最終更新日: 2026年10月6日/内容確認日: 2026年10月6日
本記事では、弁理士1〜数名と補助者(特許技術者・事務担当)の個人の特許事務所又は弁理士法人が、国内の中小企業・個人・大学等から依頼を受け、特許・実用新案・意匠・商標の出願と審査・審判(拒絶査定不服審判)の手続の代理、設定登録と権利の維持、外国の代理人を通じた外国出願の取次ぎを行う形を主なモデルとして想定します。裁判所での手続、鑑定、契約の締結の代理・媒介、外国からの日本への出願は扱わず、期限は特許・商標の期間に限って書きます。この対象と線引きは本記事の設計上の前提で、業界の典型像ではありません。
1. 結論:弁理士・特許事務所なら何から始めるか
弁理士・特許事務所でAIを使うなら、最初の一手は「特許庁の通知1通ごとに、期限と出願人・権利者の指示を一つの台帳で持つこと」です。次に「発明者面談の記録と請求項の案を、出願人が合意した事項と合意していない事項に分けて残すこと」、その次に「先行技術・引用文献との対比表から応答の下書きを作り、応答の型を事務所に戻すこと」が続きます。
この番号は効果の大きさの順位で、そのTopの記録を主な材料として使う業務が属する工程の数(本記事の業務の分解で数えて9・7・6)で比べた、業務マップ上の範囲の比較です。法令上の重要度や、期限を過ぎたときの損失の比較ではありません。3つとも案件台帳だけを前提に始められます(節3の表)。
一方で、受任と業務を行い得ない事件に当たるかの判断、方針の提案、期限台帳の確定、書類の最終確認と特許庁への手続(法令上の制限の範囲は節9)は、AIに渡しません。手続をするかを決めるのは、本記事の整理では出願人・権利者で、指示もその指示として記録します。原則は「AIは候補まで、確定は人」です。
2. 業務全体の流れ
本記事のモデルでは、1件の発明・商標の案件は次の流れで進みます。
- 引き合いの受付。依頼者・出願人・発明者を分けて記録し、依頼者が出願人・権利者と異なるときはその関係を確かめ、公表の事実と日を聞きます。
- 受任の判断(業務を行い得ない事件の照合を含む)、見積、委任状と契約(特別の授権、期限の管理の範囲)。
- 発明者面談、請求項の案・指定商品の案、方針の提案と出願人の指示。
- 先行技術・先行商標の調査。
- 明細書・特許請求の範囲・図面・願書の作成と確定、出願人の承認、出願。
- 期限と指示の管理、出願審査の請求、拒絶理由への応答、拒絶査定不服審判。
- 設定登録と権利の維持。外国出願は、特許出願の非公開制度の確認の後に外国の代理人へ依頼します。
- 請求・入金・立替金の照合と案件別の原価(収益の入口)。
本シリーズでは、権利として求める範囲が依頼者との対話と補正を通じて定まる「知的案件プロジェクト型」を主、登録の後に特許料と商標の更新が暦の周期で繰り返す「周期型」を従として整理しています。
3. AI導入優先Top3
| 効果の大きさ(業務マップ上の範囲) | 記録の単位 | 実施の順序 | |
|---|---|---|---|
| 導入前提:案件台帳(出願人・発明者・権利の種類・出願番号と出願日・委任の範囲と特別の授権・期限の管理の範囲) | — | 1案件 | ① |
| Top1:期限と指示の台帳 | 最も大きい(9) | 特許庁の通知1通と、対応する期限1件・指示1件 | ② |
| Top2:面談記録と請求項の案 | 2番目(7) | 発明(又は商標)1件の面談記録と請求項の案の版 | ②(Top1と並行してよい) |
| Top3:対比表と応答の下書き・型 | 3番目(6) | 拒絶理由通知1通(又は調査1件)と、請求項の構成要素ごとの対比表 | ②(Top1と並行してよい) |
3つのTopの記録はどれも案件ごとに結び付くため、案件台帳だけを導入前提にしました。括弧の数は本記事の業務の分解で数えた計算値で、記録の単位も本記事の設計です。
Top1:特許庁の通知1通ごとに、期限と出願人・権利者の指示を一つの台帳で持つ
何をするか。 通知を1通1行で案件に紐づけ、送達の日、法定期間か指定期間か、期限の候補、確定の状態(候補・確定・照会中)、出願人・権利者の指示を同じ行に持ちます。本記事の設計では、期限は対象・起算点・初回の扱い・例外の4点で持ちます。AIは紐づけ、期限の候補、指示の構造化、確定した期限からの通知文、未処理の検出を担います。
なぜ最も大きいか。 出願審査の請求は出願の日から、拒絶理由通知への意見書は通知で指定された期間で、期限が決まります(節9)。本記事の業務の分解では、通知の記録と確定した期限と指示が、審査請求・応答・審判・登録・権利の維持・外国出願を含む9つの工程の材料になります。国内に住所等がある出願人・権利者の委任による代理人は、放棄・拒絶査定不服審判の請求などに特別の授権が要るため(節9)、本記事の整理では指示の記録そのものが手続の前提です。
どう始めるか。 直近1か月に受領した通知を表に移し、新しい通知からAIの紐づけと期限の候補を通します。
何を測るか。 通知の受領から期限台帳の確定までの日数(中央値)、確定の時点で通知と一致しない・算出できない件数、期限の確定の時点で指示が届いていない案件の件数。
注意。 紐づけられない通知と検出された未処理は人が見ます。期限の候補と指示の構造化は担当者が通知・条文・文面と全件照合し、責任者が台帳を確定します。一致しない・算出できない期限は確定せずに照会し、指定期間の長さをAIに推測させません。
Top2:発明者面談の記録と請求項の案を、合意した事項と合意していない事項に分けて残す
何をするか。 面談のメモを1発明1行で、構成要素・効果・実施形態・未確認事項・出願人が外したいもの・公表の事実と日に分け、請求項の案(商標は指定商品・役務の案)の版と、出願人の指示(合意した事項・合意していない事項)を同じ行に持ちます。AIは構造化、案、公表の日の照合を担います。
なぜ2番目か。 本記事の業務の分解では、面談記録と請求項の案が、方針の確定・調査・明細書と願書の下書き・出願前の確認を含む7つの工程の材料になります。本記事の設計では、公表の日を期限台帳の起算日の候補にします。
どう始めるか。 直近1か月に面談した案件のメモを表に移し、新しい面談からAIの構造化と請求項の案を通します。資料で確かめられない公表の日は、方針の確定の前に依頼者に確かめます。
何を測るか。 面談から請求項の案の提示までの日数、請求項の案の版の数、出願人の指示で案から外した・加えた事項の件数。
注意。 構造化と案は弁理士・担当者が全件確かめ、弁理士が方針を提案して出願人の指示を確定します。合意していない範囲を書類に含めません。
Top3:先行技術・引用文献との対比表から応答の下書きを作り、応答の型を事務所に戻す
何をするか。 拒絶理由通知を1通1行で、理由の種類・根拠の条・対象の請求項・引用文献・指定期間・応答方針の状態(案・提案済み・指示確定)に分け、請求項の構成要素ごとに引用文献との一致・相違を対比表にします。AIは候補文献の抽出、構造化、対比表、応答の選択肢と下書き、型の候補を担います。
なぜ3番目か。 本記事の業務の分解では、対比表と登録した型が、請求項の案・調査の結論・応答方針・審判・明細書の下書きを含む6つの工程の材料になります。
どう始めるか。 直近1か月に受領した拒絶理由通知を表に移し、新しい通知からAIの構造化と対比表を通します。本記事の設計では、応答の結果が出た案件から、依頼者の秘密と個人データを除いて型を登録します。
何を測るか。 拒絶理由通知の受領から応答方針の提案までの日数、対比表の作成時間、応答の下書きで過去の型を使った案件の件数。
注意。 検索で拾った文献は候補です。対比表と下書きは弁理士・担当者が全件確かめ、弁理士が方針を提案して、出願人の指示(応答する・しない、補正の範囲、権利の範囲の縮小を受け入れるか)を確定します。
4. AIに任せやすい仕事
結果をそのまま次へ渡せる仕事です。照らし合わせる相手は人が確定した記録です。
- 形を整える。 受領書からの出願番号・出願日の記録。
- 照らし合わせる。 特許庁の通知と案件の紐づけ、請求と入金の消込。
- 違いを見つける。 明細書・図面の符号と用語の不統一、出願公開の内容と出願の不一致。
- 足りないものを探す。 確定した期限台帳と手続の控え・納付の記録の照合からの未処理、受領資料の不足。
- 下書きを作る。 確定した期限からの出願人・権利者への通知文と、事務所内の確認の予定。
- 探し出す。 検索式に沿った候補文献の一次抽出(拾ったものは候補で、対比は節5)、過去の案件の索引。
紐づけられない・一致しない・検出されたものだけを人が見ます。
5. AI支援に向く仕事
AIが候補や下書きを作り、人が全件確認してから使う仕事です。確認を挟むことは手間ではなく、品質の設計です。
- 期限の候補と、指示の文面の構造化
- 面談記録の構造化、請求項と指定商品・役務の案、公表の日の照合
- 検索式、対比表、拒絶理由の構造化と応答の選択肢の案
- 明細書・特許請求の範囲・願書・意見書・手続補正書の下書き(最終確認と確定は節6)
- 外国の代理人への依頼書と翻訳文の点検、特定技術分野に属するかの候補(判定には使いません)
6. 人に残す仕事・判断
線の引き方の原則は「AIが答えを出せるか」ではなく「誰がその答えに責任を持つのか」です。
本記事が条文を確かめた範囲で、本記事の業務のうち法令が行う者を限っているのは、他人の求めに応じ報酬を得て行う特許庁における手続の代理(弁理士法施行令第7条の代理を除きます)、その手続に係る事項に関する鑑定、同施行令第8条の書類の作成で、弁理士又は弁理士法人でない者はこれを業とすることができません(節9。弁護士は弁理士の事務を行うことができます)。本記事のモデルでは、その最終確認と確定、手続を弁理士が行います。
これとは別に、秘密を守る義務(弁理士法第30条・第77条)と業務を行い得ない事件(第31条)の規律があります。義務を負う者と例外は条ごとに異なります(節9)。本記事のモデルでは、事件が第31条に当たるかと、秘密を提供する正当な理由があるかの判断を弁理士が行います。
以下は、本記事の整理で出願人・権利者や事務所が負う判断です。
- 出願人・権利者が決めること。 応答・審査請求・放棄・審判の請求・納付・更新・外国出願をするか。
- 事務所の判断。 受任、見積、方針の提案、指示が得られない場合の扱い、外国にある第三者への提供に当たるかの判定、非公開制度の3状態の判定、外注、AIへの入力の条件、補助者に任せる範囲、期限台帳の確定。
AIの照合や候補が9割正しくても、ここに挙げたものは人が全件を決めます。
7. Best Practice
到達点は、権利の範囲と期限と指示が、案件ごとに一つの台帳で結ばれる構造です。第一に、期限の正本が特許庁の通知と条文・通知に記載された期間で、算出と確定と指示が分けて記録されます。第二に、合意の範囲が文書化されてから書類が書かれます。第三に、対比表から方針が提案され、型が事務所に戻ります。
8. Before / After
Before。本記事が改善の出発点として置いた想定で、実態の調査ではありません。 通知・期限・指示が別々の記録にあり、手続のたびに人が確かめ直します。面談のメモと指示も別々で、合意した範囲を記録から確かめられません。
After。到達点として置いた姿です。 通知ごとに確定の状態と指示が同じ行に見え、発明ごとに合意の範囲が残ります。確定と手続は人に残ります。
9. 法令・規制・情報管理
以下は本記事の実務上の整理で、条文を確かめた規律だけを挙げており、すべての規律ではありません。法令は2026年10月5日に確認した、その日に施行されている版によります(個人情報の保護に関する法律は下記のとおり)。未施行の改正は扱っていません。
弁理士法。 弁理士又は弁理士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許・実用新案・意匠・商標などに関する特許庁における手続などの代理(特許料の納付手続の代理、特許原簿への登録の申請手続の代理その他の政令で定めるものを除きます。弁理士法施行令第7条)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類(願書・明細書・特許請求の範囲・意見書・審判の請求書・これらの手続補正書など。同施行令第8条)若しくは電磁的記録の作成を業とすることができません(弁理士法第75条)。弁護士は、当然、弁理士の事務を行うことができます(弁護士法第3条第2項)。本記事の整理では、同条には出願人が自ら特許庁に手続をすることを制限する文言は無く、出願人の自らの手続は同条の制限の対象外です。
弁理士又は弁理士であった者は、正当な理由がなく、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず(第30条)、弁理士又は弁理士法人の使用人その他の従業者(であった者を含みます)も、正当な理由がなく、業務を補助したことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはなりません(第77条)。弁理士は、相手方の協議を受けて賛助し又はその依頼を承諾した事件など第31条各号の事件の業務を行ってはならず、受任している事件の相手方からの依頼による他の事件は、受任している事件の依頼者が同意した場合はこの限りではありません(第31条)。個々の事件が当たるかは本記事では判断していません。
期限の名宛人と代理権。 本記事の整理では、特許料の納付、商標の更新登録の申請、拒絶査定不服審判の請求の名宛人は出願人・権利者で、事務所は委任による代理人です。期間を守らなかった効果を受けるのも出願人・権利者で、事務所がどこまで責任を負うかは本記事では判断していません。日本国内に住所又は居所(法人は営業所)を有する者の委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更・放棄・取下げ、存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求・申請・申立ての取下げ、国内優先権の主張又はその取下げ、実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄、復代理人の選任をすることができません(特許法第9条。商標の手続にも準用・商標法第77条第2項)。
特許法・商標法の期間(例。すべてではありません)。
- 出願審査の請求は、特許出願があったときに何人も、その日から三年以内にすることができ、期間内に請求がなければその特許出願は取り下げたものとみなされます(特許法第48条の3第1項・第4項)。分割・出願の変更・実用新案登録に基づく特許出願は、期間の経過後でもその出願の日から三十日以内に限り請求でき(第2項)、請求は取り下げられません(第3項)。故意に期間内に請求しなかったと認められる場合を除き、取り下げたものとみなされた出願の出願人は経済産業省令で定める期間内に限り請求できます(第5項)。
- 拒絶理由通知の意見書は、審査官が相当の期間を指定して提出の機会を与えるもので(特許法第50条。補正を却下する決定をする一定の場合を除きます。商標法第15条の2)、条文は期間の長さを定めていません。本記事の設計では、通知に記載された期間を正本にします。
経済産業省令で定める期間の長さ、指定期間の長さと延長の運用は、本記事では扱っていません。
特許出願の非公開。 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律では、何人も、日本国内でした発明であって公になっていないものが、政令で定める特定技術分野に属する発明(産業の発達に及ぼす影響が大きい分野として政令で定めるものは、政令で定める要件に該当するものに限ります。第66条第1項)に当たるときは、事前確認で安全に影響を及ぼすものでないことが明らかである旨の回答を受けた場合を除き、外国出願(外国での特許出願と特許協力条約に基づく国際出願。政令で定めるものを除きます)をしてはなりません。ただし、日本で特許出願をした発明は、出願の日から十月を経過したとき(保全指定の通知を受けたとき等を除きます)などは除かれます(第78条第1項・同法施行令第15条)。事前確認を求めることができるのは、日本で特許出願をしていない場合に限られます(第79条第1項)。本記事の設計では、案件ごとにこの発明に当たるかを「該当」「対象外と確認済み」「未確認」の3状態で持ち、未確認の間は外国出願の手続と外部への発明の内容の提供を止めますが、これは法令の要件ではない業務上の止めで、個々の発明が当たるかは本記事では判断していません。
個人情報と、外国の代理人・生成AI・クラウドに出す条件。 個人情報の保護に関する法律は、2026年10月5日に確認した版(2026年10月1日施行)で書き、e-Govの応答に現行の版の表示がないため現行法とは断定しません。この版では、個人情報データベース等を事業の用に供している個人情報取扱事業者は、それを構成する個人データの安全管理措置と、取扱いを委託する場合の委託先の監督を行います(第16条・第23条・第25条)。依頼者・発明者の情報が個人データに当たるかは本記事では判断していません。本記事の整理では、外部へ渡すときの軸は二つです。一つは委託か第三者提供かです。個人情報取扱事業者による個人データの第三者への提供は、法令に基づく場合など第27条第1項各号の場合と、本人の求めに応じて提供を停止することとし所定の通知等と個人情報保護委員会への届出をした同条第2項の場合(要配慮個人情報などを除きます)を除き、あらかじめ本人の同意が要り、利用目的の達成に必要な範囲内において取扱いの全部又は一部を委託することに伴う提供などでは、提供を受ける者は第三者に当たりません(同条第5項。委託に当たるかは本記事では判断していません)。もう一つは外国にある第三者かで、個人情報取扱事業者は、規則で定める外国への提供や、規則で定める基準に適合する体制を整備している者への提供を除き、第27条第1項各号の場合を除くほか、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならず、この場合は第27条を適用しません(第28条第1項)。同意を得ようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその外国の個人情報の保護に関する制度、その第三者が講ずる個人情報の保護のための措置その他本人に参考となるべき情報を本人に提供し(同条第2項)、体制を整備している者に提供したときは、規則で定めるところにより、その者による相当の措置の継続的な実施を確保するために必要な措置を講じ、本人の求めに応じてその措置に関する情報を本人に提供します(同条第3項)。本記事の設計では、外国の代理人や外国で保存・処理されるAI・クラウドに渡す前に、委託かどうかとは別に、外国にある第三者に当たるか、当たるならどの除外に当たるかを人が確かめ、除外に当たらないときは第2項の情報提供と同意の記録が、体制を整備している者に当たるときは第3項の措置の記録がそろうまで渡しません。どの外国や事業者が除外に当たるかは判断していません。
未公開の発明・依頼者の秘密・個人データを生成AIやクラウドへ入れる前には、①入れる情報を必要最小限にする②入力データを学習に利用するか③保存期間と削除の方法④契約上の機密保持とデータの取扱条件⑤アクセス権限と利用ログ⑥再委託や国外保存など規程上確認が必要な事項、の6点を確かめ、組織が利用を承認したサービスに限ります。法令の要件ではなく、組織の運用です。
10. 最初の30日プラン
1週目:測る。 5営業日で、直近1か月の通知と面談の記録から、節3の測る項目9つを数えます(対比表の作成時間は、この週に作る表で記録)。記録者はTop1が期限の担当者、Top2が面談の担当の弁理士、Top3が応答の担当者です。案件台帳もこの週に作ります。
2週目:様式を決める。 期限の4点と期間の種類、特別の授権が要る指示の欄、指示が得られない場合の扱い(契約書の様式)、合意の2欄、秘密の除去の手順、非公開制度の3状態の欄を決めます。AIに入力してよい情報と条件(保存場所が国内か外国かを含む)を決め、決まるまで3週目に進みません。
3週目:人が全件確認する小規模試行。 節3の「どう始めるか」の範囲でAIを通し、期限の候補・構造化・案・対比表は人が全件確かめます。条件に反する入力が無いかも記録します。
4週目:比べる。 1週目と同じ9項目を3週目にAIを通した記録について測り直し、1週目の値と比べます(件数は期間の長さをそろえます)。誤りの件数と内容を記録し、AIに任せる範囲と次に広げるTopを責任者が決めます。期限を過ぎる件数の減少を30日の効果とはしません。
11. AI活用成熟度
- Lv1 人依存。 期限・指示・面談記録・応答の型が、表計算・メール・メモに分かれている。
- Lv2 台帳化。 案件・通知と期限・面談記録・拒絶理由が1行単位の表になる。
- Lv3 一元化。 案件台帳を鍵に通知・期限・指示・案・対比表が結び付く。
- Lv4 AI支援。 AIが候補・案・下書きを担い、全件確認するものと例外だけを見るものを分けて人が確定する。
- Lv5 仕組み化。 記録と型が事故の振り返りと受注の方針に使われ、誰が確定したかが残る。
Lv5は、AIが弁理士の判断や出願人・権利者の決定を自動で行う状態ではありません。
12. FAQ
Q. 特許の出願は、弁理士に頼まないとできませんか。 A. 弁理士法第75条は、弁理士又は弁理士法人でない者が他人の求めに応じ報酬を得て手続の代理や政令で定める書類の作成などを業とすることを制限する規定です(特許料の納付の代理など弁理士法施行令第7条の代理は除かれます。節9)。弁護士は弁理士の事務を行うことができ、本記事の整理では、出願人が自ら手続をすることを制限する文言は同条に無いと読んでいます。
Q. AIが計算した期限をそのまま使えますか。 A. 本記事の設計では候補として扱い、担当者が通知と条文で全件確かめ、責任者が確定します(節3)。
Q. 拒絶理由通知に応答できる期間は何日ですか。 A. 条文は審査官が相当の期間を指定すると定め、長さを定めていません(節9)。長さと延長の運用は本記事では扱いません。
Q. 期限までに出願人・権利者の指示が届かないときはどうしますか。 A. 本記事の整理では、手続をするかを決めるのは出願人・権利者です(節9)。本記事の設計では、指示が得られない場合の扱いを契約書に書き、期限の前に事務所が決めます。事務所の責任の範囲は本記事では判断していません。
13. 関連業態・シリーズ導線
行政書士事務所の記事は、本記事とは別の業態の記事です。本記事は、特許庁以外の官公署への手続を扱いません。
中小企業診断士・経営コンサルティングの記事は、本記事とは別の業態の記事です。本記事は、知的財産を経営に生かす助言を扱いません。
業種別AI活用の一覧はピラーページにまとめています。
14. この記事を自社に当てはめたい方へ
扱う権利の種類や、期限の管理をどこまで受けているかで最初の一手は変わります。案件台帳が無いなら導入前提から、あるなら通知と期限の表から始めます。
15. 無料AI戦略診断/AI顧問
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