こんにちは、トシゾーです。
今回のテーマは、「企業の社会的責任(CSR)」です。
企業は、その企業を取り巻く環境と、相互に影響を及ぼし合うオープンシステムです。
そのような関係性の中で、企業というものは、社会全体において、経済的な機能を担っているサブシステムと位置付けられます。
ここで言う「企業の経済的機能」とは、「社会に対して、特定の商品やサービスを生産・販売する」ということです。
企業はその本来的な機能以外にも、政治的・社会的・文化的機能を担っており、それらも、企業を取り巻く環境に対して様々に影響を与えています。
このような企業は、はたして、「どのような責任を、社会に対して果すべきなのか」、一緒に見ていきましょう。
目次
企業の社会的責任(CSR) 概要
まず、CSRについて確認しておきましょう。
英語でCorporate Social Responsibilityといい、CSRと略す。
引用:コトバンク
現在のところ、「企業の社会的責任(CSR)」という用語については、具体的に「企業は、誰に対して、どのような責任をどこまで果たすのか」という点について、統一された見解は確立されていないのが現状です。
しかし、一般的には、次の3点の社会的責任があると考えられるでしょう。
企業の社会的責任の種類
企業の社会的責任(その1): 最低限守るべき責任(企業倫理)
まず、企業が最低限守らなければならない責任です。
当たり前ですが、企業は商品・サービスを販売するためならば、何をやってもよいわけではありません。
たとえば、商品の欠陥隠しや不公正な取引、公害や天然資源の枯渇など、限度を超えた企業活動の問題点が、これまで数多く発生しています。
このように、企業が守るべき最低限の責任が、義務責任(企業倫理)にあたります。
法令遵守(コンプライアンス)も、この最低限の責任の一部です。
企業の社会的責任(その2):基本的責任(職務責任)
企業の基本的な責任とは、企業の経済的機能を前提に考えた社会的責任のことです。
企業の直接的な使命は、
「安くて質の良い製品・サービスを社会に提供する。そして、その結果として適正な利益を得る。そして雇用の確保・保障を行う」
という正常な経済活動に関する責任を負うことにあります。これが、企業のもっとも基本的な責任といえるでしょう。
企業の社会的責任(その3):積極的に貢献することが要請されている責任
企業は、最低限の責任や基本的な責任のみを果たしていればよいわけではありません。
企業は社会の一員でもあります。そのため、社会が良くなるように貢献することが必要です。
言い換えれば、「企業市民(Corporate citizenship)」として、企業本来の経済活動とは別に、社会をよりよくするための活動を行わなう必要があるのです。
これに当たるのが、メセナ活動(文化支援)、フィランソロビー(社会貢献)になります。
その他の「企業の社会的責任」の関連用語
トリプルボトムライン
「ボトム・ライン」とは、「損益計算書の一番下の行」という意味であり、すなわち、「企業の利益額」のことをさします。
これに対し、「トリプルボトムライン」とは、経済的価値(利益)だけでなく、環境的な価値や社会的価値も、あわせて企業は目指すべきである、という考え方になります。
ディスクロージャー
ディスクロージャーを直訳すると「情報開示」となります。
ここでは、企業の内部情報を、外部に対して公開することです。
ディスクロージャーには、会社法に則って義務として実施するものの他、企業がステークホルダー(利害関係者)の信用を得るために、自発的に行われるものもあります。
アカウンタビリティ
アカウンタビリティを直訳すると「説明責任」となります。
ここでは、企業が利害関係者(ステークホルダー)に対して果たすべき説明責任のことです。
IR
IRとは、インベスター・リレーションズの略で、投資家に向けた広報のことをさします。
企業は、投資家向けに経営戦略や財務に関して説明会を開催したり、出版物を送付するなどし、企業価値を正しく理解してもらうように努める必要があります。
環境経営(グリーン経営)
地球の自然環境や生態系などへの影響を考慮しながらすすめる経営活動のことを、「環境経営(グリーン経営)」といい、これもCSRの一環となります。
環境経営の基盤となる法制度に「循環型社会形成推進基本法」(2001年施行)があります。
この「循環型社会形成推進基本法」では、廃棄物処理方法の優先順位を明確に規定しています。
具体的には、
発生の抑制(リデュース)⇒再使用(リユース)⇒再生使用(リサイクル)
という、「3R」の順番で対応を行います。
さらに、3Rでも解決できない場合は、熱処理⇒適正処理を検討します。
現在では、環境経営の考え方を取り入れるため、ISO14001(環境マネジメント・システム)を、多くの企業が導入しています。
企業の社会的責任(CSR) <まとめ>
ここまで、企業の社会的責任(CSR)について見てきました。
ほとんどのものが法的拘束力があるわけではありませんが、社会の公器として、企業には様々な責任が課されていることが分かったと思います。
次回は、「2つの戦略アプローチ(分析型アプローチとプロセス型アプローチ)」について確認していきます。