出典:さくらい行政書士事務所Webサイト
中小企業診断士の受験生にとって、「将来、どんな診断士になって活躍するのか」というビジョンは、受験勉強と同じぐらい(もしかすると、それ以上に)重要ですよね。
今回は、行政書士と中小企業診断士の2つの資格を使ってコンサルティング活動されている「さくらい行政書士事務所」所長の櫻井義之先生にお話しを伺いました。
みなさんもご存じのとおり、中小企業診断士に独占業務は存在しませんが、その分、自らのビジネスサポート能力を高めて中小事業者を支援する立場にあります。
一方、行政書士は数多くの独占業務があり、法人から個人まで、きめ細やかな支援ができます。
櫻井先生は、これら2つの資格を上手く組み合わせ、まさに「ダブルライセンスのロールモデル」といった立ち位置を構築されているように思えます。
今回のインタビューにおいて、櫻井先生の担当されている業務のうち、主に中小企業診断士業務に関することをお聞きしました。
「将来、ダブルライセンスで活躍したい!」と思っている方は、チェックをお願いします。
中小企業診断士・櫻井 義之先生へのインタビュー
ー櫻井先生が中小企業診断士の資格を取得しようと思ったきっかけや経緯などがあれば教えてください。
経営学のMBAと同等、且つ日本で唯一のビジネスコンサルティングの国家資格である中小企業診断士は、日立勤務の40代から取得したいと考えていました。日立本社の企画部門勤務時には、比較的若く、実務経験が少ない理論派のMBA取得者が多数いたという背景もありました。
ー中小企業企業診断士のお仕事の内容についてご説明いただけますでしょうか?
中小企業診断士には法律で規程された排他的独占業務はありません。(誰でもビジネスコンサルティング業務は可能) しかし、中小企業のボトムアップや生産性の向上が日本経済の柱であることは明白であり、国(経済産業省)による経済施策の中心が、中小企業に対する様々な支援となっており、診断士制度はそれを推進するエンジンです。 具体的には、融資や補助金申請において、事業者の経営状況を客観的に把握し、事業者の考えや方針を事業計画として表現すること。そして、経験と勘に頼っている事業活動の効率性を上げたり、経営課題解決への早道を示すことが、中小企業診断士の仕事内容です。
ー中小企業診断士という職業のやりがいや楽しさを教えてください。
今まで経験をしたことがなく、何の関係性も無かった他業種事業者の、ヒト、モノ、カネ、情報・ノウハウという経営資源の実情を丸裸にして、辛口で情熱を込めた助言を行い、経営者にその気にさせたり、元気にさせることが、やりがいでしょう。 楽しさは、その経営者にとって本音で話し、相談できる相手になれた時です。
ー逆に中小企業企業診断士という職業の難しさを教えてください。
記帳代行と税務申告だけを行う税理士や、労働関連の書類作成と代理申請だけを行う社会労務士と比較すると、中小企業診断士だからという専門的な業務はありません。ほとんどの中小企業・個人事業主(380万者中300万者以上程度)は、表面的な経営診断の結果を見ても何の役にも立ちません。 起業、補助金申請、新事業開発や事業撤退、または事業承継などの具体的な目的・目標・課題があり、毎日悩み続けている経営者に対し、限られた時間と情報の中から、説得力や合理性のあるアイデアやプランを提示できるかが難しさです。
ー中小企業企業診断士の今後について、櫻井先生が考える業界の将来について教えてください。
20年以上のデフレ経済、膠着化した産業構造、大企業のグローバル化、国内の少子高齢化社会の中で、国は欧米のようなベンチャー企業が育ちやすい経済社会を目指しています。 老若男女に関係なく新しい経営者がどんどん現れ、欧米企業や中国企業と競争し勝つことができるよう、有効なサポートをすることが将来の中小企業診断士の役割になるでしょう。また、中小企業診断士自身が後継者のいない中小企業の事業を継承し、生まれ変わらせる事例が増えるのではないかと推測します。
ー中小企業診断士を目指す方に向けてメッセージをください。
中小企業診断士の一次試験内容は、各科目ともに広く浅い知識を6割程度理解しているかのフィルターでしかなく、難解な二次試験を突破してやっとスタートラインです。 中小企業診断士の付加価値は、上から目線の学者や評論家ではなく、経営者に寄り添い、頼られる相談役です。 解決策の提案だけでなく、具体的な実行支援ができる存在になりたいものです。
ー本日はお忙しいなか、非常に丁寧にお答え下さいまして、ありがとうございました。