農業経営の問題点や課題は?
「日本の農業は多くの課題・問題を内包している」、以前より、このように言われて来ました。
以下では、日本の農業経営の問題点や課題をいくつか挙げてみました。
- 農地の場所の確保や農具の購入など初期費用が高く、農業経営の新規参入が難しい
- 農業は絶対に成功する保証がなく、後継者に知識やスキルが受け継がれない(後継者が育ちにくい)
- 農業に従事する人の減少や高齢化で取り囲む環境がどんどん厳しくなっている
農業経営の課題はたくさんありますが、中でも農業従事者の減少を不安視する経営者はいます。
農業従事者は朝早くから晩まで働いて月収が20万円に満たないケースが多く、労働環境や収入が良いとは言えません。
その影響で後継者が減っているため、農業の発展が鈍足化しています。
農業経営のサポートができる中小企業診断士について
農業経営のサポートは、中小企業診断士の重要な仕事の一つです。
日本の農業が縮小する中、国家資格の中小企業診断士が実践する農業経営に対するサポートに関心が集まっています。
経営コンサルタントの中小企業診断士が具体的にどのような仕事を行うのか確認しておきましょう。
- 中小企業者の経営における問題点を診断する
- 課題を分析し、正しい解決の方向性へ導く
- あらゆる経営相談に乗る
農業の経営に関する問題点や課題を抱えている事業者はいますので、中小企業診断士の出番というわけですね。
日本の農業界のために尽力するということは、本当に深い意義のある業務ではないでしょうか。
※中小企業診断士の仕事内容や魅力についてはこちら!
農業経営者の支援で中小企業診断士に必要な知識
農業経営コンサルタントの業務を行う中小企業診断士は、様々な知識やスキルが必要です。
農業従事者の高齢化や後継者問題、国際的な競争力不足など農業分野に関する経営状態の問題・課題を掴み、コンサルティングを通して経営者をサポートする必要があります。
以下では、農業経営者の支援で中小企業診断士に必要な知識をまとめてみました。
- 農学の体系:「気象学」「土壌学」「昆虫学」「衛生物環境学」「肥料学」「農薬学」「生産資材学」「食品加工学」「農業経済学」
- 技術の視点:「作物栽培の基礎」「農業機械や施設の基礎」「土壌や肥料の基礎」「農薬と防除の基礎」
- 農業経営の視点:「農業簿記や農業経営の診断」「経営計画や経営戦略の樹立」「農産物の流通」「販売戦略の構築」「経営の多様化や多角化」「農業経営の組織化」「法人化とその活用」「農地の流動化」「離農の背景や就農の状況」「地域農業の展開」「国際化への対応」
企業経営に関するスキルに加えて、農業経営のサポートを行うのであれば農業に関する知識も兼ね備えておくべきです。
「農業全体に精通している」「広範で深い知識を持っている」「農業者の考え方を引き出せるコミュニケーション力を持っている」という中小企業診断士は、農業経営における専門家として経営者をフォローできます。
中小企業診断士は、中小企業の経営問題について幅広い知識が問われますが、独立して顧客を獲得するには専門性も同時に意識しないといけません。
農業経営を行う専門の中小企業診断士として知識をブラッシュアップしていくのは選択肢の一つです。
農業経営支援センターについて
我が国の農業を経営支援の観点から活気付ける目的で、農業経営支援センターが発足しました。
農業経営支援センターは110名近くの中小企業診断士が加盟。
中小企業診断士といえば、これまでは一般企業や店舗、工場などを経営診断し、改善を行うのが一般的でした。ただ、そうした知識・ノウハウは農業経営者に対しても活かせるはずです。
経営診断の資源を農業分野に導入することで、マーケティングや生産管理、労働環境など多角的な観点から改善や改革を促す提案を行っているわけです。
農業経営支援センターに加盟する中小企業診断士は、それぞれの専門分野や強みを活かしながら、全国の農家および農業法人に対して経営支援サービスを提供しています。
具体的に農業経営支援センターがどのような活動を行っているのか見ていきましょう。
- 農業経営診断マニュアル:各農業部門や要素別の診断技法、診断の体系をマニュアルにまとめて多角的な診断を推進している
- 農業経営診断:「イネ作」「野菜作」「果樹作」「養豚」「肥育牛」などの診断事例を蓄積している
- 認定農業者・農業簿記・法人化:認定農業者対象の育成講座や所得向上に沿った提案を行っている
- 農業への新規参入:農業に新規参入したい方へのサポートを行っている
- 地域資源開発・農産物直売所・農産加工:地域食品製造業のスぺシャリストが直売所の運営や顧客動向を紹介している
- 食の安全とGAP・ISO・トレース:トレーサビリティや食の安全に関する研修会を開催している
- 農業6次産業化・農商工連携の推進:拘りの商品の生産や販売をプランナーやコーディネーターとして支援している
経営全般の確かな知識を持つ中小企業診断士だけに、農業経営の診断のアプローチは専門性に富んでいます。
農業経営支援センターは地方の農村で農業経営に関するシンポジウムも開催していますので、日本の農業の活性化をサポートしているわけです。
まとめ
中小企業診断士が行う農業経営に関わる業務についておわかり頂けましたか?
日本の農業は、現業従事者の高齢化や後継者の不足を中心にあらゆる問題・課題点を抱えていますので、企業経営の問題把握と診断のスペシャリストである中小企業診断士の出番です。
中小企業診断士の活躍の場所は都市部だけでなく、地方などにも広く求められますので、関心のある方は資格を取得するための勉強に励んでみてください。