FP・ファイナンシャルプランナーの国家試験である技能検定には3種類あり、それぞれ合格すると、1級~3級までの「ファイナンシャル・プランイング技能士」(正式名称)を名乗ることができます。
このFP・ファイナンシャルプランナーの技能検定には、どの試験にも「学科試験」と「実技試験」があります。
主に学科試験では「必要な知識を持っているか」が問われ、実技試験では「電卓による計算や提案力など、実践力が備わっているか」を見ています。
このように、多くの技能検定があるなか、1級~3級まですべての試験に学科と実技がある試験というのは、ビジネス系の試験では他にあまり見当たりません。
そこで、この記事では、1級~3級まで各等級別に「学科と実技、それぞれの違い」を、分かりやすく見ていきたいと思います。
なお、AFP/CFPも含めた各資格(ライセンス)の内容の違いなどについては、以下の記事を参考にしてください。
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目次
FP・ファイナンシャルプランナーの等級別の学科試験と実技試験の違い
ファイナンシャルプランナーの資格を取得するには、学科試験と実技試験の両方に合格しないといけません。
「3級」「2級」「1級」と等級によって多少の違いはありますが、ファイナンシャルプランナーの学科試験と実技試験の大まかな特徴を見ていきましょう。
- 2級と3級の学科試験はマークシート方式による筆記試験で、どちらも60点満点中36点を取ると合格
- 1級の学科はマークシートに加え、記述式もある。午前・午後5時間もある長丁場の試験
- 実技試験の内容は実践的な知識が問われる問題で、計算問題や事例問題も登場する
- 特に1級の実技は、きんざいの試験は口答試問(面接)であり、顧客対応力そのものを問われる(日本FP協会は記述式)
学科試験と実技試験のいずれかを合格した場合、「一部合格」と呼びます。
しかし、これだけではファイナンシャル・プランニング技能士の資格を得ることができません。
両方の試験に合格して初めて、ファイナンシャル・プランニング技能士を名乗ることができます。
ここではファイナンシャルプランナーの等級別の学科試験と実技試験の違いを詳しく説明していますので、これから受験する予定の方は参考にしてみてください。
FP・ファイナンシャルプランナーの3級の学科試験と実技試験の違い
ファイナンシャルプランナーの3級に合格するには、学科試験と実技試験の両方を規定スコア以上叩き出す必要があります。
3級の学科試験と実技試験の大きな違いは、試験機関を選べるのかどうかですね。
ファイナンシャルプランナーの3級の実技試験は、次のように日本FP協会ときんざいの2つから選ぶことができます。
- 日本FP協会は「資産設計提案業務」
- きんざいは「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」
一方でファイナンシャルプランナーの学科試験は、日本FP協会で申し込んでもきんざいで申し込んでも一緒です。
つまり、ファイナンシャルプランナーの試験を受ける上で、実技試験のどの科目を選べば良いのかが検討すべきポイントになります。
FP3級の実技試験は上記の3種類で、2017年度の受験者の割合データをまとめてみました。
個人資産相談業務(きんざい):34.5%
保険顧客資産相談業務(きんざい):29.6%
資産設計提案業務(日本FP協会):35.9%
比較的バランスが取れていますが、日本FP協会の資産設計提案業務の受験者がやや多いですね。
保険業を目指す方などは、保険資産顧客相談業務を選ぶ必要がありますが、それ以外の一般の方は、早くファイナンシャルプランナーの3級に合格して仕事に活かすためには、日本FP協会の実技試験を選ぶのが近道になりそうです。
というのも、日本FP協会の実技試験の問題の方が比較的解きやすいからです。
ファイナンシャルプランナーの3級の学科試験はどちらも一緒ですので、勉強する分野や範囲に違いはありません。
FP・ファイナンシャルプランナーの2級の学科試験と実技試験の違い
ファイナンシャルプランナーの2級も3級と同じように、学科試験と実技試験の両方を受験する形になります。
3級の合格率が60%を超えているのに対して、FP2級合格者は学科20%実技40%と数値で見るとあまり高くありません。
そのため、ファイナンシャルプランナーの2級に合格するには、3級とは違って専門的な知識が必要です。
ファイナンシャルプランナーの2級も、「実技試験は日本FP協会ときんざいから選べる」「学科試験は両方とも同じ内容」という特徴があります。
また、ファイナンシャルプランナーの2級の実技試験は5種類に増えていますので、以下にて、試験機関や受験者の割合を見ていきましょう。
個人資産相談業務(きんざい):40.3%
生保顧客資産相談業務(きんざい):18.6%
損保顧客資産相談業務(きんざい):0.3%
中小事業主資産相談業務(きんざい):4.1%
資産設計提案業務(日本FP協会):36.7%
実技試験の問題によって、申込者の割合にはバラつきがあります。
「FP2級の実技試験の科目はどれを選ぶの?」と迷っている方は、下記を目安にしてみてください。
- 試験合格第一を考えている方は日本FP協会を選ぶ⇒きんざいと比較してみると日常生活に関連のある題材が多く、比較的簡単な問題が出題される
- 実務経験者は日本FP協会を選ぶ⇒「キャッシュフロー表」「確定申告書」「時事問題」など、FP協会は実務的かつ基本的事項を問われやすい
- 特定分野の実務経験者はきんざいを選ぶ⇒きんざいは「生保顧客資産相談業務」や「中小事業主資産相談業務」など、実技試験の種類を選べる
- 時間に余裕のある人はきんざいを選ぶ⇒きんざいは対応問題集が複数出版されているため、時間をかけて取り組めば合格は難しくない
どちらの機関でファイナンシャルプランナー2級の試験を受けるのかは、実技試験の種類で決めるのがポイントです。
FP・ファイナンシャルプランナーの1級の学科試験と実技試験の違い
ファイナンシャルプランナーの1級も、2級や3級と同様、学科試験と実技試験の両方に合格しないといけません。
ただし、学科試験はきんざいのみ実施しています。2級と3級の学科試験はマークシートのみでしたが、1級の学科試験ではマークシートに加え、記述式の問題も出題されます。
そんな1級の学科試験ですが、なんと午前・午後合わせて5時間もの長丁場の試験です!
体力勝負な一面もありますね。
無事、1級の学科試験に合格すると、「一部合格書」をもらえます。その後、実技試験に進むことになります。
なお、ファイナンシャルプランナーの1級の実技試験は、2級や3級と同様、きんざいと日本FP協会の2つの機関から選ぶことができますので、それぞれの特徴を要チェックです。
- きんざいは2題の口頭試問形式(面接形式)
- 日本FP協会は20問の筆記試験方式(記述式)
どちらの機関や課目を受験しても、「FP1級」と自慢できる資格を取得できる点では変わりありません。
しかし、きんざいは面接を突破する必要がありますので、対策が面倒な方・あがり症の方あなどは、記述式の日本FP協会を選択したほうがよいでしょう。
FP技能士検定の学科と実技は別々で受験すべきなの?
まず、1級についてですが、こちらは学科と実技は別の日ですので、同時受験ということはあり得ません。
2級と3級については、学科と実技は同一日に行われるため、多くの方が同時受験を選びます。
一方で、学科試験と実技試験を別々に受験することもできます。
3級と2級のファイナンシャルプランナーの資格を取得するためには、両方の試験に合格する必要がありますが、「同じ日に受験すべき」とは決められていません。
しかし、FP技能士検定は学科試験と実技試験の同時受験がおすすめで、その理由をいくつか見ていきましょう。
- 「学科試験は午前」「実技試験は午後」と1日で終わらせることができる
- 学科試験で学んだ内容を実技試験でも活かすことができる
- 出題範囲が同じなので、試験の対策はそこまで面倒ではない
別々に受験すると、「法律が変わる」⇒「勉強をやり直さないといけない」といったリスクもありますので、FP技能士検定の学科と実技は同時受験がおすすめです。
まとめ
ファイナンシャルプランナーの資格を持つには、学科試験と実技試験の両方をクリアする必要があるとおわかり頂けたのではないでしょうか。
「3級」「2級」「1級」で違いはありますが、2つの試験に合格するとファイナンシャルプランナーを名乗ることができます。
ファイナンシャルプランナーは就職や転職、日常生活でも大いに活かすことができますので、資格取得の勉強をスタートしてみてください。