思い:出題者が解かせたい方向性のヒント
このとき大切なのが、色付きマーカーをSWOTの色分けに乱用しないことです。マーカーを引くこと自体が目的になると、肝心の「強みを機会・施策に結ぶ」視点が抜けてしまいます。
そして、事例IIの鉄則をもう一つ。与件文に記載がない情報を、勝手に使ってはいけません。「この企業ならきっとこうだろう」という想像で施策を作ると、出題者の意図から外れて失点します。あくまで与件に書かれた事実を根拠にしてください。
事例IIの80分プロセス|解く順番と時間配分の型
本番は80分です。限られた時間で安定して得点するには、「解く順番」をあらかじめ型として持っておくことが効きます。
おおまかな流れと時間配分の目安は、次のとおりです(配分はあくまで目安なので、自分の演習で調整してください)。
- 設問解釈(5〜10分):各設問の制約条件と、問われている戦略レベル(成長/事業/機能)を把握する
- 与件読解+根拠マーキング(15〜20分):強み・顧客・課題・機会をマーキングし、ダナドコの材料を拾う
- 対応づけ・骨子作成(10分):設問と与件根拠を結びつけ、ターゲット・施策・効果を先に決める
- 解答記述(40〜45分):因果関係(だから○○という効果が出る)が伝わる文章で書く
- 見直し(残り時間):ターゲットずれ・根拠不足・一般論になっていないかを確認する
設問のレベル感を意識する
特に気をつけたいのが、解答のレベル感です。その設問で問われているのは、
- 成長戦略(企業全体の方向性)なのか
- 事業戦略(事業単位の方向性)なのか
- 機能戦略(実施する具体的な施策)なのか
このレベル感を取り違えると、各設問で似たような解答ばかり書いてしまいます。問われているレベルを確認してから解答を組み立ててください。
与件情報と1次知識をバランスよく使う
繰り返しになりますが、マーケティングの施策はアイデアが浮かびやすいものです。しかし、与件に基づかない施策は正解になりません。
必ず与件情報を根拠にしたうえで、そこにつながる施策を、1次試験(運営管理・企業経営理論など)の知識のなかから選んで採用してください。
全体の整合性で診断助言にする|4問を1つの戦略に束ねる
事例IIでは、毎回4問程度の設問が出題されます。それぞれの設問に適切に解答することは必要ですが、それだけでは合格できません。
なぜなら、中小企業診断士の2次試験は、試験の解答がそのまま「事例企業に対する診断助言」として位置づけられているからです。
つまり、各設問でそれぞれ正しく答えていても、解答全体として整合性が取れていなければ、診断助言としては成り立ちません。
近年の事例IIは、おおむね次のような流れで構成される傾向があります。
- 第1問:現状分析(SWOT、3C分析など)で、自社の強みと競合・市場の状況を整理させる
- 以降の設問:ターゲットを明確にし、戦略・施策を提案させる
第1問で整理した「強み」が、後半の施策提案でちゃんと活きているか。ターゲットの設定が設問間でブレていないか。こうした全体の一貫性を意識しながら、各設問に解答してください。1つの事例企業への、筋の通ったストーリーを描くイメージです。
事例IIの勉強法|過去問演習の進め方と再現性のつくり方
事例IIに限りませんが、2次試験の勉強法で何より重要なのは、過去問にあたることです。
事例IIは与件が読みやすい分、自己流の思いつき解答になりやすい科目です。だからこそ、過去問演習を「再現性をつくる」ための時間にしましょう。進め方はシンプルです。
まずは、本試験の出題形式に最も近い直近年度(令和6年度など)の過去問から取り組み、出題の傾向をつかむのがおすすめです。学習予定を立てる際は、直近年度を軸に据え、そこから年度をさかのぼる順番にすると効率的です。
- なるべく多くの過去問を解く(演習量で型を体に入れる)
- 解いた後に、模範解答との差分を「ダナドコ・与件根拠」の観点で振り返る
- 過去問を解いた後、ダナドコの4要素(誰に/何を/どのように/効果)で自分の答案を自己診断する
この振り返りを繰り返すと、「自分はターゲットを外しやすい」「効果まで書けていない」といった弱点が見え、再現性が高まります。年度をまたいだ演習には、中小企業診断士 過去問のハブ記事も活用してください。
解説の理解には、予備校や通信講座の動画解説を併用するのも有効です。文章だけでは伝わりにくい「与件から施策を導く思考の流れ」を、動画で追体験できるからです。また、模試や勉強会といったイベントに参加すると、自分の答案を他者の解答と見比べられ、思い込みのズレに気づきやすくなります。
直前期はファイナルペーパーで切り口を整理する
直前期には、自分専用のファイナルペーパー(よく使う切り口・キーワード集)を整理しておくと安定します。事例IIで使いやすい切り口の例を挙げます。
- 顧客別:既存顧客・新規顧客・地域住民・観光客
- 施策別:品ぞろえ・体験価値・情報発信・会員化
- 効果別:客単価向上・来店頻度向上・固定客化
- 連携別:地域企業・自治体・外部専門家との協力
ただし、これらは暗記して機械的に当てはめるものではありません。与件に合わせて使うことが前提です。
過去問を一通り解き終えたら、予備校や通信講座のオリジナル問題(予想問題)に取り組むのも一案です。市販教材や予想問題集は、著者によって解答の方向性や解説の切り口に違いがあります。複数の解答例を見比べ、「なぜその施策を選んだのか」という根拠の置き方を学ぶと、自分の答案の幅が広がります。
事例共通の解法ポイント
以下は、事例IIだけでなく他の事例でも行うべき、重要な解法のポイントです。
- 問題解法の適切な順番を押さえる
- 設問を読む際に、仮説検証思考で解答の方向性を考える
- 色付きマーカーをSWOTに使わない
- 解答を書くために、有効なポイントを押さえる
上記の詳細は、中小企業診断士 2次試験 事例I(組織・人事の事例)の対策と勉強法の記事で解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
よくある質問(Q&A)|事例IIの不安を整理する
Q1. 事例IIは独学でも対策できますか?
過去問演習と、模範解答との差分の振り返りで、独学でも対策は可能です。ただし、自分では「与件に沿っているつもり」でも方向性がズレていることがあります。再現答案を予備校や通信講座の添削で第三者に見てもらうと、ズレに早く気づけます。
Q2. 事例IIは得点源にしやすいですか?
与件が読みやすく取り組みやすい一方、思いつき施策で差がつくため、「一見やさしいだけ」というのが実態です。逆に言えば、ダナドコの型+与件根拠で解答を安定させられれば、得点源にできる可能性は十分あります。
Q3. ダナドコは丸暗記でいいですか?
ダナドコは型として使いますが、与件を無視した当てはめは不正解になります。必ず与件の根拠とセットで使ってください。型はあくまで、与件の情報を漏れなく解答に変換するための道具です。
まとめ|事例IIは「与件×ダナドコ×整合性」で安定させる
ここまで、中小企業診断士 2次試験 事例II(マーケティング・流通の事例)の対策・勉強法・解法のポイントを解説しました。
最終的に得点を分けるのは、次の3つです。
- 与件の根拠:思いつきではなく、与件文を基礎資料にする
- ダナドコの型:誰に・何を・どのように・効果で施策を組み立てる
- 全体の整合性:4問を1つの戦略に束ね、診断助言として筋を通す
事例IIは、様々な施策アイデアを思いつきやすいぶん、つい与件や企業規模に合わない解答を書いてしまいがちです。ぜひ、与件を起点に、論理的に展開できる戦略・施策を解答するクセをつけてください。
学習を次に進めたい方は、以下もあわせてどうぞ。
- 2次試験全体の戦略:中小企業診断士 二次試験 対策
- 事例III(生産・技術の事例):中小企業診断士 2次試験 事例IIIの対策
- 資格取得後も含めた全体像:中小企業診断士のキャリア全体ロードマップ
- 講座選びで迷ったら:中小企業診断士 通信講座おすすめ
これから2次試験合格を目指す方は、合格までの全体像を踏まえて学習を進めると、事例IIの位置づけもつかみやすくなります。
※本記事の試験制度・合格率・受験料などの情報は、中小企業庁および中小企業診断協会(J-SMECA)の公表情報をもとに作成しています(確認日:2026年6月30日)。試験制度や日程は変更される場合があるため、出願前に必ず 中小企業診断協会(J-SMECA)公式サイト 等で最新情報をご確認ください。
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